ツアー会社、３年前も事故…万里の長城での日本人遭難

　中国河北省張家口市郊外の万里の長城近くで山歩き中に大雪のため日本人４人と中国人１人の計５人が遭難した事故で、北京の日本大使館は５日、日本人の女性２人と男性１人が死亡したと地元当局から連絡があったことを明らかにした。日本人女性１人と中国人男性は救助された。

　遭難したのはいずれも東京の旅行会社「アミューズトラベル」のツアー参加者で、同社は死亡したのは東京都の小川陽子さん（６２）と埼玉県の渡辺邦子さん（６８）としている。もう一人の男性は福岡県の柳井俊一郎さん（７６）とみられる。

　現地では寒気の流入で３日に天候が急変、大雪に見舞われた。

　大使館は救助された富山県の渡辺美世施さん（５９）が治療を受けた医療施設に職員を派遣する予定。

　現場に近い北京北西部は３日から４日にかけて１９６０年以来の大雪。捜索は難航した。北京から現場に向かう道路は通行止めとなっている。

　同社は２００９年に北海道・大雪山系トムラウシ山で登山客ら８人が凍死した遭難事故のツアーも主催、今回遭難した場所へのツアーは初めてだった。安全管理面で不備がなかったかが問われそうだ。観光庁は近く、旅行業法に基づき同社を事情聴取する方針。

　同社の板井克己社長は５日、北京入りした。

　同社によると、ツアーは１０月２８日から９日間の日程で、万里の長城を１００キロ以上トレッキングする内容。参加者は登山経験があり、３日は１４キロを５時間で歩く予定だった。防寒具を必ず持参するよう求めていたといい、同社幹部は報道陣に「０９年の事故を深く反省し安全対策に取り組んできた。申し訳なく思う」と語った。

　新華社電などによると、日本人４人と中国人１人の計５人が４日夕に大雪で身動きが取れなくなり、一緒にいた別の中国人ガイドが自力で下山し救助を要請。地元の警察や消防、軍が救助に当たった。

　遭難者のうち２人の氏名について、共同通信は新華社の表記に基づき、救出された女性を「渡辺美世代さん」、不明男性を「柳井尽一郎さん」としてきたが、５日午前に同社が氏名を発表したのを踏まえ、「渡辺美世施さん」「柳井俊一郎さん」と修正した。（共同）

（2012年11月5日23時21分スポーツ報知）