駅のホームドア:車両を検知、ピタリ開閉…神鋼・東大試作
毎日新聞 2012年11月08日 21時30分(最終更新 11月08日 21時54分)
神戸製鋼所と東京大学は8日、扉と戸袋が動くことで、あらゆる鉄道車両のドア位置に対応できる乗降位置可変型のホームドア「どこでも柵」の試作機を、千葉市の同大学生産技術研究所千葉実験所で公開した。09年度から共同研究・開発してきたシステムで、13年度の商品化を目指している。
視覚障害者などの駅ホームからの転落死亡事故の多発を受け、国土交通省は1日当たりの利用者が10万人以上の駅で優先的にホームドアの設置を進める方針を打ち出している。しかし首都圏の主要駅では、扉の数や位置、車両の長さが違う複数種類の車両が運行されているケースが多い。ホームドアの扉を収容する戸袋が固定される従来タイプでは対応できず、普及が進んでいないのが現実だった。
このため神鋼と東大は、「扉」と「戸袋」で構成する一つ一つのユニットが、自動で車両タイプを検知して個別にホーム上で動くことで、車両のドア位置に対応するシステムの開発に着手した。11年度からは国交省の補助金も得て、試作機で80万回の耐久試験を実施、基本性能を確認した。今後、鉄道会社と協力して鉄道駅での実地試験も予定している。
1ユニット当たり100万〜200万円程度の固定型に比べ価格は高くなりそうだが、可変型を導入すれば鉄道会社は運行車両の統一や改造などを行う必要はなく、同社は「固定型よりトータルの投資額を抑えることができる」と説明している。【三島健二】