株式会社桜井デザイン  キャラクターデザイン・イラストレーション制作・CI及びロゴタイプ制作・パッケージデザイン・グッズ企画制作・他グラフィックデザイン等。

株式会社桜井デザイン - SAKURAI.D

法律の立場ではなく、作家として意見を述べさせて戴きます。

● 彦根市長の創作者に対しての誠意の希薄さが問題なのでは…。
2005年12月27日、コンペで「かぶとねこ」のキャラクターが決定し、2007年4月彦根城築城400年祭で正式にデビューし、愛らしく、癒し感のある姿が話題を呼びたちまち全国規模の人気を博しました。
しかし、彦根市、彦根市長からは、「ありがとう」の一言もいただけませんでした。
それどころか人気がでたのは「自分たちの宣伝の賜物だ!」って主張しています。
いままでいろんなイベントで大掛かりな広報・ PRをしていますがキャラクターに魅力のないものはいくら宣伝しても人気は出ていません。人気がでても一過性のものにすぎないのが現状です。
こういった市長の作者に対するスタンスが「ひこにゃん騒動」の、そもそもの発端ではないでしょうか。
● 作者としてのキャラクターを創作するうえでの考え方、思い入れについて…。
キャラクターとは、単なる図柄(パターン)ではないのです。
キャラクターを創作するプロセスをご説明します。
まず、なぜキャラクターが必要なのかを理解し把握することから始めます。次にストーリーを設定します(にゃんこの場合、東京世田谷にある豪徳寺の招き猫の由来)それから登場人物(動物)それぞれの性格・プロフィールを設定ます。最後にキャラクターのデザインを完成させることでその世界観が出来上がりキャラクターが完成するのです。デザイン、物語、そして世界観があってはじめてキャラクターとして成り立つのです。だから、彦根市が主張している3つの図柄だけでは、いずれ生命力をなくしてしまいます。人気を維持していくためには作者がストーリーを発展させ世界観を広げ活躍の幅を広げていくことが不可欠なのです。今のような話題性?だけでは延命はできても人々に愛されて長く生き続けていくことは困難です。作者を排除してはキャラクターは生きて行けません。
彦根市が全権利を掌握することは自殺行為に等しいことに早く気付いていただければと思います。
作者にとっては、自身の生み出したキャラクターは「かわいい我が子」であり分身なのです。親にとって子供には健康に幸せに育って欲しいと望むのはあたりまえです。
● 絵本制作のいきさつについて…。
2006年10月に彦根市からの紹介で、サンライズ出版様から絵本制作のお話があり、末永く愛されるためには絵本の出版は最適だと思っていたし、ストーリーはすでにキャラクター制作の際出来上がっていましたので快く承諾しました。
2007年1月に出来上がった絵本を使って「ひこにゃん基金」を設立し、市の発展のためにお役立ていただきたい旨、提案致したく彦根市役所へお伺いしましたが、彦根市は3図柄以外いらないと冷たく拒否されました。よろこんでいただけると思って持っていったのにとても残念でした。(彦根市の紹介で制作したのに…。)何故なのか?訳がわからずに帰ってきました。

※ひこにゃん基金…ひこにゃんの活躍場面の図柄や他のサブキャラクターも無償提供することによって
         世界観を広げ、当社が名称使用料として市の財政に還元するシステムです。
● 調停申し立てについて…。
作者のイメージと異なる性格付け及び3つの図柄以外の異なる立体物の販売を適正な監修もなく無制限に承認し、クォリティーが著しく低下した商品が横行したのでキャラクターの健全な育成を危惧し、適正な使用を彦根市に再三申し入れたところ2007年7月代理店の仲介で築城400年祭実行委員会会長にお会い出来ることになり、その席上で、ずさんな管理体制の是正を市長に進言することを約束され帰られましたが、その後なんの連絡、対処もなく無視され続けたために2007年11月に、やむなく調停を申し立てました。
地裁の調停成立後も調停内容を守ろうとせず、作者との話し合いを持ちかける事もなく、妨害、いやがらせ等の挑発行為が続いていました。
作者としては、あくまでもキャラクターにダーティーなイメージが付くといけないと思い、市側にはなにもアクションは起こしませんでしたそれをいいことに訴訟だ、賠償だと不毛な争いをしかけてきています。
ブランド力のない軽輩だと侮っているように思われます。それは権力者としての思い上がりではないでしょうか。民の手本となるべき、公の姿に不信感と失望感が募るばかりです。
● これは、けっして金銭目当ての争いではありません!
知的財産については確かに認識レベルは上がってきていますが、それはほんの一部のブランド力のある著名な作家にかぎります。それ以外のクリエーターにとっては、まだまだ中国レベルそれ以下かもしれません。
作者無視と排除なる侮辱に精神的苦痛をしいられ、泣き寝入りするしかないのが現状です。
訴訟に持ち込んでも、時間と財力に限界があり、法律は権力と財力のあるほうに味方するのでは?
正義が勝つとは限らないように感じます。
● 神の天秤は、最初から権力側に傾斜しているのでしょうか?
契約の形を尊重されるのであれば、なぜ当初より作者に契約書を提示なかったのか?
作者は「3パターンをそのまま400年祭に」ということで申し仕入れ、「創作者の意向を承った」と言い乍ら、なぜ、市側は守ろうとしなかったのか?
信頼関係が崩れてしまえば力のない創作者には奴隷労働しか道はありません。法律を語るまえにこのような現状を認識した上で正しい判断をお願いしたいと思います。
作者の尊厳を守れるような契約を対等に交わせる状況を作れれば、今回の「ひこにゃん騒動」は、日本のクリエーターの将来におおきな意義があると思います。
知的財産先進国に仲間入りしようとするならば、この現状の解決が必須条件だと思います。
● 不毛な争いだから、あえて反論しなっかったのです。
彦根市長は、自身の意地と自尊心だけで、すばらしい財産を自ら放棄しているだけではないでしょうか。
キャラクターに関わる全ての人が幸せな気持ちになることが、本来の役割だと思います。
「ひこにゃん」は、彦根だけだはなく日本の「宝物」です。大切に健全に育っていくことを願っております。

株式会社桜井デザイン 代表取締役・櫻井 均

みなさまのご理解、ご支援の程切に願っております。ありがとうございました。