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保管の汚泥 半分は基準値以下
11月8日 19時27分

保管の汚泥 半分は基準値以下
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原発事故のあと、福島県内で、処分できずに施設などに保管されたままになっている汚泥や焼却灰13万トンのうちおよそ半分の7万トンは放射性物質の数値が国の基準を下回り本来なら一般のごみとして処分できるものであることが分かりました。

原発事故のあと、家庭で出るごみの焼却灰や下水処理に伴う汚泥について、▽放射性セシウムの数値が1キロ当たり8000ベクレルを超えるものは「指定廃棄物」として国が最終処分場などに運んで処分する一方、▽8000ベクレル以下は一般のごみとして各自治体が埋め立てなどの処分を行うことになりました。
福島県内では、現在、およそ13万3000トンの汚泥と焼却灰が処理できずに施設などで保管されたままになっていますが、NHKが調べた結果、このうち、半分のおよそ7万トンは放射性セシウムの数値が国の基準を下回り、本来なら一般のごみとして処分できるものであることがわかりました。処分していない理由について、自治体の多くは、住民から不安を訴える声が出ていることを挙げています。
このうち、郡山市の下水処理施設では、汚泥を処分場に運ばず、1トンずつ袋に入れて施設内で保管していてすでに8000個以上にたまり、スペースが足りずに新たな保管場所の造成工事を行う事態になっています。
環境省福島環境再生事務所の除染推進チームの馬場康弘次長は「基準値以下の汚泥や焼却灰が行き場を失っているのは事実だが、法律上は自治体が処分する仕組みになっている。国としても住民などに安全性について説明を行い、自治体が抱える廃棄物がなくなるようできるかぎり支援したい」と話しています。

施設側“再利用できるのに保管は残念”

福島県郡山市の下水処理施設の敷地内には国の基準以下の汚泥が7000トン余り袋に入れた状態で保管されています。
その数は8000個を超え、1日に100個のペースで増え続けています。
このままでは来年春にはスペースがなくなることから、現在、新たな保管場所の造成工事が進められています。
これまで汚泥は埋め立ての処分のほか、セメントや肥料の原料としても再利用されていましたが、放射性物質の影響を懸念してどの業者も引き取りを控えているということです。
施設を管理する県中流域下水道建設事務所の柳沼利行所長は「セメントの原料としても再利用できるものが保管しなければならず残念だ。このままたまり続けると保管場所を確保し続けなければならない。放射線量がどの程度低ければ安心してもらえるのか環境省と対策を相談したい」と話しています。施設の近くに住む80歳の男性は「放射性物質は目に見えずどこから飛んでくるかも分からないから不安です。汚泥は臭いもひどく、早急に撤去してもらいたい」と話しています。

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