これに関しCCTVでは、米国、日本がフィリピンと一緒になって中国を苛めており、米国は、オーストラリア、フィリピン、日本を束ねてU字型防衛線を築いていると言っていた。米国戦略と核心的利益の拡大議論に中国が「切れた」お陰で思わぬ成果が得られた格好だ。
その前に、中国の考え方や行動の根源をはっきりさせるために、中国の核心的な考え方である「統一」について少し触れたい。
「統一」「安定」「発展」とりわけ「統一」こそが中国の命
北京の国子監に展示されている「琉球入学見聞録」。沖縄は中国のものという主張をする人の根拠の1つ〔AFPBB News〕
中国を訪問するまでは、統一、安定、発展とは単なるスローガンだと思っていた。しかし、違っていた。どこへ行っても「統一」という言葉の重さが違うことに気付かされた。
中国にとって「統一」こそがすべての目標であり、絶対のものである。この特異な価値観で中国の考えや行動を見ていかなければ本質は理解できない。
確かに中国は、「統一王朝」の歴史であり、今流に翻訳すれば、王朝=中国共産党となる。王朝による統一の下に繁栄を築いていくことがすべてである。理屈でも理念でもなく、統一国家であること、そして、中華民族が豊かで支配することが目標である。
フォーラムの説明でも、「ここ100年来、列強が中国を植民地にした歴史に鑑み、二度と同じことが起きないように『中華民族の偉大なる復興』を掲げている」と言っていた。
核心的利益の説明では、「戦略的利益と核心的利益と同じ意味である。いわゆる核心的利益は、中華民族の『統一』、領土の完整および安全、国の独立、自主権であり、中国の戦略的利益である」と述べていた。
すなわち、核心的利益とは、統一のために力を以ってしても絶対に安定させたい地域のことと言えるだろう。
中国の歴史は、統一に始まり、やがて支配層が腐敗し、革命が起こり新しい王朝に変わっていく。その繰り返しである。そうならないために、軍事的な力を持って内外の安定を保つしかない。治安維持費が国防予算を上回る実態がそのことを表している。
孫文が言うように、砂のようにまとまらず、自己主張が強い国民を一つに束ねようとする中国共産党は大変である。文化強国と打ち上げたものの、マルクス・レーニン思想からは高尚な理念は出てこない。
それではと孔子や老子に立ち返って儒教や道教に立ち返っても、法輪功のように組織化されると恐ろしい。ましてや易姓革命に火をつけるかもしれない。結局、何の理念も持ち合わせていない。
力と愛国教育だけで国民を引き付けるには不十分で、結局13億の民を食わせ豊かにし、中国が強いことを実感させ続けることしかない。そのために、経済発展に頼るしかなく、7.5%の経済成長ではまだ不十分で、海外の資源や食糧を独占することも遠慮はしない。妥協などあり得ない。
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