決定!第44回
ほのぼのドラマがドロドロ愛憎劇に!「ぼくの夏休み」(東海テレビ制作/フジテレビ系)
(GALAC 2012年11月号掲載) 2012年10月9日(火)配信
文=桧山珠美
久々にいいドラマを見たと心から思った。だからこそ、いろんな人にオススメしまくったのである。できるだけ多くの人に見てもらいたい。単純にそう思ったのだが、その親切心が仇になろうとは……。
「ぼくの夏休み」――十二歳の少年・和也と九歳の妹・はる菜が、夏休みに二人で田舎のおじいちゃんの家に行く途中、なぜか、太平洋戦争真っ只中の昭和十九年にタイムスリップしてしまい、そこで兄妹助け合って生き抜いていくというストーリーだ。
第一話。田舎へ向かう電車の中。兄は妹をかまってやらず、ずっとポータブルゲームで遊んでいる。戦争ゲームをしているらしく、「死ね、死ね、死ね」とブツブツ言いながらゲームに興じる兄を、年配の女性が「そんな言葉を簡単に使っちゃいけない」と諭すが、きょとんとするだけ。そうこうしているうちにタイムスリップし、ゲームではない戦争を体験していくことになる。
平成の子どもが戦争の悲惨さを体験し、家族や友人の大切さ、いのちのありがたさを知り、夏休みが終わる頃には元の時代へ戻り、兄妹は前よりも少しいい子になっている。そんなストーリーだろうなと想像していたのだが、とんでもなかった。
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