再生の原風景 渡良瀬
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【国際】ネオナチ事件発覚1年 「極右政党禁止」議論続くドイツ【ベルリン=宮本隆彦】ネオナチの男女三人が、二〇〇〇〜〇七年にドイツ各地でトルコ系移民や警官ら十人を殺害した疑いがある連続殺人事件が四日、発覚から一年を迎えた。事件はドイツ社会の一部に外国人敵視の感情が根深いことを露呈した。犯人と接点があった極右政党の非合法化が課題だが、過去の失敗を引きずり、思うように進んでいない。 連続殺人事件発覚のきっかけは、中部アイゼナハで銀行強盗をした三十代の男二人が警察に追われキャンピングカー内で自殺した事件。仲間の女がアジトの家屋に放火して警察に出頭。家宅捜索で凶器の短銃や被害者の遺体を写したDVDが見つかった。三人は「国家社会主義地下運動」を名乗るネオナチだ。 その後、凶器の入手を手助けした疑いで極右のドイツ国家民主党(NPD)テューリンゲン州支部の元幹部の男が逮捕された。NPDは外国人排斥と反ユダヤ主義を公然と掲げており、事件を機に「非合法化すべきだ」との声が強まった。 しかし、非合法化をめぐっては連邦憲法裁判所が〇一〜〇三年に審理した際、公安機関の憲法擁護局が内偵捜査のためNPDに多数の内通者を送り込んでいたことが判明。政府の提出証拠の中に内通者であることを隠した党員の証言が含まれ、憲法裁は「公正な審理ができない」と審理を打ち切った経緯がある。 再び非合法化に失敗すれば結果としてNPDの存在にお墨付きを与えた形になりかねない。仮に甘い審理でドイツが非合法化しても、根拠が不十分だとして欧州人権裁判所(仏ストラスブール)が覆す可能性がある。 このためフリードリヒ内相は「失敗の可能性があるうちは踏み出さない」と慎重な姿勢を示している。政府は必要な証拠を十分に集めた上で、十二月初旬に開く各州内相との合同会議で非合法化について検討する予定だ。 NPDの党員数は一〇年末で六千六百人。ボランティア活動などを通じて地域に浸透し、旧東ドイツのザクセン州とメクレンブルク・フォアポンメルン州の議会に議席がある。 <ネオナチによる移民らの連続殺人事件> 「国家社会主義地下運動」を名乗る30代の男女3人のネオナチが2000〜07年にドイツ北部ハンブルクや南部ミュンヘンなど各地でトルコ系移民や女性警察官ら計10人を射殺した疑いがある。捜査当局は1998年から爆発物所持容疑などで3人を追っていたが、一連の事件は移民同士の抗争とみていたため、グループの犯行を見抜けなかった。 PR情報
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