「おれおれ詐欺」 静岡県内、被害止まらず

(2012/11/ 7 07:58)

 10月に県内で多発した、息子や孫をかたって現金をだまし取る「おれおれ詐欺」の被害が11月に入っても止まらない。県警には5日現在、すでに4件の届けがあり、被害額は計2300万円に上る。目立つのは犯人側が被害者を神奈川県内の駅に呼びつけ、多額の現金を直接受け取る手口。県警は、本当の息子や孫が帰省し詐欺が難しくなる年末年始を前に、犯人グループが駆け込み的に犯行を重ねているとみて警戒を強めている。
 熱海市内の女性(78)は1日、息子を名乗る男に指示されて神奈川県小田原市のJR小田原駅に出向き、息子の友人を名乗る男に現金500万円を手渡した。富士市内の女性(78)も同日、孫をかたる男にだまされ、同駅で会計事務所社員を名乗る男に500万円を渡してしまった。
 11月の被害全4件はすべて現金を直接手渡す「受け取り型」。犯人側が自宅に取りに行くのではなく、被害者を指定場所に呼び出していた。4件中3件が神奈川県内の駅だった。金融機関で現金を引き出す際には、窓口で怪しまれないために「リフォーム代」などと偽るよう指示されていたという。
 県警生活安全企画課の三原博美管理官は「静岡県内の新幹線駅で警戒が強まっているため、捜査の目を逃れようと神奈川県で犯行を行っているのでは」と分析。「県境をまたぐ手口はこれまで首都圏で多かったが、県内にも及んできた」と指摘する。同課によると、犯行グループは例年、お盆や年末年始などの帰省時期には犯行を控える傾向にある。10月には今年の月別で最多の16件の被害があった。三原管理官は「静岡県が犯行グループに狙われている」と危機感を募らせている。

県東部「アポ電」多発
 県内では11月に入り、県東部地域を中心におれおれ詐欺のアポ電(事前連絡電話)とみられる不審電話が多発している。特に日大三島高卒業生の実家が狙われていて、県警は注意を呼び掛けている。
 県警への届け出は5日現在89件。うち46件が日大三島高卒業生の実家だった。同校卒業生の親の被害は2件で計1100万円をだまし取られた。
 アポ電は夕方から夜間にかけて、現金を要求する電話はアポ電の1、2日後の昼ごろに掛かってくることが多い。アポ電は「携帯電話の番号が変わった」「カバンをなくした」などと掛けてくるという。
 犯人グループは息子や孫、警察官、社会保険庁職員などさまざまな名前、肩書を使い、手口を頻繁に変えながら犯行に及んでいる。県警生活安全企画課は「不審な電話は必ず相談してほしい」と慎重な対応を促している。

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