日本直販破綻:ネットへの対応遅れ テレビ広告費かさむ

毎日新聞 2012年11月09日 21時27分(最終更新 11月09日 23時54分)

国内通信販売の市場規模の推移
国内通信販売の市場規模の推移

 「日本直販」ブランドのテレビショッピングで知られた総通が経営破綻したのは、成長を続けるインターネットを通じた市場への取り組みが遅れたことが大きい。通販業界自体は市場が拡大しているなか、広告費などのコストもかさむテレビだけでは限界があることを示した。

 総通は近年、低迷を続けており、90年代に500億円を超えた売上高が11年9月期に255億円に半減。業界紙「通販新聞」によると総通の売上高は業界40位、テレビ通販に限っても11位にとどまっていた。

 総通の不調と対照的に躍進したのが00年11月にウェブサイトを開設した米系ネット通販のアマゾンジャパンで、通販新聞によると今や業界最大手。11年度の売上高は5000億円台前後と推定される。書籍、音楽、家電など幅広く、商品点数は約5000万点。自社で物流センターを持って在庫を抱えることで宅配業者への大口委託が可能となり、流通コストを削減した。

 アマゾン上陸と時を同じくして、国内通販各社のネット参入が相次いだ。カタログ通販が中心だった大手の千趣会は、00年に始めたネット通販が現在では、年間売上高約1300億円の6〜7割を占める。主な顧客が30〜40歳代の女性だったこともネット通販にシフトしやすかった。

 深夜のテレビ通販が中心だったジャパネットたかたも00年にネット通販を始める一方、01年にはCSデジタル放送で自社の専門チャンネルの放送を始め、現在は商品紹介番組を24時間流す。一方で、新聞の折り込みチラシなど紙媒体も重視する「メディアミックス」戦略で顧客層を拡大。テレビ通販を始めた94年に43億円だった売上高は11年に1531億円に拡大した。

 一方の日本直販は最近でもテレビCMによる商品紹介が中心だった。利幅が大きくなるヒットに恵まれず「テレビ放送する際の広告費が負担になり、相当厳しいのではないか」(大手通販業者)と見られていた。【岡田悟、大久保陽一】

 【キーワード】日本の通販市場

 日本通信販売協会によると、会員企業と非会員企業の売上高を合計した11年度の通販事業の市場規模(非会員企業は推計値)は5兆900億円で、過去最高を更新した。会員企業のみでも3兆2300億円に上り、過去最高だった。協会によると非会員企業はアマゾンジャパンのほか、インターネット通販専業の中小企業が多くを占めるという。

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