朝日新聞デジタル トップへ

「顔のこぶ 神様の贈り物」 差別・偏見語る

[文]矢島大輔  [掲載]2012年11月06日

藤井輝明さん(右)の顔のこぶをさわる児童たち。「プリンかな」「マシュマロみたい」「いや、ゼリーだよ」=国分寺市立第三小学校 拡大画像を見る
藤井輝明さん(右)の顔のこぶをさわる児童たち。「プリンかな」「マシュマロみたい」「いや、ゼリーだよ」=国分寺市立第三小学校

表紙画像 著者:藤井輝明、亀澤裕也  出版社:金の星社 価格:¥ 1,365

 病気で顔に大きなこぶができ、いじめられた経験から差別や偏見をなくす講演を続ける東京都国立市の医学博士藤井輝明さん(55)が、国分寺市立第三小学校を訪れて講演した。「顔のこぶは世界で唯一の個性。いろんな人との出会いをもたらしてくれた神様からの贈り物だった」と半生を語った。
 「触ってごらん。どんな感触がする?」。6年生と保護者が対象の講演の合間、藤井さんを囲んだ子どもたちから、さまざまな感想が上がった。「プリンかな」「マシュマロみたい」「いや、ゼリーだよ」
 藤井さんは2歳の頃、顔の血管が膨らむ海綿状血管腫を発症。小学校に入ると、「ばけもの」とあだ名され、うつらないのに「近寄るな」といじめにあった。
 そうした経験から「学校で正しい知識を身につけることが大事」「厄介なのが人間が持つ優越感。社会に活力を生んでいる面があり、いじめの原因でも完全になくせない」と話した。
 乗り越えられたのは、両親が「永遠におまえの味方だ」と言い続けてくれたから。ひきこもりがちだった藤井さんを外に連れ出し、バイオリンや水泳などを一緒に習い、100件近く病院を訪ね歩いてくれた。そのことが「自尊心、自己肯定感を高めてくれた」。救貧活動に生涯をささげたマザー・テレサの言葉を引用し、こう説明した。
 「この世の最大の不幸は、貧しさや病ではない。自分が見捨てられた存在だと感じること」
 藤井さんは「てるちゃんのかお」(金の星社)など、多くの著書や写真集を出版し、これまで全国約1500校で講演会を開いてきた。「嫌われてからが物事の始まり。粘りに粘って、コツコツ前向きに努力することが大事」と訴えた。

この記事に関する関連書籍

てるちゃんのかお

著者:藤井輝明、亀澤裕也/ 出版社:金の星社/ 価格:¥1,365/ 発売時期: 2011年07月

☆☆☆☆☆ マイ本棚登録(0 レビュー(0 書評・記事 (1


ニュース バックナンバー

この記事に関する関連記事

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。



Facebookアカウントでコメントする

ページトップへ戻る

ブック・アサヒ・コム サイトマップ