白老・胆振東部・日高のニュース

【登別】クマ牧場のボス「不在」 24年ぶり2度目の珍事

(2011年 7/16)

24年ぶりにボス不在となった「のぼりべつクマ牧場」

 登別市の観光施設「のぼりべつクマ牧場」(登別温泉町)は14日、雄の中から選ばれる今年度のボスグマが「不在」であると発表した。昨年、第19代ボスに〝就任〟したサチオ(12歳)の負傷離脱などが影響したとみられ、ボス不在は24年ぶり2度目の珍事となる。

 同牧場は毎年、5~7月にかけての発情期に活発化する威嚇行動やマーキング行動などを基準に、その年のボスグマを決めている。今年も、体格や力で勝るサチオに若グマのグループがついて回るなど、最有力候補として順調な出足を見せていたものの、双子のレッド(12歳)、ホクト(12歳)とアタロウ(16歳)が対立勢力を形成。6月上旬には、サチオがこのグループによるものとみられる攻撃を受け、足を負傷。長期療養を余儀なくされた。

 けがのショックからか、サチオは行動もふさぎがちになってしまったといい、ボス争いから脱落。後継はレッドが有力だったが、目立った動きの無いまま発情期を終えた。現在はレッド、若グマの両グループが同じ飼育場で別々に行動する状態に落ち着いたが、関係者の中には「群れを統率するボスがいなければ、争いごとが絶えなくなるのでは」と懸念する声もある。

 飼育員の阿部智美さん(28)は「レッドは意地悪な性格を直せば、ボスになりうる存在。あるいは今後、若手が台頭する可能性もある。来年の発情期までに、ボス候補が成長してくれれば」と話している。