親にしてみれば、いくつになっても子どもは子ども。気持ちをしっかり持たないと、子どもと適度な距離を保つというのは難しいでしょう。親が「過剰な干渉」という甘い罠にはまってしまった場合、子どもはどうすればいいのか。ありがたいけど恐ろしい魔の手から、果敢に逃れる方法を捜してみましょう。
母親が子離れしてくれないと悩む21歳の大学生の男性。女のコから電話がかかってこようものならたいへんな騒ぎで、周囲からはすっかりマザコンのレッテルを貼られているとか。このままでは女のコとつきあうこともできないと訴える青年に、作家の田村隆一さんは憤りつつこんなアドバイスを贈ります。
本当に困っちゃうよ、今の馬鹿母親は。子供を私物化するなんてけしからんことだよ。(中略)しかし、君はかわいそうだよなあ。お母さんがいる限り、君は絶対に結婚できないよ。(中略)もう、君に残された道は家出しかないな。それが嫌なら大学を卒業するまで我慢して、就職したらできるだけ家から離れることだ。わざと遠くにとばされる仕事を選ぶとかね。でもそうすると、ついてきかねないよな。難しいね。いっそ、亡命するか。外人部隊なんかに入ったら、さすがに君のお母さんもついてはこられないだろうからさ。〈小学館『ぼくの人生案内』より〉
亡命や外人部隊はさておき、家出はやろうと思えばできそうです。ただ、本人が母親に逆らってまで家出しようと思うかどうか、そこがいちばんの難関かもしれませんが。
お次は、高校三年生の女性。海外に出かけてひとりで長い旅をしたいと思っているのに、親が猛反対。「どうしたら理解してもらえますか? ダメな場合、自分の判断で行動するしかないのですか」という相談に答えるのは、カヌーイストの野田知佑さん。