設計・建設段階の安全規制 安全審査
安全審査
<審査内容> | ||
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立地・設計 | 立地条件 | 地震・気象・社会環境など |
原子力発電所の安全設計 | 原子炉・格納容器・冷却系など | |
評価 | 通常運転時の被ばく線量評価 | |
安全評価 | 運転時の異常な過渡変化 事故 |
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立地評価 | 重大事故 仮想事故 |
<審査の基準> |
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安全審査指針等 |
立地の基本的な考え方
立地の基本的な考え方
必要な立地条件 |
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大きな事故の誘引となるような事象が過去においてなかったことはもちろん、将来においてもあるとは考えられないこと。 また災害を拡大するような事象も少ないこと。 |
原子炉は、その安全防護施設との関連において十分に公衆から離れていること。 |
原子炉の敷地は、その周辺も含め、必要に応じて公衆に対して適切な措置を講じることのできる環境にあること。 |
<確認事項> |
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1.敷地:原子力発電所の位置、広さ、敷地境界などの調査結果から、周辺公衆との離隔の確保を判断します。 |
2.気象:敷地及び周辺の気象について、原子力発電所を設置する際には、最低気温、最大瞬間風速、積雪などを調査します。 また安全解析では風向、風速などを調べて統計処理を行い、大気拡散などを解析します。それらの解析方法が指針に適合しているかを判断します。 |
3.地盤:敷地の地盤について試掘坑調査などを行い、地盤の性状を把握し、これらに基づいて地盤が十分に安定していることを確認します。 |
4.水理:敷地において津波や洪水による影響を受けないことを確認します。 |
5.地震:敷地周辺における過去の地震や活断層の調査結果などにより、耐震設計に考慮する地震を選定します。 |
6.周辺の人口分布、産業活動、交通運輸などを調査し、原子力発電所の安全性に影響がないことを判断します。 |
原子力の立地地点はひとことでいえば・・・ |
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安全設計の基本的な考え方
各施設の安全設計の考え方の例
- 原子炉
- 燃料の許容設計限界を超えることのないこと
- 炉心及び反応度制御系は原子炉出力を制御できること
- 安全保護系
- 異常な状態を検知し、原子炉停止系及び工学的安全施設の作動を自動的に開始させられること。
- 安全保護機能を失わないように、多重性・独立性を備えていること。
- 原子炉格納容器
- 想定事象に対し、圧力・温度・動荷重や適切な地震荷重に耐え、かつ適切に作動する隔離機能とあいまって所定の漏えい率を超えることがないこと。
→閉じ込める - 原子炉冷却系
- 原子炉冷却材圧力バウンダリ(※)の健全性が確保されること。
- 機器で発生した熱や残留熱を除去できること。
- 最終的な熱の逃がし場へ熱を輸送できること。
(※)原子炉冷却材圧力バウンダリ:原子炉冷却材を外に出さないように設計された圧力障壁
- 原子炉停止系
- 原子炉を停止することができる二つの独立した系を有すること。
- そのうち少なくとも一つは異常時において、炉心を臨界未満に維持できること。
→止める - 非常用炉心冷却系
- 原子炉 を冷却する配管が破断し、冷却材が喪失しても、炉心に冷却水を供給して冷却できる設計であること。
→冷やす
通常運転時の被ばく線量評価
原子力発電所の運転中には、ごく微量の放射性物質が周辺環境に放出されます。放出された放射性物質により人体が受ける影響を「線量」といいます。「被ばく線量評価」とは、原子力発電所の敷地外において公衆の受ける線量が「線量目標値に関する指針」に定められている線量目標値(年間0.05ミリシーベルト )を達成する設計であるか確認するために行うものです。
(例)加圧水型炉原子力発電所における通常運転時の被ばく線量の計算結果
安全評価
原子炉 施設の構築物、機器などは通常運転の状態だけでなく、異常な状態においても安全確保の観点から所定の機能を果たすことが必要です。
安全審査においては、異常な状態についても解析し、所定の機能が保たれるかを評価します。
立地評価
立地評価においては、「重大事故」と重大事故を超えるような仮想事故を想定して、公衆の受ける被ばく線量を計算し、その結果がめやす線量を下回っていることなどを確認します。
重大事故…技術的にみて最悪の場合に起こるかもしれないと考えられる事故
仮想事故…重大事故を超えるような、技術的には起こるとは考えられない事故