すんません更新してばっかで。いや今日休みなもんで。おもしろいもん読んだので。
んで、これ読みました。
この手のビジネスがどうしたって話を読むと、まずは言いがかりつけることしか考えない俺なんですが、これは素直に頷けることがあったので、このへんのことについてなんか書いてみたいと思います。
いちおう小なりといえども経営者っぽいことやってる実感から。
俺が深く頷いたのは「実は自分以外が全員ボスのように感じられる」という部分ですね。
でもこれ嘘ですよね。いや、おそらくこの人にとっては真実なんでしょうけども、実際は経営者になったらやりたい放題っすよ。俺の知ってるある店長ですけど、店のバイトの女の子を片っ端から性的な意味で食ってましたからね。あの人いまなにやってんのかなあ。死んでればいいなあ。そうでなくても頭ごなしに命令するのとかちょうよゆうです。だってほら、アメリカさんはどうか知らないけど、いちおー日本だと「上の人は偉い」っていう建前は通用してるじゃないですか。裏で「あの人実はロリコンらしいよ」とか言われてたとしても、表面上は従うのが「常識的」っていう判断はある。その判断を補強するかたちで「俺が王様な」というかたちに組織を作ってしまえばいいわけです。王様となったからには従業員A子さん(11さい)とポッキーを両端から食べることだってできます(混ざった)(なんか法律に違反してた)。
だから実際のところ、上に立ったときに、その人がどうふるまうかっていうのは、その人自身の性質に由来する部分が大きいと思う。たまたまリンク先の人はそう思ったか、あるいはアメリカさんでは上に立つ人ってそんなもんなのかもしれないです。
んで俺はというと、もともとすごい卑屈な人なので「働いていただく」という気分がすごい強いわけです。金払って仕事してもらってる以上、世間的にその時給の範囲を越えないだけの仕事をお願いする権利はとうぜん俺にもあります。あるんですけど、俺はすごい申し訳ないと思う。だってほら、人間ほんとは家でポテチ食いながらえろげやったりアニメ見たりしてるのがいちばん幸福なはずだから。金のためにいやいや外に働きに出てんすよ俺の世界観では。ごめんなさい働かせてごめんなさいって気分です。
というわけで、俺はまったく崇高な理由ではなくて、従業員をわりとたいせつにする店長です。ただ結果としてそれでよかったんだ、と思えることは多い。うちの店でよくあるパターンなんですが、一度やめていった子が「やっぱここがいいです」って戻ってくるのけっこうあるんですよ。うちではじめてバイトして、何年かやって、もっとおもしろいことあるんじゃないかなってよそで働いてみて「あんな扱いだとは思わなかった」っていうやつ。
あとは強烈な平均勤続年数の長さでしょうね。1年経ったくらいじゃまだいちばんの新人だったりしますから。
そういうことを続けてきて「いざというとき」に頼れるバイトがうちの店にはいっぱいいると、俺はそう思ってます。それがうちの強みだと。
前からよく書いてると思うんですけど、経営者ってサービス業なんですよね。従業員相手の。いかに快適に働いてもらうかってことなんですけど、その快適っていうのは「事務所でポテチ食ってネットすんのすげえ楽しいです」とかじゃさすがに困るわけで、あくまで「仕事」の範疇での楽しさです。俺はそればかり考えていてここに至って、後悔がないです。
「お金がほしい」がまちがった動機であるっていうのも、やっぱ嘘だと思います。いやだって、金ほしくないと人間がんばんないでしょ。俺みたいに仕事に関して熾烈な欲望がない人間はまちがいなく大成しないですよ。俺はよく人間は金「だけ」では動かないっていうけど、これ裏返せば「ある程度は金だけで動く」ってことじゃないですか。動機としてこれほどでかいもんはないですよ。だいたいさあ、人間、野心ないのだめですよ。俺、こんだけ文章書いてて、そこそこ人に読まれるブログやってて、それを利用してなんかしたいって気がさらさらないもん。クソめんどくせえからいやだ。そのめんどくささを乗り越えていくものは野心じゃないですか。ビッグになりてーとか金ほしーとかそういうので人間はめんどくせえ場所にも突っ込んでいくんですよ。
とはいえ、もちろん、この意見もひっくり返します。
俺自身は金を目当てにすることはあまりない人間なんですが、それでよかった、と最近はわりと思うからです。じゃあ仕事をするうえでなにが大事かっていったら、まず「つぶれないこと」です。得られる利益は、リスクを最大限に見積もったうえでの最小でかまわない。余った金はみんな未来のために使ってやればいい。それが「つぶれない」ということです。これもまた崇高な理由なんかじゃなくて、俺はつぶれたコンビニを山のように見てきたので、手を抜くとすぐにつぶれる、変化しないとつぶれるっていうことを知ってただけです。
あと大事なのは、自分が退屈しないことですね。特にコンビニなんざルーチンで回せる部分かなり多いんで、ほっとくと退屈するんすよ。だからおもしろいことは自分で作らないと仕事だるくて死ぬ。
守る、というのは、実は変化しつづけていくことです。維持しつづけるということは、実は成長しつづけることです。そのための必要経費として金が必要だってのが俺の考えです。俺自身はエアコンのある環境とネット環境と、あとはえろげと本があればそれでいいです。あ、車ないと生活できないや。車も入れといて(だれに言ってる)。
あとついでですけど、俺の場合、経営者っていうより単なる自営業者ですけど、意外に自由時間とれます。ただしそれは仕事とプライベートの区別がよくつかねえ、遊んでんだか仕事してんだかよくわかんねえっていう時間が増えるってことなんですけど。その意味ではけっこう制御できる。
そんで、ただひとつの正しい動機として挙げられている「世界を変えたい」ですね。
いやぁ……そりゃエバーノート様とかだったらそんくらいの動機持ってもいいのかもしんないけどさぁ……たかがコンビニでさぁ……なあ?
んで、しょうがないから自分のなかにこれに類する動機ってあるのかなあって探してみたんですけど、けっこうしょぼいものしかなかったです。
世界にたったひとつのあたまおかしいコンビニを作りたい。
それくらいです。俺は仕事きらいですし、だるいですし、まあブログでこれだけ仕事関連の記事とか書いといてほんとは好きなんでしょとか思われるかもしんないんですけど、ほんっとに働くのいやなんですよ。コンビニそのものは旅行とか行っても覗くくらいだから好きなんだけどな。つーか「店」っていうものが好き。ああそうか、俺、働くのだけ嫌いなんだ。
ただ、いやなんだけど、プライドはある。単純にいえば、うちの店を見た人に「ふつうのコンビニ」と思われるのがなによりいやだ。つまんない店だと思われるのが心底いやだ。だれがどう見たって「この店おかしいだろ」と思われるような店でありつづけないと、堂々とできない。たまに堂々としてないときがあるんですけど、そういうときは自分の納得行く店を作ってない自覚があって逃げてるときです。逃げたきゃ逃げますよ。だるいもん。まあ逃げられる範囲にも限界あんだけどさ。
まあ、起業ともなると「世界を変えたい」くらいの心意気でないと無理なんでしょうねえ。ほら、俺はバイトからのコンビニ育ちで、本部のシステム的なバックアップがある前提で仕事してきたじゃないですか。それで20年っていう時間を継続してやってきたから「結果としてよかった」「結果として悪かった」っていうフィードバックから自分なりのやりかた、プライドみたいなものを形成することができたわけです。いわば、半ば以上は「守られながら」経営をやってきた。世界情勢にも景気の動向にもまったく興味がなくても、看板の範囲内で「やれること」だけやってくればよかったから。
ゼロからの起業っていうことだと、そうは行かないんでしょうね。新しいことを始めるときに、その人を守ってくれるのって原則として金だけだし。俺の経験だけで考えれば5年くらいは「守られて」やってくほうがいいんじゃないかなーと思う。会社なりなんなりで。5年やって「この仕事における最適解はこれじゃねえ。俺の考えてることのほうがすげえ」と思えたら、そのときになって独立でもなんでもすりゃいい話で。金はまあ……ほら、開業支援制度とかいろいろあるじゃないですか。そのときに融資の相談担当の人間に自分のちょうすげえビジョンでもぶちまけて愕然とさせてやりゃいいんですよ。それこそ「こいつが世界を変えるかもしれない……! ろくおく、利子なしで融資しちゃおっかな♪」と思わせるくらい。どんなだよ。
というわけで、リンク先の人のいうことはおもしろそうなので、今後も連載楽しみにしたいと思いますん。