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「2010.12.4 黒い彗星★救援会」跡地 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2011-07-12

「12.4 黒い彗星★救援会」総括報告

 前回の更新からずいぶんと時間がたちました。私たち「12.4 黒い彗星★救援会」が消滅してからと同じくらい。この「会」は、もう存在しません。ブログ担当者(常野雄次郎:つねの・ゆうじろう)は、まずそのことを誇りに思います。「会」の結成にあたり、私たちはしかるべきときに解散し、その後は逮捕当該に対する「会」としての影響力を放棄するということを誓約しました。ほかのどんなことにいたらぬところがあったとはいえ、報告集会後の総括会議において圧倒的に確認しました。

 一方、この「跡地」において、いくつかの文章や映像などを順次公開していくことも、その会議で合意していました。これまで更新がとどこうっていたのは、ひとえにブログ担当者の怠惰によるものです。たとえばその一つ。


           「12.4 黒い彗星★救援会」総括報告 (7月版)


 「12.4 黒い彗星★救援会」は、1月23日の報告集会をもちまして解散しました。ご支援いただいた全国・全世界のみなさまに、あらためてお礼申し上げます。

 黒い彗星の愛されキャラが功を奏してか、逮捕当日からバラエティに飛んだメンバーが集まり救援会が結成されました。弁護士にも恵まれ初動からうまく連携できたこと、決定的な現場映像の存在たくさんの激励と多額のカンパ(31万2117円)*1、そして本人のがんばり、ご家族の理解もあり、異例の早期釈放、そして不起訴決定をかちとれたことは特筆に値すると思います。

 反面、黒い彗星は、12.4当日の集団暴行・不当逮捕による身体的ダメージにくわえ、インターネット等における誹謗中傷にダイレクトにさらされることとなり、精神的負担も大きかったかもしれません。くわえて、黒い彗星をサポートする過程で、救援会のやり方や方針について多くのご意見、ご批判もいただきました。救援会は、黒い彗星の意思を最大限尊重しつつ、救援会としての独自の方針を立てました。この不当逮捕事件はひとりの在日朝鮮人への二重三重の差別によって起こったものであること。黒い彗星が問うたのはわたしたち救援会を含むこの日本社会の無惨なありようであり、救援にあたるわたしたち自身にも向けられていること。救援会自身がこれらに自覚的になることを出発点に、救援会は黒い彗星とはことなる立場にあることもまた自覚しながら、不当逮捕に反撃するキャンペーンを行ないました。

 サヨクの伝統では、救援会はまず「逮捕・拘束」という不当な事態にかかわるサポートを行なうものとされていますが、早期釈放をうけて、黒い彗星の身の安全の確保(名誉毀損、誹謗中傷、襲撃や生活圏へのいやがらせ対策など)。さらに、萩尾健太弁護士による報告集会発言にもあるように、不起訴にあたっての「嫌疑なし」明記が獲得が命題となっていきました。そのために、救援会メンバーの間でも、この方針をふまえて具体的にどう発信していくか、12.4朝鮮学校差別デモへのスタンス、救援会メンバーではない方々とどのように連携するか、ネット上での対策、報告集会の構成などについてもさまざまに意見が分かれたにもかかわらず、個々の課題で意思一致に向けた話し合いが充分であったとは言えません。

 とくに早期釈放の決め手となった現場映像をご提供いただいた方には12.4の現場で黒い彗星と同じく差別・排外主義者そして警察権力による剥き出しの暴力に強烈にさらされたにもかかわらず、救援会からは協力を仰ぐばかりで過度の精神的負担を強いてしまいました。黒い彗星への信頼あってこそ協力を申し出てくださった方々に、不信感を与える結果となってしまったことをおわびし、ご協力にあらためて感謝いたします。

 これらは、黒い彗星との間に、そしてメンバー間にも本来あるはずの考え方の違い。さらに、通常のサヨク救援とは異なるメンバーの多様性や外部協力者を意識しつつも、十分に話し合うことを怠っていたせいでもあります。ていねいな応答のやりなおしを、権力対峙のさまざまな場面で、この日本社会の中でどのように可能か、個別具体的な場で鍛えなおし実践していきたいと思います。


 3月11日、東北地方をおそった大地震と津波で、黒い彗星の生まれ育った街もまた壊滅的な被害をうけました。黒い彗星は現在、避難所ボランティアなどをしながら、被災地からツィッターをつうじて自ら発信しています。悩み迷いながらも、本来のペースをとりもどしつつあります。

 12.4黒い彗星救援会も、役割を終えました。

 わたしたちはこれからもこの事件を風化させることなく、黒い彗星のメッセージに各々応えていこうと思います。

 あたたかいご支援をよせてくださった多くのみなさまに感謝いたします。

*1:そのほとんどは、お願いからほんの数日以来に寄せられ、むしろもう十分ですという広報が必要となったくらいです。

渋谷望渋谷望 2012/07/13 23:51 上記の総括から1年たってしまっていますが、救援に関わった個人として忘れるべきではないと思い、以下の小文を投稿いたします。
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 運動には理想的な社会への想像力が必要である。当たり前と思うかもしれない。しかし僕らは理想的な社会がどんな社会か知らない。
 差別やいじめをしてきた人たちやそれに加担してきた人たちはそれを知らない。それを知らないから差別やいじめをしている。差別がない社会などないと開き直る人さえいる。いじめる人はいじめられた経験をもつことが多いが、その意味で彼らも広い意味で被害者である。僕はほとんどの日本人はこの意味で差別の加害者でありかつ被害者であると思う。
 しかし差別され、傷つけられた人も理想的な社会とは何かを想像することは難しい。理想的な社会とは理想的な人間関係をつくることである。だが僕らはいったいその何を知っているのだろうか。まずこれを認めることから出発する必要があるのではないか。僕らは理想的な社会や関係の形成がどんなものなのかほとんど何も知らないということから。
 救援会の活動で孤立し傷ついた人もいた。彼/彼女が運動に何を求めるもかに関して、他の人たちとすれ違いがあったのかもしれない。しかし運動は何かの目的のための手段に純化されることはなく、それ自体が「社会」であり「共同体」でもある。つまり運動をやる以上、理想的な社会を想像し、それを運動の内部で実現する義務がある。だから彼/彼女を気にかける必要があり、なぜ彼/彼女が傷ついたのか想像し、彼/彼女を暖かく迎える必要があったと思う。これは何よりも自分を振り返ってのことだ。ついついスルーしサボってしまったのだ。
 とくに在特会のような差別は恐怖とトラウマを散布する。とても恐ろしいことだ。だから僕たちは恐怖とトラウマから仲間を守るために何ができるか考える必要があったし、今でもある。
 それでも救援会の活動にかかわり、いくつかの場で理想的な社会とはこういうものかを感じるとることができた。またそれはうれしいことでもあった。

 ある社会運動が終わるということはない。たしかに区切りをつけるということはある。しかし運動の経験はその人生に刻印される(積極的に関わった人であればあるほどそうだと思う)。その経験の意味が何十年後かに気づくこともあるだろう。だから個人の内部では他の運動と切り離すことはできない。救援会の活動は終わったが、私たちはまだその影響を受け続けている。そしてこれからも運動は閉じることはないだろう。そのことは希望である。

夏みかん @nmikanw夏みかん @nmikanw 2012/10/01 08:36 12.4救援会への問題提起ー傷ついた人たちが癒されることを願って。すべての子供たちのために。

12.4抗議行動の同行者で動画を撮影した夏みかんです。

この12.4救援会への問題提起は、レイシストたちの暴力性と、救援会のありかたについて、みなさんに考えていただけたらと願ってのものです。
当事者としての率直な意見と要望を述べさせていただくことで、将来の被害者への負担を少しでも減らせたらと希望しております。

最初に説明しておきますが、わたしはノンポリ出身中道の在日女性であり、活動家ではありません。
救援会には所属しましたが、具体的に救援とはなにをするものかも知りませんでした。

12.4渋谷事件で、当事者2人はレイシストたちからの身体的暴力、言葉による暴力、心理的性暴力を受けたことにより今でもPTSDに苦しんでます。

わたしは救援会結成当初から会(主要メンバーはヘイトスピーチに反対する会)に
問題提起を続けてきましたが、ごく一部の人以外には無視され、事件のPTSDを悪化させ、フラッシュバックを起こすほどの言葉を投げつけられたことも数回あります。

2011.7発表の総括文にある「ていねいな対応」は、その後もありませんでした。

わたしは慰安婦問題を考えることで、公式な謝罪の大切さを学びました。

そして、年老いた親の介護をできるだけしたい。
在日被曝二世として反原発問題にできるだけ参加したいとの想いから、
PTSDからの回復のステップの一つとして、救援会に去年夏から反省会での話し合いと公式なお詫びを要望してきましたが、返ってくるのはよりひどい態度でした。
言い訳と12.4行動者への責任の押し付け、無視と話し合いの拒否という差別といじめの古典的手法、最後には脅迫があっただけでした。

わたしは彼らの反省のなさと態度に、怒りと悲しみを同時に感じました。

わたしが救援会で受けたのは、在日差別、女性差別、病気差別です。
在日二人は会から搾取、消費され、分断され、事件による心の傷をより深くしただけでした。

わたしを差別した人に直接、問題提起しても、在日とPTSDへの無理解により悪循環する状態です。

わたしが会で経験したのはファシズムでした。

しかし、わたしは彼らの反省を待つことにします。


12.4救援会のミスは、

・被害当事者2人をサバイバー(トラウマ体験者)とする視点がまったくなかったこと。これについては無知、無理解が原因の一つでしょう。

・サバイバーの視点がなかったので、いろいろな場面で、会から被害当事者へ見えない支配と差別があったこと。

・事件を在日への差別問題としたので、女性差別問題が影に隠れてしまったこと。

・被害当事者のショックを理解して法的な不安、心理的不安などの解消をするよりも、事件のPR、左翼としての政治利用を優先したこと。

・目的と目標が各人バラバラで、統一の話し合いがなかったこと。

・役割分担の話し合いが事前に充分できていなかったこと。

・会解散後、改善案や問題点を話し合う機会、方法を決めておかなかったこと。

などです。
これらにより当事者2人は、休養し、内省する時間を奪われ、回復に必要な環境を整えることができませんでした。

みなさん、PTSDや心の病気にもっと興味を持ってください。
人は小さなやさしさに助けられるものです。

傷ついた人たちが癒されることを願ってます。
すべての子供たちの将来のために。

おすすめ参考文献リスト

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book) 安田 浩一
http://www.amazon.co.jp/dp/4062171120/ref=cm_sw_r_tw_dp_ZdJzqb020BFW4

残酷な神が支配する (1) (小学館文庫) 萩尾 望都
http://www.amazon.co.jp/dp/4091916112/ref=cm_sw_r_tw_dp_.iJzqb13G4H23

心的外傷と回復 〈増補版〉 ジュディス・L. ハーマン
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