インタビュー:EUと中国、貿易戦争に発展せず=デフフト欧州委員
[ブリュッセル 21日 ロイター] 欧州連合(EU)欧州委員会のデフフト委員(通商担当)はロイターのインタビューで、中国からの不当な貿易競争に対する保護措置を継続する構えを示した。ただ、対立の激化は双方の利益に反するため、貿易戦争への発展は防げるとしている。
欧州委は9月、中国の太陽光パネルメーカーに対するダンピング(不当廉売)調査という過去最大規模の対中措置に乗り出し、EU・中国間の貿易紛争が拡大している。欧州委はまた、中国の大手通信機器メーカー、華為技術HWT.ULと中興通訊(ZTE)(000063.SZ: 株価, 企業情報, レポート)に対する反ダンピング・反補助金調査も実施している。
デフフト委員は「われわれは成すべきことから逃げはしない。しかし緊張をエスカレートさせることに興味はない。中国側も、この問題を一定の限度内に留める必要性を認識していると信じている」と述べた。
委員は今月出版された著書「コレラの時代の自由、リベラリズム」の中で「中国は付加価値のある商品のシェア拡大という甚大な課題に直面している。それがかなわなければ、日本、台湾、韓国、シンガポール、香港などが既に経験した次の経済発展の段階に進めない」と論じている。
中国・EU間の貿易高は2003年以来倍増し、2011年に4280億ユーロ(5580億ドル)に達した。EUは中国にとって最大の貿易相手となり、EUにとって中国は米国に次ぐ第2位の貿易相手国だ。
<楽な相手ではない>
複数のEU外交筋によると、デフフト委員は太陽光パネル問題をてこに、中国に華為とZTEへの補助金撤廃を促す可能性がある。
委員は2つの案件の詳細に踏み込まなかったが、解決策が見つかるとの期待を表明。「中国と欧州の間で問題が拡大するとどうなるか。双方とも、世界経済全体にとって非常に悪い事態になることを理解している」と述べた。
EUの対中関係には日中や米中のような地政学的側面が介在しない。デフフト委員は「この事実はわれわれから数多くのてこを奪っている一方で、数多くの貿易問題についてより合理的な協議を可能にしている」と述べた。
中国・EU間の自由貿易協定は中期的にも望めないだろうが、相互の投資協定では合意に至る可能性がある。委員は、企業が互いの地域で事業を拡大する動きが勢い付いていると指摘。「われわれにとって一番の関心事だ」と述べた。
中国に進出する欧州企業は、中国企業と技術の共有を義務付けられるといった負担を背負っており、これは投資関係を深化させる上で厄介な問題だ。
デフフト委員は「彼ら(中国側)は、彼らの機微に触れるこうした問題への対応に以前よりずっと前向きになった」とした上で、「これは中国が突如として楽なパートナーになったことを意味しないが、彼らが対処の必要性を認識したということだ」と述べた。
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