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除染 土の保管場所や国の支援に不安が
11月9日 18時55分

除染 土の保管場所や国の支援に不安が
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原発事故を受けて広がった放射性物質を取り除く除染の方針を政府が閣議決定してからまもなく1年になりますが、国の費用負担で除染を行う東北や関東地方の90余りの市町村のうち、多くの自治体で、除染で出た土などの保管場所の確保や国の支援に不安を感じていることがNHKの取材で分かりました。

政府が除染の方針を閣議決定してから11日で1年になるのを前に、NHKでは、先月から今月にかけて国の費用負担で除染を行う「汚染状況重点調査地域」に指定された岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉にある104の市町村を取材しました。
その結果、10の市町村では、放射線量の低下を理由に現時点で除染計画の策定を見送っていたり除染をしなかったりする方針で、除染をすでに始めている76の市町村を含めて除染を行う自治体は94ありました。
94の市町村に対して除染作業の進捗(しんちょく)状況について尋ねたところ、61%が「計画どおりに進んでいる」と回答しましたが、38%は「計画に遅れが出ている」または「今後、遅れが出そうだ」と回答しました。
そのうえで、除染作業を進めるうえで今後の課題や懸念材料について複数回答で尋ねたところ、94%で除染で出た土の保管場所の確保が難しいなどと回答し、68%が除染作業に対する国の補助制度で、どの範囲まで自治体が負担した費用の手当てがされるか分からないと回答しました。
このうち除染で出た土などを保管したり、保管を予定していたりする場所については、地域ごとに一時的に保管する仮置き場と回答したのが22%、除染現場の住宅や公共施設などの敷地内が40%、仮置き場と敷地内保管の併用が36%でした。
また、仮置き場の設置を巡って周辺の住民の理解が得られず、難航していることなどを理由に38%が当初予定していた保管方法を変更していました。
さらに除染で出た土などの最終処分の方法については、福島県を除く7県のすべての市町村でめどが立っていないと回答し、福島県では国が県外に最終処分場を確保する方針ですがまだ決まっていません。
一方、除染作業に対する国の補助制度の内容について、「満足している」と答えたのは1%にとどまり、「満足していない」と回答したのは69%に上っていました。「満足していない」と回答した自治体に理由を複数回答で尋ねたところ、「補助される作業の範囲が小さい」が86%、「国が補助の対象にしている除染方法は効果が低い」が49%でした。
政府が除染の方針を閣議決定してから11日で1年になりますが、各市町村にとって、住民の安全を確保するために必要な除染に依然として課題が山積していることが改めて浮き彫りになりました。
これについて、環境省は「本来は国が主体となって保管場所などを整備すべきで、ご迷惑をおかけしていることを重く受け止めている。補助についても今月、除染を加速化させる新たな対策を打ち出したが、各自治体からの要望にもできるだけ応えられるような仕組みにしていきたい」としています。

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