◇韓流（かんりゅう）ブームの聖地（せいち）

　ここはソウルから北東（ほくとう）に約（やく）６０キロメートル。朝鮮半島（ちょうせんはんとう）の大河（たいが）・漢江（ハンガン）のダム湖（こ）に浮（う）かぶ南怡島（ナミソム）です。

　木（こ）の葉（は）のような形（かたち）をした周囲（しゅうい）６キロメートルの島（しま）で、名前（なまえ）は１５世紀（せいき）の朝鮮時代（ちょうせんじだい）の勇敢（ゆうかん）な武将（ぶしょう）、南怡将軍（ナミしょうぐん）から来（き）ています。１７歳（さい）で武士（ぶし）の試験（しけん）に合格（ごうかく）。大（おお）きな乱（らん）を平定（へいてい）し活躍（かつやく）しましたが、王様（おうさま）が変（か）わると逆（ぎゃく）に嫌（きら）われ、２７歳（さい）でこの世（よ）を去（さ）りました。そしてお墓（はか）がここにあるのです。

　今（いま）は自然豊（しぜんゆた）かな総合（そうごう）リゾート地（ち）として知（し）られています。ところで、このメタセコイヤの並木道（なみきみち）、どこかで見（み）たことはありませんか？　そうです、韓国（かんこく）のドラマ「冬（ふゆ）のソナタ」（２００２年（ねん））の雪景色（ゆきげしき）シーンで有名（ゆうめい）になりました。

　「冬（ふゆ）ソナ」は０３年（ねん）にＮＨＫ　ＢＳで放送（ほうそう）され、日本（にっぽん）で「韓流（かんりゅう）ブーム」が起（お）きるきっかけとなりました。主人公（しゅじんこう）を務（つと）めた俳優（はいゆう）ペ・ヨンジュンさんは「ヨン様（さま）」と呼（よ）ばれ、今（いま）も高（たか）い人気（にんき）を誇（ほこ）ります。南怡島（ナミソム）はそのロケ地（ち）なので、ブーム発祥（はっしょう）の地（ち）とも言（い）えるでしょう。

　家族（かぞく）３人（にん）で島（しま）を訪（たず）ねた女性（じょせい）（４３）は、夫（おっと）の仕事（しごと）で日本（にっぽん）からソウルに来（き）て４年目（ねんめ）。「韓国語（かんこくご）の勉強（べんきょう）のために見始（みはじ）めたが、人（ひと）の気持（きも）ちの描（えが）き方（かた）がストレートでおもしろく、すっかりはまってしまいました」と、韓流（かんりゅう）ドラマの魅力（みりょく）を語（かた）ります。映画（えいが）や音楽（おんがく）も含（ふく）む「韓流（かんりゅう）」はほかの国（くに）でも人気（にんき）です。今年（ことし）は歌手（かしゅ）ＰＳＹ（サイ）が韓国語（かんこくご）で歌（うた）う曲（きょく）がアメリカやイギリスで大（だい）ヒットしました。

　日本（にっぽん）と韓国（かんこく）はときに竹島（たけしま）の問題（もんだい）などで熱（あつ）くなり、関係（かんけい）が悪（わる）くなることがありますが、「韓流（かんりゅう）を愛（あい）してやまないファンは、そんなときの『冷却剤（れいきゃくざい）』の役割（やくわり）を果（は）たしてくれる」と話（はな）す専門家（せんもんか）もいます。【ソウル・西脇真一（にしわきしんいち）、写真（しゃしん）も】

　◇国名（こくめい）

　大韓民国（だいかんみんこく）

　◇首都（しゅと）

　ソウル

　◇面積（めんせき）

　約（やく）１０万平方（まんへいほう）キロメートル

　◇人口（じんこう）

　約（やく）５０００万人（まんにん）（２０１２年推定（ねんすいてい））

　◇現地通貨（げんちつうか）

　１００円（えん）＝１４００ウォン