【宮崎園子】風俗営業法の適用によるクラブの摘発が関西を中心に各地で相次ぐ中、風営法の改正をめざす「レッツダンス法律家の会」が1日、発足した。各地の弁護士ら102人が名を連ねる。「風営法によるダンス規制は、憲法が保障する表現の自由を奪う」として、法改正を求める署名活動や国会議員への働きかけに取り組むという。
メンバーはこの日、大阪・ミナミのアメリカ村にあるクラブで立ち上げの会を開催。約70人が聴き入る中、摘発が続く現場の状況や法改正のあり方をDJら音楽関係者と議論した。
風営法では、客にダンスと飲食をさせるクラブは、都道府県公安委員会の営業許可をとる必要がある。代表を務める中村和雄弁護士(京都)は、「法律はダンスの『営業』を規制しているが、結局ダンスをすること自体を規制している」と問題提起した。
ダンスシーンの歴史に詳しいダンスイベント企画会社代表、マシーン原田さんも「ダンスは音楽に合わせて自由に表現するもの。規制があってはならない」と話したうえで、日本のダンスシーンが世界的に注目されている点にも触れた。
暴力や薬物を排除する業界の取り組みや、市をあげてクラブを観光産業化した独・ベルリンの例などの報告もあった。
■「ダンスに資格?」
【神庭亮介】1日に大阪・心斎橋であったレッツダンス法律家の会の発足イベントについて、記者のツイッターアカウント(@kamba_ryosuke)を通じて試験的に実況中継しました。そのつぶやきをまとめる形で、イベントの雰囲気をお伝えしたいと思います。
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第1部は「ダンスシーンで現在進行していること」。司会はレッツダンス法律家の会事務局長の西川研一弁護士と事務局次長の三上侑貴弁護士が務めた。パネリストは、DJのYOJIさん、ミュージシャンのPIKA☆さん、DJのTUTTLEさん、ダンスイベント企画会社代表のマシーン原田さん。
PIKA☆さん「クラブは都会の集いの場。夜働いている人が遊ぶための健全な場所。昼、公民館、夜、クラブみたいな感じ」
TUTTLEさん「六本木のクラブで殺人事件があったが、デパートでも路上でも事件は起こる。そこだけクローズアップするのは問題だ」
YOJIさん「若者に暴れる場が必要。アメリカ村はいま、東京でダメリカ村と言われている。(風営法の規制で)若者が誰も行かなくなって、興味の持てないエリアになってしまうのは悲しい。健全化って言葉はおかしい。エエ子ぶれってことでしょ? クラブは今のままでいい。いい音を鳴らして、いいDJがいて、お客さんが熱狂する。これ以上、健全なことはない」
警察庁が風営法施行令の改正案を示し、パブリックコメントを募集したことについて、パネリストが意見を交わし合った。これまでダンス教室に関しては、社交ダンス系の2団体から講習を受けたダンス講師が客にダンスをさせる場合に限って風俗営業から除外してきた。だが、改正案では、2団体以外でも、公安委員会が要件を満たしたと判断すれば、講習の実施主体として認定されることになる。
西川弁護士「風営法施行令の改正案に対して、法律家の会の準備会もパブリックコメントを出した。まず、改正後もダンスという言葉が残るのが問題。ダンスをさせるための講習内容が適正かどうか、公安委員会が判断する。どんなダンスが適正か、国家が決める。そもそも、ストリートダンスに資格制度はなじむのか」
マシーン原田さん「(ダンス講習の)資格制度は利権・金もうけ目的では。ストリートダンスがはやったのは、自由な表現だったからこそ。頭で回ったりすること自体、何でもアリということ。それを資格としてやることは、ダンスの発展をシャットアウトしてしまう」
東京から和知麻里亜弁護士が中継で参加した。
和知弁護士「ダンスに資格制度はなじまないという声は根強い。一方で、インストラクターさんの間ではレベルアップのために資格を求める意見もある。問題は、警察庁の改正案が、社交ダンスのようなダンス人口の多いメジャーなダンスを想定していること。マイナーなダンスの関係者からは『資格制度ができたら自分たちは違法になってしまうのか』という危機感を持った声も届いている」
PIKA☆さん「ダンスの認知度を高めるために、街に出てパレードをしてはどうか。ダンスは人間の本能であり、日々のやる気や活力につながっているということを、(一般の人に)知ってもらうことが必要だ」
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第2部は「風営法改正へのロードマップ」。レッツダンス法律家の会代表の中村和雄弁護士と、ミュージシャンのPIKA☆さんがフリートークを繰り広げた。
中村弁護士「風営法はダンスを規制しているのではなく、ダンスをさせる営業を規制しているだけだ、という言い方をする人がいる。でも、風営法によって、満足できる施設でダンスをする自由が奪われている。それは、ダンス自体への規制ではないのか」
サプライズゲストとして田中康夫衆院議員が登場した。
田中議員「アフリカのマリ共和国のドゴン族は、『穀物を収穫する』という単語と『お祭りをして踊る』という単語が一緒。どちらも人間であることを意識する瞬間という意味で、これは偶然ではないと思う。(レッツダンスの運動は)人間性を回復する運動だ」
PIKA☆さん「自分はミュージシャンとしてクラブの恩恵を受けてきた。(運動を広げていくために)とにかく仲間を増やして騒いでいきたい。わかりやすく、くだけたイベントをやっていくことで、若い人が社会問題を当たり前に言える空気づくりをできれば」
中村弁護士「中学校の保健体育でダンスが必修化されたことだし、クラブとしてもそういう動きとの連携を図ってみてはどうか。たとえば昼間や土日にクラブを開放するとか。高校生やお母さんら、今までクラブに出入りしていなかった人にも近寄ってもらえる企画ができないか」