山菜採りシーズンが本番を迎える中、きょう1日からは道南のヤマベ釣りも解禁され、山中はさらに人であふれそうだ。山遊びで一番怖いのは「山親父」との遭遇。のぼりべつクマ牧場の坂元秀行学芸員(46)に、クマが嫌がる行動について聞いた。
動物が苦手とする火だが、クマには全然通用しないようだ。たき火で囲んだ中に餌を置いた実験では、火を面白がり、触ったり、またいで餌を食べた。触ると熱がりはするが、すぐにじゃれつき「まったく嫌がらない」のが真相。
最近、どこの釣具店でも手に入る唐辛子成分入りの撃退スプレーは「明らかに効果がある」と言う。射程距離が5メートル程度で、風向きに注意が必要だが、餌で寄せたクマに噴霧したところ、泡を吹き、飛んで逃げていった。
スプレーの良い点としては、クマに被害が出ないこと。時間が経過すると体内から刺激が抜けるため、失明や鼻が利かなくなるなどの後遺症がない。実験した雌グマも今も元気で出産もしたという。
自分よりも大きな物は嫌がる傾向がある。ブルーシート(テント)を広げて見せる実験では、忌避行動が確認された。「相手を威嚇する時、立ち上がり自分を大きく見せる習性を逆手に取った実験」の結果。
「複数行動をしている時は、みんなで手をつないで大きく見せるとよいともいわれている」。ただ、手をつないで騒いでは逆にクマを興奮させるだけ。あくまで「静かに」がポイントだ。
また、難しいのはクマが襲おうとしていないのに、人間の方が警戒してブルーシートやテントを広げ、クマを興奮させてしまう場合があることだ。あくまで「嫌がる」行動として認識するべきだろう。
(鞠子理人)
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