東京電力:膨らむ費用、実質国有化100日で重大岐路

毎日新聞 2012年11月07日 22時12分(最終更新 11月07日 22時31分)

東京電力本店(中央)=本社ヘリから撮影
東京電力本店(中央)=本社ヘリから撮影

 東京電力が7日、政府に福島第1原発事故対応への追加支援を要請したのは、除染費用の拡大などで実質国有化時に策定した「総合特別事業計画」が抱える矛盾を覆い隠せなくなったためだ。しかし東電に対する社会の不信が根強い中での追加支援は容易ではない。東電は7月の実質国有化からわずか100日で重大な岐路に立つことになった。

 「(東電の)企業の形が重大な岐路に立っている。活力ある民間企業に復帰するか、事故処理専業法人になるかだ」。社外取締役の一人である能見公一・産業革新機構社長は、記者会見でそう明言した。会見には政府が派遣した社外取締役ら7人全員が出席。追加支援の必要性を口々に言及した。

 特に強調したのが、賠償や廃炉費用の拡大見通しだ。除染の範囲を政府方針の通り年間被ばく線量1ミリシーベルトまで拡大した場合、除染を含む賠償額は10兆円規模に拡大する可能性があると指摘。東電は賠償関連費用を原子力損害賠償支援機構法に基づき原賠機構から立て替えを受けているが、立て替え上限額は5兆円で追加対策が必要とした。福島第1の廃炉費用も現時点の引当額約1兆円を大幅に上回る見通し。先行き不安から人材流出も加速しており、このまま行けば「賠償や廃炉の責任を果たしていくことが困難になる」と訴えた。

 東電は支援要請を社外取締役主導で決定。社外人材に支援の声を上げさせることで、窮状の訴えに信ぴょう性を持たせる狙いだ。

 しかしこの窮状は、元々予想されたことだ。廃炉引当金は過去の原発事故を参考に算出。福島事故が前例のない過酷事故だったことを考慮しなかった。除染費用に至っては「合理的な見積もりができない」(東電広報)として総合計画に計上すらしていない。政府や東電が公的資本注入の環境を整えるための手段として、総合計画を「やや楽観的な想定で策定した」(原賠機構幹部)ことが元凶だ。

 足下では柏崎刈羽の再稼働が除染や廃炉以上の深刻な問題として横たわる。原子力規制委員会は再稼働判断に必要な安全基準を13年7月に策定すると表明。総合計画で掲げた13年4月再稼働は絶望的な情勢となった。再稼働が1年遅れると約3000億円の火力燃料コスト増要因となるだけに、総合計画通りの14年3月期黒字転換は達成困難になりつつある。

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