第10回高校生地球環境論文賞の入賞作品
受賞論文【最優秀賞】「わが出雲西高校インターアクトクラブの環境浄化活動の実践について」
島根県 出雲西高等学校
インターアクトクラブ代表
2年 山本 勝巳
Ⅰ.インターアクトクラブとは?
インターアクトクラブとは、インターナショナルアクションクラブの略で、国際奉仕と地域奉仕の両面を行うボランティアクラブである。後援団体はロータリークラブであり、全世界にあるクラブである。
出雲西高校インターアクトクラブは設立が1966年であり、現在で44年目、部員は58名おり中国、四国地域では最も活動しているクラブである。
活動内容は以前、募金活動、施設訪問が中心であったが、現在は環境問題を主軸に活動している。
Ⅱ.環境問題に取り組むきっかけ
出雲西高校インターアクトクラブが環境問題に取り組むようになったきっかけは、10年間行っている海岸清掃であった。本校は出雲市のくにびき海岸、稲佐の浜、湊原海岸、日御碕海岸など年間5,6回は清掃奉仕を行っている。
その時、感じることは、日本製のゴミは少なく80%のゴミは海外のゴミということであるという現実であった。一番多いのは中国のゴミ、その他は韓国、北朝鮮のハングル語の書かれたゴミ、まれにロシア語で書かれたゴミを発見することもある。
また、注射器、点滴の機材など危険なものもまじっていた。この現状を見て私達はこの問題を何とかして訴えなくてはと思い、マスコミ(新聞社やテレビ局)に話をし、取材してもらった。
その結果、マスコミも注目するようになった。私達は、そこで気づいたのは、海をきれいにするためには、海岸清掃するだけでなく海に注いでいる川をきれいにすることも重要であると考えた。つまり、海をきれいにするためには川を、その川をきれいにするためには美しい森を育てなくてはならないと気づいたのである。
Ⅲ.美しい森づくり(植林活動)
海や川をきれいにするために私達は植林活動に取り組んだ。島根県雲南市と奥出雲町の間に山陰地方最大級の尾原ダムというのがある。この尾原ダムを建設するためにかなりの山を削り、ダムは作られた。
このダムの削りとられた跡地に、どんぐりの木を植え自然をよみがえらそうという試みが尾原ダムどんぐりの森づくりである。
なぜ「どんぐりの森づくり」なのかと言うと、この奥出雲町一帯は古代より「どんぐりの木」が生い茂り森林地帯であったということである。そこで、私達は国土交通省の方々とこの地に合った「 どんぐりの木 」を植え続けたのである。そして小学生と共に私達がサポーターとなり十年前から約33万本の木を植えたのである。
森を作るためには、その土地に合った木を植えなければ木は生育しない。つまりはその土地の生態系に合う木を選んで植えることが重要ということであろう。
しかし、この生態系に合った木を植える方法とは逆の方法で植林をするという先生もおられる。これは横浜国立大学名誉教授宮脇昭博士である。宮脇博士は世界的に有名な「ミヤワキ方式」の植林の提唱者であり、タブノキ、アカガシ、モテノキなどの二十種類の木を狭い範囲に植え生存競争をさせるという方法である。そして、狭い環境の力で強いパワーを持った木が勝ち残っていく。また、狭い厳しい環境の中で耐えぬいた木は、伸びが速くあっという間に大木になるそうである。
そして、この「ミヤワキ方式」は世界的に認められ宮脇博士は、世界中を飛び回り植林されているのでる。
私達インターアクトクラブは、宮脇博士と話をし、斐伊川・神戸川冶水対策の一貫として行なわれている「斐伊川放水路千年の森づくり」に参加することにした。これからも千年の森づくり計画に積極的に参加したいと思う。中国の故事にも『前人、木を植えれば、後人涼し』という言葉もあるのだ。
先祖の人たちが木を植えてくれれば、子孫達は森という幸福なものを手に入れられるのである。この植林活動を今後も継続してゆきたいと思う。
Ⅳ.宍道湖の環境保全のための活動について
(1)宍道湖は島根県東部に位置する全国第6位の広さを有する天然湖である。
また汽水湖であり、中海と共に中国山地を源とする一級河川斐伊川水系の下流域を構成している。私達インターアクトクラブは、島根県知事、溝口善兵衛氏の委嘱により5年前から宍道湖ゴビウス付近の水質調査をしている。宍道湖の水質は現在、きれいとはいえず水質汚濁がみられる。この原因は、人口の集中化や生活様式の変化が見られる。
私達の調査によると家庭からの「生活排水」が一番の原因であると思われる。
(2)宍道湖の水質をきれいにするヨシ植えについて
ヨシとは「葦」という字を使い、別名 「アシ」とも言われる。ヨシは、宍道湖に流れてくるリンやチッ素などの人体には有害なものを栄養にしてくれるのである。そして、水をきれいにしてくれる植物である。また小魚の逃げ場になり鳥たちもヨシの林の中で巣づくりをするという自然をとりもどす絶好の植物である。これを竹ポットの中に植え、植栽している。なぜ竹の中に植えるのかというとヨシは苗の時は倒れやすい植物なので、身を守るために竹の中に植えるのである。
現在、宍道湖には2万本のヨシが植えられ自然がもどりつつある。私達インターアクトも宍道湖に自然がもどるまで継続してゆきたいと思っている。
Ⅴ.EM菌を使い環境浄化をすることについて
EM菌とは、光合成細菌、乳酸菌、酵母などがある。私達インターアクトクラブはEMの活性液づくりをロータリークラブの方より習い、EM菌、糖蜜、塩、ぬるめの湯を加え活性液を作った。昨年は、9月~12月にかけてEM活性液を作り、出雲市内の小中学校のほとんどのプールに投入した。
そして、EMできれいになったプールの水を一斉に川に流すことにより、川を浄化させる目的である。このEM活性液は、出雲西高で作成され、私達インターアクトクラブの力で作られた。数は石油タンク500本、この作業は大変であったが5月に小中学校のプールを清掃した際、プールの中がとてもきれいで、よごれが全くなかった。EM菌が汚染している所を浄化してくれたおかげである。
このEM効果は、東京の多摩川、日本橋川、神田川、隅田川などに流され東京港の西側のモノレール沿線の運河、そして東京湾もきれいにしていると聞く。また、きたないことで有名な大阪の道頓堀川にも流されたといわれている。島根県では、清流日本一になった益田市を流れる高津川などにも流されている。この効果は絶大である。
私達インターアクトクラブは、一生懸命頑張り、神戸川、斐伊川、宍道湖さらに、日本海をきれいにするためEM作戦を実行してゆきたい。
Ⅵ.まとめ
このように環境問題(浄化作戦)するために努力してきたこと。
私達インターアクトクラブは、机上の空論ではなく実際に行動していることに誇りをもっている。
(1)海岸の、中国、韓国、北朝鮮からくるゴミについては、参考資料( 新聞記事 )にあるように、今年の3月、秦悠一郎先輩が、中国親善作文コンクールにて全国で七人に選ばれ、ゴミの問題を北京市、太原市、西安市でパワーポイントを使い中国の人たちに訴えた。
結果として大反響であったという。
中国の若者達は、「全く知らなかった。申し訳ない。」という驚きの連続だったそうだ。
また今年の夏、8月に韓国の14人の中学生、高校生と共に海岸清掃をし、2日目には討論会も行った。韓国の生徒たちは、現実を見て、反省していた。
「本当にすみませんでした。ゴミをこんなに捨てているのは、韓国人として恥ずかしい。」という弁であった。
この企画は、とても良かったと思う。
(2)また来年の3月には、フィリピンのゴミ捨て場、パタヤスゴミ処理場へ行きフィリピンの子どもたちと交流しようと思っている。
そして、小学生たちと話し合ったり、文房具が不足しているということで、エンピツや、消しゴム、ノート、Tシャツ、タオル、運動靴などを集めたり、募金、バザーなどの収益金でそれを買い、持ってゆこうと思う。
海外でボランティアをしたいという夢が実現することを部員一同楽しみにしている。
坂村真民(仏教詩人)さんのこんな詩があった。
あとから来る者のために
田畑を耕し
種を用意しておくのだ
山を川を海を
きれいにしておくのだ
ああ あとから来る者のために
苦労し 我慢し
みなそれぞれの力を傾けるのだ
あとからあとから続いてくる
あの可愛い者たちのために
みなそれぞれ自分にできる
何かをしてゆくのだ
私たちインターアクトクラブのみんなは、"知行合一"をめざし、実践活動を中心に精一杯努力をしている。
そして、今やっている環境問題を後輩にも伝え、永遠に続けてゆくよう努力してゆきたいと思っている。
そして、今やっている活動が、実となり種となり、広がっていくよう部員一同協力し大いに頑張ってゆこうと思っている。