安藤: そこには、彼らがかつて20代だった頃のトレンディドラマの影響なんかもあるんですか?
白河: あるでしょう。あの頃のドラマは恋愛ばっかりでしたからね。
安藤: 私、ほとんどテレビは見ないんですが、私の中で、80年代のドラマは「海と男女」っていうイメージがあるんです。
白河: 確かに(笑)。
安藤: あるいは「スキーと男女」とか(笑)。
白河: そうかもしれない。
安藤: どうしてもレジャーと結びつくんです。当時のドラマは、何か開放的な非日常空間という印象があるんですよね。
白河: あの頃の男性誌って、ほとんど恋愛マニュアルだったんですよ。『ホットドッグ・プレス』とかが典型ですけど、男性が女性をゲットするために頑張る、みたいな文化があった。
なぜそんなことになったかというと、それ以前の男性は、素人の女性とあまりエッチできなかったんですよね。ところが、80年代かその少し前くらいから、素人の女性でも「頑張れば構わないわよ」とか「努力してくれれば考えてもいいわ」みたいになってきた(笑)。まあ、それでも当時はまだ、女性の方がかなりタカビーだったんですけれども。
安藤: 性の自由化が進んだんですね。
白河: 『日本の童貞』という本を書かれた澁谷知美先生がおっしゃっていたんですけど、昔は、男性が風俗で童貞を捨てるという文化があったそうです。ところが80年代に恋愛の自由化が起きて、「風俗ではなくて、普通のお嬢さんのような女性をゲットしなきゃ」という風潮になり、恋愛テクニックの巧緻化が大きく進みました。
でも、そこで"降りた"男性も結構いるんですよ。「もう面倒くさい、ついていけない」となって。今、50歳の男性の未婚率は20%くらいでしょう。そういう人たちの中には、恋愛文化の巧緻化のときについていけなくて降りちゃった男性も、間違いなくたくさんいると思います。
安藤: なるほど、そういう人たちがAKB48やももクロに行くんでしょうか?
白河: ハハハ。あんまり単純化はできないと思いますけど、一部はあるかもしれませんね。
〈次回に続く〉
少子化ジャーナリスト、作家。日本家族社会学会会員、全国地域結婚支援センター理事。東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。仕事、結婚、出産などを含む女性たちのライフデザイン、少子化がテーマで、膨大な取材量には定評がある。大妻女子大「ライフデザイン」授業コーディネーターも務める。山田昌弘中央大学教授と共に「婚活」を提唱し、婚活ブームを起こした共著『「婚活」時代』が19万部のヒットに。他に『セレブ妻になれる人、なれない人』『震災婚』『専業主婦に、なりたい!?』『妊活バイブル』(齊藤英和氏との共著)『女子と就活』(常見陽平氏との共著)などの著書がある。
株式会社spree代表取締役/フリーランス。1980年生まれ、東京育ち。慶応義塾大学卒業後、(株)集英社にてファッション誌の広告営業と書籍単行本 の宣伝業務を積み、2008年には社長賞を受賞。2011年1月独立。ソーシャルメディアでの発信とセルフブランディングを駆使し、一切の営業活動をす ることなく、複数の肩書で複数の仕事をする独自のノマドワークスタイルが注目を浴び、MBS-TBS系列『情熱大陸』、朝日新聞などのメディアで多数取り 上げられる。またNHK『ニッポンのジレンマ』、TBS『田村総研』にも30代の若手論客として出演。日本初のセルフブランディングをテーマにした「自分 をつくる学校」学長を手がけるほか、書籍やイベントの企画・プロデュース、野村不動産、リクルート、東京ガスなど企業が参画する「ポスト団塊ジュニアプロ ジェクト」のアドバイザーも務めるなど、企業や分野を超えて活動中。
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