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食品の賞味期限、本当はもっと長い? 科学的再検証で見直すメーカーも

産経新聞 11月9日(金)13時2分配信

食品の賞味期限、本当はもっと長い? 科学的再検証で見直すメーカーも
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科学的に再検証し、賞味期限を見直したCGCのPB商品。手前のパック詰めご飯は8カ月から10カ月に延びた。従来より長期間備蓄できると好評だ(写真:産経新聞)

 食品がいつまでおいしく食べられるかの目安を示す賞味期限。期限は食べられないことを示す線引きではないが、期限が過ぎたら食べずに捨ててしまう人は多いのではないだろうか。メーカーの販売戦略などから必要以上に短く設定されている賞味期限もあるといい、味や安全面で問題がないのに捨てられる「食品ロス」の一因ともなっている。世界的に食品ロスの削減が求められる中、メーカーなどから賞味期限を見直す動きが出てきている。(平沢裕子)

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 ◆技術進歩に対応

 賞味期限は主に食品を加工したメーカーか販売業者が決める。期限は通常、大腸菌など細菌数を調べる「微生物試験」、粘りや比重などを測定する「理化学試験」、実際に食べたりにおいをかいだりして食品の状態をチェックする「官能試験」を実施。結果を基に、実際の3分の2程度の長さに期限を設定する。

 食品メーカーによると、新商品ごとに試験を行うわけではなく、従来品で設定された期限を基に販売上のメリットなども考慮して決めることが多いという。

 中堅・中小食品スーパーマーケットが加盟し、プライベートブランド(PB)商品の開発と加盟店への供給を行うシジシージャパン(CGC、東京都新宿区)は、数年前からPB商品の賞味期限の見直しを進めている。これまで見直したのは、パック詰めご飯や餅、水、乾燥スープなど、主に防災用の備蓄在庫としても利用される食品だ。

 見直しの結果、パック詰めご飯が8カ月から10カ月、水が24カ月から36カ月と1・2〜1・5倍の長さとなった。水の場合、品質は問題ないが、長期になるとわずかながら蒸発し、容量が減るため、この期間とした。

 管理本部品質保証チームリーダーの岩井弘光さんは「包装資材の進歩や加工工場の衛生環境向上によって、食品を安全においしく食べられる期限は確実に延びているはず。しかし、賞味期限は以前と変わらないものが多い。環境への影響を考え、商品を大事にしようということからメーカーの協力を得て科学的に再検証し、適切な期間とした」と説明する。

 ◆「目安」と理解を

 CGCのPB商品にもなっている越後製菓(新潟県長岡市)の切り餅「生(なま)一番」は昭和58年から発売している人気商品だが、平成22年のシーズン(9月〜翌年8月)まで、賞味期限を12カ月にしていた。昨シーズン、切り餅1個ずつの個包装の袋に脱酸素剤を入れ、大袋だけでなく個々の包装袋にも賞味期限を印字するなど商品のリニューアルに伴い、18カ月に延長した。

 営業統括部の山谷(やまたに)浩隆課長は「餅の大敵はカビ。もともと保存食でもあり、従来品でも実際は2年は大丈夫といえる。しかし、リニューアルでこれまで以上の厳しいチェック体制にしたことで賞味期限を見直した」。昨シーズンの18カ月でもまだ余裕のある期限だったことから、今シーズンはさらに6カ月延ばし、24カ月とした。

 農林水産省によると、日本の食品ロスは年間500万〜800万トン。食品ロス削減には消費者も賞味期限は「おいしく食べられる目安」と理解し、必要以上に買い過ぎない、料理を作り過ぎないなど生活を見直すことも必要だろう。

 【用語解説】食品の期限表示

 「消費期限」と「賞味期限」の2種類ある。消費期限は肉や弁当、総菜、サラダなど傷みやすい食品が対象で、期限が過ぎたら「安全ではない」ことを示す。賞味期限は牛乳や卵、ハム、缶詰、スナック菓子、冷凍食品など比較的傷みにくい食品が対象で、その日付までならおいしく食べられることを意味する。ただ、消費期限と同様に賞味期限も日付が過ぎたら安全でないと考える人が多く、「米国のような『ベストビフォー(おいしく食べられる目安期限)』などの表現にすべきだ」との声もある。

最終更新:11月9日(金)22時18分

産経新聞

 

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