峰 不二子
      MINE FUJIKO


 1    キャラクター誕生のいきさつ
 
 
 
原作不二子のモデルはアレクサンドル・デュマの小説「三銃士」に出てくる冷徹な女スパイ、ミラディー(発音上ミレディと称される事もある)。「ミラディー」とは個人名ではなく、イギリス貴婦人を指す呼称である。これは最初からミラディーをモデルにして描いたというよりも、後で気づいたらミラディーが不二子のイメージモデルとしてあったということらしい。原作者は「三銃士」が大好きで、不二子に限らず「ルパン」の人物構成はこの小説からイメージされた物だと言う。後にリチャード・レスター監督が1973年に映画化した時ミラディーはフェイ・ダナウェイだったが、これはモンキー・パンチのミラディーのイメージとは違うそうである。江戸川乱歩の「黄金仮面」にも不二子という女性が出てくるが、これは峰不二子の名の由来とは直接は関係ない。
 
その名はたまたま机の前にあった富士山のカレンダーから思いついた物である。その時の表記、葛飾北斎の富嶽三十六景の版画『霊峰不二』で使われていた文字「不二」(二つとない山)から取っているそうである。苗字の「峰」の方も同じく「富士山の峰」からであるが、こちらは「タバコの銘柄『峰』」から取った」という記述も巷に一部にある。ただし、煙草「峰」の発売は1973年7月で、原作「峰不二子」の初登場はそれより遥かに以前の事なので、これは真実ではないだろう。
 

 2    パラレル設定の不二子
 
 
不二子のキャラの役割は「ルパン」の「ボンド・ガール」である。その為原作者は漫画アクションの「ルパン」を執筆する際、最初007のボンド・ガールと同じように違う女性を一話ずつ入れようかと思っていたが、それでは名前や顔をいちいち変えて考えねばならず大変なので、その時々でストーリーに合う女性像を「話が面白くなればいい」という位の気持ちで、全て不二子にやらせることにした。本当は敵側と味方で別々の女性にしようかとも思ったが、それすら面倒になりどちらも不二子に統一した。その為に原作初期(旧)では、不二子がその話ごとに様々な性格と役処で登場する。
 
手塚治虫の「スター・システム」といわれるキャラ設定法と同じだが、これは原作者が手塚治虫ファンであることも影響しているのかもしれない。更に原作不二子の場合「不二子」という名自体もヒロインの代名詞として全般に使用している為、作品世界はより摩訶不思議な味わいとなっている。尚、不二子は俗に「アクション・ガール」「モンキー・ガール」と呼ばれていた初期「漫画アクション」の表紙モデルも兼ねているそうである。
 
上記の特殊なキャラ設定からも判るように、不二子自身の設定には固定化した繋がりはないので「1話ずつ異なる人間関係の設定」と観たほうが良い。原作で設定的な物として拾える主な物は以下の様な物だが、これらも原作者による決定稿とは断定出来ない。
 
 
血液型О型
年齢18歳 ※ただし催眠状態での返答
父は病院の院長をしており、ルパンに殺された
地下日日新聞社に勤める兄がいる
「ネズミ一族」の一味である事も多い
 
等。
 
兄についであるが、「とぶな悪党」に出てきた「兄がルパンに殺された」という不二子は初出では「リンダ」という名であり、不二子とは別人設定だった可能性があるので、ここの例では除外した。
 
尚、旧原作「告白シリーズ」(いわゆるジャリ話)においてのボンド・ガールはお目付け役の女性であるが、平均的な峰不二子像とほぼ変わらない。ルパンが最初にアニメ化を企画された時「企画書内シノプス」で不二子を「三世のお目付け役」と記した仮設定があるが、それはこの話から出てきたイメージづけかもしれない。
 
アニメでは一人の女として主に「謎の女」「裏切り者」等といった性格や役付けで描かれているが、これは原作のイメージから制作スタッフがアニメ向きに独自に再構築した物でオリジナルのキャラ性とは無関係である。あえて言うなら「トリプルプレイ」に出てきた峰不二子がアニメ版峰不二子の原型といえるだろう。これは一番最初にアニメ化された「ルパン三世〈PILOT FILM〉」が、この原作話を元にして作られた物だという事が大きく影響していると思われる。
 
ただし原作でも「新冒険」シリーズ以降の不二子のキャラクターはひとつに絞られ、むしろアニメの役処に近い物になっている。
 

 3    不二子の呼称
 
 
「不二子」の呼称はひとつとは限らない。「フジ」「フジ子」と呼ばれている場合もあるが、これは不二子と別人というよりは「五右ェ門」が初期「五ェモン」と表記されていたように、原作者の気分任せの表記や「愛称」としての呼称とみた方が自然に思える。一方で同じ「不二子」でも顔の雰囲気が若干違う「戸井木不二子」という別名のキャラもあり、必ずしも「不二子」と出てくるからといって「峰不二子」であるという確証はない。
 
また峰不二子以外に「不二峰子」というアナグラム名のキャラも幾度か登場する(「大募集 義賊部々員」他。現在は「峰不二子」に一部改訂)。原作者によれば、この「不二峰子」は名をひっくり返した、いつもの「峰不二子」の事であるらしい。
 
 
『女のコは不二峰子(いつもの峰不二子。ルパンのパートナーをひっくり返して)』
〔1968年10月1日初版発行「コミック入門」/双葉社〕
 
 
このキャラが出てきた「角帽シリーズ」は、パラレル性の高い原作初期においても、かなり番外編的な要素の強い設定であるため、いつもなら「峰不二子」とするところを、あえて名も変えてみたという見方も出来る(だがその話の続編では改めて「峰不二子」が出てくる) 「ナサケ・・・・・・御無用!!」で現在「北海道支部 峰不二子」となっている不二子名も、初版では「びわせ不二子」である。ここでは「日本全国の支部からルパンの部下が集まった」という事になっているので、ヒロインである不二子に、原作者があえて自身の故郷である北海道を担当させたとみる事が出来る。「びわせ」も又、原作者の生まれ故郷である北海道浜中町の霧多布湿原側に位置する湾だからである。
 
顔や容姿は不二子そっくりだが、名前の出てこないキャラや、肩書き・通称のみで本名は不明のキャラもある(「シャイナ国紅守隊指導者」「フウテン探偵」「お茶の水医師(「お茶の水」を名前でなく、医院名と捉えた場合)」など)。これらも「不二子」とみなして良いようにも思えるが、「お茶の水医師」などは、続編で明らかに別人設定の「峰不二子(初版では「びわせ不二子」)」が出てくる為、顔だけでは「峰不二子」だと断定は出来ない。それでも「1話ごとに別設定」である不二子なら、このどちらも「不二子」として描かれていたとしても不思議はない。しかし原作に出てくる女性が全て不二子かというと、必ずしもそうでもなく、このように原作不二子は顔や名前だけでは果たしてそれが「同一人物の別設定」か「別人」か「別名」か判らないのである。そのスタンスが伺える記述としては、「第一人称」に出てくる女についての原作者のコメントがある。
 
 
『女の登場です。思いがけず峰不二子というわけです。が、峰不二子かどうかは分かりません。』
 
 
ここは細かく考えるよりも、素直に原作者の言葉に倣い「出てくる女性は性格や設定が違うだけで全て峰不二子。ただし、たまには別人キャラもいる」といった辺りを基準にして良いように思う。一応キャラが統一された「新冒険」以降の不二子では、不二子か別人かははっきりと描き分けられている。
 

 4    不二子の体型(スリー・サイズ)
 
 
不二子の体型モデルは雑誌のピンナップ・ガールからであり、特定の人物はいない。原作者がグラマラスな体が好きだからこういう体型に描いたというよりも「連載がヤングアダルト向けの雑誌だから、ある程度お色気も必要になってくる」という判断があり、また絵的にも、この方が描きやすかったからだそうだ。ポーズは映画に出ている女優達を参考にしている。無意識に描く時にもそうなっていることが多いという。
 
アニメ不二子の3サイズのゾロ目(B99.9W55.5H88.8)※1は原作者が「語呂あわせで覚えやすいからそうした」という発言をしているが、実際には原作本編でこの設定が用いられた事は無く、最初にこれが著されたのは初のアニメ化の際の企画書上である。
 

 5    不二子の友人・知人関係
 
 
パラレル物で1話完結主義の原作だが、それでもシリーズ中何度も登場する名前のキャラがいる。それは主に不二子の友人役として出ることが多い「ミチ」または「ミッチ」という女性キャラである。この名は第一話で不二子似の女性「ミッチのお姉さん(名称不明)の妹役として「不二子」名より先に登場している。ところが彼女の場合も、話によって不二子以上に性格が違い、顔など見ると別人と考えた方がいいような場合もある。これもまた「不二子」とは違うやり方でのスター・システム(同じ役を違う人物が演じる)とみてよいのかもしれない。
 
名前も顔も同じ「大吉」という大男のキャラも2回登場している。彼の場合は不二子(または不二子らしき女性)の部下の役柄であるようだ。性格もほぼ同じであり、不二子に忠実、朴訥な雰囲気がある。彼の場合は1度目の登場で死んでいるが(「サイケ馬鹿」)、その後再び登場している(「免許皆伝」)。※2
 

 6    不二子とルパン小僧との関係
 
 
平成16年4月21日「トリビアの泉」という番組で「ルパン三世と峰不二子の子供がいる」という内容が放映されたが、これは正確には半分誤りである。「ルパン小僧」は本編「ルパン三世」とは別の漫画であり、直接の相互関係はない。また「ルパン小僧はルパン三世と峰不二子の子供」と書籍にあるのは出版側によるキャッチコピー作成で、本編中では不二子そっくりの女性は、一度も「不二子」という名では呼ばれていないのである。
 
「ルパン小僧」はTVアニメ・セカンドシリーズで子供に「ルパン」が人気を博した事を知った双葉社が、書籍でも子供をターゲットにファン層を拡大しようと「少年アクション」を創刊する際、「ルパンと不二子の間に4世をつくって連載をしよう」と原作者にもちかけた設定である。原作者はこの設定を嫌がり筆が進まなかったと言っている。理由としては「子供相手に、子供を泥棒にした漫画を描いていいものか」というものであったが、更に本音をいえばクールで危険な男の世界観を大事にする原作「ルパン三世」に、マイホーム嗜好の「家族設定」を持ち込む事を嫌がった、というのは間違いないだろう。不二子は1回ずつ違う役回りではあるが、基本的に「ルパンとは相反する位置」にあり、基本設定は「愛すべき、しかし敵」なのである。
 
 
 
『コミック版ルパン三世は全く子供向きではない。あくまでもヤングを対象にした作品である。全体の構成は極めてクールに描いたつもりだ。
◆峰不二子について―――――――――――
完全に「ルパン三世」のライバルとして描いた。当然利害は相反する立場においた。時には男性に容赦しない危険な女性。「ルパン三世」唯一の好みのタイプ。・・・と、これが本来の「峰不二子」像だ。』
〔GEORGIAリアルポーズ ストラップ コレクションアクションポーズ フィギュア原作40周年記念特別寄稿!原作者モンキー・パンチ先生が語る!真の『ルパン三世』像とは・・・?2007年/日本コカ・コーラ〕
 
 
 
おそらく嫌々ながらも、この設定を描いたのは出版社との関係で、断りきれない事情があったとみるのが妥当だろう。(「風魔一族の陰謀」での声優キャスティング変更でのいきさつにもみるように、原作者は義理のある相手を断りきれない性格である)。「ルパン小僧」で不二子似の女性を出しても彼女の名は出さず、また「4世」ではなく「小僧」とし、登場するルパン三世の口からも「息子」とは一度も呼ばせていない事等も、「小僧」が「三世」や「不二子」の血縁と断定させない為の、原作者のささやかな抵抗だったのかもしれない。
 
しかし単行本になった「ルパン小僧」は、世間にも「ルパンと不二子の息子」という認識を広めていった。そういう時期に登場した話が原作「新ルパン三世」本編の「死闘!!不二子対ルパン小僧」である。この話に出てくる不二子は自分を偽物というルパン小僧に対して不快感を顕わにし
 
 
「よしてちょうだい気もちわるいわ もう一人のあたしがパリにいるなんて しかも子供まであるなんて
 
「第一、アタシとルパンとそんな関係をむすんだ事実はまるでありませんからねッ」
 
 
と断言する。この不二子の言動は、おそらくは原作者の代弁でもあるのだろう。それだけ別漫画「ルパン小僧」設定が本編「ルパン三世」内で固定化されることを拒んだともいえる。「ルパン小僧」と違い、この話の不二子は明確に「峰不二子」と呼ばれている事からもそれが伺える。だが、ここで目をひくのは不二子の「もう一人のあたし」という台詞である。これは暗に「ルパン三世」がパラレル物であることも示唆している。
 
そこで気づくのは、「ルパン小僧」からしてみると自分の漫画の設定こそが「本編」であり、「ルパン三世」はパラレル側であるということである。つまり小僧からみれば「ルパン三世本編の不二子はパラレル設定の偽物」「ルパン三世本編」の不二子からすれば「ルパン小僧」側がパラレル側の偽物なので、「ルパン三世本編の自分は本物」ということになり、それを基準にすれば双方の主張はどちらも正しいことになる。また「ルパン三世」本編側に登場する「死闘!!不二子対ルパン小僧」の不二子は、話の流れから見ても本物とみた方が自然だろう。
 
それでも、あえて「ルパン三世」本編の不二子を本物か偽物かあやふやな結末に演出したのは、出版社や「ルパン小僧」好きの方に対する原作者の配慮だろう。原作者は自分の主張ははっきりとは述べるが、だからといって、自身の好みと違う物を叩き潰すような真似はしない。「パラレル設定」がある限り「その場限り」と割り切れる、違う設定は幾らでもあるのだからと、好みとは別にしてあらゆる設定の存在を容認している。この姿勢はアニメで原作の手を離れ、違う姿になってしまった幾つもの「ルパン三世」たちに対する、暖かな眼差しとも共通する。しかし、決してそれは「自分の世界観を曲げた」ということではない。原作者の手を離れた物に対しては寛大だが、原作者自身のオリジナルまでも誤解されるのは良しとしないだけである。だからこそ「死闘!!不二子対ルパン小僧」で原作者は自身の意思をあえて表したのであり、自身が監督になった劇場版アニメ「DEAD OR ALIVE」では「自身の作品」であるが故に、従来のアニメ設定にあれだけの抵抗をみせたのである。これらを整理してみると
 
 
「ルパンと不二子の子供という設定で漫画を描いてといわれ、その仕事を請けたので、『ルパン小僧ではそういう設定なのか』と聞かれれば否定はしない」
 
「ただし『ルパン小僧』本編では、小僧は四代目とは名乗らせず、母も不二子とは決めつけられないように無名にしてあり、如何様にも受け取れるよう曖昧にしてある」
 
「『ルパン三世』本編内では『ルパン小僧』の設定は無効という主張が『不二子』を通して語られている」
 
 
となり「『ルパン小僧』も一種のパラレル設定であり、『本編ルパン三世』用の設定ではない」という事に落ち着きそうである。最後に、原作者自身の口から語られた本音と思える言葉を記しておきたい。
 
 
『アニメ作品は自分の作品でなく別のものと考えている。「ルパン三世」では5人の人物設定は変えないで、自由につくってもらうようにしている。ただし「生活感なく」。例えば、不二子に子どもがいた!なんていう現実臭は出してほしくない。』
 

 7    担当声優・俳優
 
 
◇メイン声優◇
 
増山江威子
「〈PILOT FILM〉(パイロットフィルム)」「ルパン三世(テレビ第2シリーズ)」「ルパン三世PARTV」「劇場版『ルパン三世』(俗称『ルパン対複製人間』)」「カリオストロの城」「バビロンの黄金伝説」「くたばれ!ノストラダムス」「DEAD OR ARIVE」「生きていた魔術師」「GEEN VS RED」「ルパン三世VS名探偵コナン」 テレビスペシャル(1989年〜2010年)  その他下記以外の本編・ソフト・アミューズメントメディア
 
二階堂有希子
「ルパン三世(テレビ第1シリーズ)」
 
沢城みゆき
テレビスペシャル(2011年〜) 2011年10月以降のCM・ゲーム・パチンコメディア。
 
小山茉美
「風魔一族の陰謀」
 
◇その他◇
 
藤野由希
「紙芝居セット封入ソノシート(株式会社グロウ・ユニオン)」
 
江崎英子
「ルパン三世 念力珍作戦(実写映画)」
 
横山智佐
「ルパン3世 D2 MANGA」
 
沙羅さおり
「 ルパン三世 I'm LUPIN(ミュージカル)」
 
 
 
パイロットフィルムで増山だった不二子役がテレビ第1シリーズで二階堂に変わったのは、当時の増山がパイロットフィルムでルパンが裸になり不二子に飛び掛るシーンで、増山が絶句して声が出なかったというのが理由である。「こんなにお嬢さんではルパンは無理」ということで大隅(当時名)が声優交代を決めた。
 
テレビ第2シリーズでは増山に「声が違う」という抗議の手紙が多く寄せられたが、それを増山に報告してくる者がいて、増山は「私だってちゃんとオーディションで選ばれたのに、何故そんなことをわざわざ報告しに来るのだろう」と傷ついたという話をしている。後に増山が山田の後継役、栗田を庇う発言が多いのも、自身のこうした経験からくるものもあるのかもしれない。横山は以前から「ルパンに憧れて声優になった」と公言しており、その発言を受けたモンキー・パンチのはからいで「ルパン三世 D2 MANGA」の不二子役に起用されている。
 

 8    スタッフ・声優からの不二子へのコメント
 
 
大隅正秋(現・おおすみ正秋)
「その時々に変化するようでいて、シンがある。ぼくが『ルパン』に参加した10年前の(※3)、あの時代こそ、さっそうとした女性なんです。完成している大人の女であり、コケットリーでもあるけど、それは、きちんと計算した上での行動でしかない。無理してつっぱってもいないし、徹底してベタベタしない女ですよ。」
 
大塚康生
「神出鬼没だね。泥棒のキャリアウーマンかな。独立してスマートに動ける女性なんですよ。ルパンとも、つかず離れず、スキあらばルパンのエモノもかすめとってしまう、はしっこい女。もう26〜27歳にはなっているけど、過去に何があったかよくわからなくてね。ルパンとは、スッと一線を画していて、好きだというルパンと、それをかわす不二子の、おたがい半分ジョーダンで、大人っぽい関係もいいですね。『ルパン』の人物像中では、もっとも大人だし、もっともユニークな存在ですね。」
 
宮崎駿
「うーーん。ルパンにとって不二子は不二子なんだよ。ルパンと不二子は、古なじみすぎていまさら新しい展開はおこらないでしょうね。つかず離れずのふたりだし、ルパンにとって不二子は不二子なのだから。それと″大人の女″だから、たいていの小娘じゃ彼女にかないっこないでしょうね。ただ、ぼくは不二子が物欲だけに生きる女になったとしたらさみしいことだと思います。不二子には、何かわからないけれども、目的がある、そんな神秘性をいつも感じていたいですね。」
 
「……不二子はルパンの古女房的存在。おたがい知り尽くしていて、うんざりする関係なのでしょう、たぶん。共通の利害があるとき組むことがあるけど、不二子はひとりで生きようと思っているし、ひとりで生きていける女。ルパンが口説いたところで、どうせ本気になれない男だとわかっている。この映画(※「カリオストロの城」)では、ルパンと同じ事件にかかわりながら、目的はことなる人物としてあらわれるはず。」
 
吉川惣司
「徹底した個人主義さ。ルパンの女版だね。他人のことなんかおかまいなし。本当の意味で、男に依存しない女だから、もし実在したら男としてはたまらないですね。女性としてよりひとりの人間として、気になる存在になるでしょうね。」
 
「不二子は最初から女ルパンだと思っています。ただたんに女性というだけで、ルパンとあまり変わらない個人主義者なんですね。自分の欲しい物だけ手に入れる。そのために、有能な仲間として認めているルパン達を利用するんです。長年つきあっていれば情もわくでしょうに、変なヒューマニズムが全然ない連中だから好きですね。マモー編に関していえば、アメリカ型の美女像というものが出ていました。決して、そうしたかったわけじゃないけど、ぼくがアメリカ人が好きだからなんですかね。」
 
芝山努
「さっそうとしていて、動きに大人の女の色気が。不二子は、きびきびした動きのなかに色気のにじみでる女だから、その色気を大切にしました。あのか細い腕に、ずしりと重たい、ほんとうなら持てるわけのないような大型の銃を、ひょいと持つ。そこに、パワーのある、大人としての色気が漂うんです。立つときにしても、背筋を伸ばしてつま先立つ。動作のひとつひとつに緊張感があってこそ、不二子らしいと思いますね。」
 
樺島義夫
「アクティブな女。自由奔放に生きる。不二子は、理解できない女です。国籍や住所も、毎日何を食べているのかもわからない、でも、『ルパン』の場合、そういう女でないとやっていけないんですね。アクティブであり、またチャーミングでカッコよさを持っている。もしもこんな女性が実在したら、やっぱり魅力ありますよね。」
 
北原健雄
「秘密っぽくて、知性もちらついて複雑・・・。悪女っぽくもあるし、かわいいところもある。たんなる美形ヒロインとは違うけれども、けっしてあばすれ女じゃない。年齢でいえば28〜30に近い、大人の女ですね。現代的で行動派なのに、陽気ともいいきれない、そして大人の色気も持っている。だからバカには描けませんでした。もちろん私にとっても、魅力のある女性ですよ。」
 
山田康雄
「ルパンは、結局不二子に逃げられるのがわかっていて、だからこそ、よけいにのめり込んでいくんですよ。″われ笛吹けど君踊らず″っていうこの気持ち、男としてはよくわかります。共感する部分があるんですね、男として。男が、女を求めるのは理屈じゃないんです。」
 
増山江威子
「不二子は変幻自在、クルクルその場で変わってしまう、つかみどころのない女性。けっしてあたり前の女じゃないんですね。男性に何かしてほしい時に甘えるのは、女性ならだれでも同じだけど、不二子は甘えながらもルパンにすべてをゆだねたりはしない女性。甘さの中にさめた部分がいつもあるんですね。」
 

 9    アニメ・書籍用設定
 
 
原作では「ディティールを一切もうけない」のを主義としているためすべてにおいて「曖昧」「その場限り」または「不明」こそが公式設定である。だからこそ、原作で繰り返し使用された設定は意図的とみて尊重すべきだろう。原作者はむしろ素材(キャラ)そのものの基本性格や人間関係の方に拘るタイプである。
 
逆にアニメやアニメ関連書籍ではその「曖昧さ」を埋めるべく、細やかな設定が一部になされているが、これも時代や媒体によって異なり、何時の間にか変わったり消えたりした設定もある。
 
※「原作不二子の話ごとの設定違い」と「アニメ本編・書籍設定」は一覧表で別枠にて順次紹介予定
 

 10    注釈
 
 
※1
3サイズには、B99W55H88と載った印字物もある。(ルパン三世 DEAD OR ALIVE MEMORIAL COLLECTION〔1996年5月2日/日本テレビ放送網株式会社〕など)
 
※2
初出での登場順による。単行本では逆の収録順になっている。
 
※3
昭和56年当時のコメント。10年前は昭和46年になる。
 

 11    出典文献・リンク集
 
コミック入門〔1968年10月1日初版発行/双葉社〕
「ルパンも知らなかった!峰不二子の謎」〔祥伝社〕
アニメージュ 11月号 〔昭和56年11月10日発行/徳間書店〕
アニメージュVOL.17 11月号〔昭和54年11月10日号/徳間書店〕
ルパン三世公式OFFICIAL magazine WEEKLY漫画アクション5月1日増刊号〔双葉社〕
双葉社MOOK(62)レジャー&ホビーシリーズ(21)アニメコレクション ルパン三世[ルパンVS複製人間]〔双葉社〕
TYPER'Sルパン三世探索隊〔http://members.at.infoseek.co.jp/typerlpn3/index.htm〕
TEAM!チーム男子を語ろう朝まで!〔太田出版〕
2007年「モンキー・パンチ原画展―ペンとデジタルー」インタビュー
Wikipedia
 
【御礼:補足情報提供】 werewolfさん reinaさん
 
情報の出典先多数の物(原作コミック等他)は記述を省略させて頂きました。データは主に原作初版物のほか、原作者とスタッフ自身のインタビュー・著書・対談・寄稿を基に収集し、とりまとめています。Wikipedia情報は転載ではなく参照で、その正誤性は当サイトが独自に判断しました。その為記述がWikipediaと異なる部分もあります。テキストには管理人の推測・主観が含まれている事をご了承ください。内容は新情報により常時追加訂正を行います。
 
 
 






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