taronの日記

<< 2011/08 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
 | 

2011-08-09

[]今谷明『籤引き将軍 足利義教

籤引き将軍足利義教 (講談社選書メチエ)

籤引き将軍足利義教 (講談社選書メチエ)

 題名にひかれて以前から気になっていた本。このたび講談社選書メチエ攻略作戦の一環として読了。個別の史実などディテールは興味深いが、先に清水克行『日本神判史』asin:4121020588を読んだ後では、分析に関しては微妙な感じが。

 第一章は前将軍の義持の死と籤引きでの将軍選出の経緯。傷口の化膿から、急激に健康が悪化していく将軍とその後継者選定をめぐる混乱。義持の実子は先に死んでいて、兄弟は全員出家している状況。誰が器量が優れているか見極められず、幕府の家臣団の支持がなければ地位を全うできないからと、家臣たちの衆議によって決めるようにと、後継者の指名を拒否する将軍。重要な決定を投げられて困惑する家臣団。これといった有力候補のいないため、最終的に抽選で選ぶことが決まり、それが実施される。さまざまな日記類を中心に、巧みに再構成されている。

 第二章は、それ以前、平安時代後期の皇位継承の際に行われた卜占の歴史。堀川天皇の譲位、源平合戦の際の安徳天皇と神器が持ちだされたときに行われた卜占、後鳥羽天皇の譲位の際の卜占。つづいて、承久の乱後、四条天皇の夭折とその後継者の選定をめぐって、北条泰時が行った抽籤。あとは六壬式占と亀の甲羅を使った亀卜の解説。それぞれ何度も繰り返されているあたりに、あまり信用されていなかったというか、都合のよい結論を正当化するための権威づけといった性格があること。また、皇位継承に卜占を乱用することにたいする批判。卜占から抽籤への移行などが指摘される。

 第三章は、世界各地の神判や式盤の解説。日本において古代の盟神探湯が消滅した後、1000年後に湯起請が復活するという「謎」の指摘。

 第四章は、義教治世の展開。義教治世の初期の宮廷や関東公方との対立、裁判に湯起請を多用する状況とそれの背景となるイデオロギー、万人恐怖と義教治世の終焉。正直、『日本神判史』で提示された、君主による専制確立の道具としての神判、紛争解決と合意形成のための神判といったビジョンを提示された後に、これを読むと、むしろ物足りない。義教が癇癪持ちというか、付き合いにくい性格の御仁だったのは確かなのだろうけど。

 「神は人間救済の目的で降臨しているのであるとする、神観念についての新しい考え方(p.203)」という指摘や蒙古襲来後の神仏の権威の上昇などの指摘は興味深いが、政治的な交渉の手段としての神判、あるいは特定の決定の理由としての「神意」の力というところをえぐり出す所まで行っていないというか、このあたりのイデオロギー的な力の分析と政治過程の分析があまりきっちり結合していない感じがする。


 さて、六壬式占の復元の問題であるが、卜占の学問的研究が遅れていた背景について、西岡氏は次のように学界における非科学的なものへの軽視を指摘される。


従来、卜占の研究は、好事家的な趣味の領域として扱われてきた。その大きな理由は、一つには前近代における卜占の社会的な位置づけに対する軽視があり、二つには煩雑な手続をとる六壬占を解明することが、技術的に難しかったことに求められよう。


しかし、化学的思考が登場する以前の社会において、卜占は、人間社会と自然・宇宙をつなぐ有力な技術として尊重され、社会の多様な側面で重要な役割を果たしていたのであり、さまざまな困難を克服して解明しなければならない領域は広い。p.78-9

 孫引きになるがメモ。実際のところ、技術的に難しいというのは結構な壁なのではないかと思う。

[]熊本大学長「児童ポルノの画像は児童性愛者の心にスイッチを入れてしまう」

 学者のくせに、知らないことをいい加減に話すことを恥と思わないのだな。県ユニセフ協会の会長なのかよ。つーか、こんなことに使う金があったら、ソマリアに送りなさい。

会いたい聞きたい:児童ポルノ根絶を目指す、谷口功・熊大学長 /熊本


ユニセフ協会が以前からこの問題に熱心だったのと、県警の中尾克彦本部長が警察庁時代から専門的に取り組んでいたのがきっかけです。児童ポルノ根絶のために何をすべきか。熊本から全国へ、世界へ発信したい。

 語るに落ちているな。県警の本部長の点数稼ぎかよ。実際の性暴力のほとんどが、ごく近しい人間関係のなかで起きていることを考えると、福祉の方が重要な担当者になるはずなのだがな。警察ができることはごく限られている。しかし、講演者も片や法医学者で、もう一人も防犯を飯の種の一つにしているから、完全に警察人脈だな。


児童ポルノが関係する犯罪の検挙は、4〜5年前まで全国で年間500〜600件でした。ところが昨年は1342件。県内もご多分に漏れず、数年前まで年間1件程度だったのが昨年は26件に急増しました。昨今、子どもがいたずら目的で連れ去られたりする事件が相次いでいますが、背景には児童ポルノの増加があるとみられます。県警の分析では、これらの画像は児童性愛者の心にスイッチを入れてしまう。子供を狙う犯罪の引き金になるのです。

 息をするように嘘をつく。

 児童ポルノ関連の検挙数に関しては、警察の取り組みの問題。恣意的に統計データを切り取って、誤導しようとしている。あと、子どもの連れ去りと児童ポルノの関連も、全然裏づけがないわな。ここまでいい加減なことをよく口に出せるな。

[][][]「狙われる子どもたち 上中下」『熊日新聞』11/8/6-8

 熊日で、今回のシンポジウムに協賛して、こんな連載をやっていた。しかしまあ、呆れるくらい、いい加減。大本営発表を引きうつしただけだな。


「狙われる子どもたち 上:ネット流出 買春、性犯罪・・・“悪の連鎖”も」

 インターネットを中心に、児童ポルノの広がりが国際的に社会問題となっている。今年1-6月、全国で摘発された児童ポルノ事件は649件。熊本でも、過去最多だった昨年を上回る8件、10人が摘発された。10日には、県ユニセフ協会が行政や教委、各種機関など約80団体に呼び掛けてつくった実行委員会主催で、児童ポルノの根絶をテーマにした「子どもの命と権利を守るシンポジウム」(日本ユニセフ協会・熊日共催)が熊本市の県立劇場で開かれる。子どもたちをいかに守るべきか−。現状と対策を熊本から探った。


 「オリ画を撮って、自慢したかった」。小学1年の女児の裸の画像を関東地方の男にパソコンで送ったとして、児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで県警に逮捕された八代市の男(32)は、捜査員にこう説明したという。

 オリ画とは、自分しか持たない「オリジナル画像」の略。送った相手は、男がインターネットのサイトで知り合った、自分と同じく女児に性的な興味を持つ“仲間”だ。

 「出回っていない画像を投稿することでサイトが盛り上がる。過激であるほど、仲間の称賛を受ける」。男は無理やり女児の写真を撮り、体を触ったとして、強制わいせつの罪にも問われている。

 児童ポルノとは、18歳未満の少女の裸や性行為を写した画像や動画などを指す。「押収した画像は、性的虐待に近いものもある。大人の身勝手過ぎる欲望のために、子どもたちが狙われている」。捜査員はため息をつく。

 県警が昨年、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で摘発したのは26件。前年のおよそ5倍に増えた。中には、父親が自分の娘を撮影したケースもあった。

 子どもたちに近付く手口も巧妙化している。以前のように「出会い系」ではなく、一般のネットゲームのサイトなどで、メールアドレスを入手するケースが目立つという。

 サイトで交流するうちに、「お金をあげるから」などと画像の提供を要求される。一度応じてしまうと、「暴力団だ」 「家族にばらすぞ」と脅され、要求をエスカレートさせることが少なくない。

 「ネットに流出した女児の画像をみて、児童買春や性犯罪に走る者もいる」と県警少年課。一つの事件が新たな事件を生み、断ち難い“悪の連鎖”をつくり出すのが、児童ポルノ事件の最も恐ろしい点でもある。

 昨年、県内の被害者は高校生11人、中学生5人、小学生1人。「知り合いに画像を送られ、パニックになった子もいる。長期にわたり支援が必要なケースもある」と、臨床心理士として被害児童をサポートする県警少年課の布田明子さん(39)。

 幼児期の被害者は、自分がどんな目に遭ったのか理解できず、「大人になって、精神的ショックを受ける可能性もある。周囲がしっかりサポートする必要がある」という。いったん、ネットに流出した画像を回収することや、消すことは極めて難しい。「不安がずっと続くこともある」。布田さんは、児童の心情を代弁する。(高橋俊啓)

f:id:taron:20110810001007j:image


「狙われる子どもたち 中:共有ソフト 進む潜在化取り締まり強化」

 「無修正」「8歳」―。6月、県警の捜査員がファイル共有ソフトのサイバーパトロール中に児童ポルノを疑わせる題名のファイルを発見した。中身は、女児がわいせつ行為を受けている動画。すぐに捜査し、県警は7月中旬、児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列目的所持)容疑で広島市の男(24)を逮捕した。

 日本でも大手プロバイダーが4月から、児童ポルノサイトヘのアクセスを強制的に遮断する「ブロッキング」を開始した。このため、犯行の舞台はインターネットサイトから共有ソフトなどへと潜在化しつつある。

 「共有ソフト」は個人のパソコン同士でデータを送受信できるため、ブロッキングを免れられる。熊本をはじめ、全国の警察は取り締まりを強化。警察庁によると、1-6月に摘発した全国の児童ポルノ事件のうち、共有ソフトを利用したものが前年同期比127・4%増の141件と急増している。

 警察庁は2009年、児童ポルノの根絶に向けた重点プログラムを策定。サイバーパトロールや愛好家グループの摘発を強化する方針を打ち出した。1-6月に摘発した全国の児童ポルノ事件は前年同期比9・1%増の649件で、統計を取り始めた2000年以降で最多となった。

 多くの事件で端緒になるのが、サイバーパトロ−ル。捜査員らは、女子中学生を表す「JC」など隠語も含めて児童ポルノにつながる言葉をネット上や共有ソフト内で検索、一つ一つチェックしていく。パトロールは、通常の勤務時間外にも及ぶ。深夜や休日に利用する愛好者は多く、すぐにデータを消す場合もあるためだ。発見後はプロバイダーの協力などを得ながら、発信源をたどっていく。

 ただ、「個人メールでのやりとりやネットカフェを利用するなど、日に日に巧妙化し、捜査は簡単ではない」と県警少年課。

 一方、被害の入り口になりやすいのが携帯電話。最近は、ゲームなどができる交流サイトを介して被害に遭うケースが多いという。

 県警少年課は、有害サイトヘのアクセスを制限する「フィルタリング」の徹底や、子どもの携帯電話の利用に注意するよう、保護者に呼び掛ける。だが、交流サイトはフィルタリングの対象外であるケースも多く、監視の目は届きにくいのが実情だ。

 児童ポルノ事件で児童の年齢を鑑定している九州大の池田典昭教授(法医学)は「単に画像を見るところから性癖はエスカレートする。児童ポルノ防止のためには、法規制や取り締まりの強化が欠かせない」と指摘する。(内田裕之)

f:id:taron:20110810001008j:image


「狙われる子どもたち 下:規制強化 地方先行 単純所持にも罰則」

 「小さな女の子に興味があった。触ってみたかった」

 3月3日夜、熊本市のスーパーのトイレで3歳の女児を殺害し、水路に遺棄したとして、殺人と死体遺棄の疑いで逮捕された元大学生の男(20)=同市、鑑定留置中=は、県警にこう供述した。

 県警は、男の携帯電話に保存された別の少女のわいせつな画像やイラストを発見、自宅からはインターネットの専用サイトで購入したとみられる少女を描いたわいせつな漫画を複数押収した。「こんな写真や漫画が新たな犯罪を誘発するんだ」と捜査員は憤る。

 1999年に施行された児童買春・ポルノ禁止法では、児童ポルノを提供目的で所持することは禁じられているが、所持すること自体は違法ではない。だが単純所持が禁止されていないのは、G8先進国の中で、日本とロシアだけだ。

 国会でも「単純所持」について何らかの形で規制しようとの動きが出てきた中、国より地方が規制へ先行する形で動いている。奈良県では05年、13歳未満のポルノ所持に罰則を設けた条例を制定。京都府は本年度、「児童ポルノは児童の性的虐待の記録である」として、所持することを禁止し、府が廃棄命令を出すことができる条例を制定する方針を打ち出した。

 東京都は昨年、漫画やアニメなどで18歳未満を対象にする登場人物の性描写を規制対象にする条例案を都議会に提出した。だが、「自由な創作活動が制限されかねない」と漫画家や出版業界は猛反発。結局、「作品の芸術性、社会性などの趣旨をくみ取り、慎重に運用する」との付帯決議付きで可決した。

 児童ポルノの規制に反対する学識者らの中には「現状は定義があいまいで、拡大解釈して適用される恐れがある」との指摘もある。東京都の山口貴士弁護士は「捜査権の乱用や、冤罪のリスクを甘受してまでも、単純所持を処罰するだけの立法事実は存在せず、現行法による対応で十分だ」と主張する。

 一方、子どもの防犯対策に詳しい危機管理教育研究所(横浜市)の国崎信江代表は「アニメや漫画も含め、規制は絶対に必要」との立場だ。「幼い子どもが男性に触られ喜ぶなどと、誤ったストーリーで刺激し、犯罪を増やしているのは間違いない」と言い切る。

 児童ポルノがネット上にあふれる現実。狙われる子どもたちをどう守ればいいのか。国崎さんは「例えば日本では海岸の車の脇で幼児を無防備に着替えさせる人も多いが、盗撮されるかもしれない。児童ポルノの危険性を認識し、保護者、子どもたちが犯罪に巻き込まれないよう意識を変えていくことが重要だ」と強調する。(岩下勉)

 ※児童ポルノの根絶をテーマにした「子どもの命と権利を守るシンポジウム」は10日午後1時半から、熊本市の県立劇場で。入場無料。

f:id:taron:20110810001006j:image


 第一回目の連載の事例でもそうだが、メディアが犯罪を促進するというより、コミュニティが犯罪を促進すると考えるべきだと思う。そういう点では、その手の性癖の人間が集まるコミュニティーを監視するのは有効な対策なのだろうな。リンチ殺人事件なんかでもそうだけど、仲間内で煽りあって、エスカレートするというのはよくあるパターンだな。

 しかし、コメントしているのが池田典昭、国崎信江とコメンテーターなのがマッチポンプで笑える。とくに国崎のコメントが酷い。

 「ネットに流出した女児の画像をみて、児童買春や性犯罪に走る者もいる」とか、「『こんな写真や漫画が新たな犯罪を誘発するんだ』と捜査員は憤る」とか、あからさまな誘導だな。あと、「児童ポルノ犯罪の急増」なんかも、あからさまな誘導。

 |