オーストラリアのメルボルンに留学していた韓国人男性(33)が「人種差別的な集団暴行と警察の捜査により被害を受けた」と主張し、物議を醸している。
男性は「今年9月27日夜、メルボルンの学校の学生寮近くにある公園で、韓国人の友人と一緒にいたところ、少年A(14)など白人少年らに襲われ、左手の小指を切断されるなどの重傷を負った」として、今月5日にメルボルンの韓国領事館に届け出た。男性は「少年らがたばこや金を要求し、断ったところ『くたばれ中国人(Fucking Chinese)』などと悪口を浴びせ集団暴行を加え、うち1人が刃物で私の指を切断した」と話した。
領事館が9日に発表したところによると、男性は「加害者らはアジア人を侮辱する言葉を浴びせ、6-7人が加担して暴行を加えたが、警察は少年Aだけを逮捕・起訴し、残りは釈放した。加害者だけでなく、警察の捜査の過程でも人種差別を受けた」と主張しているという。男性は事件当時、しばらく意識を失ったが、病院に搬送され、指の接合手術など応急処置を受けた。男性は今年7月、短期留学ビザ(6カ月)でオーストラリアに入国し、技術学校に通っていた。
男性はインターネットの討論掲示板で「警察は冷たい態度で『少年らによるありふれた偶発的な犯罪だ。ほかの加害者の個人情報など、プライバシーにかかわる事項は教えられない』と言い放った」と訴えた。
現地の警察はこれに対し「少年Aは同じ白人や自分の家族、さらに警察官にまで暴行を加えたり、脅迫したりした前科がある。少年Aが共犯についての供述を拒んでいるため、少年Aだけを起訴した」と釈明した。また、領事館の関係者によると、警察は事件についての再捜査を行うとともに、ビクトリア州政府による賠償を行うことを約束したという。
オーストラリアでは最近、アジア系住民を狙った犯罪が相次いでいる。今年4月には、シドニーで中国人留学生2人が白人少年6人から集団暴行を受け、オーストラリア政府が公の場で謝罪する事態となった。また、2009年にはメルボルンでインド人留学生を対象とした連続テロ事件が発生し、インドとオーストラリアの間で外交問題に発展した。