手術後の顎がどちらに曲がるのか予測するのは容易でない。顎の骨と顎関節を包む筋肉はバラバラに動くためだ。これを手術後、歯にワイヤーを取り付けて位置を変える矯正治療できちんと整えるのは難しい。
また、手術の腕が十分でない医師が緻密な計算や予測もなく顎の骨を切るため、副作用が起こることもある。このため、両顎手術後に不正咬合(こうごう)を訴えたり、顎が曲がったりして訴えられる医療訴訟・紛争が絶えない。
現在、韓国で行われている両顎手術の約80-90%は「先に手術」方式だ。すぐに外見が良くなるという効果の裏に隠されたこうした事実は、外国では見られない奇妙な現象だ。「整形共和国」韓国の「パルリパルリ(早く早く)病」と何としてでも患者を集めようとすぐに顎を削ってしまう医療商業主義が重なった弊害だ。
両顎手術は年間約5000件と推定されている。ソウル大学付属歯科病院のキム・ミョンジン院長(口腔外科)は「歯学の教科書には先に矯正治療を十分に行い、その後に手術をすべきだと書かれている。欧米で『先に手術』をするケースは珍しい」と話した。
だが、一部には「先に手術」方式の発達により副作用を最小限に抑えられるようになったと主張する人もいる。最近は口腔構造を立体的に分析でき3次元コンピューター断層撮影装置(CT)撮影が進歩、事前に手術後の歯や顎骨の移動方向がある程度予測可能になったという。キム・ヨンジュン矯正歯科専門医は「CT分析と経験豊富な手術医がいれば『先に手術』をしてもいいケースが増えている。最近は手術前に短期間、矯正治療をする『最小限の先矯正』方式も導入されている」と話している。