ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・

私用連絡

 本日、まったく白紙の謎の葉書が拙宅に届きました。炙り出しでもありません(笑)。葉書なので、おそらく生物兵器テロでもないと思われます。
 たぶん自動印刷ミスと思いますので、お心当たりの方にお知らせします。
  1. 2012/11/09(金) 11:21:46|
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自由シリア軍の戦力強化が進む

 自由シリア軍の戦力強化を示す映像が続々とアップされています。
▽ハマの自由シリア軍行軍
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 たいした人数です。かつて花火や手作りパイプ玉葱砲で対抗してた頃もあったのに、よくぞここまで頑張ってきたものだと、その忍耐力には感嘆しますね。
▽おそらく上映像の続き
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▽ミサイルその1
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▽ミサイルその2
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 自由シリア軍が制圧した東ゴータの防空基地「イフタリース基地」。防空軍第2軍第01600連隊の対空ミサイル基地だそうです。まあ、これを使用できるわけではないでしょうが。

 他方、政府軍による空爆も継続中。下はその現場から緊迫のレポートです。
▽爆撃下のレポート
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 11月5日。ホムスのアル・フーリ。爆撃下で決死のレポート。流血シーンありませんし、英語字幕付きなので、皆様ぜひ御覧ください。

 下は自由シリア軍側の作成映像です。
▽反体制派の広報ビデオ(※衝撃映像アリ:注意)
1109SR5.jpg
 SMC(シリア・メディア・センター)が8日に投稿した反体制派広報ビデオ。メッゼ攻撃など最新映像も使っています。アサド政権に対する怒りがよく伝わりますが、ちょっと衝撃のシーンがあります。
  1. 2012/11/09(金) 09:52:51|
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首都決戦へ(アラウィ派の脱出始まる)

 ダマスカスの知人によると、最近、首都中心部への攻撃が相次いだことから、バース党員のアラウィ派住民が海岸地方に続々と逃げ出しているそうです。首都決戦で自分たちが危うくなることを真っ先に感じたのでしょう。
 とくに、昨日の大統領宮殿への初めての攻撃(外れて近くに着弾)は、ダマス市民に大きな衝撃を与えています。
 これまで、首都攻防戦のカギを担っていた中心勢力は、北部からの街道の要衝になるドゥーマに展開する自由軍でした。ダマスカス郊外県出身者に加え、ホムス県から激戦経験者が多数入っています。
 それに加え、今回のマッゼ攻撃を行った南部のダラアの部隊が北上してきました。ダラアの自由軍も、いまや歴戦の部隊です。この2大勢力に、各地から集合した諸派が加われば、首都包囲までは至らなくても、首都潜入はかなり容易になります。
 これに対し、政権軍は精鋭部隊の共和国防衛隊と第4機甲師団をダマスに呼び戻し、対抗しようとしています。両部隊が首都中枢を固めれば、戦力的には政府軍に敵いません。
 ただ、首都籠城戦になれば、いまや全国的に裾野が広がった自由軍は、地方での戦闘をかなり有利に進めることが可能になるでしょう。シリア軍はもともと、クーデター防止のために意図的に軍内格差策をとっていて、一般師団は共和国防衛隊・第4機甲師団よりかなり戦力的に脆弱で、しかも忠誠度も低い幹部人事になっています。
 ダマス攻防戦と同時に全土で自由軍が攻勢をかければ、政府軍基地のさらなる陥落と、それによる武装強化が期待できます。一般部隊からの離反も加速するでしょう。
 こうした展開を予想したうえで、今、SNSでも議論されているのは、アサド派がダマスを撤収し、北西部海岸地方のアラウィ派地域に立て篭もる可能性です。まるでカダフィ末期のようですが、これもまったくあり得ない話ではありません。

 そこでちょっと心配なのは、反体制派SNSの論調に、最近、アラウィ派批判が急速に拡散しつつあることです。反体制派の主流派はこれまで、アサド政権が宗派対立に持ち込もうとしたのに対抗し、アラウィ派批判を抑えてきました。それで実際、アラウィ派コミュニティへの直接攻撃の回避に成功してきていたのですが、スンニ派住民が子どもたちまで大量虐殺に遭ったことで、憎悪のエネルギーが急速に膨張しているように感じられます。
 自由軍によるアラウィ派民間人の虐殺などといった事態が発生したら、それこそイラク化になるので、革命軍はなんとか踏みとどまっていただきたいと切に願います。
  1. 2012/11/08(木) 13:22:32|
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シリア大統領府への攻撃

 先ほどの前エントリーで、映像の第一報を紹介しましたが、アサド政権の中枢であるダマスカスのマッぜ地区に対する攻撃について、詳細がわかってきました。現時点ではまだクロスチェックしていない未確認情報ですが、とりあえず速報します。
 攻撃した部隊は、ダラアを地盤とする自由シリア軍南部師団隷下のウス-デル・アル・イスラム(イスラムの獅子たち)旅団。迫撃砲を使ってマッゼ地区の3ヵ所を同時攻撃したとのこと。その3ヵ所とは、大統領宮殿、マッぜ軍事飛行場、ムハバラート(秘密警察)本部だそうです。
 他方、政府軍と治安部隊がマッぜ地区で大々的な家宅捜索と逮捕に乗り出したとの情報があります。自由軍はとっくに逃げていると思われますが、協力者がいるのかもしれません。
 あるいは、携帯で撮影してネットにアップしただけの人々が拘束されている可能性もあります。住民の動揺を抑えるための示威活動という面もありそうです。

 ところで、「自由シャーム・マッゼ」というフェイスブックのページに、くだらないコラージュ写真がアップされていて、思わず笑ってしまいました。大統領宮殿を攻撃されたアサド大統領が、現場からアルジャジーラでレポート!(もちろん嘘です)
1107sr6.jpg

(追記 23:06)
 攻撃場面の映像がさっそく公開されました。
▽自由シリア軍のマッゼ地区攻撃シーン
1107sr7.jpg
  1. 2012/11/07(水) 19:23:49|
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「情報戦」陰謀論の罠

 昨日のエントリーで紹介した某番組ですが、ゲストのジャーナリストの方が、シリア現地取材に基づいて「中産階級は安定を望むので、アサド支持だ」と報告されていました。正確には「秘密警察の監視下にあるエリアで、日本のテレビ局ということで住民に話を聞いたら、アサド支持コメントばかりだった」ですね。
 ロシアとイランの政府系メディアのレポートも同様ですし、英『インデペンデント』のロバート・フィスク記者が政府軍同行で取材した際の「住民虐殺は反体制派によるもの」コメントも同様です。要するに、典型的なバイアス情報ということです。
 他方、反体制派エリアを取材された世界中のジャーナリストたちのレポートでは「反体制派支持ばかり」です。これも反政府軍の支配下での取材ですから、バイアス情報といえます。
(ただし、秘密警察ががっちりマークする政府側エリアと違い、諸派入り乱れて厳格な統制が確立されていない反体制派側エリアで、記者たちが住民たちの本音を見抜けないとも思えませんが)

 では、シリア全国から発信されている地元発の映像はどうでしょうか?
 私は日常的にシリアから発信される映像をウォッチしていますが、現地の群衆の生映像は、以前も書きましたが、ほとんど反政府側です。かつては政権側が動員したアサド支持デモの映像もありましたが、もうそんな余裕がないのか、まったくなくなってきています。
 住民を動員するということは、それほど容易なことではありません。逆に言えば、反体制側もデモ強制などできないということで、全土で続く反政府デモは強制されたものではないことになります。
 現在、生死の狭間で暮らす人々が叫ぶ言葉は、すべてアサド政権に対する怒りといって過言ではありません。下は、昨日のダマスカスでの反政府デモです。今の状況で反政府デモに参加するのは、どれだけ危険なことかを考えれば、参加者たちの叫びを疑う余地はありません。
▽ダマスカス市内の夜間デモ
1107sr1.jpg
 11月6日。ダマスカス市内のルクネディン地区。

 上記番組ではさらに「ソ-シャル・メディアはアメリカの情報戦に使われていて、シリア政権側の情報はどんどん削除される」と解説していました。ネットが情報戦に使われているのは事実です。が、シリア政権側も情報発信の手段などいくらでもあります。実際、シリアやロシアのテレビ局レポートのコピーなどはいくらもユーチューブで見ることができますし、アサド支持サイトもいくつも存在します。「情報戦の存在」までは正しいですが、「政権側情報が発信できない」は間違いです。
 したがって、シリア国内からアサド支持の群衆の姿が発信されていないということは、そうした声が存在しないことを証明しています。
 これらの事実から、シリアの国民の大多数は反アサドであることがわかります。アルカイダばりの過激派グループであるヌスラ戦線のような存在もありますから、「必ずしも反政府軍がすべての住民の支持を得ているとはかぎらない」くらいまでは、まあ許容範囲ですが、「住民はアサド支持」などというのは情報分析として落第です。

 誰にも間違いはありますから、誤分析が報道されることも、ある程度はしかたないことですが、シリアの現実は下リンクの通りです。
▽砲撃の直後(※残虐シーン注意)
1107sr2.jpg
 11月6日。カフルバトナ

 この状況で大量殺人の首謀者であるアサド大統領を支持する立場に立つということは、「人道に対する犯罪」に加担することになることを自覚していただきたいものです。

 その他、新たな注目映像を紹介します。
▽撤退する政府軍戦車と撃たれた兵士
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 11月5日。アレッポ。自由シリア軍の攻撃で撤退する政府軍の戦車たち。並走する歩兵が撃たれています。

▽反政府軍に制圧された空軍基地
1107sr4.jpg
 11月5日。アル・ゴータ・アッシャルキーエ。自由シリア軍に制圧された空軍基地の映像です。

 と、ここまで書いて、新たな映像が入りました。
▽攻撃を受ける大統領宮殿エリア
1107sr5.jpg
 他にも写真多数がネットに続々とアップされてきています。
 大統領宮殿と政府庁舎が攻撃を受けています。ウス-デル・アル・イスラム(イスラムの獅子たち)旅団の作戦とのことです。
 いよいよ本丸に迫ってきました。
  1. 2012/11/07(水) 15:20:23|
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空爆の瞬間&逃げ惑う住民

 こちらは戦闘機による空爆の瞬間
▽空爆シーン
1106SR02.jpg
 11月6日。アルビン。

 他方、下は別の町ですが、政府軍の攻撃が迫り、逃げ惑う人々の姿です。国家によるとんでもない暴力のなかで生きる暮らしとはどういうものか……こちらはとくに残虐なシーンはありませんので、ぜひ多くの方に見ていただきたい映像です。
▽政府軍の攻撃を受ける町の住人たち
1106SR03.jpg
 11月6日、ホウラ(ホムス)。
 こうしたシーンに対し、反米陰謀論陣営では「反政府軍のテロリストが悪い」とのトンデモ論法を持ち出しますが(本日も、とあるCSの番組で陰謀論が堂々と力説されていて、思わず脱力してしまいました)、映像を見れば明らかですが、普通のおばさんや少女たちは誰もそんなこと言ってません。大量殺人犯であるバシャールに対する憎悪の声しか聞こえませんね。
 こうした現地の人々の言葉こそ、もっとも事実を伝えるものでしょう。言葉がわからない方でも、その怒りと戸惑いは充分に伝わると思います。心の耳で、彼らの叫びを感じていただきたいと切に思います。

(追記)
 先週土曜日のエントリー「内戦か虐殺か・その2」でカフランベルのデモの写真を紹介しましたが、この町のデモを仕切っているおばあさんの紹介映像。
▽カフランベルの70代女性活動家(アルジャジーラ)
1106sr04.jpg
 家族は政府軍に殺害されるか、国外に逃げるかして、たったひとり残っているそうです。こんな年齢でも、バシャール打倒の立派な闘士として頑張っています。
  1. 2012/11/06(火) 20:08:39|
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戦車が戦車を砲撃

▽戦車が戦車を破壊
(※上リンクがエラーになっていましたので、修正しました。失礼いたしました)
1106sr01.jpg
 11月5日。アレッポ戦線。自由シリア軍が奪取した戦車が、別の戦車を至近距離で砲撃して破壊しました。一方的な砲撃なので、ちょっとこれだけでは事情がよくわかりませんが、いずれにせよ自由軍が戦車を使いこなしていることはたしかですね。
 前エントリーでも自由シリア軍側の戦車の映像を紹介しましたが、もう複数の町で自由軍が戦車を確保したものと思われます。
 他にも、新たにまたヘリを撃墜したとの情報もあります(まだ映像が入ってませんが)。
 自由シリア軍が各地で政府軍の基地を襲撃してどんどん武器を奪取し、軍事力が大幅に増強されてきています。航空戦力以外では、もうかなり自由軍優勢に動きつつあるようです。
 まったくのゼロから、よくぞ自力でここまで来たものです。
  1. 2012/11/06(火) 18:24:11|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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