【佐藤千晴】朝日新聞社が大阪・中之島に建設していた超高層ビル「中之島フェスティバルタワー」が6日完成し、2〜7階部分を占めるフェスティバルホールの内部が報道関係者に初公開された。旧ホールの音響の良さを保ちつつ、最新の設備を導入した。こけら落としは来年4月10日、イタリアのフェニーチェ歌劇場のコンサートとオペラが飾る。
午後2時からのホール内覧会には42社80人が参加。朝日ビルディングの西部宏志・フェスティバルホール支配人や、音作りを担った永田音響設計の池田覚社長、タワーを設計した日建設計の小野茂樹さんが内部の仕組みを説明した。
客席数は旧ホールと同じ2700席ある。椅子は一回り広くなり、配置も工夫して舞台がより見やすくなった。座席やホワイエ(ロビー)のじゅうたんの深い赤色や、木材をふんだんに使った内装は旧ホールの雰囲気を再現した。
舞台は日本最大級の音響反射板を備える。クラシック演奏時は、反射板が包み込むようにステージを覆い、音を逃さず客席に届ける。「天井から音が降ってくる」とたたえられた旧ホールの特性を受け継いだ。残響時間はクラシック仕様で2.2秒、ポピュラー仕様で1.6秒(いずれも空席時)と、各ジャンルに適した響きを実現。バレエなどの公演時、反射板は舞台奥に収納する。
舞台の間口は24.5〜30メートルに変えられる。舞台の広さは1580平方メートルと旧ホールの倍に。天井から大道具をつるすバトン(横棒)は33本から54本に増え、大規模な装置が必要なオペラやミュージカルに対応できる。
旧ホールは1958年に日本初の本格的なクラシックホールとしてオープンした。2008年末に一時閉館するまで、延べ4千万人が訪れた。