これは酷すぎる!警察・検察の「反省」なんてみんなウソっぱちだった ネットなりすまし殺人予告 誤認逮捕の被害者が「恐怖の取調室」を語った

2012年11月06日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 パソコンの押収が終わると、三重県警はAさんと兄に任意同行を求めた。無実を証明する必要を感じた二人は同行に応じた。Aさんの父が続ける。

「長男については、予告が書き込まれた時間に仕事に出ていてアリバイがあるため、すぐに疑いが晴れたようです。しかし、家にいた次男にはアリバイがなかった。翌14日の朝8時半、次男だけが警察署に再び連れて行かれ、重要参考人として取り調べられた。

 私たち家族は次男を信じていたし、次男も一貫して『書き込んでなどいない』と主張しました。しかし、次男はそのまま逮捕されてしまったのです」

 Aさんが勾留されている間、家族は「ウチは無線LANだから、家の近くから誰かが無線LANを使って書き込んだのではないか。そうすればIPアドレスがわが家のものになるのでは」などと話していた。いろいろな可能性を考えたが、Aさんへの信頼が揺らぐことは一度もなかったという。

 北村さんのケースと異なり、Aさんの取り調べは異様な形で進んだ。

Aさん「私は書き込んでいません。2ちゃんねるでソフトをダウンロードしたらパソコンの動きが急に遅くなった。その時にウイルス感染したんだと思う」

刑事「本人が書き込まなくても、遠隔操作できる可能性があるのか」

Aさん「あります」

 背景にはAさんが大学で工学部に在籍し、コンピュータにも非常に詳しかったことがある。

「刑事さんに対し、整然と論理的に説明し、様々なウイルスが存在することも伝えた。それで徐々に、警察側も誤認逮捕という認識になったようです」(父)

 今回、「IPアドレスが一致すれば逮捕できる」という考えは各都府県警共通だったが、その後の捜査の進み方には温度差がある。

 警視庁に逮捕された福岡の男性には同居している女性がおり、男性は女性が書き込んだと思い込んだ。

「女性をかばうため、罪を認めてしまった」とこの男性は語っている。

 捜査が最も強引だったのは、神奈川県警だったようだ。

「予告の書き込みが6月29日で、逮捕はわずか2日後。数日後には明大生が自白したとされ、『鬼殺銃蔵』という名前も含め、知るはずのない犯行の手口を記した上申書を提出させている。しかも、保土ケ谷署生活安全課と捜査協力をした県警サイバー犯罪対策センターが、『ログを解析したら、横浜市のHPにアクセスしてから2秒で書き込みを終えており、不自然ではないか』と意見を同署に伝えていた。明らかに、有罪ありきで自白を誘導しています」(県警担当記者)

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