トヨタの新車、韓国人デザイナーが担当

 韓国トヨタは1日、ソウル市内のホテルで新車「ベンザ」を発表した。セダンとスポーツタイプ多目的車(SUV)の特性を生かしたクロスオーバー車で、強烈な外観を強調しており、トヨタのデザインの変化をうかがわせた。

 ベンザの外観のデザインを担当した主役はトヨタの米国にあるデザインスタジオに勤務するチーフデザイナー、イ・ジョンウさん(45)だ。韓国人がベンザをデザインしたという点を強調するため、デザインの説明はイさんが担当した。

 自動車デザインの華は外観デザイナーであり、ベンザのような中型主力モデルのデザインは最も重要だ。主力モデルのデザインを担当できたことは、自動車デザイナーとして最高の実力を認められたことを意味する。

 イさんは韓国で高校を卒業後、20歳の時に米国カリフォルニア州のデザインスクールのアートセンター輸送デザイン科に進学した。卒業後は米国ゼネラルモーターズ(GM)に7年間勤め、未来のトレンドをつくり出す先行デザインチーム、サターン、ハマーのデザインチームで実力を認められた。トヨタにスカウトされてから今年で8年目になる。トヨタではミニバン「シエナ」のスポーツモデルに続き、来年米国で発売される大型ピックアップトラック「タンドラ」の新型モデルの外観を担当した。イさんは「米国トヨタで働いているデザイナー20人余りのうち7人が韓国人だ」と話した。

 イさんは「車の外観が攻撃的に見えるように努力した。以前のモデルは米国の定年退職者を主なターゲットにしたが、新デザインはアウトドア活動を楽しみながら、スタイルにも関心の高い30-40代向けに切り替えた。週末にはレジャー用に使い、平日に職場や高級ホテルに駐車する際にもよく似合う車を目指した」と説明した。

 イさんがデザインしたベンザは、最近のトヨタの変化ぶりを代弁している。トヨタの開発プロセスは以前はエンジニア中心だったが、今はデザイナーが十分に意向を反映できるように、全ての部署が支援する体制に変わった。トヨタ社内では、環境に優しい技術、品質、生産性などを強調し過ぎた余り、自動車本来の魅力がどれほど重要かを忘れていたとの反省の声が出た。現代・起亜自動車の果敢なデザインに押されるという危機感も広がっていた。

 変化の中心には、昨年就任した福市得雄・本社デザイン本部長がいるという。イさんは「福市本部長は若いデザイナーにも認められる実力者で、自ら先にデザイン方向を明確に示し、その方向性を実現するデザイナーを確実に支持するカリスマがある」と評した。

 イさんがデザインしたベンザの韓国向けモデルは、四輪駆動がオプションになっている、セダンに比べ座席の位置が高く、視野が広いのが特徴だ。排気量2700cc、3500ccのガソリンモデルが発売され、価格は4700万ウォン(約345万円)からとなる。

崔元碩(チェ・ウォンソク)記者
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