政治【酒井充の政界××話】虚言と言い訳の真紀子文科相+(4/4ページ)(2012.11.10 07:00

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【酒井充の政界××話】
虚言と言い訳の真紀子文科相

2012.11.10 07:00 (4/4ページ)酒井充の政界××話
一旦会見を終えた後、補足説明があると再び会見場に姿を現した田中真紀子文科相。気恥ずかしかったのか照れ笑いを見せた=6日、文部科学省(大橋純人撮影)

一旦会見を終えた後、補足説明があると再び会見場に姿を現した田中真紀子文科相。気恥ずかしかったのか照れ笑いを見せた=6日、文部科学省(大橋純人撮影)

 「事件」は15年10月31日、新潟・佐渡島での演説会で起きた。北朝鮮による拉致事件に触れた田中氏は、前年に帰国した蓮池薫・祐木子夫妻らの子供について「子供さんたちの国籍は何ですか。北朝鮮じゃないんですか。(帰国は)難しいとはっきり言わないとダメですよ」とがなりたてた。

 直接聞いていた私は、それまで笑っていた聴衆約1300人が一気に引いたのを覚えている。あまりにも無神経な発言にシーンとなった。小泉純一郎首相(当時)の2回目の訪朝に伴い、子供たちが帰国したのは半年後のことだった。

 田中氏は、そもそも事実を間違えていた。日本の国籍法は、両親のどちらかが日本人であればその子供も日本国籍だ。だが、外相を経験した田中氏は知らなかったらしい。とんでもない外相がいたものだ。

 無神経ぶりはこれだけではなかった。会場のホールでは、田中氏が来る1週間前、拉致被害者の曽我ひとみさんも出席して、安否が不明な母親のミヨシさん救出を求める島民大集会が開かれた。曽我さんは田中氏が立った同じ壇上で「母はどこにいるのだろう」と訴えたばかりだった。田中氏には、どうでもいいことなのだろう。

 この日の田中氏は別会場で行った演説を含め、とにかくひどかった。

 小泉氏を「ライオンヘアだか、ネコヘアだかカツラだか知らんけど」と、自民党幹事長だった安倍晋三現総裁を「シンゾウだかカンゾウだか」とあげつらい、拉致問題を担当していた中山恭子内閣官房参与(現参院議員)には「私と違って優しい声で、曽我さんに『大丈夫ですよぉ』とか言ってましたが、家族は帰ってきましたか? 帰ってこないじゃないですか。あんな優しい声でだましたりして」とかみついた。

 拉致被害者への冒涜に対して後日、拉致被害者を救う会などが抗議声明を送ったが、田中氏は最後まで謝罪しなかった。それどころか「小泉内閣の弱腰外交に対する考えと、拉致問題解決に向けた思いを混同しないでいただきたい」との反論を文書で発表した。「誤解だ」と言いたかったのだろう。大学不認可騒動と同じ構図である。

 人の身体的特徴をけなして笑いを誘うのが田中氏の話術だ。ほかにも紹介できないような内容のオンパレードだったが、拉致の話以外はなぜか会場は笑いに包まれた。下品な演説に笑う方も笑う方だ。私は聞いているだけで不愉快だった。

 かくいう私も新潟県出身。真紀子氏の父、田中角栄元首相は新潟県民の誇りで、「人の痛みのわかる政治家」だったと聞いているが、娘さんは「新潟県民の…」。この先は言うまい。

このニュースの写真

衆院文部科学委員会で自民党の松野博一氏の質問を聞きながら書類を受ける田中真紀子文科相=7日午後、国会・衆院第17委員室(酒巻俊介撮影)
記者会見で謝罪する田中真紀子文科相=11月9日午前、東京都千代田区の文部科学省

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