ここ米国で『ストライクウィッチーズ』が蛇蝎の如く嫌われるのはなぜ?
質問
『ストライクウィッチーズ』がANIMEファンの間でやたら嫌われるのはなぜですか。
回答
『ストライクウィッチーズ』はここ米国ではファニメーション社からDVDが出たばかりの作品でまだよく知らないという方も少なくないと思うので、この番組をめぐって起きた論争について私の方からできるだけ客観的にご説明したいと思います。2008年に放映されたこの作品を制作したのはGONZO。かつては権勢をふるったものの近年は財務面で行き詰まりをみせているスタジオです。あそこは非常に高品質のANIME番組をたくさん手がけてきたところです。『フルメタルパニック!』『ヴァンドレッド』『ラストエグザイル』『最終兵器彼女』『サムライ7』等。ですが2008年頃になると目立つ割にはパワーに欠ける作品に堕していきました。『ブラスレイター』『鉄のラインバレル』『ドラゴノーツ -ザ・レゾナンス-』等。それで『ストライクウィッチーズ』にもあまり前期待は寄せられていませんでした。登場する美少女キャラがどれもどういうわけかズボンを履かない主義者ぞろいで、その能力を使うときはふわふわした猫耳としっぽをにょきっと伸ばすのです。そのうえなぜか砲門まで装備しています。ぱっと見で判断すれば女性蔑視を地で行くような代物であり、それこそANIMEにおける創造的意欲の減退傾向と視聴者離れの悪しき要因であると叩かれるようなワンパターンに堕しているようにも見えます。言いかえれば見た目はまさに今時のANIMEの悪しき売りのすべてが詰まっているわけです。
予想外ではなかったのですが日本ではしっかりヒット作になりました。ファンサービスてんこ盛りだったのであれが人気にならなかったらそれこそ変だったと思います。日本ではDVDがここ数年のGONZO作品としては一番たくさん売れたとか。日本での限定版DVDにスキャンティのおまけがついていたこともあって、人気作になったのは日本のOTAKU人種の本能を直撃するような作りだったからだと批判的にとらえる向きが多かったようです。が、実際のところあの番組が当ったのはむしろ中身の良さゆえです。見た目とは裏腹に『ストライクウィッチーズ』は個性の描き分けがしっかりなされた興味深い登場人物を揃えているのにくわえ物語も面白くて、作画も高品質でした。ただそういう長所や品質にもかかわらず今時のANIME界の安易に走る傾向を嘆く口うるさい向きにとっての格好の叩きの対象にされているのです。
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