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政治
【主張】第三極 より明確な国家観を示せ
特例公債法案が衆院本会議で審議入りし、成立にめどがついたことで、年内解散の可能性が出てきた。次期衆院選に向けて、石原慎太郎前東京都知事らによる第三極の連携を模索する動きも活発化している。しかし、肝心の政策協議が難航し、確かな第三極を形成するには至っていない。
石原氏はみんなの党の渡辺喜美代表との会談で、「強いしたたかな日本をつくろう」と語り、渡辺氏も「大変結構だ」と応じた。石原氏は日本維新の会の松野頼久国会議員団代表とも会い、「『脱』霞が関、中央集権打破だけでも一致すればいい」と呼びかけ、松野氏も同意したという。
だが、「『脱』霞が関」だけでは、連携は無理だ。これからの日本の国づくりに向けた政策について、大筋の合意が必要である。
石原氏と維新の会代表、橋下徹大阪市長、たちあがれ日本の平沼赳夫代表の会談でも、衆院選に向けて政策や選挙協力を話し合うことで一致するにとどまった。
石原氏が「小異を捨て大同に」と呼びかけたのに対して、橋下氏は、石原氏個人とは連携するものの、たちあがれ日本とは「カラーが合わない」と述べ、連携は困難との考えを伝えたとされる。
たちあがれ日本はすでに、「強い日本」を目指す政策宣言をまとめ、「自衛軍」を明記した自主憲法大綱案も示している。
一方、維新の会は、「教育委員会制度の廃止」などを盛り込んだ維新八策(最終版)を公表し、憲法改正に関して、「首相公選制導入」などをうたっている。
橋下氏は、具体的な憲法改正の方向性をもっと明確に打ち出すべきである。現状では、地域政党の域を脱せないだろう。
みんなの党は、自衛権の明確化を求めた「憲法改正の基本的な考え方」を示している。ただ、党の「アジェンダ」などを見る限り、増税によらない「小さな政府」以上の国家像が見えてこない。
中国公船が尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返すなど、日本の領土が危険にさらされている今、国のありようが問われている。
先月、都知事を辞任して国政に転じる意向を表明した石原氏は、「新憲法づくり」の必要性を強調した。来週、石原氏を代表に立てて結成される新党を含む第三極の連携を、憲法改正を軸にした保守勢力の結集につなげたい。
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