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漫画家の手塚治虫さん(1928~89年)が終戦直後の10代後半に描いた未発表作品が、2日までに見つかった。手塚さんから譲り受けた中学時代の同級生が60年以上保管していた。今春、東京都内の古書店に出品されたのを手塚プロダクションが入手し、手塚さんの作品と確認した。
作品は、戦争が終わり漫画を描ける自由を手にした解放感にあふれている。闇市や食糧不足など当時の社会問題を題材に風刺も効かせている。手塚プロは「存在すら知らなかった。デビュー直前に描いた可能性もあり、漫画史的に極めて貴重な資料だ」としている。
見つかったのは、ペンによる直筆で全19ページのモノクロ作品。タイトルはなく、二つ折りで製本するためにB4サイズの紙の裏表に描かれている。
主人公のオーソレミオ教授が闇市に出かけ、食糧不足を解決しようと教授会を開くがらちが明かず、物語はとんちんかんな方向に展開していく。
手塚プロによると、闇市やデモ隊などの描写から、45(昭和20)年か46年の作とみられる。漫画のタッチや文字の書体、ストーリーやギャグの運び方に手塚さんらしい特徴がよく出ており、後の手塚作品でおなじみのキャラクター「ヒゲオヤジ」が露店でまんじゅうを売るシーンも。
手塚さんは当時、大阪大付属医学専門部の学生だった。デビュー作「マアチャンの日記帳」を発表する前後で、医師になるか漫画家になるか迷い、発表のあてもなく習作に取り組んだ時代に当たる。
手塚プロ資料室長の森晴路さんは「非常に驚いている。手塚がまだ10代だったころの試行錯誤が見えて興味深い。近い将来ファンに公表したい」と話している。
3日は手塚さんの誕生日で、生誕84年。
◆手塚治虫 1928年11月3日大阪府生まれ。46年にデビュー。大胆な場面転換や物語のスリリングな展開など、映画や演劇を手本にした新しい創作方法を編み出しストーリー漫画の手法を確立し、「漫画の神様」と呼ばれた。89年に胃がんのため60歳で死去。代表作に「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブラック・ジャック」など。
漫画家やなせたかしさん「既に米国コミックの影響が見られる一方で、古い日本漫画の描き方も残っている。混乱期のごちゃごちゃした感じが面白い。天才・手塚治虫の模索時代ですね。石ノ森章太郎や浦沢直樹の10代のころの絵に比べると非常に拙いが、手塚君には「手塚治虫」というお手本がなかったのだからしょうがない」
漫画コラムニスト夏目房之介さん「戦時中の「明日死ぬかもしれない」という絶望が歓喜に変わった時の、手塚治虫さんの晴れ晴れとした気持ちが作品ににじみ出ている。この解放感と喜びが、後にあれだけの名作の数々を生み出す源泉になったのだと思う」
(2012年11月2日17時18分 スポーツ報知)
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