規制緩和の米産牛肉 年明けにも流通へ11月6日 19時10分
BSE対策として行われているアメリカ産牛肉の輸入規制について、厚生労働省は、「生後20か月以下」から「30か月以下」に緩和する方針を決め、早ければ年明けにも規制の緩和で輸入された牛肉が国内で流通する見通しになりました。
厚生労働省はBSE対策として、7年前から、アメリカ産の牛肉は生後20か月以下に限って輸入を認めています。しかし、この10年間に生まれた牛でBSEへの感染が確認されていないことなどから、専門家会議を設けて検討した結果、BSEの病原体が蓄積しやすい脳やせき髄などを取り除くことを条件に、生後30か月以下に規制を緩和する方針を決めました。
厚生労働省によりますと、アメリカで出荷される肉牛の90%以上は生後30か月以下ということで、早ければ年明けにも、規制の緩和で輸入された牛肉が、国内で流通する見通しです。また、カナダとフランス、それにオランダについても、アメリカと同様、規制を緩和する方針を決めました。
一方、国内で飼育され、食肉となるすべての牛について、現在BSEの検査が行われていますが、厚生労働省は来年4月からは、30か月以下の牛は検査の対象から外すよう基準を改めることになりました。
仙台の牛タン店は期待の声
仙台名物の牛タン焼きの専門店からは今回の規制緩和で消費に弾みがつくのではないかと期待する声が上がっています。
仙台名物の牛タン焼きは、以前は多くの店で肉質が柔らかいとしてアメリカ産が使われていましたが、輸入規制によってオーストラリア産やニュージーランド産に切り替える店が増え、仕入れ値が高いアメリカ産を使う店は今は20%程度にとどまっています。現在もアメリカ産の牛タンを使っている仙台市内の専門店では、今回の規制緩和を受けてアメリカ産の流通量が増え、仕入れ値が下がるのではないかと見込んでいます。
宮城県内にはおよそ50店の専門店がありますが、震災の影響で一時は減った観光客が以前の水準に戻ってきているなか、規制緩和を受けて消費に弾みがつくのではないかと期待しているということです。
牛タン焼きの専門店で作る「仙台牛たん振興会」の小野博康事務局長は「牛タン焼きは材料の牛タンが大事なので、アメリカ産が増えれば店の牛肉の選択肢も広がり、客へのサービス向上につながるのではないか」と話しています。
歓迎の一方、安全性に懸念も
厚生労働省がアメリカ産牛肉の輸入規制を緩和する方針を決めたことについて、東京・練馬区のスーパーでは、買い物客から歓迎の声がある一方、安全性を懸念する声も聞かれました。
このうち60代の女性は「アメリカ産の牛肉を煮物に使っているが、安全性が確保されるのであれば、価格が安くなると思うので、歓迎です」と話していました。
一方、70代の女性は「安全性が分からないので、今は買っていません。心配なので、しばらくは様子を見ようと思います」と話していました。
このスーパーでは、現在販売している牛肉のおよそ20%がアメリカ産ですが、輸入が再開されれば販売量を増やしたいとしています。
食品スーパー「アキダイ」の木村正太郎さんは、「規制が緩和され輸入量が増えれば、今よりも価格が20%ほど安くなるという話もあるので、明るい材料だ。安全性が確保された牛肉が入れば、お客さんの選択肢が増えるので、取り扱い量を拡大したい」と話しています。
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