Updated: Tokyo  2012/11/08 17:08  |  New York  2012/11/08 03:08  |  London  2012/11/08 08:08
 

自民・甘利氏:シャープ支援なら「勝ち抜くプラン」必要-単独会見 (1)

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  11月7日(ブルームバーグ):自民党の甘利明政調会長は、財務状況の悪化しているシャープが公的支援を求める場合は自身による再生計画の策定が前提となるとの認識を明らかにした。6日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。

甘利氏は「公的資金をただ入れてくれ、あるいは、再生のためのいろいろ支援をしてくれと言っても、公的支援が入った後にちゃんと競争に勝ち抜くプランができていなければいけない。それが第一だ」と指摘した。市場関係者の間ではシャープが何らかの公的支援の申請を迫られるかもしれない、との見方が出始めている。

甘利氏は9月の自民党総裁選で安倍晋三氏陣営の選対本部長を務めた。経済産業政策を自らの「ライフワーク」に掲げ、労相、経産相、規制改革担当相などを歴任。現在は党政調会長として自民党の政権復帰を見据えた政策作りの責任者となっている。

甘利氏は、日本の電機メーカーの現状について「韓国は主要電機メーカーはサムスンとLG、日本の場合は、わんさかある。国内予選で疲弊しきって研究開発に向かうだけのお金も稼げない」と指摘。「ここは、もし、公が入っていくとするならば産業再編まで含めたプランを仕掛けていくある意味チャンスかな、と思う」と述べた。

何社程度に集約すべきかとの質問には、「私が言うべきではない」と述べるにとどめた。

下方修正

パナソニックは今期(2013年3月期)純損益を7650億円の赤字に下方修正、シャープも今期純損失が4500億円に拡大すると発表。ソニーは純利益200億円の従来予想を維持したが、売上高は下方修正している。このうちシャープについては格付け会社フィッチ・レーティングスが2日、長期格付けを一気に6段階下げてジャンク級とした。

一方、前原誠司国家戦略兼経済財政政策担当相は7日午後、日本外国特派員協会での会見で、政府によるシャープ救済の可能性について聞かれ、「企業の再生に国がコミットメントするにはいくつかの公にできる理由がなければいけない。そういう観点から個別の企業再生について国が加担をするかどうかというのは判断されるべきだ」と指摘した。

産業競争力会議

甘利氏は谷垣禎一前総裁時代に経済・財政・金融政策調査会の会長として8月下旬、「日本経済再生プラン」を発表した。科学技術政策を推進するため企画立案や総合調整を行っている「総合科学技術会議」を「産業競争力会議」(仮称)に改組し、機能強化を図るよう提唱している。

同氏は「自動車、機械、電機、電子。日本の輸出を支えたクリーンアップがみんな輸出で赤字に陥っている」と指摘。その要因について「円高のせいだけにするということはできない。日本の産業競争力が確実に落ちてきていることだ」と分析した。

産業競争力会議を設置することにより、「基礎研究を国が行い、実用化研究を企業が行う。その基礎研究から実用化、商品化までをシームレスに(途切れずに)つないでいくという仕組み」を構築したい考えを強調した。

一方、中国の動向が日本企業の業績に与える影響については「5月から中国経済は高度成長から中成長へフェーズが変わり、加えて不買運動で、自動車でいえば3割落ちており、相当な影響力がある。そして簡単に回復はしてこない」と分析。中国側には「これから再投資をする際に中国は避けよう、東南アジアにしようとみんな考えるから、今回の騒動はブーメラン効果で自分のところの経済にダメージを与えるということを分からせる必要がある」と語った。

再生プラン

日本経済再生プランは日銀の金融政策についても踏み込んだ提言を盛り込んでいる。「従来の常識を超えた大胆な金融緩和措置を実行」と明記。政府と日本銀行による物価目標(2%程度)協定の締結、日銀による外債購入などを挙げ、「日銀法の改正を視野に、大胆な金融緩和措置を講じる」ことも掲げた。

外債購入には日銀が財務相の専権事項である為替介入になるとして否定的だが、甘利氏は「日銀と政府のアコード(協定)、政策目標を共有して方向性を合わせていく。共有していく中でツールとして使っていくのはいいことだと思う」と述べた。

日銀の白川方明総裁は来年4月に任期を迎える。参院で与党が過半数割れしている現状では、任期切れまでに衆院選が行われなかったとしても自民党の意向が次期総裁人事を左右する。

デフレ脱却

安倍総裁は10月11日の記者会見で、白川総裁のデフレ脱却に向けた取り組みは不十分との考えを示した上で、次期総裁には2-3%のインフレ目標を採用する人物が望ましいとの認識を表明。甘利氏もインタビューで「市場を動かすぐらいの発言、影響力を持っている人かどうかということだ。安倍総裁の発言は単なる事務屋さんでない、影響力を与えられる人がよりふさわしいということではないか」と述べ、白川氏の「市場との対話」力は不十分との見方も示した。

日銀が10月30日の金融政策決定会合で決めた追加の金融緩和については「市場に対する意外性は従来よりはあったが、それで十分かといえばそうではない」と指摘した。

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Peter Hirschberg phirschberg@bloomberg.net

更新日時: 2012/11/07 16:10 JST
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