社説:オバマ大統領再選 チェンジの約束実現を

毎日新聞 2012年11月08日 02時30分

 だが、これらの演説は具体的にどんな果実を結んだだろうか。大統領とともに「チェンジ(変革)」「イエス・ウィ・キャン(私たちにはできる)」と唱和した人々は全世界にいるはずだ。私たちは内外での「チェンジ」の達成を求めたい。

 世界は変動している。中東では民衆運動「アラブの春」が広がり、独裁政権の崩壊も相次いだ。騒乱波及を警戒するロシアと中国は、シリアの独裁政権の崩壊を恐れてか、国連安保理決議案に拒否権発動を繰り返す。シリアでの犠牲者は既に3万人を超えた。こうした人道危機に米国は真剣に取り組むべきだ。世界の問題は米国だけで解決できないとしても、米国抜きで解決できる問題はまだ少ない。

 ◇日米の緊密化が必要

 アフガンの安定化や中東和平への関与も必要だ。米国の親イスラエル団体は選挙に強い影響力を持ち、再選を目指す1期目の米大統領は中東和平への関与を控えるのが常だった。クリントン政権も、積極的に和平仲介をしたのは2期目の後半になってからだ。これまで仲介らしい仲介をしていないオバマ大統領も、2期目は積極的に対応してほしい。

 オバマ政権が暗殺したウサマ・ビンラディン容疑者は同時テロの動機として、パレスチナ人の悲惨な状況に言及している。テロの温床を除く意味からも米国は同盟国のイスラエルを説得して和平交渉を動かす必要がある。また、イランの不透明な核開発は深刻な問題だが、イスラエルによるイラン空爆は世界の不安定化を招く。この点でもオバマ政権のイスラエル説得が不可欠だ。

 激動は、アジア太平洋にも及んでいることを強調したい。尖閣諸島をめぐる日中摩擦や中国の軍拡、海洋進出は重大な問題であり、中国は米国主導の戦後秩序に挑戦するような発言を繰り返している。穏やかならぬ状況である。核開発を続ける北朝鮮の脅威も含めて、米国は東アジアへの関与を強める必要がある。

 日本としても、米国の大統領に合わせた身の振り方を考えるのではなく、主体的に考え、行動することが必要なのは言うまでもない。日本を取り巻く安全保障の環境は変化している。日本の懸念や日米安保が直面する諸問題について、政府首脳は率直にオバマ大統領と話し合う必要があるはずだ。理念を重んじるオバマ大統領と日本の関係が緊密化することを期待したい。

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