東電:再生エネ電力料金…顧客が選択、14年度から導入へ

毎日新聞 2012年11月10日 02時32分(最終更新 11月10日 02時54分)

東京電力の広瀬直己社長=猪飼健史撮影
東京電力の広瀬直己社長=猪飼健史撮影

 東京電力の広瀬直己(なおみ)社長は9日、毎日新聞のインタビューで、再生可能エネルギーによる発電を支援したい人のための新たな電気料金メニューを導入する方針を明らかにした。火力などより発電コストの高い分、料金を割高に設定する一方、利益を再生エネ発電への投資に充てる。再生エネ普及のための料金設定は大手電力で初めて。

 14年度に運転開始予定の「東伊豆風力発電所」(静岡県、11基・総出力約1万8000キロワット)の発電分から、新メニューを適用する。

 発電量が限られるため、販売先は企業や団体のみとするが、新メニューを選ぶ利用者が増えれば、風力発電施設やメガソーラー(大規模太陽光発電)を増設し、家庭向けにも販売する。

 商社など異業種が開発したメガソーラーなどの電気を東電が買い取り、一般家庭に売ることも検討するとしており、再生エネ発電への新規参入を促す可能性もある。

 火力など既存電源より数十%〜4倍程度高い再生エネの発電コストを賄うため、料金は割高になる。しかし、福島第1原発事故を機に「クリーンな電力を増やしてほしい」との声が高まっていることから、広瀬社長は「高くてもそういう電気がほしいという顧客はいるはず」との見通しを示した。

 経済産業省によると、再生エネを選べる料金メニューは、米国やドイツなどで導入実績があり、再生エネ普及の先導役になっているという。「原発を望まない人は高い料金を押しつけられるのか」との批判も予想されるため、再生エネの発電コスト低減への取り組みも同時に求められそうだ。【和田憲二、宮島寛】

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