隠居老人のつぶやき

桐生 小6自殺 上村 明子さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

ご意見、ご質問、抗議等は、電話番号: 0277-74-3115 桐生市立新里東小学校 岸 洋一校長宛へ

■ 【いじめ】群馬小6女児自殺【学級崩壊】4 2ちゃんねる

■ 桐生の小6女児自殺:いじめ訴訟 両親、校長らの証人尋問申請 市、県側「不要」主張 /群馬 毎日新聞 2012/1/21

■ 「いじめ自殺」訴訟 予見可能性巡り応酬 読売新聞 2011/11/5

■ 小6自殺1年 行政 情報開示に及び腰 読売新聞 2011/10/27

■ 小6自殺1年 「違い」認め理解徐々に 読売新聞 2011/10/26

■ 小6自殺1年 いじめSOS救えるか 読売新聞 2011/10/25

■ 桐生「いじめ」自殺一周忌 遺族「時間止まったまま」 読売新聞 2011/10/24

■ 女児自殺から1年、桐生市長 「二度と起きないよう努力」 群馬 産経新聞 2011/10/22

■ 「学校に義務違反ない」 いじめ裁判 桐生市、主張崩さず 群馬 産経新聞 2011/9/10

■ 桐生の小6女児自殺:学校側の報告書提出は継続審議 /群馬 毎日新聞 2011/7/16

■ いじめの深刻さ 市側否定 小6自殺 第2回口頭弁論 原告側「感覚疑う」 読売新聞 2011/5/21

■ 小6自殺半年 因果関係認めてもらうまで… 読売新聞 2011/4/23

■ 桐生の女児自殺第三者委報告書 学校より一歩踏み込む 東京新聞 2011/3/30

■ 桐生小6自殺「いじめだけ原因判断できぬ」 読売新聞 2011/3/30

■ いじめだけが原因、断定できぬ…小6自殺報告書 読売新聞 2011/3/29

■ 桐生市立 新里東小 命の大切さ訴え 卒業式で自殺児童悼む 東京新聞 2011/3/25

■ 市と県、遺族側と真っ向対立 小6自殺第1回口頭弁論 読売新聞 2011/2/19

■ 桐生の小6自殺訴訟、市と県が両親と争う方針 読売新聞 2011/2/17

■ 桐生市教委 いじめ防止へ研究班 小6自殺受け設置へ 読売新聞 2011/2/1

■ いじめ問題、小中学の9割以上が取り組むも課題残る 文科省調査 産経新聞 2011/1/20

■ 桐生の小6女児自殺:損賠訴訟 来月18日に第1回口頭弁論 /群馬 毎日新聞 2011/1/19

■ 子ども自殺、3日以内に全教員聴取…文科省案 読売新聞 2011/1/6

■ 小中高校で自殺予防教育を検討 文科省 年明けから議論本格化 産経新聞 2010/12/31

■ 桐生小6自殺・遺族提訴 調査委への出席断る 父親「信用できない」 東京新聞 2010/12/28

■ 第三者委へ不信感 小6自殺、両親提訴「家族の意見聞いてこそ中立」 読売新聞 2010/12/28

■ 「いじめが原因」と提訴=小6女児自殺で両親―群馬 時事通信 2010/12/27

■ 明子さんの死を全校児童が悼む 新里東小終業式 東京新聞 2010/12/25

■ 小6女児自殺 両親が賠償求め県と市提訴へ 日テレニュース 2010/12/25

■ 桐生の小6女児自殺:両親、県と市を賠償提訴へ 「不信感募り、待てぬ」 /群馬 毎日新聞 2010/12/23

■ 小6女児自殺 賠償求め提訴へ NHKニュース 2010/12/22

■ 取材メモから2010<1>桐生の小6女児自殺 児童の死 どう向き合う 東京新聞 2010/12/20

■ 桐生の小6女児自殺:父「提訴は迷う」 /群馬 毎日新聞 2010/12/19

■ 小6自殺 両親面談、当面差し控え 通知書に市など回答 読売新聞 2010/12/16

■ 小6自殺で両親代理人の通知書に県や桐生市が回答送付 読売新聞 2010/12/15

■ 小6女児自殺事件に見る“顧客が求める満足感”でなく“わが社にできること” 増岡直二朗 2010/12/14

■ 桐生の小6女児自殺:第三者委、非公開に疑問も 議会協で指摘 /群馬 毎日新聞 2010/12/14

■ 小6自殺で第三者委設置 非公開「委員の意思尊重」遺族にも会合内容伝えず 読売新聞 2010/12/10

■ 桐生小6自殺 両親、直接面談求める 学校などに通知書 東京新聞 2010/12/9

■ 桐生の小6女児自殺:「いじめ原因、認めさせる」 父親が四十九日法要で決意 /群馬 毎日新聞 2010/12/6

■ 知事「いじめも要因」 桐生・小6自殺で学校側批判 朝日新聞 2010/12/3

■ 県教委 いじめへサポートチーム 第三者機関も設置方針 読売新聞 2010/12/3

■ 明子さん自殺後、いじめ15件 転入の4年次に30日欠席 読売新聞 2010/12/3

■ 小6自殺いじめ対応マニュアル 桐生市教委、校長会議で配布 読売新聞 2010/12/2

■ 小6自殺 第三者委、5分野で人選 桐生市 来週中の発足目指す 読売新聞 2010/11/30

■ 児童名伏せ展示、出品辞退… 新里東小、女児自殺受け 桐生タイムス 2010/11/29

■ 社説 いじめ 見ようとしないと見えぬ 西日本新聞 2010/11/28

■ 桐生小6自殺 29日に市教委臨時会 第三者委の人選など協議 東京新聞 2010/11/27

■ 桐生の小6自殺 金銭でなく「誠意を」 父親強調、弁護士と一線 群馬 産経新聞 2010/11/27

■ の・ボール:師走も近くなり、一年を振り返ると… /愛媛  毎日新聞 2010/11/26

■ 「責任認め対応を」 両親が学校などに通知書 群馬 産経新聞 2010/11/26

■ いじめ認知10倍増 2272件 読売新聞 2010/11/26

■ 小6自殺、私はこう見る〜識者に聞く[上] 朝日新聞 2010/11/25

■ 桐生小6自殺 「いじめ原因と認めて」 東京新聞 2010/11/25

■ 桐生の小6女児自殺:1カ月 第三者委設置方針で父「結果待つのも限界」 /群馬 毎日新聞 2010/11/24

■ 悲しみに暮れる両親 校長ら弔問、遺品渡す 読売新聞 2010/11/24

■ 群馬・桐生の小6女児自殺:あす1カ月 かき消されたSOS いじめ過小評価か 毎日新聞 2010/11/22

■ 社説:いじめ 検証から防ぐ手だてを 毎日新聞 2010/11/22

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【識者に聞く6】被害者狭い選択肢 安心感支えるシステムを 読売新聞 2010/11/22

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【識者に聞く5】カウンセラー人材不足 読売新聞 2010/11/21

■ 新教育の森:学校の隠ぺい体質、いじめで浮き彫り 相次ぐ自殺、親と情報の共有を 毎日新聞 2010/11/20

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ【識者に聞く4】つらい仲間外れ 読売新聞 2010/11/20

■ 桐生の小6女児自殺:校外学習、「明子さん、一人だった」−−市教委調査 /群馬 毎日新聞 2010/11/19

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ【識者に聞く3】なれあいが生むいじめ 読売新聞 2010/11/19

■ 女児のクラス 学級崩壊、児童からSOS 読売新聞 2010/11/19

■ 桐生の小6女児自殺:因果関係、再調査へ 第三者委を設置 /群馬 毎日新聞 2010/11/18

■ 桐生市教委 第三者委の設置決める 読売新聞 2010/11/18

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ【識者に聞く2】学校のルール明示を 読売新聞 2010/11/18

■ 桐生小6自殺 第三者委設置を決定 群馬 産経新聞 2010/11/18

■ 少女の死が問うもの 桐生小6自殺<下> 残された家族の苦悩 東京新聞 2010/11/17

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ【識者に聞く1】典型的な学級崩壊 読売新聞 2010/11/17

■ 「学校行くなら死にたい」小6女児、母親に訴え 読売新聞 2010/11/17

■ 少女の死が問うもの 桐生小6自殺<中> 『学級崩壊』で深めた孤立 東京新聞 2010/11/16

■ 桐生市教委 あす臨時会 東京新聞 2010/11/16

■ 少女の死が問うもの 桐生小6自殺<上> いじめを受け止めなかった学校 東京新聞 2010/11/14

■ 桐生市長と教育長 上村さん宅を弔問 読売新聞 2010/11/14

■ 群馬小6自殺、翌朝まで校長に連絡つかず 読売新聞 2010/11/13

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【8】学校へ不信感ぬぐえず 読売新聞 2010/11/13

■ 12歳のSOS:桐生小6女児自殺/下 2日前 /群馬 読売新聞 2010/11/13

■ 小6自殺 市教委「今後の協議で方策探りたい」 産経新聞 2010/11/12

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【7】いじめ…癒えない傷 読売新聞 2010/11/12

■ 小6自殺、5年時から家族訴え 学校、県教委へ報告怠る 群馬 産経新聞 2010/11/12

■ 群馬小6自殺 学校、いじめ調査せず 文科省、1カ月前に依頼 産経新聞 2010/11/11

■ 「いじめ調査報告不十分」 知事、対応の遅さなど批判 読売新聞 2010/11/11

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【6】学校に行かない選択も いじめ救済、情報不足 読売新聞 2010/11/10

■ 桐生市ぐるみの隠蔽

■ 学級崩壊と教員の指導力不足の犠牲に上村明子さん 「どーんと来い・いじめに負けるな裁判を通して」より

■ いじめ定期調査、小中学校に指示 群馬の自殺受け県教委 Asahi.com 2010/11/10

■ 【社説】群馬いじめ自殺 なぜ立ち向かえないか 東京新聞 2010/11/10

■ 県教委「いじめ把握と対応を」 読売新聞 2010/11/10

■ いじめ実態把握へ全校アンケート 小6自殺で文科省通知  日本経済新聞 2010/11/10

■ <群馬・小6自殺>学級崩壊立て直せず 統制利かない状態に 毎日新聞 2010/11/9

■ 11月9日付 よみうり寸評 読売新聞 2010/11/9

■ 群馬いじめ、学校側の当初対応は不適切…文科相 読売新聞 2010/11/9

■ 両親・学校、訴え平行線 女児へのいじめは認める Asahi.com 2010/11/9

■ 小6女児自殺、いじめとの関連認めず…市教委 読売新聞 2010/11/9

■「いじめあった」市教委が調査結果公表 桐生の小6自殺 読売新聞 2010/11/8

■「給食時に一人は異常」学校側、いじめ認定へ 読売新聞 2010/11/8

■【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【5】 指導、無視する児童 2010/11/8

■ 桐生小6自殺 いじめ存否、公の場で 市教委、校長ら呼び聴取へ 群馬 産経新聞 2010/11/5

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【4】マフラー、母への愛か 読売新聞 2010/11/5

■ <群馬・小6自殺>願いは「学校消す」 学級崩壊、孤立深め 毎日新聞 2010/11/5

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【3】「母が外国人」好奇の目 読売新聞 2010/11/3

■ 小6自殺 いじめの事実確認手つかず 群馬 産経新聞 2010/11/3

■ 小6女児自殺、クラス写真の15人の顔に「×」 読売新聞 2010/11/3

■ 「来週、結論と方向性出す」……小6自殺 校長、保護者会で表明 読売新聞 2010/11/3

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【2】情報出さずに「調査中」読売新聞 2010/11/3

■ <群馬・小6自殺>担任「いじめあった」…学校側と食い違い 毎日新聞 2010/11/2

■ 自殺の小6女児、願い事は「学校を消す」 カードに昨秋 2010/11/2

■ 【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【1】SOSの訴え死後次々 読売新聞 2010/11/2

■ 小6自殺 担任教諭が遺族に謝罪 「私の指導力不足」いじめ明言せず 読売新聞 2010/11/1

■ 自殺小6「中学になったら大阪に行く」と友人に 読売新聞 2010/10/31

■ 自殺の女児、作文で「きずつくこと言われた」 読売新聞 2010/10/29

■ 社説:小6自殺 少女の死が問うもの 毎日新聞 2010/10/29

■ 桐生市小学生いじめ自殺事件 学校は、何故事実を公表しないのか

■ 新人教員の“退職”最多 精神疾患・なじめない… 産経新聞 2010/10/28

■ 【小6女児自殺】校長、教頭が遺族訪問 いじめの有無言及せず 2010/10/28

■ 自殺の小6、「友達っていいな!」と遺品の漫画 読売新聞 2010/10/27

■ 小6女児自殺受け、臨時校長会開く 2010/10/27

■ 桐生市いじめ自殺、保護者説明会で曖昧な説明に終始 2010/10/27

■ いじめアンケ完全実施を/県教委 全市町村教委に通知へ 2010/10/27

■ 桐生市小学生いじめ自殺事件の続報 2010/10/26

■ 桐生の小6女児自殺:娘は学校でひとりぼっち 父親「解決策示されず」 /群馬 2010/10/26

■ きのうのことだが校長先生がみえて、『全校生徒の前ではいじめとか自殺とか伏せて話したい』と。2010/10/26

■ 小6女児が自殺−父親「学校でいじめ」訴え /群馬県桐生市 2010/10/25 讀賣新聞群馬版  画像

■ 参考資料


桐生の小6女児自殺:いじめ訴訟 両親、校長らの証人尋問申請 市、県側「不要」主張 /群馬 毎日新聞 2012/1/21

 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(当時12歳)が10年10月に自殺したのは学校側がいじめを放置したためだとして、両親が市と県を相手取り3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第5回口頭弁論が20日、前橋地裁(西口元裁判長)で開かれた。両親側は、同小の校長、当時の担任教諭など計8人の証人尋問を申請した。
 両親側は、学級崩壊状態に陥っていたクラスへの指導や担任教諭からの報告の内容について、校長への尋問が必要、また明子さんのクラスでの様子などについて担任教諭に尋問すべきだ、と主張した。市、県側は「証人尋問は不要」とした。【塩田彩】

「いじめ自殺」訴訟 予見可能性巡り応酬 読売新聞 2011/11/5

両親と学校側、全面対立
 昨年10月、桐生市立新里東小6年の上村明子さんが自殺したのは、学校でのいじめや不適切な対応が原因だとして、両親が市と県に3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第4回口頭弁論が4日、前橋地裁(西口元裁判長)であった。いじめと自殺の因果関係や自殺の予見可能性の有無について、双方の主張は全面的に対立した。次回は1月20日。
 原告側は、1980年代以降のいじめ問題の歴史をふまえた上で、「いじめの対象となった児童が自殺を選択するのは通常のことで、いじめは自殺行為に駆り立てるほど破壊力を持つ」と指摘した。
 また、明子さんが精神的に追い詰められた状況にあることを認識できた担任教諭らは、自殺のような重大な結果を招く恐れがあることを予見することが十分に可能だった、と主張した。
 一方、被告側は、文部科学省の2008年度調査でいじめの認知件数が小学校で4万807件あったのに対し、いじめで自殺したとされる児童は0人だったことを挙げ、「いじめにより児童が自殺するのは極めて例外的」と述べた。
 予見可能性についても、明子さんが1人で給食を食べていたのは計8日間で長期間とはいえず、クラスの全員から拒否されたわけではないとみられると主張。「学校側が自殺を予見できるとは到底言えない」と反論した。また、被告側は、どのような家庭環境であったかは自殺の背景として明らかにされるべき、と主張。具体的内容を挙げ、原告側に説明を求めた。

小6自殺1年 行政 情報開示に及び腰 読売新聞 2011/10/27

210文字の調査報告
 いじめ自殺の真相究明を願い続けた遺族。知らされた調査報告は、たった210文字だった。
 12歳で命を絶った桐生市立新里東小6年の上村明子さん。「いじめによる辛い思いが大きな要因ではあるとしても、家庭環境等も加わり、自殺を実行したと判断する」。市が今年3月に公表した第三者調査委員会の結論の要点は、判決文のように冷淡だった。
 調査委は、市にはA4判・28ページの詳細な報告書を渡している。父・竜二さん(51)は「子供が学校でどういう目に遭ったのかを、親がなぜ知ることが出来ないのか」と憤る。
 「私の指導力不足です。申し訳ございません」。昨年11月8日、詳細な説明を求める竜二さんに、同校の岸洋一校長と自宅を訪れた担任教諭は頭を下げ続けた。「すべて私が悪いんです」と校長も割って入った。学校はいじめの事実は認めた。しかし、詳しい説明は無いままだ。
 竜二さんは民事訴訟の中で情報開示を求めているが、市は、児童のプライバシー保護や教育的配慮を理由に拒んでいる。
 県立の商業高に通っていた中之条町の女子生徒(18)は2008年前後、元顧問からの体罰と部内のいじめで転校を強いられた。元顧問はいじめを防ぐ指導をしたのか――。学校から満足のいく回答は得られなかった。母親(47)は「このままでは、教育現場の体質は変わらない」と訴える。
 川崎市で昨年6月、中学3年の篠原真矢さん(当時14歳)が「僕と友人をいじめた4人を許せない」と遺書を残して自殺した。市教委の支援を受けて学校が設けた調査委員会は、遺族や生徒の保護者などに48ページにわたる調査報告書の全文を公表した。
 いじめの事実や同級生ら約100人への聞き取り、遺品の作文などから分析した真矢さんの心理状態も記した。報告書に登場する生徒名は「A、B」などと伏せ、公表前には表現を当事者が確認した。市は「行政が持つ情報は公開が原則。議論があったのは公開の仕方だけ」と話す。委員は毎週自宅を訪れ、遺族に調査の進み具合を説明したという。母親(45)は「誠意ある調査に感謝している。説明に納得したので裁判もしなかった」と話す。
 群馬県教委総務課によると、いじめ調査を巡る情報開示に公表基準や指針はない。開示のあり方は、自治体や学校の判断に委ねられ、対応はまちまちだ。明子さんの自殺を受け、県教委は児童生徒へのアンケート調査の頻度を増やし、「軽微な事案」の報告徹底を学校に求めたが、情報開示への動きは鈍い。
 県教委は今年6月、第三者機関「県公立学校いじめ問題等調査委員会」を常設した。所管する県教委総務課は、調査の過程や結論について「原則として公表」と話す。だが、公表基準を定める予定はなく、案件ごとに公表の可否を委員会が判断するという。委員長以外の4人の委員名も非公開だ。行政の恣意(しい)的な判断が許され、県民のチェックが働かない仕組みが温存されている。
 いじめで子供を失った親らでつくるNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の小森美登里理事は「公表の決定権を委員会や学校が握っているのが問題だ。公表基準を事前に定め、遺族の意見も踏まえて公表の可否を判断すべきだ」と指摘する。
(この連載は、石川貴章、竹内元、上村健太が担当しました)

小6自殺1年 「違い」認め理解徐々に 読売新聞 2011/10/26

 今月19日、放課後の伊勢崎市立広瀬小学校の教室。「バモス ア フガル(遊ぼう)」「セアモス アミーゴス(友達になろう)」。にぎやかにスペイン語が飛び交い、子供たちの笑い声が響いた。
 NPO法人「多言語教育研究所」(伊勢崎市富塚町)が、多文化共生のために開いた学童クラブ「ドリーム・クラブ」の一幕だ。今年4月から、同校を含む伊勢崎市の4小学校で行っており、全部で児童60人が参加する。21人いるペルー人を筆頭に、日本人が16人、ブラジル人が12人と、国際色豊かだ。
 この日は、メキシコ人のフェルナンド・ラグネスさん(28)が講師となり、母国の遊びを教えた。開講から約半年。ラグネスさんは「外国籍の子供たちは、母国語に触れることでリラックス出来ている。最初は戸惑っていた日本人の子供たちも、今は元気に言葉を返してくれる」と、児童たちの変化を感じている。
 クラブの狙いは、互いの文化を尊重するだけではない。日本人の子供たちに対し、マイノリティー(少数派)になる体験を与えることにもある。
 同NPOの理事長で、大東文化大教授のミックメーヒル・カイランさん(50)は、クラブの活動が「外国籍や国際結婚で生まれた子供たちに対するいじめや偏見をなくすための第一歩になる」と考えている。自分がマイノリティーになることで、こうした子供たちがいかに難しい境遇にいるかを理解するのだ。
 数年前から伊勢崎市教委に開講を要望しており、昨年10月に桐生市の小学6年、上村明子さん(当時12歳)が自殺した問題の後、ようやく許可が下りた。
 では、学校現場に変化はあったのか。フィリピン人の母親を持つ上村さんの問題以後、いじめの早期発見のための様々なアンケートが実施されたが、カイランさんは「日本の文化や習慣を押しつける体質は変わらない」と厳しく批判する。子供たちとともに差別を克服していくクラブ活動の意義について、「学校現場とコンセンサス(意見の一致)が得られた時」(カイランさん)が、本当の第一歩なのかもしれない。
     ◇
 「私には二つの母国がある。両方の文化を持つことに誇りを持とう」。母親がフィリピン人であることや周囲と異なる外見についていじめを受けた経験がある北毛地域の中学3年の女子生徒は、自分の出自を前向きに捉え、いじめを乗り越えたと語る。
 女子生徒は、小学校低学年の頃から、言葉の暴力を受けるようになった。主に同級生の男子が中心だったが、「心配をかけたくない」と、先生や両親、友人には打ち明けることが出来なかったという。特に母親自身が「自分のことを責めてしまいそうで怖かった」
 ようやく話すことができたのは、数年が経過してからだった。「あなたが悪いわけじゃない」。母親の一言で、心の重しがとれた。
 中学校に入学すると間もなく、いじめはなくなった。今では学級委員長などをつとめるクラスのリーダー格だ。「自分で抱え込むとストレスになってしまう。勇気を持って他の人に相談してほしい」。いじめに苦しんでいる子に、そう伝えたいと思っている。

小6自殺1年 いじめSOS救えるか 読売新聞 2011/10/25

明子さんはクラスでのいじめに悩み、「心にきずつくことを言われた」などと5年生のときの作文に記している。こうしたSOSを見逃さないようにと、県内の全公立小中学校では昨年10月以降、県教委の指導を受けて、児童生徒を対象に、いじめに関するアンケートを毎月実施している。
 県中部のある中学校では今年5月頃、1年の男子生徒が提出したアンケートに「(同級生に)こっちに来るなと言われた」と書き込まれていた。同校では、すぐに本人に聞き取りを行った。相手の生徒にも話を聞いたところ、根深いものでなかったことが確認でき、注意して速やかに問題を解決した。
 同校の校長は「いじめの定義が変わり、本人が何か嫌な思いをすれば、それはいじめとなる。上村さんの自殺以降、何か問題があれば、いじめではないかと疑ってみるようになった」と話した。
 読売新聞が10月中旬、各公立小中学校に行った調査では、回答を寄せた124校の7割近くにあたる85校が、毎月のアンケートが指導するうえで参考になったと評価した。
 毎月のアンケートは、いじめの早期発見だけではなく、学校側と子どもとのコミュニケーションにもなっている。ある小学校の校長は「これまで1年間実施してきて、子どもの方も、アンケートに書き込めば学校側がしっかり耳を傾けてくれると考えるようになっているので、悩みなどを隠さずに書いてくれる」と話す。ある中学校の校長は「いじめは、陰でやっていれば、発覚は難しい。しかし、アンケートで生徒をよりきめ細やかに見守ることが出来るようになり、回数も増えたことで、いじめを防げる可能性は高まったと思う」と指摘する。
 一方、ある小学校に通う女子児童は今春、「バカ」と言われたり、身体的特徴について冷やかされたりするようになった。児童の保護者は連絡帳で担任に改善を促したが、「そういった事実はない」とあしらわれた。さらに、その後の家庭訪問では「妄想ではないか」と言われたという。
 状況はその後も改善されず、女児は徐々に休みがちになり、登校しようとしても、学校に近づくと頭痛がしたり、吐き気がしたりして、今ではほとんど授業を受けていない状態となっている。女児はかつて、学校のアンケートに実名を挙げていじめの内容を書いたが、それでも、加害児童に対して満足のいく指導はなかったという。
 女児の保護者は「まずは、いじめられている子の立場に立って考え、その子を守る姿勢を持ってもらいたい」と憤る。この女児が学校に戻れるメドは立っていない。女児は「先生にはちゃんと注意をしてほしかった。本当なら授業を受けたい」と小声でつぶやいた。
 アンケートの活用について、教員の指導にも当たっている懸川武史・群馬大学教授は「大事なのは、アンケート結果を教育にどう生かすかで、場当たり的な対応では、問題の本質的な解決にはならない」と指摘する。「各教員が『いじめを起こさない』という明確な意図を持った教育が重要で、毎月のアンケートは、子どもたちからの教員に対する通信簿のようなものだ」と話している。

桐生「いじめ」自殺一周忌 遺族「時間止まったまま」 読売新聞 2011/10/24

法廷で解明、決意新たに
 娘はいじめを苦に自ら命を絶った――。両親の思いは、何一つ変わることなく、この日を迎えた。桐生市立新里東小6年だった上村明子さん(当時12歳)の一周忌。父、竜二さん(51)は「1年たっても家族の時間は止まったまま。事実を明らかにするまで闘っていく」と、法廷での真相解明に向けて決意を新たにしていた。
 自宅には23日午後から弔問客が詰めかけ、読経が始まる頃には、仏壇がある居間は、家族と参列者であふれた。読経は、明子さんの死亡が確認された時刻の午後1時12分に合わせてあげられた。約20分の読経の間、竜二さんは、合掌したままうつむき、母親(42)は、終始目に涙を浮かべていた。
 法要後、竜二さんは報道陣の取材に応じ、民事訴訟で、いじめと自殺との因果関係を認めた上で、謝罪を求めていることを念頭に、「明子には、『一周忌までには良い報告をしたかったけど、かなわなくてごめんね。一日も早く良い報告ができるように頑張るよ』と呼びかけた」と話した。また、涙の理由を「小さい頃の姿を思い出してしまった。いつも笑っていた娘は、もう見られないのかと思った」と伏し目がちに話した。
 自宅で明子さんの机は、1年前のままにしてあり、毎晩、両親が机の電気をつけるという。母親は「自殺する前まで時間を戻せたらいいのにと、何度思ったことか。いつまでも明子に寄り添ってあげたい」と語った。
 午前中には、明子さんの母親がキリスト教徒のため、一家で市内にあるカトリック桐生教会のミサに参加。ミサの中で明子さんの名前が読み上げられ、一周忌に合わせた追悼を行った。ミサの後には、「差別といじめ」をテーマに、信徒同士で体験談などを話し合う会が開かれ、明子さんの母親も、明子さんが体験したいじめについて話した。参加者の中には、明子さんの母親と同じく、日本で生活するフィリピン人約20人もおり、互いの考えを語り合ったという。
 明子さんの自殺を巡っては、桐生市の第三者委員会が今年3月、「いじめだけが唯一の原因とは判断できない」とする調査報告をまとめた。一方、両親は昨年12月、いじめが自殺の原因で、学校が防ぐ手立てを怠ったとして、市と県を相手に損害賠償を求める訴訟を起こし、現在係争中だ。

女児自殺から1年、桐生市長 「二度と起きないよう努力」 群馬 産経新聞 2011/10/22

 桐生市の亀山豊文市長は21日の定例記者会見で、昨年10月23日に市立新里東小6年、上村明子さん=当時(12)=が自殺したことについて、「二度とこうした事件が起こらないように、子供たちが明るく楽しい学校生活を送れるように努力したい」と述べた。
 亀山市長は「市教委を通じて各学校でカウンセラーの増員など、きめ細やかな対策を講じてきた」と1年間を振り返り、「ご冥福をお祈りしたい」と上村さんに哀悼の意を示した。
 上村さんの両親は昨年12月、学校でのいじめや担任教諭らの不十分な対応が「自殺の原因となった」として、市などを相手取り、3200万円の損害賠償を求め提訴。市側は、担任や学校側がいじめ防止について、安全配慮を怠ってはいなかったと主張し、裁判が続いている。

「学校に義務違反ない」 いじめ裁判 桐生市、主張崩さず 群馬 産経新聞 2011/9/10

 学校でのいじめや担任教諭らの対応が自殺の原因として、桐生市の小学6年、上村明子さん=当時(12)=の両親が、市と県を相手取り3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が9日、前橋地裁(西口元裁判長)で開かれた。市側は、担任や学校側に、いじめ防止の安全配慮義務違反はなかったとして、この日も全面的に争う姿勢を見せた。
 口頭弁論で、原告側は上村さんが給食を一人で食べていた点などから、「担任がいじめを認識していたことは明らかだった」と指摘。その後、担任や学校側は、いじめに加わった児童を指導せず、アンケートでいじめの事実関係を調べなかったとして、「明子さんに対するいじめ防止義務を怠り、自殺に駆り立てた」と論じた。
 これに対し、市側は、悪口や給食時の孤立は、暴力などの強いいじめではなく「悪質とはいいがたい」として、「学校側が自殺を予見できたとはいえず、いじめ防止義務違反もない」と主張した。
 弁論を終え、明子さんの父、竜二さんは「再発防止は、事実を明らかにすることから始まるはずだ。(市側は)いじめを認め、本当のことを説明してほしい」と訴えた。

桐生の小6女児自殺:学校側の報告書提出は継続審議 /群馬 毎日新聞 2011/7/16

 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(当時12歳)が10年10月に自殺したのは学校側がいじめを放置したためだとして、両親が市と県を相手取り、3200万円の損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが15日、前橋地裁(西口元裁判長)で行われた。両親側は学校側が行った児童への聞き取り調査結果や第三者委員会の調査報告書などの原本について、文書提出命令を出すよう裁判所に求めていたが、西口裁判長は結論を出さず、継続審議になった。
 両親側はこの日、聞き取り調査結果について「自殺の原因究明のために必要」として改めて提出を求めたが、市側は「児童のプライバシーを侵害する恐れがある」と主張。また市側は第三者委の調査報告書について「市側の主張を立証するために使っていない」として提出義務はないとの考えを示した。

いじめの深刻さ 市側否定 小6自殺 第2回口頭弁論 原告側「感覚疑う」 読売新聞 2011/5/21

 桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(当時12歳)が昨年10月に自殺したのは、学校でのいじめや不適切な対応が原因だとして、両親が市と県に3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が20日、前橋地裁(西口元裁判長)であった。明子さんへのいじめについて、市と県は「深刻ないじめではなかった」と反論した一方、原告側は給食に消しゴムのかすを入れられたことなどの具体例を提示。「いじめ」と「自殺」の因果関係を巡る法廷論争が本格的に始まった。
 前回の裁判では、西口裁判長が、判決までの論点を整理。今回は、「いじめの有無」と「学校側のいじめに対する認識」について、双方が主張を述べた。
 口頭弁論ではまず、市側は、いじめの定義について、「いじめの判断は、いじめられた側に立って行う」とする文部科学省の指針を認めた。しかし、「概念は広範囲」として、明子さんへのいじめが「そのまま不法行為に該当するとはいえない」として、全面的に争う姿勢を改めて示した。
 市側は、「ウエゴリー」「キモイ」などの陰口について、「暴言の対象は、明子さんに限られたものではない」と主張した。原告側が追及する明子さんの「ひとりぼっちの給食」についても、「クラスメート全員が意図的に仲間外れにしていたわけではない」と初めて反論。原告側の主張に真っ向から対立し、「執拗かつ陰湿ないじめとはいえない」との見解を示した。
 さらに、学校はこれらの行為について、「適正な対応をとっていた」と言明。一人の給食については、「そのような状態にならないように様々な試みをしてきた」と強調した。また、明子さんは「内向的で、自分から友達を作ろうとしない」「問題行動があった」などとし、トラブルの背景にこれらの性格があったと指摘した。
 一方、原告側は、いじめは小学4年に始まったと主張。書道の時間に金賞を取った際、それをねたんだ児童から「転校生のくせに生意気だ」と言われたという。6年時には、給食時に男子児童から消しゴムのかすを入れられ、明子さんはそれに気付かず、食べたことも明らかにした。
 その上で、原告は、学校側にいじめの認識があったことを強調し、「明子さんの大変な苦痛を認識していないとすれば、教育者としての感覚を疑う」と指摘。「一人の児童を自殺に追いやる程の極めて違法性の高いいじめであった」と訴えた。
 閉廷後、原告側は記者会見を開き、小林勝弁護士は、大きな争点となる「深刻ないじめ」の定義について、「いじめは積み重なって心に影響を与える。行為の一つ一つを捉えて『大きな問題ではない』というのは間違い」と批判した。
 第3回口頭弁論は9月9日に開かれる予定で、学校側の安全配慮義務についてが論点となる。

小6自殺半年 因果関係認めてもらうまで… 読売新聞 2011/4/23

両親「つらくても闘う」
 桐生市立新里東小6年だった上村明子さん(当時12歳)が自殺してから23日で半年がたつ。この間、学校でのいじめが原因と主張していた両親は、学校や市の対応に不信感を抱き、損害賠償を求めて提訴。市、県と争っている。父の竜二さん(51)は喪失感にさいなまれながらも、「このままではアキが浮かばれない。(いじめと自殺の因果関係を)認めてもらうまでは闘う」と決意を固めている。
 桐生市新里町の上村さんの自宅。居間の隅にある仏壇の下には、今も明子さんの遺骨が置かれている。「4人で一つの家族。ずっとそばにいたいし、すべてが終わったらすぐに報告したいから」。遺影を見つめながら、竜二さんはつぶやく。
 明子さんの同級生は中学生になった。明子さんの母は、買い物先などで中学生が使うカバンを見かけると、明子さんの姿を想像し、さみしさや悔しさがこみ上げてくるといい、「夢なら早く覚めてほしい」と涙をぬぐう。両親は精神的にも疲弊している状態で、今も熟睡できない日々が続いているという。
 竜二さんは「アキが亡くなった日から、我々の時計は進んでいない。裁判が終わらないと、先には進めない」と語気を強める。「真実は一つしかない。どんなにつらくても覚悟の上。とことん闘うつもりだ」と誓う。
 両親は、いじめや学校側の不適切な対応が原因で明子さんが自殺したとして、市と県に3200万円の損害賠償を求める訴訟を起こしており、5月20日に第2回口頭弁論が開かれる。
 一方、市が設置した第三者委員会は3月下旬、いじめが自殺の大きな要因の一つとしつつも、唯一の原因とは判断できないとする調査報告書を提出した。
 新里東小学校の岸洋一校長は、半年が経過したことについて「大切な本校児童が亡くなってしまったことを重く受け止めている。私自身に区切りというものはない」としている。

桐生の女児自殺第三者委報告書 学校より一歩踏み込む 東京新聞 2011/3/30

 桐生市立新里東小学校六年の上村明子さんの自殺をめぐり、市が設置した第三者の調査委員会は調査報告で、いじめと自殺の因果関係を一部認める結論を出した。学校側の調査結果より踏み込んだ判断で、明子さんの両親と市、県の間で争われている民事訴訟にも影響を与えるとみられる。
 調査委の報告を受け、市が二十九日開いた会見では訴訟で和解する可能性について質問が出たが、高橋清晴教育長は「訴訟は代理人弁護士に一任している」と述べるにとどまった。
 一方、調査委が因果関係を一部認めた根拠や調査の具体的な内容などは公表されなかった。いじめのほか、明子さんの家庭環境なども自殺を決意させた要因と指摘しているが、明子さんの両親は昨年末に調査委への協力を断った経緯がある。調査内容について高橋教育長は「報告を受けたばかりで訴訟に関わることでもあり、現段階では答えられない」と説明した。
 調査委の新井博委員長は「プライバシーの問題や守秘義務があり、調査報告の公表のやり方は市に委ねる」と話している。亀山豊文市長は「司法の場で審理されており、報告書について意見を差し控えたい」とするコメントを出した。
 明子さんの父親の竜二さん(51)は「第三者委を信用していなかったし、家庭環境を自殺の要因の一つにあげているので納得できない。いじめが原因という思いがすべてです」と話した。
 二十九日に公表された第三者の調査委の委員は次の通り(敬称略)。  新井博(弁護士)▽武井満(県立精神医療センター院長)▽横田正夫(臨床心理士・日大教授)▽冨孝雄(県人権擁護委員連合会副会長)▽山田浩史(県小中学校PTA連合会会長)
    ◇
 調査報告書の結論部分は次の通り(原文のまま)。
 「新里東小学校において起こった、本件児童に対する言葉によるいじめや仲間はずれ、更には学級崩壊を背景にした給食問題や社会科見学での出来事などの一連の出来事は、本件児童が自殺をした原因のひとつであるが、そうしたいじめ等の存在が唯一の原因で、本件児童が自殺をしたと判断することは相当ではない。いじめによる辛い思いが自殺の大きな要因のひとつではあるとしても、これ以外の、家庭環境等の他の要因も加わり、自殺を決意して実行したと判断することが相当である」

桐生小6自殺「いじめだけ原因判断できぬ」 読売新聞 2011/3/30

第三者委の報告書、内容の詳細伏せる
 桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(当時12歳)が昨年10月に自殺した問題で、市は29日、市が設置した第三者による調査委員会が「いじめが唯一の原因で自殺したと判断はできない」とする調査報告書をまとめたと発表した。ただ、公表したのは結論部分の要約のみで「プライバシーや個人情報が含まれる」として内容の詳細は伏せた。
 結論部分では、学校で言葉によるいじめを受け、仲間はずれにされて一人で給食を食べていたことなどに触れ、「いじめによるつらい思いが自殺の大きな要因のひとつである」と言及。そのうえで、「家庭環境等の他の要因も加わり、自殺を決意して実行したと判断することが相当」と結論づけた。
 記者会見に出席した高橋清晴教育長らによると、第三者委は昨年12月の発足以来、12回開かれ、報告書はA4判で28ページになる。明子さんの両親の協力は得られなかった。両親側に渡されたのは、結論部分の要約のみという。
 市は29日、弁護士の新井博委員長以外の4人の委員名を初めて公表したが、委員会として記者会見や取材を拒否する旨を報道機関に伝えた。
 明子さんの自殺を巡り、学校はいじめがあったことを認めたが「因果関係はわからない」としていた。両親は、いじめや学校側の不適切な対応が原因で自殺したとして、市と県を相手取り、3200万円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。
 報道陣からは、調査方法や結論の根拠について質問が相次いだが、高橋教育長は「裁判中なのでコメントは差し控えさせて頂く」として明らかにしなかった。 父、竜二さん(51)は「『やっぱり』というのが正直な感想で、とくに驚きもしない。ただ、結論の『家庭環境』という言葉には引っかかった。学校が明子を苦しめていたのは明らか。後は裁判で認めてもらうだけ」と淡々と話した。
 明子さんの両親側には、報告書の結論の要約部分だけを示した文書が渡されたことについて、両親の代理人を務める小林勝弁護士は「第三者委員会が中立機関でないことは明らか。結論に至る過程も示されず、報告自体に信用性がない。裁判で事実を精査する中で、判断材料となった文書の開示も求めていく」と話した。

いじめだけが原因、断定できぬ…小6自殺報告書 読売新聞 2011/3/29

 群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(当時12歳)が昨年10月に自殺した問題で、市が設置した第三者調査委員会が、いじめと自殺の因果関係について、「いじめだけが原因とは断定できない」とする趣旨の報告書をまとめたことが29日、関係者への取材でわかった。
 市は近く調査結果を公表する。第三者委は、弁護士ら5人で構成。昨年12月以降、非公開の会合を十数回開いてきた。

桐生市立 新里東小 命の大切さ訴え 卒業式で自殺児童悼む 東京新聞 2011/3/25

 桐生市立新里東小学校で二十四日、卒業式があり、出席者はあらためて昨年十月に自殺した同校六年上村明子さん=当時(12)=を悼んだ。
 卒業生七十八人と、保護者、四、五年生が出席。明子さんの両親は欠席した。岸洋一校長(59)はあいさつで「全員が卒業式を迎えられずに悲しい思いでいっぱいです。明子さんの姿を思い出しながらここに立っています」と話し、人を思いやる気持ちを心に留めてほしいと呼びかけた。
 東日本大震災で大勢の人が犠牲になったことにも触れ、卒業生に命の大切さを訴えながら「一人一人を大切にする気持ちを生かしてほしい」と述べた。
 PTA会長の男性(41)は祝辞で「悲しい出来事を繰り返さないようにしよう」などと話した。
 明子さんの卒業証書はない。岸校長は「ご両親からお話があれば、教育委員会などと相談して決めたい」と話している。

 

市と県、遺族側と真っ向対立 小6自殺第1回口頭弁論 読売新聞 2011/2/19

 「いじめの被害発生防止に向けて注意義務を尽くしてきた」――。桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(当時12歳)が昨年10月に自殺したのは、学校がいじめを放置し、適切な対応を取らなかったのが原因として、両親が市と県に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論。被告の市と県は18日、遺族側との対決姿勢を鮮明にした。遺書のない自殺で、遺族が究明を求める「いじめと自殺の因果関係」は、今後の法廷の判断に委ねられる。
 被告側は明子さんの自殺を巡って、「自殺は様々な要因から引き起こされる」と前置きしたうえで、「いじめによって自殺に至ったとは即断できない」と主張した。
 訴訟では、▽学校側のいじめの認識▽安全配慮義務違反▽自殺の予見可能性――などの争点について議論を積み重ね、学校側の過失の有無が判断されるとみられる。
 原告側は、明子さんは級友から「ウエゴリー」などの暴言を吐かれ、1人で給食を食べるなどのいじめを受け、再三、訴え続けてきたが、学校が放置したと主張。いじめの防止や自殺を回避する手立てを取らなかったと訴えている。
 これに対し、被告側代理人は「(因果関係を調べるため市が設置した)第三者委員会が行われているため、調査結果も参照にしながら立証を詳しく行う予定」としながらも、いじめについては「被害発生の防止に向けて注意義務を尽くしてきた」と否定。自殺といじめの因果関係についても「家族や友達の問題などにも結びつきがなかったかを考えないといけない」と述べ、遺族側の主張と真っ向から対立した。
 西口元裁判長は「いじめが何たるものか、から議論したい」と述べ、「従来、いじめ訴訟では、(自殺の)予見可能性の扱いなど、議論されてこなかった部分がある。本来法律家がやるべきだった議論をこの訴訟で行い、しっかりした中身のある裁判にしていきたい」と話した。3月末までを予定している第三者委員会の調査結果を待った上で、2回目を行うとしている。
 第2回口頭弁論は5月20日。 (写真:遺影を抱えて記者会見に臨む明子さんの母親(18日、前橋市内で))

桐生の小6自殺訴訟、市と県が両親と争う方針 読売新聞 2011/2/17

 群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(当時12歳)が昨年10月に自殺したのは、学校でのいじめや学校側の不適切な対応が原因として、両親が市と県に3200万円の損害賠償を求めた訴訟で、市と県は、いじめと自殺の因果関係や自殺の予見可能性を認めず、請求棄却を求める方針を固めた。18日に前橋地裁で開かれる第1回口頭弁論で主張する。
 市関係者らによると、明子さんの6年次の欠席が6日と少ないことや、1人で給食を食べる状態が常時続いたわけではなかったことなどが、自殺の予見可能性などを認めない理由という。
 市教委が昨年11月にまとめた調査報告では、いじめがあったことを認めたが、「(自殺の)直接的な原因となるものは特定できなかった」としている。現在は、市が同12月に設置した第三者調査委員会が因果関係について調べており、3月までに調査結果を出す方向。
 両親側は、明子さんはクラスメートから悪口を言われ、1人で給食を食べるなどして精神的に追い詰められていたのに、担任や校長が放置し、いじめ防止や、自殺を回避する措置を取らなかったと主張。こうした状態が続けば、明子さんが自殺することは予見できたと訴えている。

桐生市教委 いじめ防止へ研究班 小6自殺受け設置へ 読売新聞 2011/2/1

 桐生市教委は新年度、市立教育研究所に、いじめの未然防止や早期発見・対応の研究を目的とした「小中学校生徒指導研究班」を設置する。31日の市議会教育民生委員協議会で明らかにした。
 同研究所では毎年、市の教育課題の解決に向けて、研究班を設置している。いじめを苦にしていた市立新里東小6年の上村明子さんが昨年10月に自殺した問題を受けて設置が決まった。
 研究班は市内の教職員で構成し、いじめを許さない心を育てるための集団づくりの工夫をテーマに研究していく予定。研究成果は、市内の各小中学校などに周知して役立てるという。

いじめ問題、小中学の9割以上が取り組むも課題残る 文科省調査 産経新聞 2011/1/20

 児童・生徒のいじめ問題への取り組みを点検しているか、文部科学省が全国の公立小中学校と高校を対象にアンケートを行ったところ、小中学校で9割以上が、高校でも7割以上が「点検している」と回答していたことが20日、分かった。ほとんどの小中学校で点検が行われていることになるが、いじめは把握分だけでも年間約6万7千件(文科省調べ、平成21年度)を超えており、点検の効果は現れていない。専門家からは「点検自体が不十分」との声もあがっている。
 文科省の調査は、群馬県桐生市で昨年10月、自殺した小6女児のいじめ発覚などを受け、同12月に実施された。それぞれの自治体の教育委員会を通じて約3万6千校からアンケートを回収した結果、点検が行われていた学校は小中学でいずれも92%、高校でも73%に上った。ただ、質問項目に沿って複数の選択肢から単純に回答を選ぶ方式で、実際にそれぞれの学校でどのような点検が行われていたかは不明という。
 21年度のいじめの発生件数は小中学でいずれも3万件以上、高校も約5600件。数字だけみると減少傾向というが、学校側が把握していないケースが多数あることは確実だ。実際、都内の小学校教師は「いじめる側の報復を恐れたり、教師への不信感からいじめの事実を訴えてこないことがあった」と打ち明ける。
 今回の調査で点検が「年間1回だけ」との回答は小学校で22%、中学で18%、高校で46%あった。小学校教師は「一つのいじめの解決に時間を取られていると、その間に別のいじめが発生する危険もある。年に1回程度の点検では不十分」とも話している。
 文科省は、児童・生徒へのアンケートや教育相談、職員間で日常的に子供たちの気になる状況を伝えあうなどして点検することを求めているが、いじめ問題に詳しい岐阜大の橋本治准教授は「それだけでは、いじめの実態を把握することは困難」と指摘する。
 桐生市の女児自殺でも、学校側は当初、いじめを認識しておらず、文科省の求めたいじめの実態把握に関するアンケートすら行っていなかった。その後の調査でようやくいじめの事実を認めたが、自殺との因果関係は認めていない。
 橋本准教授は「定期的な取り組みはもちろん、個々の児童や生徒の表情の変化などにも敏感にならないといけない」と話している。

桐生の小6女児自殺:損賠訴訟 来月18日に第1回口頭弁論 /群馬 毎日新聞 2011/1/19

 ◇両親「防止義務違反」
 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺したのは、当時の担任教諭らがいじめを放置していたことが原因として、両親が県と市を相手取り、計3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、2月18日午後3時から前橋地裁で開かれることが決まった。
 訴状によると、学校側はいじめの存在を認識しながら改善策をとらず、いじめ防止義務と自殺回避義務に違反したと主張。学校を管理する県と市に責任があるとしている。

子ども自殺、3日以内に全教員聴取…文科省案 読売新聞 2011/1/6

 文部科学省の専門家会議は5日、児童生徒の自殺が疑われる事案が発生した場合、校長らは「発生後3日以内に、校内の全教員から聴取する」ことなどを柱とする指針案をまとめた。
 群馬県桐生市の小6女児が自殺した問題など、学校や教育委員会の調査の遅れから、遺族との対立を招くケースが後を絶たないためで、同省では3月までに、全国の教委に通知する方針。
 同省では、自殺対策基本法が2006年に成立したことを受け、児童生徒の自殺予防や、学校が取るべき対応などについて検討してきた。同会議では、自殺の背景を調べる際の指針づくりを進めてきた。
 指針案では、背景調査の目的について、「事実を知りたい」という遺族らの願いに応え、今後の自殺予防につなげることとした。また、具体的な手順として、〈1〉自殺発生から3日以内に全教員から聴取し、数日内に事情を知りうると見られる子どもからも事情を聞く〈2〉1週間以内に遺族へ調査結果の報告を行う〈3〉遺族が学校調査に納得できない場合、教委は、弁護士や精神科医ら専門家を加えた調査委員会を設置する――などとした。

小中高校で自殺予防教育を検討 文科省 年明けから議論本格化 産経新聞 2010/12/31

 子供の自殺に歯止めをかけるため、小中学校や高校の授業に自殺予防教育を導入することを文部科学省が検討していることが30日、分かった。専門家で構成する同省の諮問機関「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」で年明けから議論を本格化させる。米国で実施されている自殺予防教育を参考に、小中学校では「道徳」や「総合的な学習の時間(総合学習)」で、高校では「保健体育」などの授業に盛り込む方向で検討が進められる。
 予防教育は、自殺について深く考えさせることと、相談機関や医療機関の情報を知らせることが柱。ひどく落ち込んだときには誰かに相談し、友達から「死にたい」と打ち明けられたら信頼できる大人に伝えるといった対策を教える。
 子供の自殺については、これまでも文科省が学校現場に予防マニュアルを配ってきたほか、現場の裁量で生徒指導も行われてきたが、正式に授業で教えられることはなかった。自殺を考えさせることは、子供たちに「死」という深刻な現実と向き合わせることになるため、授業では避けられてきた。
 しかし、「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」のメンバーが11月に米マサチューセッツ州やメーン州などを視察。現地の高校で「保健体育」の授業などに盛り込まれているのを確認したため、文科省は導入の検討を始めることにした。
 米国では、深刻な悩みを抱く子供や精神疾患の疑いがある子供と、そうした兆候のない子供を「自殺の危険性の高低」に応じて分類して対策を講じている地域もある。文科省では、こうした制度の導入についても検討していく。
 来年1月5日に開かれる同会議で、米国視察の詳しい内容について報告される予定で、それを基に自殺予防教育の導入についての検討を本格化させる。
 ただ、身内に自殺者がいる児童生徒を傷つける可能性も指摘されるなど授業導入には慎重論が一部である。正式導入には中央教育審議会の了承も必要で、同省は平成23年度内の結論を目指して議論していく方針だ。
 警察庁の21年調査では、小中学、高校の児童生徒の自殺者は306人。今年10月には群馬県桐生市で小学6年の女児が自殺し、その後に学校でいじめを受けていたことも発覚している。

桐生小6自殺・遺族提訴 調査委への出席断る 父親「信用できない」 東京新聞 2010/12/28

 桐生市立新里東小六年の上村明子さん=当時(12)=が自殺した問題で、明子さんの両親は二十七日、市と県を提訴して法廷でいじめと自殺の因果関係を認めるよう訴える道を選んだ。市は第三者の調査委員会を設置したが、両親は調査委の公平性も疑問視しており、裁判が避けられなくなった。
 両親は前橋市で弁護士三人と会見。父親の竜二さん(51)は「できれば裁判をせずに、その前にいじめが原因で自殺したと認めてもらいたかった」とやりきれない表情で話した。だがこれまで学校や市側から学校の調査結果の詳しい説明がなく、調査委の設置も委員名が非公開で第一回会合が知らされなかったことなどを挙げ「家族側を完全に無視している。調査委の結果を待てと言われても信用できない」と不信感をあらわにした。
 代理人の小林勝弁護士は、調査委の結論を待たずに提訴した理由を「調査委の公平性や中立性に疑問があるなか、いい報告を出すか考えざるを得ない。公平、中立な判断を求めるなら裁判所が一番よい」と説明した。
 一方、調査委から今月十日ごろ、弁護側に明子さんの両親に今後の調査委への出席要請などがあったが、提訴を理由に二十七日付で断ったことも明らかにした。
 いじめと自殺の因果関係が争点になる裁判では、第三者の調査機関が因果関係を認めない結論を出すと、遺族がその後に提訴しても不利になることを指摘する声もある。いじめ防止に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)の理事小森美登里さんは「学校や行政などの被告が調査機関の結論を根拠に主張するので、遺族に非常に不利になるケースもある」と話している。 (写真:前橋地裁に訴状を提出し、記者会見する両親の代理人弁護士=前橋市大手町の県教育会館で)

第三者委へ不信感 小6自殺、両親提訴「家族の意見聞いてこそ中立」 読売新聞 2010/12/28

 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺した問題で、両親は27日、市と県を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こした。学校でのいじめを苦にし、明子さんが再三訴えていたにもかかわらず、担任や校長が適切な手立てを取らなかったと訴える両親。記者会見では、遺族への連絡もなく、内容はおろか、委員や日程など一切が非公開で進められる市の第三者委員会への不信感をあらわにした。
 いじめと自殺の因果関係を調べる第三者委について、市は委員長以外の4委員の詳細は明かさず、会合の内容も非公開としている。市は初会合を開いた翌日の今月9日に記者発表。その後の状況も伏せている。
 提訴後、父、竜二さん(51)は「家族側の意見を聞いて初めて中立ではないか。果たして中立、公平にやってもらえるのかという不信、不安の気持ちが強い」などと話した。
 第三者委の委員長をつとめる新井博弁護士は取材に対し、「訴訟についてはコメントを控えたい。調査自体は中立な立場で行っており、最終報告を見てもらえればわかっていただける」と述べた。
 学校などでの事件事故の原因調査に被害者の意見が採り入れられず、調査や結果に不満を募らせる事例は相次いでいる。いじめで子供を失った親らでつくるNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の会員ら51家族が回答したアンケートによると、実際に有識者を中心とした調査機関などの設置を経験した16家族中9家族が調査や結果について「大いに不満」と答えている。
 調査にかかわった同NPOの武田さち子理事(52)は調査機関の果たす役割の大きさを評価する一方で、学校などから上がってきた資料を基に調査している実態を指摘し、「学校側が隠したい所を書かずに出した報告書で検討しても、より深い内容になるわけがないし、持っていかれる方向は決まっている」と批判する。
 アンケート結果を基に、武田さんは「誰がメンバーで、どんな話し合いが行われて結論に至ったかなどを、誰もがチェックできるような情報開示が必要」と語り、「当事者を置き去りにした委員会なら、ない方がいい」と強調する。

「いじめが原因」と提訴=小6女児自殺で両親―群馬 時事通信 2010/12/27

 群馬県桐生市で10月、市立小6年上村明子さん(12)が自殺した問題で、両親が27日、「自殺は学校でのいじめが原因」として、県と市に計3200万円の損害賠償を求める訴訟を前橋地裁に起こした。
 訴状によると、明子さんは4年時に愛知県から転校。「臭い」と言われるなど同級生らからいじめを受け、給食も独りで食べていた。原告側は「学校側はいじめを認識していたのに適切な対応を取らず、重大な結果を招いた」としている。
 記者会見した父竜二さんは、涙声で「お父さんいつもありがとう」と題された明子さんの作文を読み上げ、「学校の中で何があったのか」と訴えた。
 この問題で、学校側はいじめを認める一方、「自殺の直接的な原因は特定できなかった」とする報告をまとめ、市の設置した第三者委員会がさらに調査している。
 県は「訴状が届いていないのでコメントを控えたい」、市は「訴状の内容を確認した上で、協議し対応したい」としている。  (写真:記者会見する上村明子さんの両親=27日午後、前橋市)

明子さんの死を全校児童が悼む 新里東小終業式 東京新聞 2010/12/25

 桐生市立新里東小の上村明子さん=当時(12)=が自殺し、遺族がいじめが原因と訴えている問題で、同校で二十四日、終業式があり、全校児童はあらためて明子さんの死を悼んだ。
 岸洋一校長によると、約五百四十人の児童は終業式の冒頭、黙とうした。岸校長は明子さんが亡くなった後に行った命の大切さを考える授業などを振り返り、人の気持ちを察することの大切さを伝え「いじめをしない、させないようにしましょう」と話した。
 明子さんの学級は担任と副担任二人の指導が続き、現在は落ち着いている。継続的なカウンセリングが必要な児童はいないが、カウンセラーは三学期も引き続き同校に常駐する。岸校長は「今後も児童らの申し出があればケアしていく」と話した。

小6女児自殺 両親が賠償求め県と市提訴へ 日テレニュース 2010/12/25

 群馬・桐生市の小学校でいじめを受けていた6年・上村明子さんが自殺した問題で、上村さんの両親が27日、県などを相手に賠償を求める訴えを起こすことがわかった。
 学校側はこれまで、いじめがあったことを認めているが、自殺との関係はわからないと説明している。現在は、第三者による委員会が自殺の原因について調査している。こうした対応に納得できない両親はあらためて県などに説明を求めたが、「第三者委員会の結論が出るまでは控えたい」と断られた。このため、両親は「自殺の原因を法廷で明らかにしたい」として、27日、県と市を相手に賠償を求める訴えを起こすという。
 上村さんの父親は「裁判などしたくないが、やむを得ない」と話している。

桐生の小6女児自殺:両親、県と市を賠償提訴へ 「不信感募り、待てぬ」 /群馬 毎日新聞 2010/12/23

 同級生からいじめを受けていた桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺した問題で、父竜二さん(51)は22日、年内にも県と市に賠償を求め提訴する方針を明らかにした。竜二さんは「学校側はいじめを認識していたにもかかわらず、適切な対応を取らなかった。法廷で真実を明らかにしたい」と話している。
 学校側はいじめの存在を認めたものの、自殺との因果関係は「特定できない」との調査結果をまとめた。竜二さんらの抗議を受け、市は第三者委員会を設置し年度内にも結論を出す方向で再検証しているが、竜二さんは「話し合いに応じない学校や市に対する不信感が募っている。これ以上待つことはできない」と話した。
 竜二さんは第三者委について「メンバーが公表されず、会合の日程さえ分からない。本当に公平な議論が行われているのか疑問だ」と述べた。両親が原告となり、請求額などの詳細は弁護士と相談して決めるという。
 これに対し、県教委は「現段階ではコメントを差し控えさせていただきます」と述べ、市教委は「正式に訴状を受け取ってから対応を協議する」と話している。
--------------------法律上の責任------------------
1.学校の安全配慮義務違反・・民事賠償責任
2.桐生市教育委員会=桐生市立新里小学校校長岸洋一に対する指導監督責任・民事賠償責任・代表者 桐生市長
   (業務上過失責任で刑事責任も検討すべきだ)
3.明子さんに加害行為を行った児童の親権者に対する共同不法行為の民事賠償責任
4.校長らの給与負担者である群馬県若しくは任命権者の群馬県教育委員会の民事賠償責任・・代表者群馬県知事

小6女児自殺 賠償求め提訴へ NHKニュース 2010/12/22

 ことし10月群馬県桐生市で自殺した小学6年生の女の子の遺族が、自殺は学校でのいじめが原因だなどとして、年内にも桐生市と群馬県に対し、損害賠償を求める訴えを起こすことを決めました。
 ことし10月、群馬県桐生市の小学6年生、上村明子さん(当時12歳)が自殺し、学校側は明子さんへのいじめがあったことは認めていますが、自殺といじめとの関係については現在、市が設置した第三者委員会で調査中であるとして、遺族が話し合いを求めているのに対し応じていません。このため遺族は明子さんの自殺は学校でのいじめが原因で学校側が適切な対応をしていれば自殺は防げたなどとして、年内にも桐生市と群馬県に対し損害賠償を求める訴えを起こすことを決めました。今後、弁護士と相談のうえ、損害賠償の額などを決めたいとしています。亡くなった明子さんの父親は21日夜、NHKの取材に応じ、「学校や市が私たちの話を聞いてくれないので、裁判に訴える以外に方法はありません。娘の自殺はいじめが原因だと裁判所に認めてもらいたい」などと話していました。

取材メモから2010<1>桐生の小6女児自殺 児童の死 どう向き合う 東京新聞 2010/12/20

 桐生市で十月二十三日、新里東小六年の上村明子さん(12)が自宅で自ら命を絶った。遺族はいじめが原因と訴え、学校側は十一月に入ってから、「いじめはあった」が「自殺の直接的な原因はわからない」という調査結果を発表。市は第三者の調査委員会を設置しているが、遺族と学校側の深刻なすれ違いは今も続いている。
 明子さんの告別式の会場で初めて会った父親の竜二さん(51)と母親(41)は、わが子の突然の死を前にうつろな様子だった。
 それでも、竜二さんは、明子さんが学級内で「臭い」などの心ない言葉を受けていたこと、一人で給食を食べていたことなどを、時に涙を浮かべ、時に拳を握り締め、切々と語り「学校にはいじめが原因で自殺したと認めてほしい」と声を絞り出すように話した。
 学校側は当初、給食を一人で食べていたことなどの事実を認めながらも「いじめの対象になっていると認識していなかった」と説明。「いじめがあった」と認めたのは、児童へのアンケートなどを経た約二週間後。「いじめ」かどうかの前に、明子さんの置かれた状況をどうとらえたのか。学校側がそれまで親の訴えを真剣に聞いていたのか疑問が募った。
 明子さんの自宅には、遺影の横の壁に得意だった書道の作品などがはられ、笑顔の明子さんの写真も飾られている。竜二さんは今も「なぜ死ななければならなかったのか。アキ(明子さん)が学校でどんな様子だったのかなどを聞きたい」と繰り返し話す。
 担任教諭との話し合いを望んでいるが、学校側は調査委設置を理由に、現在は面談に応じないとの意向を示している。
 竜二さんの話を聞くと、遺族にとって事態は明子さんが亡くなった日から一歩も進んでいないと感じる。桐生市は「遺族への対応は市教委と検討したい」と言うが、具体的な動きはまだない。明子さんの死にどう向き合うか。問いかけは重い。

桐生の小6女児自殺:父「提訴は迷う」 /群馬 毎日新聞 2010/12/19

 桐生市立新里東小6年、上村明子さんの自殺を巡り、市教委や学校などが直接面談に応じないと回答したことを受け、明子さんの両親は18日、代理人の弁護士と今後の方針について話し合った。
 話し合いを終えた父竜二さん(51)は「当事者であるはずの学校や担任が面談を拒否するのはおかしい」と訴えた一方、今後の方針については「できれば裁判はしたくないが、第三者委員会の調査結果を待つか、待たずに提訴するか迷っている」と話した。
 明子さんの両親は学校、市教委、市、県(県教委)の4者に直接面談を求めたが、4者は第三者委員会がいじめと自殺の因果関係を検証していることを理由に、「調査結果が出るまでは、直接面談は差し控えたい」「第三者委員会の状況を見守っていきたい」などと回答した。

小6自殺 両親面談、当面差し控え 通知書に市など回答 読売新聞 2010/12/16

 桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺した問題で、両親の代理人は15日、市や同校などから届いた、通知書の回答内容を明らかにした。
 両親は通知書で、学校や市教委などとの直接面談を求めていた。市や市教委、同校は回答書の中で、自殺といじめの因果関係などについては第三者委員会で検討されているとした上で「調査結果の報告がなされるまでは、直接面談は差し控えさせて頂きたい」と記している。県は「状況を見守っていきたい」と回答していた。
 明子さんの父、竜二さん(51)は今回の回答について「どうして、という気持ち。当事者同士なので、せめて学校側とは話し合いをしたかった。特に担任にはたくさん聞きたいことがあった。今後の事は弁護士と話し合って決めたい」と残念そうに話した。

小6自殺で両親代理人の通知書に県や桐生市が回答送付 読売新聞 2010/12/15

 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺した問題で、県や桐生市、同校などが、両親の代理人が送った通知書に対する回答文書を送っていたことが14日、わかった。
 代理人や県教委によると、県は13日付で回答を送付した。内容は大きく分けて、〈1〉自殺について県は非常に重く受けとめている〈2〉桐生市が設置した第三者調査委員会の状況を見守っていきたい――の2点。
 通知書では、早急に両親らと直接面談することなどを求めていたが、触れていない。県教委は「面談についての回答も、調査委員会を見守りたいという項目に含まれている」とし、現時点では面談に応じない考えを示した。
 桐生市、同市教委、新里東小はそれぞれ14日付で回答を郵送した。それぞれ内容は明らかにしていないが、市関係者によると、市側の回答は、調査委員会が設置されたことは記しているが、直接面談については言及していないとみられる。
 代理人によると、県の回答はすでに届いたが、そのほかは14日夜現在、届いていない。明子さんの父、竜二さん(51)は「県の対応は残念だ。市と学校の回答を待つしかない。特に学校に関しては説明責任があるはずだ」と話している。

小6女児自殺事件に見る“顧客が求める満足感”でなく“わが社にできること” 「真のマーケッティングは、顧客からスタートする」「顧客が見つけようとし、価値ありとし、必要としている満足」はどこへ行ってしまったのか。しかし顧客無視は、企業だけではない。 増岡直二朗,ITmedia 2010/12/14

 先ごろ、また悲しい事件が起きた。「いじめ」による(と見られる)小学6年生女児の自殺だ。心が痛む。亡くなった本人がどれほど悩み抜いたか、親族はどれほど悲しい思いをしているかと思うと、胸が張り裂けそうだ。しかし学校の対応は、関係者を納得させられず、世間を失望させるものだ。児童もその家族も、学校にとって重要な「顧客」のはずなのに。
 近年、供給する側の都合を顧客に押し付けるケースに余りにも多く遭遇する。「真のマーケッティングは、(中略)顧客からスタートする」「顧客が見つけようとし、価値ありとし、必要としている満足」は(P.F.ドラッカー「マネジメント」、ダイヤモンド社)、どこへ行ってしまったのか。しかし顧客無視は、企業だけではない。
 冒頭例のように児童や生徒の生き方や学力向上の指導を忘れた学校、見た目のサービスばかりに力を入れて、真の住民サービスを忘れた行政機関、表面の取り繕いにエネルギーを費やし、膨大な数の患者をさばくことにばかり気が行って、患者の心を忘れた病院、・・・身の周りに顧客を忘れた例を、数え切れないほど見かける。さぞかしドラッカーが嘆くだろうが、それだけでなく、社会に歪みが出てきて、やがて地盤が陥没しかねない。
 顧客が求める満足感に無頓着で、一方的に「われわれの製品やサービスにできることはこれである」(P.F.ドラッカー 上掲書)ことに執着する実態を、いくつか分析してみよう。
 10月23日 群馬県桐生市市立小学校6年の女児が、市内の自宅で自殺した(以下は、朝日・読売・毎日新聞朝夕刊記事より)。女児の父親は、いじめによる自殺で、6年生になってから学校に10回以上相談したが、具体的解決策は示されなかったと主張した。
 学校の対応はお粗末だ。児童や保護者をいわゆる顧客と全く思っていない節がある。当初校長は、「人間関係に問題はあったが、いじめとまでは認識していなかった」と言い、保護者会でのいじめの有無についての質問に、「プライバシーの問題」「詳細までは把握できていない」と理屈に合わない言い訳を繰り返した。
 しかし、見逃そうと思っても見逃せない、いじめや女児の悩みの兆候はいくつもあった。1.女児は9月迄には8月1回欠席しただけだったが、10月に入って急に休みがちになり、腹痛を訴えて5回欠席した。2.給食のとき、孤立していた。3.6年生男児数人が、「“あっちへ行け”と言われて泣いているところを見た」「しょっちゅういじめられていた」と後日話しているというが、「数人が」「しょっちゅう」目撃していたのに、教師の耳目に入らなかったのか。4.校長は「5年生の時に、同級生とのやり取りで誤解があったが、女児の保護者に話して誤解は解けた。その後も見ている限りは、いじめを把握していない」としているが、一方で前掲のように「人間関係に問題はあったが」と言っているからには、起きている現象を総合的に判断すれば兆候の一つと認識できたはずだ。5.女児が亡くなる前日、保護者側が「真剣に学級の立て直しに動くべきだ」と校長らに訴えていた。かねてから女児のクラスの学級崩壊がひどかったのに、保護者の訴えが生かしきれていない。これほどいくつも見られた兆候を無視した学校の状況把握の甘さは、罪が重い。
 やっと11月2日の保護者会で、学校は「女児が置かれていた状況を把握できていなかった」と謝罪した。そして11月8日、市教育委員会は、学校がまとめた「いじめはあったが、自殺は予測できず、原因は特定できなかった」との調査結果を発表し、それまで把握していないとしていた「いじめ」を認めた。この報告に対し、文科省が「学校側が時系列でどう対応したかほとんどわからない」と調査報告を不充分とし、再調査追加報告を指示したのがせめてもの救いだ。
 しかし、校長が記者会見で、自殺について「学校生活の中で、死を感じさせる様子や言葉はなかった」と釈明しているが、以上にも触れたような状況下で、事ここに到ってなお責任回避する姿勢は、醜いし、自殺した女児や遺族、問題究明を期待する世論に対して不誠実で、その考え方や姿勢は放置できることではない。
 児童生徒の自殺を巡っては、背景にいじめがあったと訴える遺族と、いじめの存在は確認できないと主張する学校側と対立するケースが多いと言われる。それにしても、最初からいじめを否定した誠意のなさや、文科省に差し戻された報告書などは、大問題だ。学校は、児童や保護者を顧客と思っていないからだ。事件発生後1カ月近く経って、11月17日やっと第三者委員会を設置することになったらしいが、外部専門家の知恵を借り、事実関係を徹底究明し、関係者と情報を共有し、何が問題だったか、課題は何かなどを真摯に反省・分析し、関係者に丁寧に説明をするところから、信頼を得て、今後の再発防止になる。
 そんなことは、企業では普通に行われる。学校を変えなければならない。「あらゆるレベルの学校が抜本的な改革を必要としている。」「必要なことは、・・・・・・学校をマネジメントされた機能する教育機関とすることである。」(P.F.ドラッカー 上掲書)

桐生の小6女児自殺:第三者委、非公開に疑問も 議会協で指摘 /群馬 毎日新聞 2010/12/14

 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡り、市議会教育民生委員協議会は13日、いじめと自殺の因果関係を検証する第三者委員会について質疑を行った。市議から「非公開では公平性、中立性に疑問がある」などの指摘が出たが、市は「委員らの意向で今後も原則的に非公開で進める」との答弁を繰り返した。
 市議からはさらに、調査終了後、調査過程や委員の氏名などの公開を求める意見も出た。市は「報告書が出る段階で氏名の公表が求められるかもしれないと委員には伝えているが、確定していない。(議会の要望は)委員に伝える」と述べた。

小6自殺で第三者委設置 非公開「委員の意思尊重」遺族にも会合内容伝えず 読売新聞 2010/12/10

 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺した問題で、市は9日、自殺といじめの因果関係を調べる第三者による調査委員会を設置したと発表した。初会合はすでに8日夜に非公開で行われ、市は、弁護士の新井博委員長以外の4人の委員名や会議内容などの詳細は明かさず、その理由について「委員の意思を尊重した」と繰り返した。9日の時点で遺族にも委員会の設置や会合内容は伝えていない。
 市によると、委員は、精神科医、臨床心理士ら5人で、全員が桐生市外に在住。各団体からの推薦・紹介で選任したという。初会合の発表が1日遅れになった理由について、市は「委員会としては、翌日コメントを出したいとの希望があった」と説明した。
 調査結果を出す時期について、新井委員長は取材に対し、「年内は無理。個人的な希望では、年度末までには出したい」と話した。
 明子さんの父、竜二さん(51)は9日夜の取材に「連絡は全くなかった。家族にまで非公開でやる必要はあるのか。勝手に話を進められているという感覚で、不信感が募るばかりだ」と憤っていた。市は、遺族への対応について「教育委員会と今後、話し合いたい」と話すにとどまった。
 亀山豊文市長は「いじめと自殺の因果関係について、中立的な立場から公平かつ客観的に調査して頂きます」とのコメントを発表した。
 委員を公表しないことについて、いじめで子供を失った親らでつくるNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の小森美登里理事は「全国的に異例ではないか。委員がどういう基準で選ばれているのかも明らかにされていない。隠す意味が理解できない」と話した。

桐生小6自殺 両親、直接面談求める 学校などに通知書 東京新聞 2010/12/9

 桐生市の新里東小六年の上村明子さん(12)が自殺し、家族がいじめが原因と訴えている問題で、明子さんの両親が代理人弁護士を通じ、七日付で学校、桐生市教育委員会と市、県に対し、直接面談して、いじめと自殺の因果関係や学校の責任などを認めるよう求める通知書を出した。
 通知書は内容証明で送り、到着後七日以内の回答を求めている。
 両親は、学校や市教委、市に宛てた通知書では「いじめと自殺の因果関係は明らか」と訴え、「まずは『いじめ』によって一人の児童が『自殺』した事実を真摯(しんし)に受け止める必要がある」などと要望。その上で因果関係や学校側の責任を認めるよう求めている。県にはいじめと明子さんの自殺をどう考えるか、今後どう対処するかなどについて回答するよう要求している。
 桐生市の亀山豊文市長は「文書が届いたばかりで、内容をよく確認した上で対応したい」とのコメントを発表。新里東小の岸洋一校長は「届いたばかりなので、よく読んで対応を考えたい」と話した。市教委や県教委も内容をよく確認するという。

桐生の小6女児自殺:「いじめ原因、認めさせる」 父親が四十九日法要で決意 /群馬 毎日新聞 2010/12/6

 自殺した桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)の四十九日の法要が5日、同市内の自宅で営まれた。居間の新しい仏壇には、果物やジュース、お菓子が、ぬいぐるみなどとともに供えられた。家族や親族10人が明子さんの冥福を祈った。明子さんの命日は10月23日だが、親族が集まりやすい日曜日を選んだという。学校関係者は参列しなかった。
 明子さんの父竜二さん(51)と母親(41)は法要後、取材に応じ「四十九日までに『すべて終わったよ』と明子に報告したかったが、できなくて悔しい」と語った。
 竜二さんは仏壇を前に「時間はかかるけど、(いじめと自殺の因果関係を)絶対認めさせるからね」と、心の中で語りかけたという。母親は「仕事から帰った時にあきの『おかえり』が聞けないのがつらい」と涙ぐんだ。
 同市は、自殺といじめとの因果関係を検証するための第三者委員会の設置を決め、委員の人選を進めている。竜二さんは「私たちから見れば、明子の自殺は学校でのいじめが原因だとはっきり分かる。第三者委ではなく、学校側と家族の当事者同士で話し合いたい」と話した。

知事「いじめも要因」 桐生・小6自殺で学校側批判 朝日新聞 2010/12/3

 桐生市の小学6年生の上村明子さん(当時12)が自殺し、学校が「いじめはあったが、自殺との関係ははっきりしない」とした問題で、大沢正明知事は2日の県議会一般質問で、「いじめも(自殺の)一つの要因」との認識を示した。中村紀雄県議の質問に答えた。
 明子さんの自殺について、大沢知事は「こういう問題が出ると、当初校長からはいじめはなかったとどこでも耳にする。もっと真剣に問題を見つめるという学校側の姿勢が問われる」と批判。「自殺にはいろんな要素があると思うが、いじめもそのなかの一つの要因ではないか。いじめを早い段階で学校が承知し対応策を考えないといけない」と述べた。
 福島金夫教育長は「いじめや学級崩壊について、学校が市教委にまず報告や相談をしなかったことが問題の解決を困難にした。学校は問題を市町村や市町村教委に定期的に報告し、市町村教委も、相談を待つだけでなく積極的に学校を訪問し指導・助言することが大切だ」と述べた。
 県教委の対応策については、問題に即応できるサポートチームや、桐生市が設置を決めた第三者調査機関のようなものを県教委が設置し、市町村教委が利用できるようにする方針を明らかにした。子供たちの生活に目配りする生徒指導専門の職員を配置できないかも検討するという。
 また小学校336校のうち60校に配置されているスクールカウンセラーを増員し、学級崩壊といじめ対応マニュアルの改定もするという。

県教委 いじめへサポートチーム 第三者機関も設置方針 読売新聞 2010/12/3

 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を受け、県教委は、小中学校でいじめや学級崩壊などの問題が起きた場合、迅速に対応するサポートチームを作るとともに、各市町村教委が原因調査などに利用できる第三者機関を設置する方針を決めた。2日の県議会で、中村紀雄県議の質問に福島金夫教育長が明らかにした。
 県教委義務教育課によると、サポートチームは県教委職員らで構成し、問題発生後の対応のほか、いじめなどの予防を担う機能も持たせ、必要があれば学校現場に出向く。第三者機関は専門家も交え、問題発生後の調査を主な任務とする。
 一般質問の答弁で、福島教育長は新里東小の問題について、「学級崩壊など、桐生市教委に報告・相談しなかったことが解決を困難にした」と学校側の対応を批判。「学校、市教委、県教委の連携のほか、専門家や保護者の支援を受け、未然防止に努めることが大切」と述べた。
 県教委は、現在60校にとどまっている小学校のスクールカウンセラーを拡充するほか、2000年に作った学級崩壊対応マニュアルと、07年に作成したいじめ対策マニュアルを改訂し、全小中学校に配布する。このほか、児童生徒の生活指導を行う専門職員の配置や、教師の資質向上のための研修を行うなど、サポート態勢の整備も検討している。

明子さん自殺後、いじめ15件 転入の4年次に30日欠席 読売新聞 2010/12/3

 桐生市立新里東小6年、上村明子さんが自殺した問題で、市教委は2日開かれた市議会教育民生委員協議会で、明子さんが自殺した後の10月に認知したいじめは15件だったと報告した。明子さんの在籍していたクラスでは現在、カウンセリングが必要な児童が2人いることも明らかにした。
 市教委によると、認知されたいじめ15件のうち9件が解決したが、残る6件は継続指導している。
 県教委が先月25日に発表したアンケート結果では、県内の小学校336校のうち143校(42・6%)で計1522件のいじめが認知された。認知された学校に限って単純計算すると、1校あたり10・6件だった。
 明子さんのクラスの状態について、市教委は「落ち着いた状態で推移している」と回答した。
 また、同協議会では、明子さんの出席状況などを記した資料が示された。4年次は、10月に新里東小に転校後、計30日欠席した。1月には最も多い14日欠席し、翌2月に学校側が欠席を確認するため電話をすると、父、竜二さん(51)から「嫌なことを言われるから行きたくないと言っている」と伝えられたという。
 5年次の欠席日数は18日で、6年次は6日だった。

小6自殺いじめ対応マニュアル 桐生市教委、校長会議で配布 読売新聞 2010/12/2

 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺した問題で、同市教委はいじめ緊急対応マニュアルを作成し、1日開かれた小・中学校、特別支援学校の校長会議で配布した。各校はこれを基に独自の対策マニュアルを作成し、12月28日までに市教委に提出する。また、新里東小は1日、保護者懇談会を開き、自殺の経緯や学級の状況などについて説明した。
 緊急対応マニュアルでは、いじめの兆候を早期につかむことから、市教委との連携にいたるまで、各段階での役割や流れをチャート図に示している。
 学校から相談を受けた市教委は、問題の状況に応じて関係各課に精神科医を加えたサポートチームを編成し、学校を継続的に支援しながら解決にあたるという。医師はスーパーバイザーとして、個別のカウンセリングも行う。
 同市小学校長会の村松正敏副会長は「対応策が具体的になっていて、大変心強い。今後、十分に活用していきたい」と話した。
 市教委は2日から「いじめ相談窓口」をPRするカードを小中学校の児童生徒に、チラシを全保護者に配布する。
 新里東小で1日開かれた保護者懇談会は、授業参観の後、各学年、クラスごとに行われた。保護者からは、学校の状況について頻繁に連絡するよう求める意見が出たという。

小6自殺 第三者委、5分野で人選 桐生市 来週中の発足目指す 読売新聞 2010/11/30

 桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺した問題で、同市教育委員会は29日、臨時会を開き、設置を決めている第三者による調査委員会について、弁護士や臨床心理士などの専門家ら5人で構成する方針を決めた。調査の中立性を保つ狙いから、調査委員会の事務担当窓口を市長部局の総務部に置く。板橋明・総務部長は「委員は市外の方にお願いし、出来れば来週中を目安に(調査委員会を)立ち上げたい」と話している。
 臨時会では、調査委の委員について、弁護士、精神科医、臨床心理士、人権関係、保護者関係の5分野で構成する方針で一致した。最終的な人選は総務部に委ねる方針で、臨時会後に記者団の取材に応じた高橋清晴教育長は「我々としては早々に(調査委を)立ち上げて頂きたいとお願いはするつもり」と話した。
 鈴木正三教育委員長は臨時会後、「教委として、再発防止に向け、各学校との連絡、相談、支援態勢を強化するための危機マニュアルの作成など、具体的な取り組みを推進したい」とコメントした。市教委は12月1日に開かれる定例の校長会で市内の小中学校、特別支援学校に対し、いじめ対策マニュアルなどを配布する予定という。

児童名伏せ展示、出品辞退… 新里東小、女児自殺受け 桐生タイムス 2010/11/29

 桐生市内の子どもたちによる絵画などの作品展が相次ぎ開かれる中、市立新里東小では、児童の名前を伏せて展示したり、出品そのものを辞退したりと、異例の対応を余儀なくされている。同小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題を受けての緊急措置で、同小の岸洋一校長は「(問題の直後)インターネット上に児童数人の実名が流出する被害があったため、そうした被害を防ぐために主催者側に配慮を求めた」と話す。
 新里東小だけ不規則な扱いを余儀なくされたのは、桐生市市民文化会館で27〜29日に開かれた第58回幼児・児童・生徒作品展(市教育会主催)と、同市有鄰館で12月19日まで開催中の第26回「わたしたちの桐生」絵画コンクール作品展(市教委主催)。
 市文の作品展では、児童らが制作した絵画や立体作品、読書感想文などを展示する中、新里東小の児童の作品だけはタイトルと学年のみ表示し、名前を伏せて展示された。
 市教育会の深沢博行会長(広沢中校長)は、「本来なら作者の名前があったほうがいいが、児童の名前が悪用されることを心配する学校側の意向を尊重し、市教委と協議して(名前を伏せての展示を)決めた。今回はやむを得ない」と話す。
 「わたしたちの桐生」展は、児童らが市内の好きな建物や風景などを描くもので、各小中学校から選ばれた300点を超す作品が展示されている。新里東小も校内審査までは行ったが、同問題が起きた後、出品辞退を申し出ていた。
 同小の児童をめぐっては、明子さんが10月23日に自殺し、両親が「学校でのいじめが原因」と訴えた問題が報道された後、児童数人の実名がネット上の掲示板に流出し、いじめの加害者であるかのような中傷を受ける被害が起きた。こうしたことを踏まえ、学校側が今回の措置を決めた。
 岸校長は「保護者にも理解してもらっており、今のところ(名前を伏せることに)反発の声などはない」とした上で、「早く正常な状態になるよう努力している」と話す。

社説 いじめ 見ようとしないと見えぬ 西日本新聞 2010/11/28

 群馬県桐生市の小学6年生、上村明子さん(12)が自殺して1カ月余り過ぎたが、投げかけた課題は大きく、その波紋はなかなか収まりそうにない。
 両親が「原因はいじめだ」と訴えるのに対し、学校側は当初「いじめは把握していない」と否定していた。内部調査を経て、ようやく「いじめはあった」と認めたのは2週間以上たってからだった。それでも「自殺は予測できず、原因は特定できなかった」と結論付けた。
 いじめの存在を容易には認めない学校の姿勢は、4年前、福岡県筑前町で中学2年生の男子生徒が自殺したときを思い起こす。いじめを苦にした自死であることを遺書に記していたにもかかわらず、学校側の態度はかたくなだった。
 いじめがあったことを認めたがらない隠ぺい体質が依然、教育現場や市町村教育委員会にあるのなら問題である。
 だが、それ以上に考えなければならないのは、学校がいじめをいじめとして認識していなかった節があることだ。
 明子さんは4年で転校してきた。両親の説明によれば、5年になると、外国出身の母親を中傷されたり、心無い言葉をかけられるようになる。いったん収まったものの、6年になって再燃し、父親は担任らに何度も訴えた。学校側も2学期以降、明子さんが給食の時間に孤立していた状況を把握していて「よくない状態だった」とは理解していたという。
 両親はもちろん、学校も明子さんの「異変」に気付きながら、なぜ救えなかったのか。学校側が真剣に明子さんの状態をつかもうとしなかったことが、大きな要因だったと思えてならない。
 桐生市教委は第三者委員会を設けて、自殺の原因解明を図るという。丁寧に調査を進めて真相に迫ってもらいたい。
 今回の事態を受けて、文部科学省は全国すべての学校で定期的にアンケートをするよう、都道府県教委などに通知した。アンケートでいじめの兆候をいち早く把握し、問題を隠さずに家庭、地域と連携して対処するよう求めている。
 アンケートは確かに大事だ。だが、それだけで十分とはならない。そこからいじめをくみ取るのは教員であり、学校現場だ。その現場が、どこまで目が澄んでいるのかが問われる。日々、子どもに真摯(しんし)に向き合う姿勢が大切なのだ。
 「いじめのような陰湿な行動は、見ようとして見なければ、見えない」。筑前町教委が設けた第三者調査委員会は、報告書の中でこう指摘している。
 むろん、担任ら個々の教員任せにしてはいけない。明子さんのクラスは、いわゆる学級崩壊状態だったという。スクールカウンセラーを含めて、学校全体で取り組むことが必要だ。保護者との意思疎通や連携も欠かせないだろう。
 いじめは弱い者にしか向かわない。だから、決して容認するわけにはいかないのだ。いじめは絶対に許さない。そんな気概を社会全体で共有したい。

桐生小6自殺 29日に市教委臨時会 第三者委の人選など協議 東京新聞 2010/11/27

 桐生市の新里東小六年の上村明子さん(12)が自殺し家族がいじめが原因と訴えている問題で、同市教育委員会は、二十九日午後二時から市保健福祉会館で臨時会を開く。いじめと自殺の関連などを調べるために設置する第三者による調査委員会の人選などを話しあう。
 学校側の調査結果では、明子さんへのいじめはあったが自殺との因果関係は不明となっている。調査委のメンバーは中立的な立場の精神科医や弁護士などを想定している。臨時会は候補者名などを挙げて話し合うため、非公開の秘密会で行う。

桐生の小6自殺 金銭でなく「誠意を」 父親強調、弁護士と一線 群馬 産経新聞 2010/11/27

 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺してから1カ月が経過した。市は今後、いじめと自殺の因果関係を調査する第三者委員会を開く方針だが、父親の竜二さん(51)は因果関係の認定を切実に望むだけで、市側に対し金銭要求は「まったく考えていない」という。だが、竜二さんの代理人の弁護士は市側に対する損害賠償請求の必要性を訴えており、2人の間に温度差が出ている。(伊藤徳裕)
 竜二さんは市教委、市、学校に対し「民事訴訟は考えていない」と語り、あくまでも“誠実な対応”を求め、泥沼の法廷闘争は避けたい考えだ。
 竜二さんら家族が24日、代理人の弁護士を通じて市、市教委、学校の3者に提出した通知書では、「第三者委員会で自殺といじめの因果関係を明らかにするなどと、いたずらに両親の心情を傷つけている」と主張。「速やかに責任を認め、誠意ある対応を求める」と要望している。
 竜二さんは「学校側に、いじめと自殺の因果関係を素直に認めてほしい」と心情を吐露する。
 一方、時間ばかりが経過し、因果関係をなかなか認めようとしない3者に対し、代理人の弁護士は「両親の心痛を考えると解決金や和解金が必要になるのではないか」と述べ、裁判を通じて損害賠償請求を行う考えをちらつかせている。
 また、弁護士は「今後、いじめが原因の自殺を防止する観点からも、家族には賠償請求を視野に入れてほしい」と述べ、竜二さんを説得する構えだ。
 さらに、弁護士は明子さんの母親がフィリピン出身者であることから、今回のいじめには「人種偏見が根底にある」と指摘したうえで、「このような偏見は決して許されるものではない。抑止したい」と強調している。

の・ボール:師走も近くなり、一年を振り返ると… /愛媛  毎日新聞 2010/11/26

 師走も近くなり、一年を振り返ると、自治体や企業の不祥事による謝罪会見に立ち会う機会が多かったように感じる。幹部が頭を下げて謝罪の言葉を繰り返すが、問題の真相に迫る説明は聞けない会見ばかり。事態が把握できておらず、その場で調査を指示する場面もあった▼同僚が取材した、24日の松山市立中学教諭の逮捕を受けた市教委の会見は、その最たるもの。保護者から相談を受けたにもかかわらず、何の調査もしていないに等しい回答が続いた▼組織の幹部としては管理責任があり、頭を下げることを求める人もいるかも知れない。しかし、本当の管理責任は謝罪することでなく、事態を把握して説明責任を果たしたうえで、再発防止に努めることのはずだ。

「責任認め対応を」 両親が学校などに通知書 群馬 産経新聞 2010/11/26

 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、明子さんの両親が、代理人の弁護士を通じて市と市教委、同小に「自殺について速やかに責任を認め、誠意ある対応をしてほしい」とする通知書を提出したことが25日、分かった。
 これに対し、亀山豊文市長は同日、「第三者委員会を早急に設置すべく準備を進めており、今後も誠実に対応する」と回答。市教委の高橋清晴教育長は「今後も遺族に対して誠実な対応に努めたい」とするコメントを出した。
 代理人の弁護士は「両親の心痛を考えると、解決金や和解金が必要となるのではないか」としている。

いじめ認知10倍増 2272件 読売新聞 2010/11/26

小6自殺受け全小中校調査県教委、中学で4割「今も継続」
 県教委は25日、桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を受け、県内の全公立小中学校を対象に初めて実施した、いじめに関するアンケート結果を発表した。10月に認知した件数は2272件で、文部科学省に報告した2009年度1年間の認知件数207件の10倍以上にのぼった。認知したうち、小学校で2割以上、中学校では4割が「現在もいじめが継続している」と答えた。
 調査は10月下旬〜11月中旬、小学校336校、中学校172校の児童生徒計17万144人を対象に実施した。そのうち、いじめを認知した校数は小学校143校(42・6%)、中学校は90校(52・3%)だった。
 認知件数は小学校が1522件で、各学年225〜298件だった。中学校は750件で、中1が327件と最も多く、学年が進むにつれて減った。
 認知したいじめのうち、解消したと回答したのは小学校が1161件(76・3%)、中学校は450件(60・0%)だった。
 アンケートは無記名で、いじめの内容を示す8項目から、当てはまるものを複数選んで丸をつける。「悪口を言われたり、おどされたりする」が最も多い3230件、「ぶたれたり、けられたりする」は1657件、「仲間はずれにされたり、無視されたりする」が1281件と続いた。
 大幅に認知件数が増えた理由について、県教委は、文科省調査で義務付けていないアンケートを全児童生徒に行ったためと見ており、「悩んだり困ったりしている子を救うため、解決に役立てたい」としている。
 県教委は、全小中学校が提出する月例報告に、いじめに関するアンケート結果を毎月実施して盛り込むよう求めており、12月から始める。以前から独自にアンケートを行っている自治体もあり、県教委は「今年度中にアンケート項目を検討し直し、統一性を持たせたい」としている。
 県教委はこの日、県内の全市町村教委の指導主事ら計42人を対象に、いじめに関する緊急会議を開催。今回のアンケート結果を発表したほか、いじめ解決の知識を共有しようと、藤岡市や館林市教委などに実践報告をしてもらい、いじめ問題への取り組みについて情報交換した。また、各市町村教委で実施している、いじめ解決のノウハウを集めた資料を配布した。
 同日の県議会文教警察常任委員会でもアンケート結果が伝えられ、委員からは「もっと掘りさげた質問にした方がいいのではないか」などの意見が出た。

小6自殺、私はこう見る〜識者に聞く[上] 朝日新聞 2010/11/25

 桐生市の小学6年生、上村明子さん(当時12)が自殺した問題をどう理解するべきなのか。学校側は「いじめがあった」と認めたが自殺との因果関係は否定し、再調査待ちの状態だ。悲劇を繰り返さないために、教育界や地域、家庭、そしてマスコミはどんな教訓をくみ取るべきなのか。識者らに話を聞いた。上下2回にわたって考える。
 ◇国立教育政策研究所生徒指導研究センター:総括研究官・滝充さん
 学級崩壊は新米教師の学級で起こると思われがちだが、実は担任が中堅どころの場合にもよく起こる。
 上村明子さんの担任は40代で、転勤当初から2年間教務主任を任され、最初は力量を期待されていただろう。
 だが、4月から学級が落ち着かなかったのは、当初から児童側に主導権を奪われてしまった可能性がある。ベテランだからこそ、事態が進むまで「困っている」と言い出せなかったのかもしれない。
 小学6年の担任は非常に難しい。特に女子は表の顔と裏の顔を使い分けややこしいいじめをするようにもなる。
 学級担任制の小学校では、担任個人が学級の運営に過度に責任を負いがちだ。学校全体に「自分の学級は自分で」という雰囲気があったり、担任自身の「自力で何とかしたい」という思いが強かったりすると、担任が問題を抱え込んでしまう。
 学級崩壊は早い段階で手を打てば解決することがほとんど。学校全体が動くことが大切だ。この学校では7月から対策を取っていたというが、複数の教員が学級運営に当たる態勢が早くからきちんと取られていたのか、気になる。
 保護者の協力を仰ぐことも有効だ。問題を隠さずに教室に来てもらい、気になった点を書いてもらう。意見をきちんと聞かないと、学校外でうわさ話ばかり広がる。  9月18日の運動会の後から学級崩壊がひどくなったのは、児童が目標を失いエネルギーを発散する場がなくなったからだろう。下級生の面倒を見させるなど活躍の場を与え、学級内に向かう負のエネルギーをそらすのが良い。
 明子さんは特別支援学級によく行っていたのだから、きちんと役割を与えて、安心して過ごせる場所を作ってあげるのも良かったと思う。
 いじめでつらいのは暴力など物理的なことではなく情けなさやみじめさだ。自ら周囲を遠ざけるのは、そういう気持ちをごまかすためだろう。
 今回は1人で給食を食べていると知った段階でいじめに気付かなければならない。ただ、担任は疲れ果て、自信をなくしていたのかもしれない。校外学習の日、担任が自分から明子さんの保護者に連絡をしていないのは、やるべきだと分かっていて体が動かなかったとも考えられる。
 今回、校長が自殺を予見できたかと言われればできなかったと思う。自殺は色々なことが積み重なった結果で、自殺に至るまで次から次へとゲートが開き途中でストップがかからなかった状態と言える。自殺の手前でとどまるかどうかは紙一重の差だ。
 今回、担任や学校にいじめや学級崩壊への認識の甘さがあったとしても、その程度の教師や学校は多い。実際に自殺するのはごく少数だ。だが、学校が児童の自殺を「運が悪かった」で片づけてはいけない。家庭や地域に問題があったとしても、やはり自殺するのはごく少数なのだ。
 児童を「紙一重」の向こうに行かせないために、校長をはじめ管理職が、今回は何が欠けていて何が失敗だったと思うのかを率直に明かせば、教育に携わる者に非常に参考になるだろう。
 ◇岐阜大准教授・橋本治さん
 上村明子さんが給食の時に孤立していたとき、「先生が一緒だ」と言ってやれば良かった。「先生がいるよ」というサインは大事だ。
 明子さんが給食で孤立したのが分かった後、再度席替えをしたのは悪いことではない。だが、明子さんのための席替えなら事前に本人と話した方が良かった。いきなりだと明子さんも驚くし、他の児童からも反発が出てくる。
 学校は普段から家庭との信頼関係を作っておくことが大事だ。児童の学校生活に何かうまくいかないことがあったときは、担任と、教務主任や生徒指導担当の教諭、児童の親が2週間ごとなど定期的に話し合うべき。そうすればちょっとした情報もすぐ入り、放課後にいじめられやすいと分かれば先生が見守るとか、児童が自由に行動できる行事では注意して見ておくとか、対策も打ちやすい。家庭の事情で時間が取りにくいこともあるが、学校側が土日に会うなどして合わせた方が良い。
 今回、明子さんは転校を望んでいたが、転校してもうまく人間関係を築けないことは多い。むしろ、転校したいという気持ちを今の学校で生かすことを考えた方が良い。新しい学校ではこんな部活に入ろう、友達を作ろうと思い描いたことを、今の学校で実現するためには具体的にどうすればいいか、現実に向き合う中で考えてもらう。
 小学4年生ごろの児童は仲間を集めようとする「ギャング・エイジ」にさしかかっているので、転入生が仲間に入るのは大変だと予想される。先生はレクリエーションの時間を設ける、休み時間に遊ばせるなど、転入生が仲間を作る機会を用意してほしい。
 5、6年生ともなると、学校が目にしやすいところでいじめを起こしにくいし、いじめられる方も被害を口にしなくなる。はっきりしたいじめというのは少ないので、「何か起きている」と気づいたらすぐに動いた方がいい。
 「友達が嫌」という程度の一般的な相談に重大な問題が隠れていることもある。
 軽いか重いかは後にならないと分からないので、ひとつひとつ丁寧に対応することが大事。結果的に重大な相談でなかったとしても「先生が注目している」というメッセージが伝わるだけでいい。
 ◇弁護士・中嶋博行さん
 今回は、学級崩壊といじめが結びついた最悪のケースだ。児童は担任の言うことを聞かず、口答えしている。学校が何もできないことが分かっているからだろう。
 いじめが分かった時点で、学校はいじめた子を別室で指導するべきだった。
 日本では被害者が転校する、保健室に行くなどして教室を出て行き、加害者はそのまま残るが、これはおかしい。
 いじめの解決法として、教育的指導には限界があると思っている。米国では、加害者をフリースクールなど学校の外でカウンセリングし、立ち直らせようとしている。いじめる子を学校の中で立ち直らせようという考え方が被害者への支援をおろそかにしてしまうと思う。まずは被害者を守ることを優先するべきだ。
 加害者には、いじめは犯罪だということや、他者を尊重し違いを受け入れることを教えなければならない。明子さんは楽しい給食の時間を1人で過ごさねばならなかった。私は心を傷つけノイローゼにさせれば傷害罪に当たると考えている。
 いじめを許さない環境を作ることも大事だ。校内に目安箱を設けるなど、いじめの通告制度を作る。いじめは児童生徒がよく知っているからだ。通告した子供が特定されないよう配慮してほしい。
 児童生徒が自主的に休み時間や放課後に校内をパトロールし、いじめを見つけることもできる。茨城県のある公立中学校では生徒が有志を募って校内パトロールをしており、効果を上げている。
 親同士のネットワークも大事だ。子供は自分がいじめられていることは親に隠すことが多いが、友達がいじめられていることは話すこともあるので、PTAや地域と学校が情報交換できれば対応に移れる。
 学校に働きかけても先生の個別の指導に任されるだけで解決にならないことがある。通告にすぐ対応するという、「学校に話せば何とかなる」制度をまず作るべきだ。

桐生小6自殺 「いじめ原因と認めて」 東京新聞 2010/11/25

 桐生市立新里東小六年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、父親の竜二さん(51)が二十四日、代理人弁護士を通じ、「いじめが原因で自殺したことを認めてほしい」などと求めた文書を学校と桐生市教育委員会に送った。
 学校側は児童へのアンケートなどの調査結果で、明子さんへのいじめは認めたが自殺との因果関係は不明としている。
 竜二さんら家族は、学校側に調査結果の詳細を知りたいと訴えているが、実現していない。
 竜二さんは「調査結果を含め学校側の情報をすべて知りたい」と話している。 (中山岳)
◆「お父さんありがとう」 学校、遺品の作文など返却
 明子さんの自殺から一カ月となった二十三日、同小の岸洋一校長らが上村さんの自宅を弔問に訪れ、学校が保管していた遺品を家族に返却した。
 返却されたのは、授業で作っていた黒のエプロンや、六年生になって書いた作文三点など。そのうちの「お父さんいつもありがとう」と題した作文には、竜二さんと遊んだ思い出や、「ここまで育ててくれてありがとう」との言葉が書かれていた。
 作文を読んだ竜二さんは「これからも育ててあげたいのに。もっと成長した姿を見たかった」と記者団に話した。

桐生の小6女児自殺:1カ月 第三者委設置方針で父「結果待つのも限界」 /群馬 毎日新聞 2010/11/24

 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自宅で自殺してから、23日で1カ月が経過した。両親は「いじめが原因」と訴え続け、同市教委はいじめと自殺の因果関係などを検証する第三者委員会を設ける方針を決めた。しかし、人選や設置時期などは未定のまま。父竜二さん(51)は「結果が出るのを待つにも限界がある」と話している。自殺当日の学校側の動きなどを検証した。【塩田彩、塚本英夫、喜屋武真之介、角田直哉】
 ■当日の朝
 明子さんは自殺する23日朝、母(41)に対して突然、「学校に行きたくない。行くなら死んだ方がまし」と話した。妹(10)とけんかした後だったという。
 母によると、明子さんは2学期以降、両親に注意された時などに「学校に行きたくない」と口走ることがあったが、「死んだ方がまし」との言葉が出たことはなかったという。
 明子さんは悪口を言われるなどのいじめに加え、給食で孤立していたため、竜二さんは「相当つらかったんだろう」と話した。
 ■危機管理
 両親は学校側の対応に怒りを覚えている。そのうちの一つとして、学校側が岸洋一校長に明子さんの自殺を伝えようとしても、翌日まで連絡が取れなかったことを挙げる。
 市教委によると、竜二さんが、明子さんの5年時の担任教諭に自殺の連絡を入れたのは10月23日午後1時17分。息を引き取った5分後だった。この日は土曜日で、学校側は岸校長に連絡しようとしたが携帯電話が通じず、前橋市内の自宅の固定電話にも誰も出なかった。このため教頭ら4〜5人が明子さんが運ばれた病院に行って対応した。職員が夜、岸校長の自宅に出向いたが留守だった。
 岸校長の電話がつながったのは翌24日午前9時20分。この間、市教委や大間々署との連絡には教頭らがあたった。ある市教委幹部は「学校の危機管理がなっていなかった」と話している。
 岸校長は同10時過ぎに登校。同10時半から明子さんの最近の様子などについて報告を受けた。夜には緊急保護者会を開いた。
 ■第三者委
 桐生市教委が設置する第三者委員会は、中立的、客観的な再調査を目指す。弁護士や精神科医、民生・児童委員らに委員就任の打診を検討する。竜二さんは「委員の一人に、遺族側の代理人を選んでほしい」と話すが、中立性の担保に疑問符がつくため実現しない見通し。
 竜二さんはいじめと自殺の因果関係を認めなかった学校側の調査結果に不信感を抱いており、第三者委についても「市教委が選ぶ委員に、客観的な調査が本当にできるのか」と疑問を投げかけている。
 ◇校長が遺品の作文届ける 「お父さんありがとう」
 岸洋一校長が23日、上村明子さん宅を訪れ、学校に残された遺品として、6年生の時に書いた作文と、家庭科の授業で作りかけのエプロンを手渡した。作文は三つあり、修学旅行と運動会について書いたものと「お父さんいつもありがとう」と題したものを残していた。
 「ありがとう」には竜二さんと公園で鬼ごっこをしたことやゲームをして遊んだ思い出がつづられ、「これからも大人になるまで私もがんばるけどお父さんもがんばって育ててもらいたいです」と結ばれていた。竜二さんは「育ててあげたくても育ててやれなくてつらい」と話した。
 竜二さんはこの1カ月を振り返り、「自殺といじめの因果関係が認められないまま、ただ日が過ぎてしまった」と話す。製造業の派遣社員としての仕事も再開したが「家を一歩出ると、ずっと明子のことを考えている」という。

悲しみに暮れる両親 校長ら弔問、遺品渡す 読売新聞 2010/11/24

 桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺してから23日で1か月が過ぎた。これまでに学校側はいじめがあったことを認め、自殺との因果関係などを詳しく調べるため、第三者による調査委員会の設置が決まっている。しかし、両親にとって娘を失った心の空白は大きく、悲しみに暮れている。
 1か月目の月命日となった23日夕、岸洋一校長ら4人が明子さん宅を弔問し、学校にあった遺品を両親に渡した。
 遺品は、図工で描いた自画像と家庭科で作った完成間近のエプロンと3本の作文。「お父さんいつもありがとう」という題名の作文では、日曜日、父、竜二さん(51)に、ゲームや、公園で鬼ごっこをして遊んでもらったことや、相談に乗ってもらっていたことなどへの感謝がつづられ、「大人になるまで私もがんばるけどお父さんもがんばって育ててもらいたいです」と締めくくっていた。
 竜二さんは「もう相談に乗ってやることも出来ないし、育てることもできない」とむせび泣いた。
 この1か月間については、「自殺したことが今でも信じられない。まだ近くにいるような気がする。学校側には、調査や報告を待たされてばかりの1か月間だった」と振り返った。  母親(41)は、明子さんの死後、「いつも一緒にいたくて」と携帯電話の待ち受け画面を明子さんの写真にした。今の思いを、「寂しい。まだ、またふらっと帰って来そうな気がする。でも、生活の所々で明子が亡くなったことを実感する」と話した。
 面会後、記者団の取材に応じた岸校長は「明子さんにつらく寂しい思いをさせてしまったことを申し訳なく思い、おわびさせていただいた」と話した。
 同じクラスのある保護者は、最近の状況について「授業中は落ち着きました」と話す一方、子どもについては「まだ心の動揺は大きい」と不安そうに話した。学校関係者によると、保護者は、12月1日の授業参観後、クラス単位で開かれる懇談会で今後の対応などについて話し合うという。
 市教委は12月から、市内の全小学校で2人だった学校カウンセラーを7人に増員する。さらに、いじめや学級崩壊といった事案が生じた場合、サポートチームを作って学校を支援していくことを検討している。  学校から明子さんの自画像や作文などを受け取り、涙ぐむ父、竜二さん(23日、上村明子さんの自宅で)

群馬・桐生の小6女児自殺:あす1カ月 かき消されたSOS いじめ過小評価か 毎日新聞 2010/11/22

 ◇学級崩壊、対応追われ
 群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡り、明子さんがいた1組の学級の複数の児童が他クラスの子に対しても、ののしりや暴言を繰り返していたことが学校関係者への取材で分かった。市教委の調査で1組は学級崩壊に陥っていたことが判明しているが、その影響は他クラスや下級生にも及んでいた。学校はその対応に追われ、明子さんのいじめへのSOSが過小評価された可能性がある。明子さんの自殺から23日で1カ月となる。【塩田彩、塚本英夫、喜屋武真之介、角田直哉】  1組以外の複数の同級・下級生が学校アンケートに答えている。
 「1組の子に『ウザイ』などの言葉を浴びせられた」「汚い言葉を言われ怖かった」
 学校関係者によると、6年生は2クラスあるが、1組以外の「少なくない児童」からも「暴言を浴びた」などの訴えが寄せられたという。1組39人のうち、男女5人前後が明子さんのいじめにかかわっていたとされ、中には担任に反抗し学級崩壊の中心になっていた子もいた。
 市教委の調査結果によると、1組はクラス替え直後の4月から「落ちつきがなく、姿勢が悪い児童が目立つ」状態だった。
 担任の40代の女性教諭は7月、生徒指導主任に訴えている。「一部児童が暴言を吐くなど態度の悪い場面が見られる」
 職員会議でも取り上げられ、岸洋一校長は複数教諭による「チームティーチング」を取り入れた。だが、状況はよくならず夏休み明けの8月下旬、学級崩壊といえる状況になっていた。
 「女子に反抗的な態度や担任の発言に対する揚げ足とりが見られ、学級全体のまとまりが欠ける」と学校側は分析し「9月には教室が非常に汚く、乱れていることが多くなった」という。
 「授業にならない」
 複数の子が5年時の担任に相談もしている。2組のある子は「担任もなめられている感じ。『授業がやばい』という話を1組の友達に聞いた」と話す。
 学級崩壊が進むなかで、明子さんは暴言などのいじめに加え、9月下旬の席替えをきっかけに給食で孤立していった。10月21日の校外学習日には担任ではない先生に大声で泣きながら「私は給食を1人で食べている」と訴えて、その2日後、自宅で首つり自殺した。
 自殺後、市教委内部では一時、6年生2クラスを3クラスに分ける案が浮上した。しかし「卒業を控える時期に混乱を招きかねない」などとして立ち消えになった。
 担任は今月10日から病気を理由に欠勤が続き、市教委は17日付で担任を交代した。

社説:いじめ 検証から防ぐ手だてを 毎日新聞 2010/11/22

 学校時代を思い出すのも嫌。自分をいじめた同窓生らを今も許せない−−。そんな傷心を抱いたまま多くの人々が成人しているとしたら、それが幸福な社会であるはずはない。いじめは、そこまで思いを致して取り組むべき問題なのだ。
 群馬県桐生市でいじめを受けていた小学6年生の少女が首つり自殺をした事件を機に、文部科学省は全国の小中高校に、いじめの把握と対策を改めて徹底するよう求めた。その直後の今月14日、千葉県市川市で中学2年生の少年が自殺した。少年は学校のアンケートで、いじめ被害を明らかにしていた。
 市教委によると、今月1日のアンケートで「自分だけ集中的に何かされる」「暴言や悪口」「物を隠される」「訳もなくたたかれたりする」の4項目を選んだ。そして、いじめは続いているとし、10日の担任面談で少年は加害生徒名を挙げた。「クラスは楽しい」とも言うので、学校側は加害側から事情を聴く予定だったが緊急性を感じなかったという。
 成績低下もあったといい、動機はひとくくりにはできないかもしれない。しかし、学校生活で継続的ないじめに遭っている少年のメッセージになぜ即応できなかったか。市教委は「いじめも要因の一つであると認識」というが、絶望の前に少年を受け止め支えるすべはなかったのか。
 外国出身の母を中傷され、自分も仲間はずれにされた桐生市の少女はひとりぼっちで給食を食べていた。彼女はその悲しさを泣いて訴えもしていた。だが学校側は当初「いじめという認識はなかった」とし、その後「調査結果」として「いじめがあった」と認めた。だが、自殺との関係は分からないとした。
 文科省はこれでは不十分だとし、市教委は第三者委員会を設け解明を図るという。ひとりで給食を前にした少女の目の高さで見てほしい。
 文科省は、いじめ自殺が相次いで表面化した06年に「いじめはどの子、どの学校にも起き得る」との前提で調査するようチェックポイントも付け指示した。起きたら迅速な対応を求め、一見解決したようでも「陰湿ないじめが続いていることが少なくない」と継続指導も喚起していた。
 今回の両事件はそれとはずれた実情をのぞかせた。統計でいじめの件数は減っているのに現実には潜在化しているのではないか。文科省はそうみて、今回の事件前にも精密な調査を現場に求めたばかりだ。
 言うまでもないが、いじめは犯罪だという教育を改めて徹底したい。そして事例検証から未然防止、阻止の知恵や方策を引き出し共有するという、これまでなかなか定着しないルールをしっかり築きたい。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【識者に聞く6】被害者狭い選択肢 安心感支えるシステムを 読売新聞 2010/11/22

 ――いじめをなくすには
 「いじめをしたらダメだからな」「絶対に許さないぞ」と、全員の前ではっきりと繰り返し伝えている担任のクラスの子供は、いじめをしなくなる。いじめに遭っている側に、相談しても大丈夫なんだと思わせる仕組み作りも大切だ。打ち明けてもうまくいかなかったとなると、二度と言わなくなる。
 ――改善策は
 いじめられた子の選択肢がまだまだ限られている。たいてい我慢して学校に行くか、ちょっと休んで結局行かされる。午前中だけ学校に行くとか、フリースクールに行ったり、転校したりするとか、もっといろいろあっていい。不登校の子が学校に通う代わりに、行けば出席扱いになる「適応指導教室」もある。ただ、名前があまりにひどい。「通う子=不適応な子」となってしまう。
 ――日本の教育システムを支えてきたのは
 学級担任制だ。職務責任がはっきりしていて、「金八先生」に象徴されるように、疑似家族のような存在だ。公私ともに担任が面倒をみてルールを作り、愛のむちでしかる。担任には、いわば自己犠牲の精神が必要だった。
 ――メリットは
 同じ学級の中で、自然と友人ができていった。学級がなければ積極的に友達を作らなくてはならない。作るきっかけがないと、あぶれてしまう。例えば今の大学。なかなか友達ができず辞めてしまう学生もいる。大学で担任制を取るところも出てきている。
 ――担任制の今後は
 価値観が多様化し、一つの目標でまとめ上げるのは難しくなっている。昔のように、みんなが同じ小中学校に行き、高校も就職後も地元だったら簡単だった。今では転校生がどんどん入り、外国人の子供も珍しくない。「みんな仲良く」よりも「気に入った子と仲良く」の、選択の時代になっている。担任1人に任せては機能しなくなってきた。
 ――いじめの解決策は
 統計的に見ると、約半分が普段仲良しだった子からいじめを受けている。いじめられた側にとって、どういう解決が望ましいのかはそれぞれ異なる。いじめが止まればそれでいい、もう1回関係を修復したい、関係を完全に絶ちたい、転校したい――。いじめた側にもよく話を聞き、根本の利害対立が何で、双方が何を望んでいるのかをしっかり把握する必要がある。
 ――行政には何が求められる
 子供たちに身近なものでは教育相談の電話がある。だが、そこに電話すれば何をしてくれるのかがよく分からない。話を聞いてくれるのか、秘密を厳守してくれるのか、現状が良くなるのか。必要な情報が入ってこないのが現状だ。「いじめが起こっても大丈夫」という安心感を下支えするシステム作りが求められる。(聞き手・近内みゆき)
 (終わり)
     ◇
 この連載はそのほか、佐野泰彦、石川貴章、上村健太、竹内元、大塚美智子、田中ひろみ、波多江一郎、塚原早織が担当しました。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【識者に聞く5】カウンセラー人材不足 読売新聞 2010/11/21

メンタルヘルス・ケアセンターぐんまセンター長 多菊敏幸氏
 ――上村明子さんの自殺をどう考えるか
 取り巻く環境を考えなければならない。大きく四つに分けられ、第一が家庭や家族。第二が会社または学校。第三が友人や知人で、最後は住んでいる地域。
 小学生だと、その四つの環境の中で最も長い時間を過ごしているのが学校だ。友人がおらず、地域とも溶け込んでいないとなると、ここでのウエートは非常に高くなる。いじめを含め、先生や周囲が大したことはないと思っても、その子にとっては大きな影響を与える可能性がある。それに伴って何らかの症状が出ていたはずだ。
 ――学校側が明子さんの変化を感じ取れなかった
 一番症状が出る場所は家庭だが、学校でも当然出る。給食を一人で食べていたと訴えていたことから症状が出ていたことは明らかだ。学校側はこれを全然つかめていなかったし、つかもうとしなかった。スクールカウンセラーなどに報告し、対策をとる必要があった。
 ――学校に配置されているスクールカウンセラーの現状は
 中には素晴らしいカウンセラーもいるが、臨床心理士になりたてで人生経験が浅い人もいる。スクールカウンセラー導入に努めた河合隼雄さん(元文化庁長官、故人)が臨床心理士を国家資格に格上げしようとしたが実現せず、現在は協会資格だ。教員という国家資格を持った集団のシステムの中に、若手の臨床心理士が入っていくことは難しい。
 ――ほかにはスクールカウンセラーはどのような人がいるのか
 校長や教頭が退職後に就くことも多い。人材不足はわかるが、これでは十分なカウンセリングが出来ない。
 ――具体的に言うと
 元校長などのカウンセリングでは、その子供の立場を理解しようとするのではなく、どうしても指導になってしまう。
 例えば不登校の子供に対しては、学校に来させることに躍起になってしまう。教職経験者だから学校側の立場をとることは仕方がないこと。もちろん、問題がある子供の家に直接足を運ぶ、当事者間で話し合いの場を設けるなど努力はしているはず。しかし本人に問題を認知させ、解決に向かって自ら行動を起こすように導く本来のカウンセリングとはほど遠い。
 ――児童の心のケアのあり方は
 カウンセリングができるベテランの心理職と共に、経験の浅い臨床心理士や元校長や教頭、ないしは地域住民などが二人三脚となって、複数でケアする体制が理想だ。民間の開業カウンセラーを積極的に活用してもいい。(聞き手・波多江一郎)
 プロフィル 「メンタルヘルス・ケアセンターぐんま」(前橋市小相木町)センター長。同センターは民間の相談者本位の施設として、全国で最も早く厚生労働省認定の相談機関として登録された。日々、小学生から高齢者まで様々な世代のカウンセリング業務にあたっている。

新教育の森:学校の隠ぺい体質、いじめで浮き彫り 相次ぐ自殺、親と情報の共有を 毎日新聞 2010/11/20

 各地で相次ぐ子供たちのいじめ。群馬県桐生市で小学6年の女児が10月に自殺した際には、いじめが原因とする遺族の訴えを学校側は当初否定した。民間団体が今月発表したアンケート結果からも、真相を知りたいという遺族の思いを踏みにじる学校の隠ぺい体質が改めて浮き彫りになった。【高橋咲子、篠原成行】
 「何があったか知りたいという気持ちは、今も変わりません」。自殺や学校での事件・事故で子供を亡くした遺族らでつくるNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)が7日、東京都内で「親の知る権利を求めるシンポジウム」を開いた。パネリストの一人で、07年9月に中学2年の次男絢(けん)君(当時13歳)を自殺で失った近藤永子さん(44)=練馬区=が、悲しみをこらえるように語り始めた。
 自殺から2カ月ほどたったころ、同級生からいじめを疑わせる話を聞き、「何があったか知りたい」という思いが募った。学校での様子を教えてほしいとかけ合ったが、学校側は「調査はしない」の一点張り。「近藤さんがいると意見が言えない」と保護者会への参加も拒まれた。
 ◆遺族が独自に調査も
 近藤さんはクラスメートに独自にアンケートをした。その結果、絢君がみんなが見ている前で着替えを強要されたり、ズボンを取られたりしていたことが分かった。それでも学校は調査を拒否した。近藤さんに証言した生徒のうちの一人は教師に「君の見たことは間違いだよね」と何度も言われたという。近藤さんは「何があったか知るため、全部自分でやらねばならなかった。学校は息子の死をなかったことにしたいかのようだった」と振り返る。
 同NPOは92〜09年にいじめや暴力、教師の体罰などで子どもを亡くした遺族や後遺症が残る被害者の計110家族を対象に、今年2〜9月、学校側の対応などを尋ねるアンケートを実施。51家族が回答した結果を、シンポジウムで公表した。  事件・事故について学校や教育委員会から自発的な説明や報告があったのは6家族だけ。8割に当たる41家族は「なかった」と答えた。また、学校や教委の調査を「適切」「ほぼ適切」としたのも計4家族にすぎず、40家族は「不適切」「あまり適切だと思わない」と回答。学校などが作成する報告書に「自殺」を「事故」と記載するケースなど、親の認識と異なる報告がなされている実態も判明した。
 ◆調査委は必要だが
 学校側の調査に対する不信感を反映し、第三者による調査委員会については、条件付きも含めて38家族が「必要」と答えた。自由記述では「どのくらい被害者側に立って調査してくれるかが大事。形式的な機関ならなくてもよい」と懸念を示す声も目立った。
 近藤さんは「教員の評価制度や昇進を考えた時、学校にとって(自殺などをオープンにすることは)タブーなのかもしれない」と感じる。同NPOの武田さち子理事は「知りたいと思う親の願いは切実。学校側にとっても、親と情報を共有することが再発防止の第一歩になるはず」と強調する。調査に協力した常磐大大学院の小林麻衣子スーパーバイザー(被害者学)は「死という深刻な被害が起きたのに経緯も知らされず、学校側からうそまでつかれると遺族は心身に長期的なダメージが与えられる。納得できないままだと、人生の再構築もできない」と話している。
 ◇教委頼みの究明には限界
 2006年、福岡県筑前町や岐阜県瑞浪市などの小中学校で、いじめが原因と推測される児童生徒の自殺が相次いだ。文部科学省は都道府県の教育委員会や知事にあて、いじめの「チェックポイント」を送り、調査実施を通知した。
 チェックは「学校用」と「教委用」。学校用には「いじめを行う児童生徒には出席停止などの毅然(きぜん)とした対応を取っているか」など26項目、教委用には「いじめの報告があったときには、事実を隠ぺいすることなく適切な対応をしているか」など18項目の質問を、それぞれ設定した。
 しかし通知は義務ではなく、今回の桐生市教委もこのチェックを実施していなかった。文科省は「調査を義務付ける法令がない」との立場で、いじめの調査実施や調査委のメンバー選定は、各教委に委ねられている。通知から4年。教委頼みの調査に、明確な有効性は確立されていない。
 00年9月、13歳の息子を自殺で失った東京都の大貫隆志さん(53)は「チェックでは教委や学校が不利な事実を書かない可能性もある。親族などを調査に加え、遺族側の見解も反映すべきだ」と話す。実際、09年度の少年の自殺者数は、各教委の報告をまとめた文科省調査(中高生)が165人なのに対し、警察庁調査(09年、19歳以下)は565人と3倍近い開きがある。
 文科省も「教委を通した調査では事実が報告されていない疑いがある」と分析。11年度をめどに全国の約3万9000校の小中高校に対し「自殺の疑いも含め、すべての事案を発生1カ月以内に直接報告すること」を義務付け、実態を把握する方針だ。
 一方で、遺族から自殺の兆候などを聞き取るのは、現在の方法では困難という指摘もある。教育評論家の尾木直樹さんは「子供を失った遺族は動揺しており、聞き取りにはカウンセリングができる臨床心理士をあてるなどの工夫が必要。当事者の声が聞けないと、事実誤認が生じて間違った防止策が立てられる可能性もある」と危惧(きぐ)する。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ【識者に聞く4】つらい仲間外れ 読売新聞 2010/11/20

新潟青陵大学教授碓井真史氏51
 ――上村明子さんは給食時に独りぼっちだった
 みんながグループで食べている中、客観的に見てこれだけわかりやすいいじめはない。大学生や会社員でも、一人でごはんを食べることを避けたがる。「あの人、独りだ」と周りから思われることが嫌だから。日常の世界が狭い子供にとって、クラスからの仲間外れは、世界から疎外されることと同じ。大人が想像する以上につらく、心のダメージは相当大きい。
 ――いじめを受けても「心配かけたくない」と、親には言えない子も多い
 親は、「悪いこと」をして心配させていけないのであって、自分が悩み、苦しんでいることを言ってはいけないものではない。大人は子供を心配するのが仕事。だから何でも話していい。
 ――親は子供にどう接するべきか
 子供に「いい子でいないと」と思わせてはダメ。いいことで褒めるのは当然だが、「よくない時」にどう対応するか。例えば、マラソン大会で一等賞を取ったら誰でも褒める。ではビリだったら? みんなが走り終わって待っている中、最後にゴールするのは相当な勇気がいる。「それでも頑張っている自慢の子だ!」と思ってあげてほしい。
 ――親が子供の異変に気付くには
 子供は「親に知られたくない」と思いつつも、「でも、わかって」というシグナルを送る。いじめを受けて、突き飛ばされて転んだとする。子供は、親に心配かけまいと土や砂をきれいに払い落とすが、実は一部は払わずに残しておくものだ。それを見て「あれっ?」と気づけるかどうかが大切。いったんその感覚が起きれば、その後も小さな異変に目がいくようになる。
 ――今の先生は昔に比べ、雑用が多いと言われる
 教育委員会などから求められる報告書は昔より格段に多い。でも、あまりに多いと現場は右往左往する。そのうち世間が「学校は何をやっているのか」と批判を始める。報告のために本当にやるべきことが犠牲になるのなら逆効果だ。ただ、学校にも教委にも「子供の幸せのために頑張るぞ」という熱い心をもつ大人がたくさんいることも忘れないでほしい。
 ――昔と今、学校に対する見方は違うか
 昔は保護者が学校を信頼していた。子供が「先生に怒られた」なんて言ったら「お前が悪いことしたんだろ」。だが今は、「一体何があったんでしょうか」と学校を問いただす。一方で、当の子供には声を掛けられない親も多い。親も学校も、子供に気軽にひと声かけて、情報交換しやすい環境を整えておくことが大切だ。(聞き手・近内みゆき)

桐生の小6女児自殺:校外学習、「明子さん、一人だった」−−市教委調査 /群馬 毎日新聞 2010/11/19

 ◇駅で涙、車窓見つめる
 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、同市教委は市議会教育民生委員会に調査結果の概要を報告した。報告によると、明子さんは自殺する2日前の10月21日に行われた校外学習で駅で涙を流し、電車内でも一人で車窓を見つめるなど孤立していた様子が明らかになった。この日が明子さんの最後の登校日となった。【喜屋武真之介】
 調査結果の概要は、学校側による児童や教職員への聞き取りなどを基に作成された。校外学習の行われた日は、明子さんが担任とは別の教諭に給食での孤立を涙ながらに訴えたことが既に分かっているが、その前後の様子が記されている。
 概要と学校関係者の話を総合すると、明子さんは登校後、校外学習の参加を渋った。担任が理由を聞くと、明子さんは「『何でこういう時だけ来るんだよ』と(同級生に)言われた」と訴えた。別の教諭に話しかけられると、大声で泣き、「私は給食を一人で食べているんだ」と言った。この場にいた教職員は明子さんが給食で孤立していることを初めて知った。
 校外学習は上毛電鉄で前橋市内に向かい、県庁などを訪れた。しかし、新川駅で電車を待つ間、明子さんが泣いているのを児童が目撃していた。電車内でも座らずに、一人で外の景色を見ていたという。「校外学習の時、明子さんは一人だった」と話す児童もいた。
 担任は移動の際、同級生数人に明子さんと一緒に昼食をとるよう頼んだが、昼食時に明子さんは一人で食事しようとした。別の教諭が児童の集団に誘い入れ、この教諭の隣に座って食べたという。
 この日夜、明子さんから事情を聴いた父竜二さん(51)が担任に電話すると、担任は「(一部児童は)人の気持ちを考えずに発言してしまうことがあるので、これからも指導します」と答えたという。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ【識者に聞く3】なれあいが生むいじめ 読売新聞 2010/11/19

早稲田大教授 河村茂雄氏 50
 ――上村明子さんの学級をどう分析するか
 心理テストによる学級診断法「Q―U」★に基づいて考えると、6年生の初めはなれあい型で7月頃から荒れ始め型になり、2学期以降は崩壊型へと悪化したといえる。
 ――なれあい型の問題は
 教諭は個々の子供に優しいが、規則が徹底されず、子供同士の対立が起きやすい。欲求不満が高まると特定の子供がはけ口になるとみられる。これまでの調査では、小学校の場合、満足型に比べてなれあい型の学級で、いじめの発生割合が約3・6倍だった。
 仲良しグループの子が目立つ子の悪口を言い始めると、同調して悪口を言い、運動や勉強が出来る子でもいじめの対象になり得る。
 ――どうすべきだったか
 6年の初期段階で手を打ってほしかった。しかることが苦手な教諭なら、規則を守っている子を皆の前で褒めるなど、学級全体にルールを意識させることが必要だ。
 初期に問題と気付かず、教諭と子供との信頼関係が崩れ始めると、荒れ始め型になる。けんかや授業中の私語にその都度対応するうち、対応が必要な子供が急増し、崩壊型に至る。
 教諭に反発する子供の対応に追われ、1人で給食を食べる明子さんへの対応の優先度が低くなっていたのではないか。Q―Uなどで個々の子供の「困り感」と学級状態を把握して学校全体がチームとして支援できたらよかった。
 ――似た事例は多いか
 山ほどある。明子さんの学級担任は悪人でもなく手抜きでもなく、学級作りの方法論がわからなかったのだろう。こうした学級が増えている。理由の一つは、1990年代から不登校が増えて管理型が否定され、個々に沿った教育重視の流れの中、集団のまとめ方がおろそかになったため。もう一つは、保護者のクレームが増えたためだ。
 特に地方の年配教諭に多い。90年代頃までは責任感の強い男子がリーダーとして集団をまとめ、教諭は外からサポートすれば良かったからだ。今は人間関係が希薄化し、学級がまとまる道筋を教諭がある程度示さないといけない。
 地方は希薄化していないと思って危機感が薄い傾向がある。明子さんの住んでいた地域も工場があるなど転入者が少なくないというから、学級経営が難しくなっていたはず。学校や教育委員会は子供たちの変化に気付き、研修を実施するなど対応する必要がある。(聞き手・田中ひろみ)
★Q―U 〈1〉規則が守られているか〈2〉教諭と子供、子供同士の信頼関係が良好か――という二つの視点を柱に学級状態を診断する方法。学級内の多くの子供が両方高いと回答する「満足型」、〈1〉は高いが〈2〉はやや低い「管理型」、〈1〉はやや低いが〈2〉は高い「なれあい型」、両方やや低い「荒れ始め型」、両方低い「崩壊型」の五つに分類することができる。
 プロフィル 公立学校教諭などを経て、早稲田大教育学部教授。1996年にQ―Uを開発。学級崩壊の兆候やいじめの早期発見、対処に効果を上げ、現在は年間約220万人の児童生徒が利用している。全国で教員研修を実施。著書に「学級崩壊予防・回復マニュアル」(図書文化)など。

女児のクラス 学級崩壊、児童からSOS 読売新聞 2010/11/19

「授業にならない」担任以外の教諭に相談
 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、明子さんが給食を一人で食べるようになった背景の一つとみられる「学級崩壊」の経緯が、市教委がまとめた調査結果資料でわかった。クラスでは1学期当初から落ち着きがない児童の存在が目立ち、やがて授業が成り立たなくなる状況が生まれ、2学期には、数人の児童が担任以外の教諭に相談していた。
 調査結果などによると、明子さんのクラスは4月から、落ち着きがなく、姿勢が悪い児童が目立つようになった。7月には決められた席につくことに逆らう児童が増えてきた。また、一部の児童が担任に暴言を吐くなどしたという。
 8月下旬には、女子児童が反抗的な態度や、担任の発言に揚げ足を取る態度を見せるようになり、学級全体がまとまりを欠くようになった。9月には、教室が非常に汚く、乱れていることが多くなり、数人の児童が、担任以外の教諭に「授業にならないことがある」と相談していたという。
 その後、担任はクラスの落ち着きを取り戻そうと、ルール作りを行ったが、ルールを守ろうとする児童が少ないため、校長らも含めて指導を行った。
 その一環で、9月28日に授業中の私語をなくす目的で席を8列から6列にしたが、給食時の班について具体的な指導をしなかったため、児童は好きな者同士で席を寄せ合って食べるようになり、明子さんは一人になった。
 岸洋一校長は取材に対し「今のところ、この報告がすべてです」と話した。

桐生の小6女児自殺:因果関係、再調査へ 第三者委を設置 /群馬 毎日新聞 2010/11/18

 ◇父親「遺族側代理人も参加を」
 桐生市の新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡り、いじめとの因果関係を検証する第三者委員会の設置が17日決まった。両親らの訴えが桐生市教委を動かした。設置時期など具体的な内容は未定だが、この問題は再調査という新たな段階を迎える。明子さんの父竜二さん(51)は「因果関係が認められなければ、明子は天国に行けない」と訴えた。
 竜二さんによると、高橋清晴・市教育長らが同日夜、自宅に訪れ、第三者委の設置方針を報告。高橋教育長は「第三者を入れて公平に再調査する」と話したという。
 真相解明を求める竜二さんにとって大きな前進だが、竜二さんは報道陣に「なぜ調査にこれほど時間がかかるのか分からない。フェアに調査してくれればいいが、因果関係を認めない学校側の態度を考えるとどうしても不信感を持ってしまう」と話した。また竜二さんは「できることなら遺族側の代理人も第三者委に参加させてほしい」と語った。
 一方、桐生市の亀山豊文市長は17日の定例会見で明子さんの自殺を巡り「(学校は)いじめは認めているのだから、自殺との関係がもう少しはっきり分かるような調査を行う必要がある」と話した。学校側の調査結果については「内部にいると、事の大きさから、正しい判断、正しい調査というものができていない部分もある。内部調査には限度がある」と述べた。
 ◇6年1組、担任教諭を交代 ベテランの元教諭、臨時派遣
 県教委の福島金夫教育長は17日の定例会見で、上村明子さんが在籍していた6年1組に、元小学校教諭の男性を臨時教諭として派遣したことを明らかにした。男性は今年3月に定年退職したベテラン。今月1日付で就任し、任期は来年3月末まで。一方、桐生市教委は17日付で、6年1組の女性の担任教諭を男性に交代させた。10日から病気を理由に欠勤が続いていたという。
 福島教育長は派遣理由について「同級生の動揺が予想されたため、県教委の判断で経験豊富な先生を配置した」と述べた。6年1組の授業とクラス運営は今後、新しい担任と特別教諭の2人態勢で行う。
 一方、福島教育長は明子さんの自殺について「自死に至るには、関係したものすべてに何らかの要因がある。報告書を見ると、要因の一つと言われているいじめがあったのは事実のようだ」と述べた。また6年1組が学級崩壊に陥っていたことに触れ、「担任をどうサポートするか、具体的なバックアップの仕組みを早急に作る必要がある」との考えを示した。
 ◇全児童と保護者対象に特別授業−−新里東小
 桐生市立新里東小の体育館で17日、全校生徒と保護者を対象に、「命の授業」と題した特別授業が行われた。岸洋一校長によると、講師はNPO法人から招かれ、人とのつながりの大切さについてエピソードを交えて話した。講師は上村明子さんが受けたいじめや自殺には触れなかったという。

桐生市教委 第三者委の設置決める 読売新聞 2010/11/18

担任は男性教諭に交代
 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、桐生市教育委員会は17日、臨時会を開き、第三者による調査委員会の設置を決めた。委員から「もっと深い、徹底的な調査を」など、いじめと自殺の関係について究明を求める意見が相次いだ。
 ある委員は「因果関係を私なりに探ってきたが、確定的な判断に至らなかった」とし、さらなる調査を要望。別の委員も「複数の児童がいじめにあっていた中で、なぜ明子さんだけが悲劇的な結末を迎えたか。深い心の闇があったのでは」と語り、学校の報告を基にした多角的な調査が必要と指摘した。
 市教委事務局によると、今後は委員の意見を参考に、調査委メンバーについての素案を作成する方針。まとまり次第、あらためて教委に諮るという。
 臨時会後、市議会教育民生委員協議会が開かれた。岸洋一校長は明子さんが自殺した先月23日に連絡が取れなかったことが分かっているが、市教委は、コンサートと買い物に東京方面に出かけていたことを明らかにした。また明子さんの学級の担任の女性教諭は入院し、17日付で同じ学校の男性教諭に代わったことを説明した。
 質疑では、いじめと自殺の因果関係を巡る質問に対し、市教委側は「明子さんを取り巻く環境をより様々な角度から調査していく中で判断をしていくことになると思う」などと話した。
 新里東小は同日、命の大切さを児童に考えてほしいと、難病の子どもの夢をかなえるボランティア団体「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」の大野寿子事務局長(59)の講演会を開いた。明子さんの自殺を受け、学校側が大野さんに依頼したという。講演は、1〜3年と4〜6年に分けて行われ、保護者も参加した。
 県教委の福島金夫教育長は17日、定例記者会見で、上村明子さんが在籍していた学級に、元教員の男性を臨時に配置し、担任を2人態勢にしたことを明らかにした。また、新里東小の岸洋一校長について、「起こったことに対する管理責任はある。処分の可能性はある」と述べた。
 福島教育長は、冒頭、今回の問題について、「非常に強く受け止めている。小さな命を絶つということは、関係したすべてに何らかの要因があったのではと考えている」と話した。
 臨時の職員は、今月1日に配置。今年3月に定年退職した元教員で、来年3月末までが期限。学級の安定を保つのが狙いという。
 また、明子さんが自殺した先月23日、岸校長と連絡が取れなかったことについて、「普通はない。その時に(携帯電話に)出られなくても、その日のうちに確認を取れるような形にすべきで、管理監督者としての役割の一つだ」と述べた。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ【識者に聞く2】学校のルール明示を 読売新聞 2010/11/18

子供の特性見ながら対処
 ――上村明子さんのクラスは学級崩壊状態だった。一般的な原因は
 教員側に2パターンがある。一つ目は、四六時中、小言を言う先生。子供たちは最初は従うが、注意して内容を聞いているわけではない。徐々に私語が始まり、やがて遊んだり、けんかしたりし始める。二つ目は、「子供の自主性に任せる」と、学級のルール作りをしない先生。子供は、ある程度指導やルールがないと、やっていいことと悪いことの区別が付かない。
 ――二つの共通点は
 先生が子供の目を見て話をしていないこと。小言だけでなく、「今日はよくできたね」など、褒めるべき点はたくさんあるはずだ。「自主性」を強調する教員は、ダメなことをダメと、子供にきちんと言えていない。
 ――学級運営の秘訣(ひけつ)は
 担任をもったら4月の1週間が勝負。「これをしたら褒められる、あれをしたら注意される」というのを子供にはっきり示し、「このルールでやっていこう」と、明確な意思表示をすることが大切。「君たちに任せるよ」では、最初はうれしいが、やがて「本当に先生は自分たちのことを考えてくれているのだろうか」と疑問を抱くようになる。
 ――学校側が問題にうまく対処するには
 「学校とは、課題があり、問題が起きる所」という認識でいるべきだ。それらを解決しながら学級、学校運営をしていくものだと。そうすることで、予防的な対処も可能になる。常日頃から「何もないように」では、事が起きたとき、教師はどうしよう、起きてしまったと悩み、何をするにも消極的になる。
 ――「いじめ」をなくすよう、どう教えるべきか
 文部科学省も何度も定義を変えてきたように、何が「いじめ」かは難しい。1本の鉛筆を隠すことからリンチまでと幅広い。低学年から始め、発達段階ごとに教えていく。起きてから注意するのではなく、教育の中で理解させていくべきだ。
 ――学校側に求められるのは
 現場では、声の大きい子、目立つ子にばかり目が行きやすい。一人ひとりに目を配り、それぞれの特性を見ながら対処すべきだ。周りの先生が、第三者として気付いてあげることも肝要だ。
 ――今の教員に求められることは
 まずはコミュニケーション能力。言葉だけでなく、目で訴えるなど、子供からのメッセージに気付き、「空気を読む」こと。そして問題解決能力。必要があれば、同僚や保護者らとの連携も積極的にしていくべきだ。(聞き手・近内みゆき)
 群馬大学 懸川武史教授プロフィル 2008年4月から、群馬大学の教職大学院で実務経験のある教授として学生や現職教員を指導する。東毛地域で小学校教員を務め、県総合教育センターでは教育相談や不登校対策などを担当。05年4月〜08年3月、館林市立第五小学校長。

桐生小6自殺 第三者委設置を決定 群馬 産経新聞 2010/11/18

 桐生市の市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、同市教育委員会(鈴木正三委員長)は17日に開いた臨時会で、第三者による調査委員会を設置することを決めた。同委では今後、いじめと自殺の因果関係を調べる。ただ、明子さんの自殺からすでに1カ月近くが経過しており、遅々として進まない市側の対応に明子さんの家族は「どうして因果関係を認めるのに、こんなに時間がかかるのか」といらだちを隠せないでいる。
 臨時会では、委員から「多角的な調査をしなければ、心の深い闇(やみ)に迫ることができない」「これまでの報告書を生かしつつ、さらに中立的な立場での調査が必要だ」と再調査の必要性を訴えた意見が相次ぎ、有識者らによる第三者調査委の設置を決定した。
 また、同市の亀山豊文市長は同日開かれた記者会見で、いじめと自殺の因果関係について「(調査委の)報告を待ってみないと分からない」と述べた。さらに、「内部調査には限界があり、正しい判断ができない」と話し、客観的な判断ができる調査委設置を歓迎した。
 桐生市は12月1日から、いじめの早期発見のため学校カウンセラーを現行の2人から7人に増員する。明子さんが通っていた新里東小でも17日、特別講師を呼んで児童に命の大切さを伝える授業を行った。
 一方、県教育委員会もこの日、記者会見を開き、「クラスを安定させる必要がある」(福島金夫教育長)として、明子さんのクラスに定年退職したベテランの元小学校教諭を臨時職員として配置したことを明らかにした。
 県教委は各市町村教委を通じていじめの有無を把握するアンケートを実施中で、25日に市町村教委を交えた連絡会議を開催。アンケート結果をもとに再発防止策を協議する。
 ただ、第三者委の設置は決まったものの、委員の人選や開催時期については「慎重にならざるを得ない。これから決める」(市幹部)と白紙の状態で、市側の対応は遅い。
 明子さんの母(41)によると、自殺の直前に明子さんは「学校に行くなら死んだ方がましだ」と話していたという。このため、明子さんの父、竜二さん(51)は「いじめと自殺の因果関係は明らかだ。それを証明するまで納得しない。いつまで待たせるのか」と不快感を示した。

少女の死が問うもの 桐生小6自殺<下> 残された家族の苦悩 東京新聞 2010/11/17

 上村明子さん(12)が亡くなった後、家族のもとには新里東小から同級生や下級生らが書いた文集が届けられた。明子さんの冥福を祈り、運動会などの楽しい思い出を振り返る内容が多いが、いじめがあったことを示唆する文章はない。
 自殺から二十五日。竜二さんたち家族は現在、いじめと自殺の関連を含めた桐生市教委の再調査の行方を見守っている。文集を前にしながら明子さんの母親(41)は「明子から聞く学校での生活は、いつもさびしそうだった。学校での様子をもっと知りたい。待っているのはつらい」と話す。父親の竜二さん(51)は「なぜこれほどまでに時間がかかるのだろう」とこぼす。
 竜二さんたちの苦悩は、いじめや学校での事件事故などで子どもを亡くした遺族の多くが経験している。いじめ防止などに取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市、小森新一郎代表)によると、いじめを受けた子どもが自殺したケースでは、遺族が学校や教育委員会に訴えても、大半がいじめを認めないか、認めても自殺との因果関係は分からないという結論が出ている。
 学校側の調査結果も「個人情報なので」といった理由で大部分が明らかにされないケースが目立つ。同NPO法人がことし二〜九月に実施したアンケートによると、過去にいじめや教師の体罰などで子どもを亡くしたり、子どもが後遺症を抱えるなどの計五十一家族のうち、約八割の四十一家族が、学校や教育委員会から自発的な事件・事故の詳しい説明を受けなかったと回答している。同NPO法人理事の小森美登里さん(53)は「学校と親の情報共有が進まなければ、有効な再発防止策はたてられない」と指摘する。
 小森さんは、一九九八年にいじめを受けた高校一年の長女が自殺。いじめの存在や自殺との因果関係などを認めるよう求め、神奈川県などを訴えて七年かけて裁判を争った。
 裁判が長引くにつれ、学校関係者や周囲の保護者らから「ああいう親だから子どもも自殺したんだ」などと家庭に責任を負わせる声が上がり、胸を痛めた。多くの遺族がこうした「いじめの二次被害」に傷を深める経験をするという。
 裁判で、いじめは認められたが、自殺との因果関係は認められなかった。「遺族にとってはいじめを認めていないのと同じ。いじめがなければ今も子どもは生きているという確信があるんです」
 竜二さんは「うちは裕福でなく、(経済的には)『いい親』じゃなかったかもしれない」と話す。転校を切望した明子さんに、小学校卒業後に大阪に引っ越す計画を伝えていたことにも「あと少しのがまんと思っていた。今振り返ると、学校に行かせなくても良かった」と悔いがある。  「けれど」と明子さんの遺影を見ながら強調する。「子どもを追い詰めることはしてこなかった。私たちには(いじめが原因で自殺したという)答えが見えているんです」  (写真:上村明子さんの遺影の前で新里東小の児童の文集を読む父親の竜二さん=桐生市で)

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ【識者に聞く1】典型的な学級崩壊 読売新聞 2010/11/17

教育評論家 尾木直樹氏 63
桐生市の小学6年、上村明子さん(12)の自殺は、子どもを取り巻く社会の様々な課題を大人たちに突きつけている。二度と繰り返さないために何をすべきか。専門家に聞く。
 ――明子さんの学級をどう分析する
 担任の言うことを聞かず、好きな子同士で給食を食べるなど担任の指導が行き届いていない。いわゆる典型的な学級崩壊。彼女だけでなく担任もいじめられていると言える。
 ――明子さんが残した漫画や作文にはどんなメッセージが込められているか
 漫画には、彼女の理想の世界が描かれている。児童が反発することなく担任の話に耳を傾けていることもその一つ。未完だが、これから転入生がクラスに溶け込む話を描きたかったのだろう。「やっぱり友達っていいな」の題からも友達がほしかった彼女の気持ちが伝わってくる。だが、現実があまりに違っていたため、続きを書くことができなかった。
 ――自殺に至った心境をどうみるか
 彼女の発したSOSが担任に届かなかった。毎日1人で給食を食べたり、暴言を吐かれたりと、生きていることがまるで地獄で、(両親が考えたという)3月の引っ越しまで待てなかった。逃げ場がなかったのだろう。
 ――いじめに発展したと思われる要因は
 転入生であること、外見が日本人と少し違うなどが理由に挙げられる。思春期の児童は、化粧をしてみるなど外見を気にし始め、集団から個々にグループを作り出す時期。その中で彼女は排除されてしまったと考える。
 ――学校はどうすべきだったか
 思春期の児童をまとめるのは非常に難しい。だからこそ、校長は今までの経緯を踏まえて経験豊富な教諭を配置すべきだった。学級崩壊が起きている時点で、管理職は早急に担任を替えるべきだった。態勢がしっかりしておらず、彼女を見殺しにしたようなものだ。
 ――学校側はいじめを認めたが、自殺との因果関係を認めていない
 因果関係がはっきりとしないのなら、委員会をすぐに設置して早急に調査すべきだった。調査に乗り出すのが遅すぎる。なぜすぐに調査しなかったのか疑問。
 ――今回の学校の対応についてどう思うか
 いじめを認めるのが遅すぎる。2007年1月、文部科学省はいじめの定義を見直し、児童が「精神的な苦痛を感じているもの」がいじめにあたるとした。内容を理解してないのでは。また文科省が9月に求めたいじめ実態のアンケート調査を行っていなかった。学校は文科省の要請していることをまったく無視している。事件が起きてからアンケートをしたが、遅すぎる。

「学校行くなら死にたい」小6女児、母親に訴え 読売新聞 2010/11/17

 学校でのいじめを苦にしていた群馬県桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、明子さんが先月23日に自殺する直前、母親(41)に「学校に行くなら死んだ方がまし」と話していたことがわかった。
 母親によると、同日朝、子ども2人で留守番するよう頼んでおいたところ、明子さんは、1人で遊びに出かけようとした妹(10)と口げんかになった。母親が「一緒に遊びに行けばいいじゃない」と2人の仲裁に入ると、明子さんは「学校を休んでいるから、外に出るとずる休みをしていたと思われる」と話した。
 その後、明子さんは「学校だといつもひとりぼっち」と訴え、母親が「私たちがいる」と慰めても、「学校に行くなら死んだ方がまし」と強い口調で話した。母親が「死ぬという言葉は言ってはいけない」とたしなめると、明子さんは黙ったままだったという。

少女の死が問うもの 桐生小6自殺<中> 『学級崩壊』で深めた孤立 東京新聞 2010/11/16

 亡くなった上村明子さん(12)は自殺する二日前の先月二十一日に校外学習に参加した際、泣きながら「私は給食を一人で食べているんだよ」と学校側に訴えていた。八日の桐生市教育委員会臨時会で学校の調査結果を受けた教育委員は「どんなに悲しかったかという気持ちを十分に想像できる」と述べた。
 学校や市教委によると、明子さんの学級では一学期後半から児童に落ち着きがなくなった。乱暴な言葉を日常的に使ったり、担任の指示を聞かなかったりする状態があった。
 九月末には給食の班組みが乱れ、好きな子同士で座るようになり、明子さん一人で食べることが目立つようになった。
 別の教育委員は臨時会で「学級崩壊といういじめの温床のようななかで、明子さんへのいじめが出てきたのではないか」と指摘している。
 父親の竜二さん(51)によると、明子さんは担任が注意をしても言い返す児童もいると話し「先生はなめられている」と感じていた。明子さんは給食の件を担任に相談したが、自分から同級生を誘うように指導されたという。十月は同級生と一緒に食べる日もあったが、誘っても「また今度ね」と断られる日もあり、孤立する状況はあまり変わらなかった。
 このころから欠席も増えて両親に「転校したい」と繰り返し訴えるようになり、竜二さんは「一人の給食が一番こたえていたようだ」と話す。
 岸洋一校長は八日の会見で、学級崩壊状態は周りの教師が気にかけており、教科によっては担任と他の教師が一緒に指導するなど、改善に努めていたと説明。給食の件も校外学習の翌日、児童全員が前を向いて食べるように変更したとし「多くの教員が学級にかかわりをもっていたが(指導が)十分に行き届かなかった」と振り返った。
 県教委によると、県内で学級崩壊の実態を把握する調査は行われていない。新里東小は学級のまとまりを取り戻そうと努力する一方、明子さんが給食で孤立感を深めていることを感じ取れなかったのか。
 いじめの研究をしている群馬医療福祉大(前橋市)の大野俊和准教授(社会心理学)は、学級崩壊が起きた場合、学校側に対策のノウハウがないと、教室内で静かにしている子や欠席している子まではなかなか目が行き届かなくなると指摘。新里東小の対応を「学級全体を何とかしようとするなかで、明子さんのケアが後手に回った可能性がある」と話した。

桐生市教委 あす臨時会 東京新聞 2010/11/16

 桐生市立新里東小六年の上村明子さん(12)が自殺して家族がいじめが原因と訴えている問題で、市教委は十七日午後三時から市役所で臨時会を開くことを決めた。
 亀山豊文市長が市教委に自殺との関連も含めたさらなる調査を指示しており、臨時会では今後の調査について検討するとみられる。

少女の死が問うもの 桐生小6自殺<上> いじめを受け止めなかった学校 東京新聞 2010/11/14

 「明子さんは『ウエゴリ』と呼ばれていたようです。たぶん、上村の上とゴリラを付けて、発せられたと考えられます」。桐生市立新里東小学校六年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、学校や市教委が八日に開いた会見。岸洋一校長は明子さんが同級生から受けていた心無い言葉を、消え入りそうな声で説明した。
 学校が児童を対象に実施したアンケートや聞き取り調査で、明子さんの学級では「うざい」「きもい」などの言葉を日常的に使う児童がおり、明子さんには「ウエゴリ」という言葉もあったと示された。父親の竜二さん(51)は母親がフィリピン国籍のため明子さんの容姿をからかう言葉ではないかと感じ「明子は心を痛めていたようだ」と振り返る。
 竜二さんは担任に明子さんが心無い言葉を受けて嫌な思いをしていることを相談していた。だが岸校長は自殺から二日後の十月二十五日の会見で、学級内で言葉が荒れていたという認識は示したが、明子さんが心無い言葉を受けたかどうかは「職員が把握できる場で汚い言葉というのは、十分に把握していない」と説明した。
 明子さんが具体的にどんな言葉に傷ついたのか。担任や学校側は、自殺後のアンケートと聞き取り調査を経てやっと、つかんだ。竜二さんは「先生たちは何をしていたのだろうか」とつぶやく。
 心無い言葉をいじめと感じる子どもは、少なくない。子どもや保護者らの電話相談を受け付けている県総合教育センター(伊勢崎市)のいじめ対策室によると、統計を取り始めた二〇〇七年度から〇九年度まで、同センターに寄せられた相談内容は「言葉によるいじめ」が最も多い=表参照。明子さんの学級のように「うざい」や「きもい」に傷ついたという相談もある。
 電話相談の事例では、学校に相談していないケースも多いという。同室の藤本重夫係長は「子どもや親には『学校に相談するといじめがひどくなるのでは』と心配する人もいる」と話す。  県教委義務教育課の角田和志企画係長は「多くのいじめは先生が見えないところで行われる」と指摘し、こう強調した。「いじめはどこでも誰にでも起こる。学校は言葉を受けた子どもと直接話して『悪口を言われて悲しい』という気持ちに手を差し伸べなくてはならない」
     ◇
 学校は調査を経ていじめを認めたが、「自殺の直接的な原因はわからない」とし、市教委はさらなる調査を検討している。家族の苦悩は今も深い。少女の死が問いかける課題を考える。(この連載は中山岳が担当します)
<いじめの定義> 文部科学省の定義では、「児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」。2006年にいじめを受けた子どもの自殺が相次ぎ、同年度の調査から、「自分より弱い者に対して一方的に」「(攻撃を)継続的に」などの要素を取り除き条件を緩和した。個々の行為がいじめに当たるかどうかの判断は、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものと定められている。

桐生市長と教育長 上村さん宅を弔問 読売新聞 2010/11/14

 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺し、学校側がいじめを認めた問題で、同市の亀山豊文市長が13日、明子さんの自殺後初めて、上村さん宅に弔問に訪れた。
 同行した同市教育委員会の高橋清晴教育長によると、亀山市長は線香をあげたり、明子さんの両親に、学校側が先日出した報告に対し、自殺との関連も含めてさらなる調査を行うように市教委に指示したことなどを伝えたりしたという。
 亀山市長と高橋教育長は9日にも弔問で上村さん宅を訪れていたが、不在で果たせなかった。
 弔問を受け、明子さんの父、竜二さん(51)は「なるべく短期間で結論を出していただきたい」と話した。 (写真:亀山豊文市長)

群馬小6自殺、翌朝まで校長に連絡つかず 読売新聞 2010/11/13

 群馬県桐生市の小学6年生、上村明子さん(12)が自殺した問題で、明子さんが先月23日昼に亡くなった後、翌朝まで、学校から校長に連絡がつかなかったことが、市教育委員会などへの取材でわかった。
 市教委などによると、明子さんが通っていた市立新里東小には、同日午後1時過ぎに家族から連絡が入った。この日は土曜日で、学校側が岸洋一校長(59)の携帯電話に電話をかけたところ、岸校長は呼び出し音に応じなかった。自宅の電話もつながらず、職員が自宅を訪ねたが、不在だった。翌24日朝、携帯電話がつながり、岸校長は初めて事態を知ったという。
 明子さんの父、竜二さん(51)の話では、明子さんが亡くなった日は生方友江教頭ら4、5人の教員が病院に駆け付けたが、岸校長の姿はなかった。竜二さんが、なぜ校長がいないのかと問うと、「前橋に住んでいるからだ」と説明されたという。竜二さんは「自分の学校の児童が自殺をしたというのに信じられない」と話している。
 市教委などによると、岸校長はこの日、夜まで外出し、携帯電話には不具合があったとしている。一方、外出のため連絡が取れなくなるとの事前通告もなかったという。自宅では母親と2人で暮らし、日常的に固定電話の電話線を外しているという。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【8】学校へ不信感ぬぐえず 読売新聞 2010/11/13

徹底調査を/「逃げること」大切
 自ら命を絶った桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が苦にしていたいじめ問題には、多くの人が関心を寄せている。家庭、学校のあり方、学校への期待など、読売新聞前橋支局に寄せられた読者の声の一部を前回に続いて紹介する。
     ◇
 いじめは学校教育以前に「家庭での教育の問題」というのは、生後7か月の赤ちゃんを持つ太田市の主婦(28)。「最も責任を感じるべきは、いじめた児童と保護者。家庭でしっかりとした教育を行うべき」と主張する。
 高校生の長女を筆頭に3人の娘がいる40代の女性は、長女と次女が仲間外れや「くさい」「きたない」など言葉のいじめに遭い、学校に相談したが、「あなたの娘さんにも非があると、子どもたちが言っている」などとして、全く取り合ってもらえなかった。「先生はまるで監視カメラ。見ているけど、それだけ。人間は動けるんだから、行動に移すべき」。学校側への不信感はぬぐえない。
 それぞれの経験で、学校が重要と思う人もいれば、無理して行かなくてもいいと考える人もいる。
 子どもが伸び伸びと過ごせる学校の重要性を訴えたのは、小1の子を持つ女性(36)。学校で友達ができ、仲良く遊んで、けんかして。謝る勇気を学び、友達を信じて強い絆(きずな)で結ばれる――。「そんな繰り返しで、勉強以外のことを学んでいける。学校の存在は大きい」
 一方、前橋市の男性(63)は、いじめ対策として「学校に3回相談に行っても改善されなければ、もう通わせない方がいい」と考える。人生経験が浅く、いろいろな場面での対処法を知らない年齢では、ひとまず「危険」から逃げることが大切とした上で、様々な生き方が尊重される社会の実現を訴えた。
 学校のあり方についての声も多い。
 前橋市の男性は、「教育や生徒管理などのため、実態を知る余裕がないのかもしれない」と教員の多忙さに触れつつも、「『知らなかった』では教育者として失格。子どもの自殺は徹底的に原因を調査し、今後に生かす義務がある」。
 制度面で提案を寄せたのは7歳の娘を持つ前橋市の女性(48)。一部の学校では、高学年で教科ごとに担当教諭が替わる制度を採用していることを挙げ、「担任の先生の影響が最も大きい低学年にこそ、この制度を導入してほしい」と力を込めた。
 明子さんと同じように、自身の容姿のことでわが子が友達にからかわれた経験を打ち明けた女性は、明子さんの自殺のニュースに「他人事とは思えず、本当にゾッとした」。なぜ自分の事でいとしい我が子がからかわれ、精神的に追いつめられなければならないのか。明子さんの母の気持ちを思いやるとやりきれなさが募る。「子どもが生活時間の大半を過ごす学校。命を預かるという緊張感を持って、子どもたちの成長の手助けをしてほしい」。学校へ切なる願いを託した。

12歳のSOS:桐生小6女児自殺/下 2日前 /群馬 読売新聞 2010/11/13

 ◇「みんな相手にしてくれない」 別の教諭に「涙の訴え」
 自殺3日前の10月20日夜。上村明子さん(12)宅の電話が鳴った。担任教諭からだった。明子さんは19日に「病気」、20日に「家の用事」を理由に2日連続で学校を休んでいた。父竜二さん(51)によると、担任は翌日の校外学習に、明子さんに出席してほしいとの考えを伝えた。
 21日朝、明子さんは6年1組の教室に足を踏み入れた。「なんでこんな時だけ来るの?」「普段はずる休みかよ」。心ない言葉が投げかけられた。学校側の調査結果によると、明子さんをいじめていたのは女児と男児数人ずつ。クラスは当時、学級崩壊に陥っており、担任の指導を無視して、給食の席を勝手に変えていた。
 学校関係者によると、明子さんはこの日、担任ではなく、別の教諭に「みんな相手にしてくれない」「昼はひとりぼっちで食事させられている」と泣きながら訴えた。教諭は担任にこの話を伝えた。  明子さんは夕方、泣いて自宅に戻り、両親に学校での出来事を伝えた。竜二さんは「これはほっとけない」と思い、学校に電話した。「どうしてくれるんですか」と話すと、担任は「話し合ってみます」と答えたという。市教委によると、担任が校長と話し合った結果、給食は翌22日から、授業と同様に全員が縦1列に黒板に向かってとることにした。
 自殺前日の22日、明子さんは再び欠席した。学校に連絡はなかった。担任は明子さん宅に給食の方針を伝えるために出向いたが、両親は留守で誰もインターホンに出なかった。
 23日。明子さんは午前9時ごろ起床し、朝食の焼きおにぎりを食べた。その後、「ジュースが飲みたい」と竜二さんに頼んだ。普段は自分で買うが、この日は「どうしてもお父さんじゃないとだめ。買ってきて」とねだったという。竜二さんはジュースを買ってあげた後、外出した。
 「明子が大変。すぐ帰ってきて」。午後0時半ごろ、竜二さんの携帯電話が鳴った。母(41)からだった。病院に到着すると、明子さんは変わり果てた姿で横たわっていた。
 「特別にいじめの対象になっているということについては、把握には努めているけども、なかったということになります」。自殺の2日後、岸洋一校長は会見で、「いじめの認識はなかった」と述べた。この会見では、自殺2日前の「涙の訴え」は明らかにされず、今月8日の桐生市教委臨時会で初めて報告された。
 しかし岸校長はいじめと自殺の因果関係を認めなかった。「いじめはあったが、(自殺の)直接的な原因は分からない。明子さんの学校生活で、死を感じさせる様子や言葉がなかった」
 市教委には調査結果発表の翌日、全国から抗議の電話が相次ぎ、電話回線はパンク状態になった。明子さんが発信した2日前のSOS。学校側の対応が適切だったか改めて問われている。(この企画は塩田彩、喜屋武真之介、角田直哉、塚本英夫が担当しました)

小6自殺 市教委「今後の協議で方策探りたい」 産経新聞 2010/11/12

 群馬県桐生市の市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、同市教育委員会は12日、市役所内で非公式の協議を行い、亀山豊文市長からいじめとの因果関係など、さらなる調査の続行を指示されたことを受け、今後の対応を話し合った。
 市教委関係者によると、協議では調査結果についてなるべく早急に出したいとしながらも、具体的な方策については今後の協議会で決めることを確認した。同日、一部で報道された「第三者による調査委員会の設置」については「現時点では全くの白紙」として否定した。
 鈴木正三教育委員長は、協議後、「可及的速やかに調査を進めたい」と述べるにとどめた。同委員長は8日に開かれた市教委臨時会後に「(いじめと自殺の)因果関係はないと考えている」と発言している。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【7】いじめ…癒えない傷 読売新聞 2010/11/12

耳貸さぬ担任/相談、迅速対応も
■読者の反響上
連日、多くの読者から意見が寄せられている  いじめを苦にしていた桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が先月23日、自ら命を絶った。痛ましい出来事に、読売新聞前橋支局には読者から多くの意見が寄せられている。学校への批判、自分の子どもがいじめに遭った経験、自身がいじめに苦しんだ過去、いじめのない学校のあり方とは――。お便りの一部を、2回にわたって紹介する。
     ◇
 小学校低学年の娘をもつ太田市の女性(31)は、上村さんの自殺を受け、担任が子どもたちに掛けた言葉に疑問を隠せない。「このクラスにはいじめがないと信じているから」。それっきり、深い話はないという。
 娘は嫌がらせを受けていた。教科書やノートが学校で複数回なくなったため相談すると、「一生懸命探します」の一言のみ。「子どもの話がなければ、親は教室で何が起きているのか知ることはできない」と学校の閉鎖性に不安を抱く。
 「学校は、子どもが小さな命を削ってまで行くべき場所ではない」。小6の息子が、小1のときからいじめに悩んでいたという藤岡市の母親(40)は訴える。  2年次の担任は電話や家庭訪問で学校で起きたことや相手の反応、周りで見ていた子の様子などを詳しく話してくれた。しかし以後の担任は、「もっと嫌なことをされている子はいっぱいいる」などと聞く耳をもたなかった。「学校側は、大事な子どもを預かっている。全児童を我が子と思って接して」と切に願う。
 娘が小3のとき、クラスの男子から「臭い」などと言葉のいじめを受けたという男性は、当時の女性担任の迅速な対応を、「原因をつかみ、相手を注意して席替えをしてくれた。その後もずっと目を配っていてくれた」と振り返った。
 いじめを受けた側には、一生癒えない傷が残る。
 「一日一日がつらく、生きる意味すら分からないのに、周囲から『頑張れ』と掛けられる言葉にがんじがらめになる」。いじめられる側の内面を代弁するのは、前橋市の女性会社員(25)。中学時代、父親がいないことを理由に、意地悪な言葉や暴力を受けた。周りの教師は見て見ぬふり。転校したが精神的に耐えられず、間もなく不登校になった。「明子さんの未来や希望を奪ってしまったことを学校、同級生、保護者たちも、一生忘れないで」と締めくくった。
 いじめに遭っても親には「心配かけたくない」などと相談できなかった人は少なくない。
 桐生市の40代女性は小6のとき、親の職業が元で「汚い」「触るな」などと言われ続けた。両親には言えず、教室の窓から飛び降り自殺も考えた。だが、「思い浮かぶのは両親の顔。悲しむかな、泣くかな……」。いじめに気付いた担任が、学級で話し合いをもち、いじめた子に誤った認識を改めさせた。「一人ひとりに目を配り、根気よく接してくれた。そんな先生が新里東小にもいたら、女の子は救われたのでは」
 中学時代に言葉のいじめを受けた桐生市の40代女性は「30年近く前の事なのに、いまだに当時が思い出され、心臓がドキドキすることがある」と告白する。当時、親には言えず、担任に相談。表面的にはいじめは収まったものの、陰では続いたという。現在は2人の小学生の母として、「親も、命の尊さや、言葉や暴力で人を傷つけてはならないことを教えなくては」と訴える。

小6自殺、5年時から家族訴え 学校、県教委へ報告怠る 群馬 産経新聞 2010/11/12

 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、学校側が県教委に対し、上村さんのいじめに関する報告を怠っていたことが11日、分かった。こうした事態を受け、県教委は同日、各市町村教委に対し、いじめの早期把握を目的に定期的なアンケートの実施や報告の徹底を求める通達を出した。
                   ◇
 県教委によると、各市町村教委に出した通達に基づき、教諭がいじめの現場を目撃したり、児童や保護者から訴えがあったりした場合、学校側は各市町村教委を通して県教委に報告しなければならない。
 ところが新里東小は、上村さんが5年生の時に家族から、「同級生から暴言を受けるいじめを受けている」と訴えられていたことや、上村さんらから6年生時に給食時の孤立の改善を求められていたことを県教委に一切、報告していなかった。
 県教委が11日、桐生市教委に状況説明を求めたところ、5年生時のいじめの訴えについては「誤解であり、いじめではないと判断した」と回答した。
 こうした市教委の対応について、県教委は「5年生時は、いじめを家族が訴えていたので報告しなければならなかった。給食時の孤立も児童が苦痛を訴えていたので、学校側の認識にかかわらず報告すべき対象だった」と批判している。
 県教委が11日に各市町村教委に出した通達では、毎月1回は小中学生へのアンケート調査を実施し、いじめ被害を訴える児童・生徒がいた場合に必要に応じて個人面談を行い実態を把握したうえで、県教委へ報告するように求めている。
 県教委では25日、各市町村教委の担当課長を県庁に集めて開く「いじめ問題などに関する緊急連絡会」の場でも、通達内容の徹底を求める方針だ。

群馬小6自殺 学校、いじめ調査せず 文科省、1カ月前に依頼 産経新聞 2010/11/11

 群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん=当時(12)=が自殺し、後になって学校側がいじめがあったことを確認した問題で、同小学校が自殺1カ月前に文部科学省から依頼されたいじめ調査を実施していなかったことが10日、分かった。調査を実施していれば、事前に明子さんへのいじめを把握できた可能性もあり、文科省では「自殺を防げたかもしれない」としている。
 桐生市教委によると、同小は調査を実施しなかった理由について「12月初旬の人権週間に合わせ、実施する予定だった。『実施しなかった』という認識はない」と説明したという。
 同小が実施していなかったのは、文科省の「いじめの実態把握のためのアンケート」。いじめ早期発見と対策のために、各校の児童や生徒一人一人にアンケート実施を求めていた。
 文科省によると、今年9月14日に、全国の小中学校と高校などへ教委を通じてアンケートを依頼。明子さんの通っていた新里東小にも、桐生市教委を通じて通知文書が届けられていた。
 しかし、同校ではアンケートは実施されず、10月23日に明子さんが自殺。それにもかかわらず学校側は、「いじめの認識はなかった」という見解を示した。
 明子さんの両親がいじめの存在を強く主張したことなどから、学校側は文科省アンケートとは別に全児童を対象に聞き取り調査を実施し、11月8日になって、いじめの事実を認めた。ただ、自殺の原因とは認めなかった。
 一連の経緯に疑問を感じた文科省が、群馬県教委を通じて同小にアンケート結果を確認したところ、未実施であることが判明した。
 同アンケートの実施率は平成21年度で65・9%。3分の1以上の学校が実施していないことなどから、文科省は10日、「いじめに対する学校側の認識が甘い。積極的な把握に努めないと解決は難しい」として、各都道府県教委に対し、いじめなどについて定期的なアンケート実施を徹底するように求める通知を出した。

「いじめ調査報告不十分」 知事、対応の遅さなど批判 読売新聞 2010/11/11

 大沢知事は10日の定例記者会見で、桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)の自殺に関する市教委の調査報告について、「再発防止には、今の段階ではまだまだ不十分。いじめの問題をしっかりとらえきっていない」と指摘し、市教委が予定している再調査の結果報告を待つ考えを示した。
 いじめがあったことを、学校側が認めるまでに時間がかかったことについては、「亡くなった子どもや遺族のことを考えても、もっと真摯(しんし)に対応するべきだった」と対応の遅さを批判。また、学校や市教委が、「事前にどれくらい(いじめを)把握していたのか疑問」として、「亡くなる以前に把握していたのであれば、いろんな答えが出たのでは」との考えを示した。
 さらに、再発防止に向け、「(いじめには)予兆がある。それをしっかりと抱え込んでやるだけの包容力が教師の側にあってほしい」と注文をつけた。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【6】学校に行かない選択も いじめ救済、情報不足 読売新聞 2010/11/10

 自殺した桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)宅を8日昼、岸洋一校長(59)が教頭、担任とともに訪れた。明子さんへのいじめがあったとする見解を伝える校長らと対峙(たいじ)していた母親(41)は涙を流しながら訴えた。「中学の制服姿を見たかった。明子がいない人生をどうやって生きていけばいいのでしょうか……」  両親は今も悔いている。「どうして『卒業まで頑張れ』なんて言ってしまったんだろう。明子が望むように学校を休ませてあげれば良かった」と。
     ◇
 いじめの研究に取り組む群馬医療福祉大学の大野俊和准教授は、明子さんの自殺について「選択肢がなかったことが一番かわいそう。転校するとかフリースクールに行くとかの別な道があっても良かった」と話す。
 前橋市富士見町赤城山のフリースクール「今生(こんせい)塾」では、小中学校の元教諭らが、小学生から高校生までの男女3人を一人ひとりに合った勉強法で指導している。
 不登校の子どもの受け皿にしたいと約15年前に塾を開いた金田倫光塾長(79)は「不登校の子の大半がいじめを受けている」と言う。
 学校になじめず、小学校卒業後、高校の通信制課程を終えるまで、この塾で過ごした前橋市内のアルバイト男性(24)は小学2年の頃、「お前はうっとうしい」などという中傷を受けた。その後も暴力など「耐えられる程度のいじめ」はあったという。
 男性は母親の勧めで入塾したが「ここに来てよかった。世界ががらりと変わった」と振り返る。友達は絵がうまかったり、料理が出来たりと、それぞれに個性的で、それを尊重する雰囲気があったからだ。
 明子さんが学校へ行きたくないと両親へ訴えていたことについて、男性は「学校に行きたくなくても、家族に言われれば行っちゃう。でも本当に嫌がっているなら、その子の意見を聞いてみてほしい。色々な道があったはずだし」と話す。
 ただ、フリースクールの認知度はまだまだ低い現実がある。文部科学省によると、2009年度の不登校の小中学生は12万2432人。そのうち、フリースクールなどの民間施設に1回以上通ったのは、小学生が620人、中学生が1490人に過ぎない。
     ◇
 明子さんには転校という手段もあった。桐生市教委では毎年、いじめなどで学区外の小中学校へ転校を望む児童生徒が数人いるが、理由が適正であれば受け入れている。
 ただ、こうした選択肢があるという情報はあまり知られていない。
 大野准教授によると、いじめの解決に関して、被害者は多様なニーズを持っているが、提供されるサービスはわずかしかない。女性への家庭内暴力や虐待であれば、防止目的の法律に基づいて被害者が駆け込める場所がある。いじめに悩む子どもを支える法的、制度化された機関は乏しい。
 「相談機関があって、今の学校以外を自分で選べたとしたら、明子さんは自殺を考えずに済んだのではないか」と訴える。

学級崩壊と教員の指導力不足の犠牲に上村明子さん 「どーんと来い・いじめに負けるな裁判を通して」より

 群馬県桐生市立新里東小学校の小6年、上村明子さんの自殺を巡る情況が次第に明らかになってきた。
毎日新聞によると、当初予想したとおり、明子さんが在籍していたクラスでは、1学期から学級崩壊状態。教師の指示に従わない状態が継続。隣のクラスの教員や空き時間の教員が、クラスを立て直すため、場当たり的に授業に入っていたと伝えられている。
子どもにとっては、これがどのように映っていたのだろうか。恐らく「私の担任の先生は、何か問題があるから、他の先生が入ってきたのだろう。」・・・・つまり、この担任の教師に対する子どもとの信頼関係は、ダメ先生とのレッテルを貼られたも同然で瓦解の方向へ向かったていたと考えられる。
 仮に、この担任の先生の指導力に問題があるのなら、校長並び桐生市教育委員会は、この教師に対する指導監督責任を負うから、速やかに、担任の交代等行わなければならない。
 それが場当たり的な対応をしたために、明子さんのいたクラスでは、日常的に暴言が飛び交う、授業は成り立たない。子どもの欲求不満は蓄積され、ますます心はすさんでくる。学級崩壊が進行が止められるはすが無い。
 第一に責任を問われるべきは、校長の岸洋一。校長は、桐生市教育委員会に対して、どのような支援を要請していたのかが問題だ。仮に、校長から桐生市教育委員会が支援の要請を受けていたとすれば、教育委員会にも指導監督責任が法律上も生じてくる。子どもの学ぶ権利、安全確保が第一で、先に述べたように、担任の交代が最も優先されるべきことだと思われる。
 第二に、いくら、校長や担任に9割以上責任があるとはいえ、集団で無抵抗に近い女の子をいじめる(誹謗中傷・暴言=14歳以上だと名誉毀損罪・精神的な傷害罪もある)ことは、許されない。12歳になって、善悪がわからないはずが無い。人のものを盗めば(14歳以上は逮捕される場合もある)窃盗(罪)に該当することは、子どもだってわかる。
 集団で明子さんをいじめた子どもの責任も免れない。これは、集団の不法行為に該当するから、親権者である加害児童の保護者にも民事責任が発生する。既に判例が出ている。
 明子さんの母親は、日本語に不自由している。そんな中で、明子さんは頑張って母親の分もがんばって日本語勉強してきた。明子さんに対する、理不尽な集団でのいじめ(無視)に加担した子ども、傍観した子どもにも道義的な責任が発生する。誰も、止めるこどもがいなかったのか・・・・・。それが本当に残念だ。
 いずれにしても、学校は、子どもの持つ可能性を伸ばしてやるところだ。それがせ逆に子どもの可能性を摘み取る。それでも足らず、自殺まで追い込む。
 上村明子さんは、一人ぼっちで給食をたべる辛さに耐えられなくなり教室で泣き崩れたという・・・・・。さらに、父親は、6年の担任、校長の岸洋一らにたいして10回前後以上も、いじめの防止を訴えたという。そして最後は「もう学校に行かなくいもよい。」と大阪への引越しを決意した矢先・・・・・・学校からの社会見学の誘いが結果とてして明子さんを追い詰めたことになった。
 この自殺事件を教訓にすることは、子どものいるクラスの状態が悪い場合、無理に学校へ行かせない。指導力のない担任の場合は、なおさら注意と警戒が必要になる。無理に学校へ行かせたため子どもが自殺した例は、多数ある。例えば、愛媛の中一男子生徒。大阪の富田林の中一女子生徒の自殺事件、福岡の三輪での男子生徒自殺事件なと゜・・・・・・。
 従って、指導力のない校長や教員のいる学校で、このような学級崩壊が起こった場合、子どもを保護することが最も優先する。次に、ゴマすり、太鼓持ちが校長の座にいる場合は、マスコミにリークすることも必要だろう。また、人権侵害に該当するから、弁護士の方に相談してみる必要がある。或いは、議会で問題してもらう事だ。
 基本的には、対抗手段をとると、人間関係は、崩れ去るから、転校せざるを得ないだろうが・・・・・・。それにしても、上村明子さんの自殺事件は、校長の岸洋一の対応に納得がいかないというより、保身第一主義に怒りを覚える。当初「いじめだとは、把握していなかった」などと虚偽の報告を父親に行っていたが、隠蔽しようとの意図がミエミエ。さらに学校のホームページも即閉鎖。こんな人が校長かと思うと怖いです。
以下、参照と記録の為、毎日新聞より引用。
「群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡り、学校側が学級崩壊に陥った明子さんのクラスを立て直すため、隣のクラスの担任や他学年の教諭らも授業に投入していたことが市教委関係者への取材で分かった。これにより改善と悪化を繰り返した末、最終的に学校側の統制がほとんど利かない状態になったことが、自殺の背景にあったとみられる。」
 「学校側は8日公表した調査結果で初めて「いじめがあった」と認めたが、この調査でも、担任の指導に従わなくなったきっかけは把握できなかったという。」
 「関係者によると、明子さんのクラス(児童39人)は1学期後半から落ち着きのない状態になった。日常的に乱暴な言葉遣いが目立ち、空き時間の教諭も授業に投入。いったん落ち着いたが2学期に入り再び悪化、このため他学年の教諭や校長も指導にあたった。6年には2クラスあるが、担任を入れ替えて授業をしたこともあるという。」
「だが児童が勝手に友達同士で給食を食べるようになったため、9月28日に席替えで改善を図ったが、かえって明子さんは給食で孤立。その後も児童は給食の際、担任らの指導を無視するようになった末、明子さんは10月23日、自宅で自殺した。」
「学校側は自殺直後「明子さんが自らの意思で1人で給食を食べていたことも考えられる」として、「いじめとの認識はなかった」との見解を示していた。」

いじめ定期調査、小中学校に指示 群馬の自殺受け県教委 Asahi.com 2010/11/10

 群馬県桐生市で10月、小学6年の女子児童が自殺し、学校側が「いじめがあった」と認めた問題を受けて、県教育委員会は政令指定市の静岡市と浜松市を除くすべての市と町の教育委員会に対し、定期的にいじめに関するアンケートを実施するよう求める文書を8日に通知した。
 文書では、すべての小、中学校で定期的にアンケートを実施することに加え、個別面談、教職員と児童生徒の間の日記を活用するなどしていじめを早期に把握し、対策をとるよう指示。いじめの態様や発見のきっかけを報告するよう求めている。
 昨年度、県内の公立の小、中学校で確認されたいじめの件数は2006年度から倍増し、3958件。特に、パソコンや携帯電話などを使った中傷が目立っているという。県教委では、5年ほど前から生徒に携帯の正しい使い方を説明し、裏サイトへ入ったり悪口などの書き込みをしないよう指導しているという。
 文部科学省は9月、すべての小、中学校、高校、特別支援学校で児童生徒にいじめの有無を聞くアンケートを行うよう、各都道府県と政令指定市の教委に通知を出していた。そんな矢先、桐生市の小学6年上村明子さん(当時12)が自宅で自殺し、学校側は8日、明子さんに対するいじめがあったことを認めた。このため、県教委は管内の市町教委に対し、再度文書を通知したという。
 県教委は「いじめの実態を把握している学校としていない学校では取り組みに差が出てくる」とした上で、「早期にいじめや悩みを発見し、学校全体で解消に向けて取り組んでいきたい」としている。

【社説】群馬いじめ自殺 なぜ立ち向かえないか 東京新聞 2010/11/10

 群馬県桐生市の小学六年生の女子児童が自殺し、学校はいじめがあったと認めた。小さな命を蔑(ないがし)ろにする空気に先生はなぜ立ち向かえなかったのか。教育者として大切なものを見失っていないか。
 「やっぱり『友達』っていいな!」。女児が自殺する直前にノートに描き残した漫画の題名だ。
 担任の先生が「転校生なので仲良くしてあげてください」と笑顔でクラスメートに紹介すると、転校生の小学五年生がはにかみながら「よろしくお願いします」とあいさつする。
 この空想の世界が現実のものになるようにと、実際に愛知県から転入してきた女児はどれほど夢見ていたことだろう。
 自殺から二週間余りたって学校は同級生らのいじめがあったとして両親にわびた。自殺の原因は分からないとした。いじめが自殺の一因ではないかと問う記者団に「学校生活で死を感じさせる言葉や様子がなかった」と釈明する校長には教育者の姿はなく、学校管理者として責任回避に終始するように見えたのは残念だ。
 女児は「臭い」「近寄るな」と悪口を言われ、両親に泣いて転校を頼んでいた。その苦悩は幾度も担任の先生に伝えられていた。独りぼっちで給食をとる姿は担任が目の当たりにしていたはずだ。自殺の二日前にもその悲しみを涙ながらに学校に訴えていた。
 これだけのSOSを出していたのに学校はなぜ真実を確かめ、いじめに立ち向かうことができなかったのか。悔やまれてならない。
 先生は忙しい。報告書作りや会議、行事といった事務仕事に追われる毎日とされる。先生同士のコミュニケーションが薄れ、一人で問題を抱え込みがちだとの指摘もある。子ども一人一人を見つめ、愛情を注ぐという本来の教育に取り組めなくなっているとすれば、先生を取り巻く環境は改められなければならない。
 小学四年から中学三年までにいじめられずに済んだ子どもは一割未満だったとの調査がある。不完全な人間にはいじめの根絶は容易ではない。だからこそ先生や親は人一倍注意を払っておかなければならないだろう。
 女児の母親がフィリピン出身だったこともいじめの誘因だという。親の差別的な思いが子どもに反映していなかったか。女児の学級が崩壊状態だったことを知っていたのか。女児の自殺は親たちも心を研ぎ澄ませていじめに立ち向かうべきことを教えている。

県教委「いじめ把握と対応を」 読売新聞 2010/11/10

 群馬県桐生市の小学6年生、上村明子さん(12)が先月自殺し、市教育委員会が「学校でいじめがあった」と認めたことを受け、静岡県教委は8日付で、定期的なアンケートの実施や個別面談、交換ノートなどを通じていじめの把握と対応に努めるよう求める通知を、静岡、浜松両政令市を除く県内全市町の教育委員会に出した。
 今回の通知は、いじめについての全国調査を受け、文部科学省からの通達を市町教委に伝えた今年9月に続き、2回目。
 県教委によると、県内の小・中学校で2009年度に認知されたいじめの件数は3958件で、前年度より572件減った。ただ、県教委の担当者は「認知件数が減ることが好ましいとは限らない。認知件数の中で、学校が『解消した』と回答した件数の割合を示す『解消率』を重視している」と話す。実際、09年度の解消率は小学校では82・7%で前年度比1・7ポイント減、中学校は72・3%で同4・8ポイント減と低下している。
 また、いじめの態様でも、「パソコンや携帯電話等による誹謗(ひぼう)・中傷」が中学校で57件と前年度より55件減っている。県教委は「絶対数が減っているというより、潜在化して見つけにくくなっているケースが相当数あるのでは」と懸念する。県教委は、「どの学校、どの子供でもいじめは起こりうる。早期発見・早期対応を呼びかけたい」として、通知の内容の徹底を求めている。

いじめ実態把握へ全校アンケート 小6自殺で文科省通知  日本経済新聞 2010/11/10

 群馬県桐生市の小学6年、上村明子さん(12)の自殺をめぐり、いじめがあったとした学校側の調査結果を受けて、文部科学省は9日、いじめの実態を把握するため、すべての学校で定期的なアンケートの実施を求める通知を都道府県教育委員会などに出した。
 通知は、いじめの兆候をいち早く把握し、問題を隠さず学校などが家庭・地域と連携して対処するよう求めている。
 桐生市の問題では「同級生らによるいじめが原因」との両親の訴えに、学校はこれまで「いじめは把握していなかった」と説明してきたが、校長や担任教諭らが8日、明子さんの自宅に両親を訪ね、調査結果を伝えて謝罪した。

<群馬・小6自殺>学級崩壊立て直せず 統制利かない状態に 毎日新聞 2010/11/9

 群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡り、学校側が学級崩壊に陥った明子さんのクラスを立て直すため、隣のクラスの担任や他学年の教諭らも授業に投入していたことが市教委関係者への取材で分かった。これにより改善と悪化を繰り返した末、最終的に学校側の統制がほとんど利かない状態になったことが、自殺の背景にあったとみられる。
 学校側は8日公表した調査結果で初めて「いじめがあった」と認めたが、この調査でも、担任の指導に従わなくなったきっかけは把握できなかったという。
 関係者によると、明子さんのクラス(児童39人)は1学期後半から落ち着きのない状態になった。日常的に乱暴な言葉遣いが目立ち、空き時間の教諭も授業に投入。いったん落ち着いたが2学期に入り再び悪化、このため他学年の教諭や校長も指導にあたった。6年には2クラスあるが、担任を入れ替えて授業をしたこともあるという。
 だが児童が勝手に友達同士で給食を食べるようになったため、9月28日に席替えで改善を図ったが、かえって明子さんは給食で孤立。その後も児童は給食の際、担任らの指導を無視するようになった末、明子さんは10月23日、自宅で自殺した。
 学校側は自殺直後「明子さんが自らの意思で1人で給食を食べていたことも考えられる」として、「いじめとの認識はなかった」との見解を示していた。

11月9日付 よみうり寸評 読売新聞 2010/11/9

 初めは「把握できていない」だったが、ようやく「いじめがあった」と認めた。が、いじめと自殺の因果関係は「わかりません」◆学校側は遺族にこう報告して「命を守ることができず大変申しわけございませんでした」と謝罪した。頭を下げはしたが、これでは遺族の不信は消えない◆群馬県桐生市の市立新里東小6年生、 上村明子さんが自殺した件について、学校側の対応は遺族ならずとも首をかしげたくなる。今回は自殺に至る前に家族が何度も学校に相談していただけに、一層残念で不憫(ふびん)が募る◆一人で給食を食べていた苦痛を自殺の2日前に泣きながら訴えていた、心ない言葉を投げかけられていた……を把握しても「因果関係 はわからない」が???◆認識を共有しなければ、今後の対策もないだろう。いじめが大きな社会問題となって四半世紀ほど、学校側の対応に腰が引けていると感じることが少なくない。遺族は学校に誠意を感じていない◆〈誠〉はマコト、真事、真言、うそのないことで、教育の根幹だ。

群馬いじめ、学校側の当初対応は不適切…文科相 読売新聞 2010/11/9

 群馬県桐生市の小学6年生、上村(うえむら)明子さん(12)が自殺した問題で、同市教委が「いじめはあった」と認めたことに対し、高木文部科学相は9日の閣議後記者会見で、「学校がいじめの兆候を早期に把握して対応することが重要だ」とし、教職員が連携していじめ防止に取り組むよう、各教育委員会に求める考えを示した。
 これまで国が打ち出してきたいじめ対策についても「本当に機能しているか、早急に再検証する必要がある」とし、見直しを進めるとした。
 高木文科相はまた、学校側が当初、いじめを把握していないと説明していた対応について「教職員から聞き取り調査をして確認した上で、適切な説明をすべきだった」として、不適切だったとの認識を示した。

両親・学校、訴え平行線 女児へのいじめは認める Asahi.com 2010年11月9日

 桐生市立小学校6年の上村明子さん(当時12)が、自ら命を絶ったのはどうして。学校側は8日、学校にいじめがあったことを認めたが、「いじめが原因で自殺したとは特定できない」と説明した。両親はいまも「いじめは原因だったと認めてほしい」と訴える。一方、他の保護者からは学校の立て直しに向けて協力しようとの声が上がった。
 桐生市役所で開かれた臨時教育委員会。明子さんが通っていた学校の報告書について、市教委学校教育課長が冒頭に説明した。
 報告書は、教職員や児童、保護者への聞き取りを中心にまとめられた。この説明などによると、明子さんの学級は今年の1学期後半から「学級崩壊」の状態に陥った。児童が担任の言うことを聞かず、互いに悪口を言い合ったり、授業中も席を離れたりしていた。
 そんな中、明子さんへのいじめが起きていた。複数の同級生に心ない言葉を投げかけられ、9月28日の席替え後は給食の列が乱れて好きな児童同士でグループをつくって食べるように。明子さんは一人になった。10月21日の校外学習の朝、「何でこんな時だけ来るのか」と同級生に言われ、明子さんは泣いて教員に苦境を訴えたという。
 委員が「身体的な暴力や嫌がらせはなかったのか」と質問したが、学校教育課長は否定。別の委員の「学級運営に問題があったと言わざるを得ない」との指摘には、「校長も授業に入ったり、10月からは他の学級の授業と教員を入れ替えたりしたが、効果は上がらなかった」と説明した。
 報告書は「精神的な苦痛を感じていたと考えられ、いじめがあったと判断した」とする一方、自殺の直接的な原因は特定できなかったとした。  さらに学校側の対策が示された。相談体制の充実や、思いやりの気持ちの育成、授業中の生徒指導の徹底、保護者や地域、市教委との連携など。市教委も、学校カウンセラーを3倍程度に増員▽「いじめ緊急対策マニュアル」の作成▽「いじめ相談窓口カード」を市内の全児童、全家庭に配布――といった対策を説明した。
 市教委の鈴木正三委員長は終了後、報道陣に「明子さんがSOSを出していたと思うが、受け止める感受性みたいなものが少し不足していたのではないか」と話した。
 明子さんが通っていた小学校では午後6時から約1時間、保護者会が非公開で開かれた。約230人の保護者が出席した。
 出席者によると、校長が冒頭、「気づいてあげられなくて申し訳ない」と謝罪し、いじめがあったと判断した経緯を説明した。参加した保護者からは「学校がいじめの問題をすべて抱えるのは難しい。親も協力するので、早い段階で相談してほしい」などの前向きな提案もあったという。
 帰り際、4年生の男児の父親は「こんなことが繰り返されないよう、学校と地域と親が一緒に頑張るしかない」と話した。一方、ある母親(34)は「自分の子も以前、いじめを受けて担任に相談したが、しっかりした対応はなかった。もっときちんといじめと向き合って」と訴えた。

小6女児自殺、いじめとの関連認めず…市教委 読売新聞 2010/11/9

 群馬県桐生市の小学6年生、上村(うえむら)明子さん(12)が先月23日に自殺し、家族が学校でのいじめが原因だと訴えている問題で、市教育委員会(鈴木正三委員長)は8日、臨時会を開き、明子さんが通っていた市立新里(にいさと)東小の報告に基づき、いじめがあったと認定した。
 いじめと自殺との関連については「明らかな因果関係は認めることはできない」とし、明確にしなかった。
 同小の岸洋一校長(59)は当初、「(明子さんが)特別にいじめの対象になっているとは把握できていない」と説明していたが、臨時会で示された報告は、〈1〉明子さんが複数の児童から心ない言葉を投げかけられた〈2〉一人で給食を食べていたことで精神的な苦痛を感じていた――ことから、いじめがあったと結論づけた。
 いじめを初めて認めた岸校長は8日夜記者会見し、「明子さんの命を守ることが出来ず、大変申し訳ございませんでした」と謝罪した。いじめが、明子さんにとって心の負担になっていたのではと問われると、「みんなで一生懸命に調べたが、いじめが直接的な原因かはわからなかった」と釈明した。いじめが自殺の一因になった可能性については、「まぁ、わかりません」と口ごもった。
 同席した高橋清晴・市教育長は「家族が納得いかなければ、さらに慎重に調査を深める考えだ」と述べた。
 自殺の原因を巡っては、市教委臨時会で、委員の一人が「自殺との因果関係は、詳細に検討する必要がある。身体的な暴力はなかったのか」と、事務局側に問いただし、別の委員も「たった12歳で自ら命を閉じなくてはならなかった明子さんがふびんだ」と語気を強めた。
 臨時会での報告などでは、明子さんが自殺する2日前には、一人で給食を食べていると、担任教諭以外の教職員に泣きながら訴えていたことも分かった。 (写真:報道陣に囲まれる岸洋一校長)

「いじめあった」市教委が調査結果公表 桐生の小6自殺 読売新聞 2010/11/8

群馬県桐生市の小学6年生、上村明子さん(12)が先月23日に自殺し、家族がいじめが原因と訴えている問題で、市教育委員会は8日、市役所で臨時会を開き、「いじめがあったと判断するに至った」と教育委員5人に報告した。
 明子さんが通っていた市立小学校の校長は当初、「いじめは把握できていない」と説明していた。
 臨時会は午後2時から公開で開かれ、保護者や教諭などからの聞き取り調査や、児童へのアンケート結果などを基に学校が作成した報告を、市教委の学校教育課長が読み上げた。
 報告などによると、明子さんは9〜10月の間、給食の時間に同級生がグループで机を寄せ合う中、一人で食べるなど無視される状態が続いた。「臭い」「近寄るな」などの言葉の暴力も受けていた。  2ちゃん


 いじめは認めたものの、自殺との因果関係について「判断できない」としたのは、想定範囲内だとはいえやはり残念に思う。家庭その他に心当たりがなく、学校での状況ばかりが浮かび上がったからこそ、いじめ自殺が強く疑われると指摘されているのではないのだろうか。
ご意見、ご質問、抗議等は、電話番号: 0277-74-3115 桐生市立新里東小学校 岸 洋一校長宛へ
ちなみに桐生市立新里東小学校ホームページは、10月25日に閉鎖されメールアカウントも削除されています。
自分にとって都合の悪いものは、さっさと削除、教育界の本音が見えます。これも岸 洋一校長の判断でしょうね。 このような校長のいる学校から、本件が発生したのは当然のことといえるでしょう。

群馬・小6自殺、学校側「いじめあった」 TBS News 2010/11/8

 群馬県桐生市で小学6年生の女子児童が自殺し、家族が「学校でのいじめが原因」と訴えている問題で、これまでいじめについて「把握できていない」と繰り返していた学校側が8日、「いじめがあった」という調査結果をまとめました。しかし、いじめと自殺との因果関係については「はっきりわからない」としました。
 8日午後3時半ごろ、学校の校長と担任が群馬県桐生市にある生徒の自宅を訪ねました。先月、亡くなった上村明子さん(12)。「学校でのいじめ」を訴え、自殺しました。  「言葉で『臭い、こっち来るな』とか『あっち行け』とか、『お前の母さんゴリラ顔だからお前もゴリラだ』とか・・・。どこ行っても一人ぼっちで・・・。 私の方も何度となく先生に相談したが、全然わかってくれないし・・・」(父・竜二さん)
 明子さんは4年生の時に愛知県の学校から転校してきましたが、父親の竜二さんによりますと、5年生のころから悪口を言われるなど、いじめを受けるようになったといいます。竜二さん自身、何度も学校に抗議したといいますが、学校で明子さんを取り巻く状況は変わりませんでした。そして、明子さんは自らの命を絶ちました。
 「 校長先生が見えて、『全校生徒の前ではいじめとか自殺とか、そういうのを伏せて話したい』と、そういうふうに言ったんです。そうじゃないでしょう」(父・竜二さん)  明子さんの死後、部屋からは「学校を消したい」「恨む人に今までやられたことをやり返したい」などと書かれたカードが見つかりました。中には特定の顔にバツ印がついた同級生の顔写真もあったといいます。
 ですが、当初、学校側は・・・
 「特別にいじめの対象になっているという把握はしていない」(校長〔先月〕)
 本当に学校でいじめはなかったでしょうか?なかったというならば、なぜ、明子さんは自ら命を絶ったのでしょうか?こうした学校の対応に保護者からも不満の声が上がりました。
 「とにかく早くはっきりさせてほしい。『やっぱり学校は逃げている』とみんなで言っていた」(保護者)  結局、桐生市の教育委員会は8日午後に臨時会議を開き、明子さんがいたクラスは学級崩壊状態だったとしたうえで、明子さんが給食の時に1人で食べるなど無視された状態だったこと、言葉の暴力を受けていたことなどが確認できたことから、「いじめはあった」と結論づけました。
 しかし・・・ Q.自殺といじめの因果関係は?
 「因果関係はない」(教育委員長)
 桐生市教育委員会は、この発言については取り消してほしいとしました。ですが、いじめと自殺との因果関係についてははっきり分からないという結論でした。
 それでは、明子さんが命を絶った理由はほかにあったのでしょうか?
 「ここまで私は待ったのだから『因果関係がない』と言ってきたらちょっと我慢できない。僕としたら校長が言った『誠意を持って話す』との言葉を信じたい。教育委員会が来ても、きちんと誠意をもって話してくれると信じている」(父・竜二さん)
 明子さんの父親・竜二さんは8日、改めて学校側に誠実な対応を求めました。
 学校の校長らが明子さんの自宅訪問を終え、父親によりますと、「校長らはいじめについて土下座して謝罪した。しかし、自殺との因果関係についてはわからないと説明した。『仏壇の前でそう話してほしい』と言ったら無言だった」ということです。父親は「納得できない」と話しています。

「給食時に一人は異常」学校側、いじめ認定へ 読売新聞 201011/8

 群馬県桐生市の小学6年生、上村(うえむら)明子さん(12)が先月23日に自殺し、家族がいじめが原因と訴えている問題で、学校がいじめがあったと認めることが7日、市教育委員会関係者らへの取材で分かった。
 市教委は8日に臨時会を開き、学校から提出のあった報告内容を教育委員に説明する。自殺との因果関係については、遺書が見つかっておらず、踏み込まない見通し。
 学校はこれまで、校長が記者会見や保護者会で、いじめについて「把握できていない」として認めていなかった。
 学校から児童のアンケートや教諭、保護者らからの聞き取りに基づいた報告の提出が市教委にあった。
 市教委関係者らによると、明子さんの学校生活を巡り、9〜10月、給食の時間に同級生がグループで机を寄せ合っている中で、一人で食べるなど無視される状態が継続していたことや、「臭い」「近寄るな」などの言葉の暴力を受けていたことが確認できたとし、こうした点を踏まえ、学校は「いじめはあった」と認定したとみられる。
 学校は8日午後、こうした内容や再発防止策などを両親に伝え、保護者会で説明する。
 市教委関係者は、「いじめの実態があったことは、認めざるを得ない」「給食時に一人にさせていたことは異常。この事態をとらえて、いじめがなかったとは言えない」などと話した。また、別の関係者も「文部科学省のいじめの定義に照らせば、いじめだ」と述べた。 桐生市教育委員会

 本件発生から16日、やっとかという思いです。上村明子さんが自殺した10月23日までの事実は「不変の事実である」これを適切に評価、分析をし、もっと早期に「いじめ」を認められなかったのだろうか。「いじめ」に対する自身の不勉強の隠蔽や組織、個人の保身と捉えられてもいたしかたないだろう。
 今回の件に関する明確なコメントを学校として公表することと再発防止策については、具体性のある策を提示して頂くとともに今後定期的に学校内部および外部機関が厳正にチェックし、保護者等に公開報告されることを期待したい。
 本件から見えることは、ひと言で言えば学校が組織として機能していなかったということだ、学校運営責任者としてまた職員の管理、監督責任者である学校長が全く危機意識を持たずにいた。学校長はあってはならない重大なミスを犯していたといえる。  空言か?

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【5】 指導、無視する児童 読売新聞 2010/11/8

崩壊の兆候見抜けず
 桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が自殺する1か月半ほど前。父、竜二さん(50)は、明子さんが具合が悪いため早退するとの連絡を担任の女性教諭から受けた。職場から学校に向かい、廊下から給食時の教室をのぞくと、目を疑った。
 39人のクラスで同級生が机を寄せて食べている中、明子さんだけが一人離れた席にぽつんと座っていた。明子さんは廊下に出た途端、「頭が痛い」と大泣きしながら竜二さんにしがみついてきた。
 給食はもともと、5人程度の班で食べることになっていた。校長によると、「結果的に一人で食べる状況が生まれたため」9月28日に席替えをしたが、児童たちは担任の言うことを聞かず、好きな者同士で机を寄せ、明子さんは一人になった。
 両親によると、担任は明子さんに「自分でグループに加えてくれるよう頼んでみたら」と促した。明子さんは勇気を振り絞って声をかけたが「また今度ね」と断られた。そのことを訴えると、担任は「一人で頑張ってるね」と言った。
 「いつも一人だから一緒に食べてあげる」と寄り添った児童もいたが、翌日からまた一人になった。
 「なぜ一緒に食べるよう子どもたちに指導してくれなかったのか」と竜二さんは憤る。
 複数の児童によると、混乱は給食時だけではなかった。一部の児童がおしゃべりなどで授業を妨害しても、「先生は優しいからみんな言うことを聞かなかった」と証言する。
 こうした状況を、教育評論家の尾木直樹・法政大教授は「典型的な学級崩壊」と指摘する。「早く察知して担任を交代していれば学級を立て直すことはできた。見抜けなかった学校側の責任は大きい」と批判する。
 明子さんは10月19、20日と2日連続で休む。学校に欠席の電話をする時、明子さんは「いじめの話はしなくていいよ。先生は何を言ってもダメだから」と話していたという。
 21日に校外学習に参加した翌22日、学校は席替えをした。しかし明子さんはまた休んだ。その翌日、明子さんは自ら命を絶った。
 亡くなった翌日、校長は両親に告げた。「給食を食べる時の方針を変更しました」。竜二さんは怒りに声を震わせた。「死んだ後に言われてもしょうがない。学校は何をやっていたんだ」
 その後、自宅に線香を上げにきた担任は「私の指導力不足で、こういうことになって申し訳ございません」と繰り返すばかりだった。
     ◇
 早稲田大の河村茂雄教授によると、心理テストで調査した結果、中学では、教師と生徒、生徒同士の人間関係が良好でルールが定着しているクラスに比べ、学級崩壊の兆候が見え始めたクラスでは、いじめの発生割合が約5倍に跳ね上がった。
 河村教授は「学校生活への不満が高まると、特定の子どもが不満のはけ口としていじめられる危険性が高まる。学級集団の問題として対処することが重要で、担任だけの問題でなく、学校全体で話し合う必要がある」と指摘する。

桐生小6自殺 いじめ存否、公の場で 市教委、校長ら呼び聴取へ 群馬 産経新聞 2010/11/5

 ■担任、遺族に出席求めず
 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、来週にも市教育委員会が同小の岸洋一校長ら学校関係者を呼んで事情を聴く臨時の教育委員会を開くことが4日、分かった。市教委は同会を一般公開する。上村さんに対するいじめの存否が公の場で議論、“仕分け”される異例の展開となりそうだ。
                   ◇
 市教委幹部によると、臨時の教育委員会は早ければ8日に開催する。同委では、市教委が同小の全543人の児童を対象にしたアンケート調査の結果を公表するほか、岸校長から上村さんが自殺した経緯について報告を受ける。
 上村さんがクラス内でグループから外れ独りで給食を食べていた事実があるにもかかわらず、学校・市教委がいじめの存在を認めずにいるため、保護者から「いじめの事実を隠そうとしている」と批判が集中している。
 このため、市教委では臨時の教育委員会の場に一般傍聴席を設け、マスコミにも公開。いじめの存否の認定過程を公にすることで批判を和らげようとする思惑が働いたとみられる。
 ただ、担任の女性教諭については、「犯人捜しをするわけではない」(市教委幹部)として出席は求めず、いじめの認定を学校側に求めている上村さんの家族も呼ばない。
 結局、臨時の教育委員会ではアンケート調査結果や学校側からの説明を材料にして、いじめの存否を判断することになりそうだ。
 市教委の結論次第で家族の反発も予想されるが、市教委幹部は「単なる報告会にするつもりはない」と断言した上で、「いじめの存否の方向性を決める場にしたい」としている。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【4】マフラー、母への愛か 読売新聞 2010/11/5

離れたくない思い示す
 桐生市の小学6年、上村明子さん(12)は、自室のカーテンレールにマフラーをひっかけて首をつっていた。
 このマフラーは、編み物が得意だったという明子さんが、冬に母親(41)にプレゼントしようと手編みをしていた未完成のものだ。母親への贈り物で自らの命を絶ったことに、どのような意味がこめられているのだろうか。
 フィリピン人の母親を持ち、容姿について悪口を言われてきた明子さん。しかし多くの専門家は、最期にマフラーを選んだ理由を、母親への愛だと分析する。
 自殺心理などに詳しい長谷川博一・東海学院大教授は「憎しみでマフラーを使ったという批判的なメッセージではなく、お母さんを思う気持ち」だと説明する。
 容姿が原因でいじめられ、母親にもつらく悲しい思いをさせてしまった。死んで楽になりたいけれども、母親とは離れたくない――。そんな気持ちが含まれた「この子なりの愛情のあらわれ」だとみる。
 自殺のない社会づくりネットワーク「ささえあい」の事務局長を務める群馬医療福祉大看護学部の福山なおみ教授は「最期の瞬間を、母に抱かれて旅だっていきたかったという思いもあるのでは」と指摘する。
 明子さんの母親は、自動車部品製造工場で働いていた。細かい作業で疲れて帰ってくる母親に、明子さんは毎日のようにマッサージをしたという。「1時間でも(妻の)疲れが取れるまでマッサージをしてくれる優しい子なんです」と父、竜二さん(50)は言う。明子さんは母親が大好きだった。
 明子さんは学校で嫌なことがあるたびに「引っ越したい。転校したい」とせがんだ。両親は「来年の春まで頑張ろう」と励ました。そのことを悔いている。
     ◇
 警察庁の統計によると、全国の自殺者は1998年に3万人を超え、ここ数年は横ばい状態、昨年は3万2845人だった。その中で、小学生の自殺は数こそ少ないが、この5年間で39人。昨年も1人が自ら命を絶っている。
 明子さんの遺書は見つかっていない。なぜ死を選んだのか、本当の気持ちはまだ、誰にもわからない。
 死別体験者の集いを開いている「群馬ホスピスケア研究会」(高崎市北久保町)の土屋徳昭代表は「自殺で残された家族は、気付いてあげられなかった、と自分を責める人は多い」と指摘する。
 そして、多くの専門家が懸念するのが、「いじめ」を受けている子どもの模倣自殺だ。自分と同じ悩みを持っている子がいることに影響を受け、「解決策」として自殺を選ぶことがある。これは意識的なものもあれば、無意識的なものもあるという。
 長谷川教授は「いじめられている子どもを早期に発見しなければならない」と警鐘を鳴らし、悩みを聞くことの重要性を訴える。

<群馬・小6自殺>願いは「学校消す」 学級崩壊、孤立深め 毎日新聞 2010/11/5

 群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自宅で首つり自殺をしてから間もなく2週間。「臭い、あっち行け」。一部の同級生からそんな言葉を投げつけられていた彼女は、6年の2学期になると給食も独りで食べるようになっていた。担任がほかの児童に決められた席で食べるよう指導しても状況は変わらなかったという。両親や学校関係者の説明を基に過程を振り返ると「学級崩壊」の中で孤立を深めていった彼女の姿が浮かぶ。【喜屋武真之介、塩田彩、鈴木敦子、角田直哉】
 明子さんの家族は派遣社員の父竜二さん(50)と母(41)、小4の妹(10)。家族によると、父親の仕事の都合で転居を重ね、08年10月に愛知県から新里東小に転校した。4校目の小学校だった。
 ■         ■
 09年4月 5年生に進級。父親によると、フィリピン出身の母が授業参観に訪れてから一部の同級生に容姿の悪口を言われるようになった。
 今年4月 6年生に進級。「臭い」「風呂に入っているのか」などと言われるようになり、両親に「どんなに遠い学校でも歩いて行く」と転校を訴えるようになった。両親は学校側にたびたび相談し、中学進学を機に引っ越すことも考えていた。
 9月18日 運動会。以後、明子さんのクラス(児童数39人)では授業中に児童がふざけたり、私語にふけるようになった。  同28日 担任(40代の女性教諭)は席の間隔を広げれば私語などがやむと考え、縦8列の席を6列に減らした。しかし児童たちは給食時、給食の班(5人程度)ではなく、席を移動して友達同士で食べるようになり、明子さんは孤立した。
 10月14日 担任は校長らに相談の上、再び席替えを実施。給食の班替えも行った。
 同18日 再び明子さんが給食で孤立するようになった。
 母親によると、勇気を出してクラスメートに「一緒に食べよう」と頼んだことがあったが「また、今度ね」と断られたという。
 同19日 明子さんが学校を欠席。
 同20日 再び欠席。担任が「あすは社会科見学があるから、出てくれるかな」と電話をする。
 同21日 社会科見学に出席した明子さんは一部の同級生から「なんでこういう時だけ来るの」「普段はずる休み?」などと言われ、泣きながら帰宅。
 同22日 再び学校を欠席。学校側はこの日、給食の班を廃止。全員を黒板に向かって食べさせた。夜、担任が上村さん宅に報告に行ったが、共働きの両親は留守で、インターホンの呼び出しに返事はなかった。
 同23日 明子さんは午前9時ごろ起床、朝食を食べた。正午ごろ、母が部屋をのぞくと、母のために編んでいたマフラーをカーテンレールにかけ、首をつっていた。
 ■         ■
 明子さんの遺書は見つかっていない。しかし10月26日の告別式後、自殺直前に描かれたとみられる漫画が自宅で見つかった。タイトルは「やっぱり『友達』っていいな!」。同29日に見つかった愛知の元同級生にあてた手紙には「中学になったら大阪に行くんだ。だから愛知県を通るかもしれない。できたら会いに行くね!」とつづられていた。
 一方、自室に残されていた5年の林間学校時の集合写真には、同級生15人の顔にボールペンの先のようなもので「×」印がつけられていた。「もしもひとつだけ願いがかなうなら?」との質問が書かれた市販のプロフィル帳には「学校を消す」と書かれていた。
 明子さんの小学校は学区内に農村と新興住宅地が混在する。6年生は2クラスだけで、児童の一人は「上村さんをいじめるグループがあった。上村さんは『ちょっとどいて』『あっち行って』と言われ、悲しそうな顔をしていた。注意する人はいなかった」。別の児童はこうも言う。
 「いじめの中心になる子が何人かいて、ほかの子は何をされるか分からないから逆らえない。クラスはバラバラで学級崩壊みたいな感じだった」

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【3】「母が外国人」好奇の目 読売新聞 2010/11/3

外見で差別の価値観
 フィリピン人の母親(41)が教室に入ると、クラスの児童が振り返ってこそこそ話していた。「見て見て。外国人だよ」。母親は好奇な視線を感じた。
 まもなく、ハーフである明子さんは、同級生からいじめられたと両親に打ち明けている。日本人とは異なる外見の母親をとらえて、明子さん自身を揶揄(やゆ)する言葉の暴力を受けたという。
 「私がガイジンだから」。母親は、いじめのきっかけになったと思っている。
 多言語教育に取り組む学校「ICS」(伊勢崎市富塚町)や外国人児童のいじめ相談電話を運営する大東文化大学の米国人女性教授ミックメーヒル・カイランさん(49)は「ハーフの子は、アイデンティティー(自己認識)にかかわるため、外見をからかわれると傷つきやすい」と指摘する。
 特に日本人の父親と発展途上国出身の母親の場合、母親の母国に対して偏見を持たれやすいという。
 そうした境遇の子どもの多くは、家庭では日本人として育てられ、母親の国の言語や文化に誇りを持つに至らないまま成長していく。にもかかわらず、容姿のせいでいじめられると、「どんなに頑張っても日本人にはなれない」と自己嫌悪に陥り、親を恨みたい気持ちと愛情との間で苦しむという。
 母親によると、明子さんはハーフであることを悩んでいるそぶりは見せなかった。在日フィリピン人社会について研究する広島国際学院大学の高畑幸准教授は「自分がいじめられる原因が『ハーフ』でも、優しい子ほど、そのことを親には言えない」と語る。
 桐生市によると、上村さん家族が暮らす地区に住む外国人は2005年6月は131人だったが、今年9月には196人に増え、県内外から転入者も多い。外国人が増えても共生はうまくいっていないのか。
 カイランさんが今年8月、ペルーとアルゼンチンの日系人学校で、リーマン・ショック以後の経済不況を理由に日本から帰国した6歳以上の子どもにアンケートしたところ、41人中17人が「外国人という理由でいじめられた」と回答した。
 外国人やハーフの子どもたちがいじめの対象になりやすいことについて、カイランさんは「保護者や先生の価値観を吸収しただけ」と話す。地毛が茶色でも「髪を黒く染めなさい」。母国の文化でも「ここは日本だからピアスは外して」。そういった指導を行う学校もある。
 「外見で中身まで判断する」「みんなと一緒でないといけない」。そういった価値観の中に押し込まれて、日本人の子どもも苦しんでいる。外国人やハーフの子をいじめることで、「『自分たちはまともな日本人』と連帯感を持て、自分たちを守れる」とカイランさんは分析した上で、訴える。
 「なぜ差別してしまうのかをオープンに話す必要がある。子どもだから理解できないということはない」

小6自殺 いじめの事実確認手つかず 群馬 産経新聞 2010/11/3

 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺してから10日が経過した。家族はいじめの事実認定を学校側に求めているが、市教委による同小児童を対象にしたアンケート調査はいじめの存否を具体的に問う内容ではなく、事実確認は宙に浮いたままだ。
 市教委によると、同小の全543人の児童を対象にしたアンケート項目は「嫌なことを言われたことがあるか」「学校生活に不安を抱えているか」といった抽象的な質問で、上村さんが給食時にグループから外れ独りで食べていたときの様子など、いじめの具体的状況を問う項目は含まれていない。
 いじめの有無を具体的に質問しなかったことについて、学校教育課は「いじめをストレートに尋ねても、答えられない可能性がある」と説明する。
 担任の女性教諭は上村さん宅を訪問したが、家族の「いじめを認めてほしい」とする訴えには回答を留保したままだ。2日の保護者会でも学校側はいじめを認定せず、学校・市教委と家族の主張の平行線は今後も続きそうだ。

小6女児自殺、クラス写真の15人の顔に「×」 読売新聞 2010/11/3

 群馬県桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が自殺し、家族がいじめが原因だと訴えている問題で、明子さんが5年生の時の林間学校で撮影されたクラス写真の複数の同級生の顔に、「×」印が付けられていたことがわかった。
 写真は昨年5月に撮影された。父、竜二さん(50)が1日夜に自宅居間で見つけた。明子さんを含めクラスの38人が写った集合写真で、うち15人の顔にボールペンで付けたとみられる×印の跡があった。両親によると、15人の中には、明子さんが6年生になってから「いじめっ子」として名前を挙げていた児童も含まれていた。
 明子さんは、5年生になってすぐにいじめられるようになり、その後、いったん収まったが、6年生になって再びいじめられるようになったと両親に訴えていた。
 竜二さんは「優しい明子がこんなことをするなんて。学校で何があったのか本当のことを知りたい」と話していた。

「来週、結論と方向性出す」……小6自殺 校長、保護者会で表明 読売新聞 2010/11/3

 桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が10月23日に自殺し、家族がいじめが原因だと訴えている問題で、校長は2日開かれた全校児童の保護者会で、「来週早々にも結論と方向性を出す」と述べ、明子さんの自殺に関して何らかの見解を表明する方針を明らかにした。
 閉会後、記者団の取材に応じた4人のPTA役員によると、保護者会は約1時間にわたって開かれ、約200人が出席した。
 校長は会合の冒頭で「明子さんの、そういうことに気づいてやれずに申し訳ない。守ってやれずに申し訳ない」と謝罪した。「いじめ」という言葉は使わなかった。
 保護者会の後、校長は明子さん宅を訪問。取材に対し、「(遺族に)いじめがないと言ってはいません。事実関係を確認した結果を来週お話することを申し上げた」と話した。
 この日の保護者会は、10月25日の緊急保護者会での学校側説明に多くの親たちから「納得ができない」との声が寄せられたため、PTAが主催して開かれた。

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【2】情報出さずに「調査中」読売新聞 2010/11/3

遺族、学校に不信感 「学校としては、いじめの認識はなかった」
 桐生市の小学校6年、上村明子さん(12)が自殺したことを受け、学校は10月25日夕、校長が市教委とともに記者会見を開いた。張りつめた空気の中、校長は質問の答えに困ると、机上の紙をじっと見つめる。
 「担任は、明子さんが1人で給食を食べている状況を改善しようとしたのか」「そういう状態をいじめと言えないのか」――。
 矢継ぎ早に飛び交う質問に、校長は、あいまいな言葉を繰り返す。こうした光景は、会見の直前に開かれた保護者会でも同じだった。「調査中」「プライバシーの問題がある」。最後まで、いじめがあったのかどうかを明言することはなく、保護者は不信感を募らせた。
 明子さんの父、竜二さん(50)も「学校はいじめを知っていながら放置してきた。自殺ではなく殺されたも同じ」と訴える。
 自殺のない社会づくりネットワーク「ささえあい」の事務局長を務める群馬医療福祉大学看護学部の福山なおみ教授は「プライバシーという名の下に、自己弁護することがあってはならない。命をどう守っていくかが大切」と強調する。
 「学校側は自分たちを守ることで必死。まともに向き合ってくれなかった」。そう話すのは、2005年4月に中学3年だった次女、直美さん(当時15歳)を亡くした山口県下関市の安部慶光さん(53)だ。直美さんは、中学校で首をつって自殺した。慶光さんらによると、同級生からほうきでたたかれたり、石を投げられたりするいじめを日頃から受けていた。
 慶光さんらは、学校側が当初否定していたいじめの存在は認めさせた。しかし学校は「様々な要素があるので、因果関係はわからない」との立場を貫いた。現在も、明確な謝罪はない。
 文部科学省は、いじめられた側や、自殺した子どもの遺族の立場を重視する方向に動いている。
 06年度調査から、いじめの定義を見直し、「一方的・継続的な攻撃」などの要件を外し、児童生徒が「精神的な苦痛を感じているもの」はいじめにあたるとした。
 「事実を知りたい」という遺族に応えようと、同省は昨年7月、専門家による「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」を設置。児童生徒が自殺した場合の「背景調査」では、第三者も入れた調査を検討している。
 今年3月には「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き」をまとめ、「学校にとって不都合でも、事実は事実として向き合っていこうという姿勢を示すことが重要」と明示している。
 明子さんの自殺を巡る学校側の対応について、福山教授は「いじめを認める認めない以前に、学校側は亡くなった子の親に『(明子さんは)つらかったんですね』という言葉を一言でもかけたのか。子どもの気持ちになって声をかけることで、遺族の気持ちは今とは違ったものになっていたはずだ」と指摘する。

<群馬・小6自殺>担任「いじめあった」…学校側と食い違い 毎日新聞 2010/11/2

 群馬県桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺し、遺族が「いじめが原因」と訴えている問題で、担任教諭が県警の聴取に対し「明子さんへのいじめがあった」と認めていることが1日、捜査関係者などへの取材でわかった。学校側はこれまで「いじめという認識はなかった」と説明しており、学校と担任の認識が食い違っている。
 明子さんは10月23日、自宅で自殺した。遺書は見つかっていない。捜査関係者と学校関係者によると、担任への聴取は明子さんの学校での生活や、自殺までの経緯について説明を求めるために行われた。担任はこの中で、同級生が明子さんを無視したり、給食時に明子さんを避けて座るなどのいじめがあったと説明したという。
 同小の岸洋一校長は会見で、「5年生の時に母親から『いじめられた』という訴えがあったことは確認できたが、明子さんの勘違いだった。明子さんからいじめに関する特別な相談はなかった」と説明していた。【喜屋武真之介、塚本英夫】

 削除漏れか?←やるなら徹底してやりましょう

 時代がいかように様変わりしようとも、教育の根底に流れるものは「愛」であることが不変の真理でなければいけない。人間として真っ当に生きる力を育むのが 学校の大きな役割のひとつだろう。保護者が我が子を安心して学校に任せることができるのは、教師の「愛」を信頼しているからにほかならない。 しかしながら、近年増加の一途を辿る教師による不祥事の報道に接すると、そこには「愛」の一欠片も見受けられない荒んだ現状がある。 それらの事件も、この事件も「愛」なき教師の病んだ心がもたらせたものと思える。教育愛に燃えた若き教師も学校という社会から 隔離された環境の中で徐々に心が病んでいくことに気付かない、また周囲も気付かそうともしない。そして王国の主となっていく。 白い紙が黄色に見えれば黄疸、肝臓病だがピンクやグレーに見え自覚症状なくしてその後スリットが入り病んだ教師となっていく。 またある教師は魂を管理職や教育委員会に売り払う。 病んだ教師がどうして真っ当な判断や、ましてや真っ当な子供を育てることができるはずがない。 捜査関係者に担任がいじめを認める発言をしたというこは、良心の欠片があったのだろう。岸 洋一校長はどんな思いでいるのだろうか、興味深いです。どこの世界でも組織の責任は長にあるのです。 教育界はこの件に対しひたすら沈黙を守っているのはどうしてなのでしょう。 今回の事件を機にまず教師は社会に通用する常識を身に付けて欲しいと願うものである。そしていつも真実に真摯に向き合ってもらいたい。また、事件の事実を早期に時系列で公表してくれることを希望する。

教育愛とは、
@対象(被教育者)を選ばない。人間は本性的に相手を選ぶ存在であると考えるならば、相手を選ばないことをその特質とする教育愛は、本性的なものを超克して、教師という社会的役割を遂行するために、発動すべき愛、すなわち、職業的に求められる愛であるということから”求められる”特質である。
A対象の価値を発見する。教育者が多数の対象すべてから価値を引き出すために、集中的、持続的に活動を行うことは困難である。だが、その困難を乗り越えて、被教育者に集中的、持続的に教育活動を行わせる、教育者を支える、後押しする”力”(教育愛)のことです。
B無償性。無償性は親子愛や友愛にも見ることができます。しかし、教育愛の場合は、これらの愛とは異なります。
それは教育者にとって学校(職場)で教育に従事することは職業としての行為(経済的行為)であるため、報酬が発生し無償とは異なるのです。ここでの無償性とは、「ひたすら、惜しみなく与える愛」”精神的に無償性を保つべきである”ということです。

良心(りょうしん)とは、
自身に内在する社会一般的な価値観(規範意識)に照らして、ことの可否ないし善悪を測る心の働きのことである。
良心は、それ自体は規範意識などの情報の曖昧な総体であり、また善行をなし悪行を避ける心のことである。人間に関しては、性善説のように生まれながらにしてこの良心を持ち良いことを好み悪を嫌うとする説と、性悪説のように生まれた時点では良心は存在しないので教育によって良心を芽生えさせ育てる必要があるとする説があるが、そのいずれにしても社会に対しては、この良心に従って行動することが求められる。

自殺の小6女児、願い事は「学校を消す」 カードに昨秋 2010/11/2

 群馬県桐生市の市立小学校6年生、上村明子さん(12)が自宅で自殺し、いじめが原因だと家族が訴えている問題で、明子さんが5年生当時、妹に渡したカードに「学校を消す」と書いていたことがわかった。「うらむ人に今までやられたことをやりかえす」と記されたカードもあった。明子さんはこの頃から学校でいやな思いをしていた可能性がある。
 カードは「プロフィール帳」と呼ばれる市販の帳面にとじられている。生年月日や趣味などを尋ねる項目があり、友だちに渡し、渡された人は答えを書き込んで返す。明子さんの妹が明子さんに渡し、明子さんが記入した2枚が自宅に残っていた。
 一つのカードの「願い事は」という質問には、「学校を消す」と答えていた。昨年10月の日付があった。別のカードには「もし透明人間になったら」という質問に、「うらむ人に今までやられたことをやりかえす」と記していた。
 母親は「いつもはこんなことを言う子ではない。カードを見てショックだった」と話した。
 明子さんは5年生の1学期は4日欠席したが、2学期は14日休んだ。3学期は1日に減ったが、6年生の10月になって再び休みがちになり、23日に亡くなった。(新宅あゆみ)

【企画・連載】 12歳 命のメッセージ 【1】SOSの訴え死後次々 読売新聞 2010/11/2

両親募る喪失感
 「学校を消す」「うらむ人にいままでやられたことをやりかえす」
 桐生市の市立小学校6年、上村明子さん(12)が自ら命を絶ってから9日が過ぎた今月1日。両親は子ども部屋で、明子さんが妹(10)と交わしていた自己紹介カードを偶然に見つけた。
 5年生の時の日付がある2枚の片隅に、学校への絶望感、うっ積した怒りと受け取ることもできる言葉が書かれていた。ふだん、家庭では聞いた覚えのない激しい文言に、父、竜二さん(50)はがくぜんとした。「こんなことを書くなんて。学校へ相当行きたくなかったんだろう」
 遺書は見つかっていない。しかし、SOSと受け取れる言葉や描写は死後、いくつか見つかっている。
 「やっぱり『友達』っていいな!」と題した漫画では、転入してきた5年生の女児が新しいクラスから温かく迎えられる場面が描かれている。
 5年生時の作文では「心にきずつくことを言われた」とつづっていた。
 4年生の秋まで住んでいた愛知県一宮市の友達に送ろうとしていた手紙では「中学になったら大阪に行くんだ」と書いている。大阪への転居を意味し、いじめの窮状を竜二さんに訴えた際、「それじゃ、中学になったら大阪方面へ引っ越そう」との返答を受けての期待感をつづった文章だ。
 両親によると、漫画は亡くなる1週間ほど前に描いたらしい。教育評論家の尾木直樹・法政大教授は「明子さんのこうあってほしいという願い」と分析する。転校生を紹介する先生の言葉をクラスメートが静かに聞き入る場面では「しーん」と言葉を入れている。「先生の言うことをみんなが聞き入れる。そして友達関係がしっかりと築かれていくことを空想している」と説明する。
 漫画は3枚で未完のまま終わっている。尾木教授は「願ったように現実が進展していないから、その先を描けなかった」とみる。
 両親は日を追うごとに愛娘(まなむすめ)を亡くした喪失感に襲われている。
 母親(41)は「どうして『卒業まで頑張れ』なんて言ってしまったんだろう。明子が望むように学校を休ませてあげれば良かった」と唇をかみしめる。竜二さんも明子さんの遺影を前に声を震わせる。「自殺はいじめが原因に違いない。学校側は認めて全校児童に事実を伝えてほしい」
 両親は、「臭い」「汚いから、近寄るな」などの言葉の暴力を同級生から受けていたと明子さんから聞いている。そして、読売新聞の取材にも、複数の児童が証言する。「しょっちゅういじめられてた」「いつも1人でご飯を食べてた。泣いているところも見た」
 それでも学校は、いじめの有無については明言していない。
 前途ある12歳の少女がなぜ、死を選ばなければならなかったのか。学校はなぜSOSを見過ごしたのか。悲劇の背景を追う。

小6自殺 担任教諭が遺族に謝罪 「私の指導力不足」いじめ明言せず 読売新聞 2010/11/1

 桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が10月23日に自殺し、家族がいじめが原因だと訴えている問題で、小学校の担任教諭が31日、 亡くなってから初めて明子さん宅を訪れた。父親の竜二さん(50)によると、担任は「私の指導力不足でこういうことになって 申し訳ございません」と謝罪したが、同席した校長は、いじめの有無について「調査中です」と述べるにとどまり、認めることはなかったという。
 担任は校長や教頭、5年生時の担任など学校関係者7〜8人で訪れた。「話し合いに来たんですか」と竜二さんが聞くと、校長は「初七日が終わったので、お線香 だけ上げさせてください」と述べたという。
 担任に対し、竜二さんが「給食を1人で食べていたのを見ていたんでしょ」「いじめがあったことを知っていたんでしょ」「いじめを 認めて」と問いつめると、担任は下を向いて「すいません」と繰り返すばかりだったという。途中、校長が話に割って入り「(29日に回収した児童への) アンケートなどを実施し調査中です」「いじめを認めないわけではありません」と話したという。
 竜二さんは「担任の謝罪はいじめを認めたも同じ。アンケート結果はクラス全員分見せてほしい」と話していた。

自殺小6「中学になったら大阪に行く」と友人に 読売新聞 2010/10/31

 群馬県桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が自殺し、家族がいじめが原因だと訴えている問題で、明子さんが4年生の秋まで住んでいた愛知県一宮市の友達に送ろうとしていた手紙が見つかった。
 家族が自宅居間のテレビ台の中から見つけた。「あのね、中学になったら、大阪に行くんだ。愛知県を通るかもしれないから、会いにいくね」と、引っ越しを心待ちにしている思いがつづられていた。
 父親の竜二さん(50)によると、一宮市の小学校で仲が良かった女児から今年夏に届いた手紙への返事として、イラスト入りの便せんに鉛筆で書かれていた。封筒にあて先があり、いつでも送れる状態だった。
 両親は、いじめを受けていると明子さんから相談を受け、来年3月に大阪方面に引っ越そうと考えており、「卒業するまで頑張ろう」と励ましていた。

自殺の女児、作文で「きずつくこと言われた」 読売新聞 2010/10/29

 群馬県桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が自殺し、家族がいじめに原因があったと訴えている問題で、明子さんが5年生の1学期を振り返る作文で「心にきずつくことを言われた」とつづっていたことが29日、わかった。
 家族が28日、明子さんの机の中から見つけた。作文は「わたしはあんまり楽しくなかったです」との書き出しで始まっている。その中で、明子さんが「本読み」の宿題を忘れてしまった際に同級生にとがめられたことに触れ、注意した本人も他人のプリントを写しているのに「人に言うなんておかしい」と記している。
 後半部分では、一番楽しかったのは「おたのしみ会」だったとし、「全員と遊ぶとなぜかうれしくなるんです」と書かれていた。
 家族によると、明子さんへのいじめは5年生の時に始まったが、当時の担任の指導で、いったん収まったという。家族は、クラス替えのあった6年生になって、言葉の暴力などを受けるようになったとしている。
 父の竜二さん(50)は「作文を見てまた悲しくなった」と声を落としていた。

社説:小6自殺 少女の死が問うもの 毎日新聞 2010/10/29

 群馬県桐生市の小学6年生、上村明子さんが自殺し、遺族が学校でのいじめが原因と訴えている。学校側はいじめの有無はまだ分からないという。だが、明子さんが孤立の状態にあったことは知っていた。
 暗然とするのは、その状態から明子さんをいち早く救い出せなかったことだ。父親によると、08年に愛知県から転校した彼女は09年から一部の同級生に「臭い。あっちへ行け」と言われたり、無視されたりした。一時収まるが、6年生で再び始まり、9月に学級の児童が給食を仲良し同士でとるようになると孤立した。
 事件後、校長は「(一部児童との関係が)良くない状態にあったのは間違いないが、いじめという認識はなかった。明子さんに嫌なことはないか話を聞くこともあったが『特にない』と答えていた」と説明した。
 談笑の輪に独り入れない給食のつらさ。何か嫌なことはと教師に尋ねられた時の戸惑い。そうしたことへ思い至らなかったか。説明では、担任はクラスをまとめきれない状態で、決まった班ごとに食べるよう指導してもうまくいかなかった。
 また父親は、母親がフィリピン出身者であることもいじめの一因だと思うと語っている。母親が授業参観すると、悪口を言われ、以後いじめられるようになったという。  86年、東京で中学2年の男子生徒が「このままじゃ『生きジゴク』になっちゃうよ」と遺書を残して自殺し、いじめが社会問題化した。07年には「いじめ自殺」が相次ぐ一方で実態がなかなか表に出ないため、文部科学省はいじめの定義を加害行為より被害者が苦痛を感じていることを重視するものに変えた。内心苦しむ子供を早く見つけ、救うためだ。
 その結果、学校現場のいじめ認知件数は一時飛躍的に増えたが、今は報告が激減し、文科省は「実態を反映していない」と手厚い調査をするよう通知したばかりだ。  自殺の直前、明子さんはノートに漫画を描き残していた。小学生の転校生がクラスメートに「よろしくお願いします」とあいさつし、担任の先生もにこやかに「仲良くしてあげてください」と紹介する。題は「やっぱり『友達』っていいな!」。
 12歳の少女は、どれほどこれが現実世界であるよう心焦がれていたことだろう。胸がふさがる。
 子供の自殺件数も、警察庁統計より文科省が集計するデータはかなり少なく、実態把握のため方法を改める。だが、数字にとどまらず、こうした少女の苦悩も、きちんととらえるような調査でなければならない。
 子供は社会の鏡というが、子供のいじめや自殺は社会の病理を映す。そう心に強く銘じて取り組みたい。


桐生市小学生いじめ自殺事件 学校は、何故事実を公表しないのか

 

遺族、市民、県民が知りたいのは、校長や担任の処分ではなく、自殺に至った事実である。


新人教員の“退職”最多 精神疾患・なじめない… 産経新聞 2010/10/28

 公立の小中学校や高校などで、1年以内に教壇を去った新人教員が平成21年度、過去最多の317人に上ったことが27日に公表された文部科学省の調査で分かった。精神疾患や教職になじめないなどの理由で依願退職するケースが目立ち、文科省は「新人でもすぐに教壇に立たなければならない。プレッシャーが原因ではないか」と分析している。
 同省が全国の都道府県教委などに対して調査した結果、新人教員のうち、1年の試用期間中に辞めるなどして、正式採用されなかったのは317人。前年度を2人上回り、過去最多を更新。6年前に比べると3倍近くになった。
 依願退職が302人で大半を占めたが、このうち83人は精神疾患が理由。また、「教員になじめなかった」などの理由も多かった。指導力不足で不採用決定を受けた新人も29人いたほか、犯罪を理由に失職した新人も1人いた。
 一方、新人以外でも教育委員会に、資質不足で指導が不適切と認定された教員は260人に上った。在職20年以上のベテランが60%。特に50代が44%を占め、同省は「年齢が高く自分の指導方法に固執して改めないのが原因」と分析。ただ、認定数は前年度比46人減で5年連続で減った。
 学校のトップや中間管理職のような勤務に耐えられず、校長や副校長、主幹教諭から希望して降格される「希望降任制度」利用者は223人。前年度を44人上回り過去最多を更新した。

【小6女児自殺】校長、教頭が遺族訪問 いじめの有無言及せず 2010/10/28

 桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が自殺し、家族がいじめが原因と訴えている問題で、小学校の校長と教頭が27日夜、明子さん宅を訪れ、両親と妹(10)に面会した。両親によると、いじめの有無について言及しなかったという。
 約15分間の面会後、校長らは記者団の取材に対し、「今日は線香を上げに来ただけ。具体的なことは話していない」と話し、足早に車に乗り込んだ。
 父親の竜二さん(50)によると、学校生活を題材にした漫画を描いた明子さんのノートを見せ、「『友達っていいな』と描写しているんです」と説明すると、校長らはじっと眺めていたという。
 面会後、竜二さんは記者団の取材に対し、「二度とこういうことにならないよう、校長には全校生徒の前で本当のことを話し、『いじめ』という言葉を出してほしい」と改めて訴えた。 (2010年10月28日 読売新聞)

自殺の小6、「友達っていいな!」と遺品の漫画 読売新聞 2010/10/27

 群馬県桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が自殺し、家族がいじめを訴えている問題で、明子さんが生前、「やっぱり『友達』っていいな!」というタイトルの漫画を描き残していたことが27日、わかった。
 B5判のノート3ページにシャープペンシルで描かれたイラストは、「関口桜」という名の小学5年の女児が新しい学校に転入してきたという設定。
 「転校生。5年生の女の子。おとなしくて恥ずかしがり屋だけど、みんなの人気者」という主人公は、担任の先生から「転校生なので仲よくしてあげてください」と紹介され、「これからよろしくお願いします」と新しいクラスメートにあいさつしている。
 子ども部屋で遺品を整理していた家族が見つけたという。母親(41)は「やっぱり友達がほしかったんだな。自分がかなえられなかったことを漫画に託したのだと思う」と寂しそうに話した。 最終更新:10月27日(水)14時35分

小6女児自殺受け、臨時校長会開く 2010/10/27

 桐生市教育委員会は26日、新里東小6年の上村明子さんが自殺した問題を受け、臨時校長会を桐生市役所で開き、高橋清晴教育長が再発防止に全力を注ぐよう、今後の対策などについて指示を行った。
 会議で高橋教育長は「(自殺は)決してあってはならないこと。再発防止に桐生市の学校、教育委員会全体で対応し、万全を期してほしい。また他の子どものケアに十分配慮してほしい」と要請。
 現在、各校で運用している危機管理マニュアルの徹底と見直し、市教委と学校間の情報交換の強化などを改めて実施していくことを確認した。
 また、新里東小校長が今回の自殺をめぐる経緯の報告も行った。

徹底した原因究明と事実の把握の指示はなかったのか?

桐生市いじめ自殺、保護者説明会で曖昧な説明に終始 2010/10/27

 群馬県桐生市立新里東小学校6年の女子児童が自殺し、背景にいじめがあったとみられている問題で、学校側がおこなった保護者説明会の内容が『読売新聞』で報じられています。
 保護者説明会は10月25日におこなわれたということです。保護者説明会の様子について、読売新聞が複数の保護者に取材したという記事では、学校側は児童の自殺の事実のみを報告したものの、いじめに対する言及はなかったということです。
 保護者からの質疑応答で「いじめがあったのか」「報道内容は事実なのか」などと、いじめの有無に関する質問が異口同音に寄せられたといいます。しかし校長は「プライバシーの問題」「詳細まで把握できていない」などという回答に終始しました。
 児童の担任教諭に詳細な説明を求めても、校長は「自分が説明する」として応じなかったということです。
 報道でそれなりに踏み込んだ内容が明らかにされているにもかかわらず、当事者のはずの学校側が報道内容の範囲の事実関係すら把握できていないというのはおかしなことです。それとも、自らに不都合なことは「報道があることないこと言い立てている」ことにして事実関係自体をゆがめようとする、学校関係の事件事故の定番パターンに持ち込もうとするつもりでしょうか。
 またいじめの事実関係を詳細に明らかにして今後同種の事件が起こらないようにすることは、きわめて重要なことです。「プライバシー」と称して、いったい誰のプライバシーを守ろうというのでしょうか。プライバシーを恣意的に振り回し、事実関係を闇に葬り去ろうなどということはあってはなりません。

いじめアンケ完全実施を/県教委 全市町村教委に通知へ 2010/10/27

 桐生市の小6女児が自殺したことを受け、県教委は26日、全市町村教委に対し、いじめの有無についてよりきめ細かな実態把握を行うとともに、児童生徒にアンケート調査を行うよう通知を出す方針を固めた。県内の小中学校の8割がいじめの有無を把握するアンケートを行っているが、今回は全市町村教委に完全実施を求める。県教委は「できるだけ具体的に、子どもたちの生の声を引き出してほしい」としている。
 県教委によると、県内の公立小中高で2009年度にいじめを認知した件数は、小学校で77件(前年度比54件減)、中学校で130件(同21件減)、高校で68件(同10件増)だった。
 認知したきっかけで最も多かったのは、「本人からの訴え」で32・7%。次いで「学級担任が発見」20・4%、「アンケート調査など学校の取り組みにより発見」5・1%だった。 (2010年10月27日 読売新聞)

桐生市小学生いじめ自殺事件の続報 2010/10/26

 群馬県桐生市立新里東小学校6年生女子児童が10月23日に自殺した事件で、続報が各マスコミで報じられています。
 仲良しのグループ数人ごとで食べる給食の時間に一人で給食を食べていたことや、児童の母親が外国人ということでの人種差別的な内容も含めた嫌がらせ発言などがあったことも報じられています。
 児童は「いじめから逃れるため転校したい」などと訴え、家族も10回以上にわたって学校側にいじめを訴えていたということです。また一家は、児童の中学校入学にあわせて校区外に引っ越す予定を立てていたといいます。その矢先の自殺事件でした。
 一方で学校側は、給食を一人で食べていることには気づいていたものの、いじめは確認できていないなどとしています。また相談も1〜2回だったとしています。一部報道では、校長が家族を訪問した際「いじめや自殺のことは伏せて話したい」と話したとも伝えられています。
 明らかにいじめ自殺が疑われる状況です。学校側は事実隠蔽や過小評価にとどまることなく、徹底的な調査をおこなわなければなりません。
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  担任、校長もいじめに荷担していたとみるのが常識的な判断と思える。学校ぐるみのいじめと言っても過言でない。桐生市立新里東小学校へクレーム電話すれば、脅迫で大間々警察に連絡するのは、自ら非を認め足掻いているとしか思えません。こういう体質が今回の事件を発生させたのです。桐生市立新里東小学校教職員の皆さん、一生重荷 を背負って生きていく覚悟なんですね。(また警察に通報されるかも)だったら、その時点時点で真実を公表してください。あなたたちのお子さんが同じことになったらどうするのですか?今、やっと新里東小学校が異常だと世の中に認識してもらえたのです。真実の情報公開は、税金で飯食ってる公務員の最低義務でしょう。

桐生の小6女児自殺:娘は学校でひとりぼっち 父親「解決策示されず」 /群馬 2010/10/26

 桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が23日、同市新里町新川の自宅で首をつって自殺した。派遣社員の父竜二さん(50)は25日、「学校でのいじめが原因」と訴え、実名での取材に応じた。「娘は学校でいつも一人ぼっちだった。私が学校に相談に行っても解決策が示されなかった」と涙ながらに話した。SOSはなぜ届かなかったのか。教育現場に重い課題を突きつけている。【塩田彩、角田直哉】
 ◇引っ越し計画の矢先
 竜二さんと母親(41)によると、事件は引っ越しを計画していた矢先に起きた。明子さんはクラスメートに無視されるなどのいじめを受け続けていると訴え、「お父さん、お母さん、転校したい」「どんなに遠い学校でもいいから歩いて行く」と話していた。このため、来春の中学進学を機に、引っ越しで校区を変えることを考えていたという。
 明子さんは先週、火曜日から2日連続で学校を休んでいた。今秋から給食は決められた席ではなく、班をつくって食べるようになり、明子さんが孤立したのが原因と両親は見ている。木曜の校外学習に出席すると、同級生には「こんな時だけ学校に来るな」と責められ、母親に「もう学校に行きたくない」と涙ながらに訴えたという。竜二さんはこの日、学校に電話し、いじめや給食時のグループ分けについて「なんとかしてほしい」と頼んだ。担任は「話し合ってみます」と応じたという。金曜日にはまた学校を休み、事件は土曜日に起きた。
 この日朝、明子さんは午前9時ごろに起き、朝食も食べた。明子さんに普段と変わった様子はなく、竜二さんは明子さんに「ジュースを買って」と頼まれ、外出してグレープソーダの缶ジュースを買ってあげたという。竜二さんは午前11時ごろ外出した。正午ごろ、母親が子供部屋で物音がしないのを不審に思って部屋をのぞくと、カーテンレールを使って首をつっていたという。遺書は見つかっていない。
 明子さんは竜二さんの仕事の都合で転校を繰り返し、新里東小は4校目。以前通っていた名古屋市内の小学校では、友達も多く明るく振る舞っていたという。
 竜二さんは「娘には『あと少しだけ我慢しよう』と言い聞かせていたが、もう我慢できなかったのか……」と話し、肩を落とした。
 ◇泣きじゃくる妹、声響く通夜式場
 明子さんの通夜が25日午後6時から、みどり市内の式場で営まれた。明子さんが通っていた新里東小の児童の親や学校関係者ら約70人が参列。父竜二さんは焼香する参列者に頭を下げ、母親は終始うつむいて顔を手で覆っていた。また、明子さんの小4の妹(10)の泣きじゃくる声が式場内に響いた。
 通夜には同小の岸洋一校長も駆け付け、遺族に深々と頭を下げて焼香した。明子さんの母親が「(娘を)返して」と泣き叫ぶと、岸校長はしばらく立ちつくした。校長はその後、両親の前へと歩み、両ひざを床について椅子に座る両親に話しかけた。
 岸校長は通夜終了後報道陣に「二度と同じことを繰り返さないと約束しにきた。明子さんにつらい思いをさせてしまい申し訳ないと謝った」と話した。26日の告別式には同じクラスの子供たちを参列させる予定という。
 参列した小4女児の母親(36)は「明子さんは礼儀正しくてあいさつもできる良い子だった。かわいそうとしか言いようがない」と話した。小5女児の父親(41)は「同年代の子供を持つ父親として焼香しに来た。自分の娘だったらと思うとやりきれない」と話した。【塩田彩】
 ◇「いじめ判断できず」 両親訴えに校長が釈明
 新里東小の岸洋一校長(59)は25日午後5時から、同小の視聴覚室で記者会見に臨んだ。6年生になってからの明子さんの欠席日数は9月までに1日だけだったが、10月は5回に及んだという。
 岸校長は明子さんについて「低学年の子や特別学級の子の面倒見が良かった半面、同級生と仲良くするのは苦手だったようで、1人でいることが多かった」と話した。
 両親は「学校でのいじめが原因」と訴えているが、岸校長は「(一部同級生との関係が)良くない状態にあったのは間違いないが、いじめという認識はなかった。明子さんからの話を聞く機会もあったが、いじめとは判断できなかった」と釈明した。
 明子さんの父竜二さんは、いじめ対策について学校側に何度も申し入れたと話しているが、岸校長は「5年生の2学期ごろに相談があったが、その時は子供たちに指導し改善した。6年生になってからは1、2回相談があり、21日にも給食について相談を受けた。(自殺前日の)22日に(給食について)改善したとの報告をするため担任が家庭訪問したが、家族は出かけていてお会いできなかった」と話した。【喜屋武真之介】
 ◇いじめに関する報告はなかった−−市教委
 市教委によると、23日午後2時20分ごろ、同校の教頭から「児童が死亡した」と連絡があった。24日に岸校長らと意見交換したが「最近休みが多くなった以外、問題は浮かばない」との報告を受けた。
 また同校からこれまで、明子さんのいじめに関する報告を受けたことはないという。児童が月6日以上欠席すると、学校は市教委に書面で報告するが、明子さんについては報告が上がったことはなかった。【塚本英夫】
 ◇全校集会と緊急保護者会を開く
 明子さんの自殺を受け、新里東小体育館で25日午前8時半から全校集会が開かれた。岸洋一校長によると、自殺という言葉は使わず「23日に明子さんが命を絶った」と報告すると、児童らは驚きの表情を浮かべたという。
 一方、25日午後4時からは同体育館で緊急保護者会が開かれ、約200人が集まった。参加した保護者によると、岸校長からは「いじめがあったかどうか、現段階では分からない。事実関係を調査している」との説明があった。
 小5男児の父親(43)は「『調査中』ではなく、今、学校が把握していることを聞きたかった」と話した。また、小6男児の母親は「突然のことで親も子供もショックを受けている。当事者の保護者の気持ちを考えるといたたまれない」と話した。【鈴木敦子、喜屋武真之介】

きのうのことだが校長先生がみえて、『全校生徒の前ではいじめとか自殺とか伏せて話したい』と。2010/10/26

 2ちゃんねるの上村明子さんに関連する書き込み全てに目を通してみた。2チャネラーは若い世代が中心と思うが 的確な判断力と批判力を持ち、そして提案能力も正常であると思う。
 是非、新里東小学校関係職員、桐生市教育委員会関係職員、群馬県教育委員会関係職員、文科省関係職員、その他学校関係の方々に読んで欲しいものです。これが一般社会の常識です。
『全校生徒の前ではいじめとか自殺とか伏せて話したい』←この言葉は一体何を意味するのか、疑問である。
 白い紙の色が赤だと本気で思い込んでいる教師が10人集まろうと、20人集まろうと白い紙の色は赤という結論。 そういう環境から出る言葉なのか。
 社会から隔離された学校という名の孤島で子ども相手に生活している教師は、除々に判断力が狂っていくことに気付こうともしない。 モンスターが来校するとたちうちするすべもなく、教師同士で慰めあっている。 何か事が起こると、まず言い訳をするのが教師。特に文化の通わない未開地に多い。 上記のような不明な言葉を発する校長としてでなく、一人の暖かい血の通った人間として、また人の親として事件に真摯に向かい合って欲しいものだ。
 何も悪いことはしていないという高飛車、高慢な態度でなく、被害者の遺族の感情を充分察知、配慮して誠心誠意お詫びすることか出発ではないのか。 そして、温ま湯に冷水を注ぐことに躊躇せず、真実を明らかにしていくことこそが、第二、第三の犠牲者を作らない基本となるだろう。
 今回の事件を今後のために生かすも殺すも岸 洋一校長のリーダーシップにかかっていると思える。
 25日に新里東小学校のホームページを削除した理由も知りたい。今の世の中逆効果になるんですよ。貴方たちに関する書き込みは貴方たちの孫子の代 以降も残るのです。これを機に白い紙が白く見えるようになってください。キャッシュということもお勉強してください。ホームページからは見えませんが、画像1 画像2(写真:記者会見する岸 洋一校長)

小6女児が自殺−父親「学校でいじめ」訴え /群馬県桐生市 2010/10/25 讀賣新聞群馬版  画像

   桐生市の市立小学校6年の女子児童(12)が23日、自宅で首をつって自殺し、会社員の父親(50)が本紙の取材に「学校でいじめを受けたのが原因」と訴えている。
大間々署や父親によると、女児は23日昼、自室で首をつった状態で死亡しているのが見つかった。遺書は見つかっていないが、同署は現場の状況から自殺と断定した。
 父親や学校側によると、女児は腹痛などを理由に19,20,22日に欠席。21日には校外学習に参加した。
父親によると、女児が校外学習で同級生に、「なんで、こんな時だけ来るのか」などと言われたという。女児は4年生の秋に愛知県から転校。5年になって同級生に「汚い」「近寄るな」などと言われたと家族に訴えていた。 給食も1人で食べていたという。両親が当時、学校に連絡し、いじめはいったん収まった。しかし6年に進級し、担任やクラスが変わると、再びいじめられていると家族に話していた。 最近は学校も休みがちだったが,校外学習には学校側の説得を受けて参加したという。父親は「ずっといじめを受け続けていたことを、学校側は把握していたはずだ。なぜ娘のSOSを無視したのか」と怒りを あらわにしていた。
 校長は本紙の取材に、「5年生の時に、同級生と言葉のやりとりで誤解があったが、女児の保護者に話して誤解は解けた。その後も見ている限りは、いじめを把握していない」としている。(写真:岸 洋一校長・新里東小学校・21日参加した社会科見学)

 一刻も速い真相解明と今後の手立てが望まれる。
2ちゃん  桐生市立小学校一覧  21日に6年生が社会科見学をしたのは、桐生市立新里東小・・・おくやみ欄から断定  故人の家付近地図 謹んで哀悼の意を捧げます。桐生市立新里東小学校6年生だった上村 明子さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
 2010/10/25午後突然、どういう意図か桐生市立新里東小学校のホームページが閉鎖されました。(多分、誰かにとってご都合が悪かったんでしょうね)こういうことをするから様々な憶測を呼び、教育界が益々信頼されなくなるのです。今、桐生市立新里東小学校と桐生市教育委員会が成さねばならない最も重要なことは何なのか・・・
新里まつりポスター審査結果 明子さんは絵が上手な児童だったみたいですね。
 今晩事情説明を求め、桐生市立新里東小学校と桐生市教育委員会に電話してみましたが、失礼な対応でした。彼らは自分の身の保全しかありません。まず、今晩のお通夜に行って教育長、校長が土げ座して謝るのがスジでしょう。
学校で会議してる間があったら、お父さんに謝罪すべきです。  学校の対応がそうなら、市教委の対応も同じ。これじゃ、いじめはなくなりませんね。管理職とか市教委って何なんですか。貴方たちの指導方針を実践して、こういう事件 がおきているのです。真摯に責任を感じることがまず必要でしょう。そして、群馬県民として、事件の徹底解明と遺族への納得のいく説明、そして関係者全員の懲戒処分を求めます。
 今大間々警察署中島警察官から電話がきました。桐生市立新里東小学校を脅迫しないでと。 脅迫したつもりは全くないのですが・・狂育者って勝手ですね。大間々警察署に被害者ぶって連絡したようです。(市教委の指示か、学校の判断か)いずれにしても、ぬるま湯にどっぷり浸かった世間知らずのおじさん、おばさんの判断ですね。それじゃあ、出るとこで公正にやりましょう。 こういうやり方だから、教員は世間知らずと言われ、地域社会から相手にされないのですよ。 呆れて何も言えません。じゃ何で桐生市立新里東小学校は、明子さんのこと大間々警察に相談しなかったのか、連携して防止できた可能性あり。結局自身の保身しかないのですね・・これが田舎群馬の教育界と警察界です。これじゃあ、まっとうな児童、生徒、市民、県民は育ちませんね。 昔々、金山警視がいたころの大間々警察は名実ともに立派でしたよ。最近、大間々警察署は偉くなったものですね、県民の意見を学校に反映させることなく、地域の学校の言いなり。まずもって「申し訳ありませんでした」の言葉は、学校からも警察からもなかったです。 故人は浮かばれないですね。桐生市立新里東小学校にはこれからもなお一層あらゆる手段を駆使し、しっかり抗議していきます。 これで怒らない県民はおかしいと思うのは小生だけか・・・毎日のように報道される教員、警察官の不祥事、この國をこうしたのは、あなたたちにも責任がある。2ちゃんねるの存在も知らない先生、お巡りさん、是非このサイトを若手(?)の大間々警察署中島警察官には見てもらいたい。明日の日本のために・・・
重ねて申し上げますが、小生は「暴力団」ではありません、明治時代から「組」を引き継ぐ「渡世」の人間です。誤解なきように・・・先代以降、警察には何回かごやっかいになりましたが、しろうとさんに迷惑を掛けたことは一度もありません。
ま、警察とは体質が似てるかも。教員には肝っ玉の据わった奴がいなくなったなあ。学園闘争の時代が懐かしい、今は体制に媚、へつらい自己中の世界が聖職であるべき教員の世界まで忍び込んできて、それに気づこうとする若者さえいなくなってしまった。そういう体質がこのような事件を起こす要因になっていることも知らず・・・ ちなみに小生47年東京教育大卒です。

女児“いじめで自殺”調査へ 10月25日
 群馬県桐生市で23日、小学6年生の女の子が自宅で首をつって自殺しているのが見つかりました。女の子の父親は警察に対して「学校でいじめがあった」などと話しているということで、教育委員会などで事実関係を調査することにしています。
23日昼ごろ、群馬県桐生市の住宅で、この家の小学6年生の12歳の女の子が自分の部屋で首をつった状態で死んでいるのが見つかりました。遺書は見つかっていませんが、警察は現場の状況などから女の子は自殺したものとして動機などを調べており、父親に話を聞いたところ、「娘は学校でいじめを受けていた」などと話しているということです。このため桐生市教育委員会では、職員を学校に派遣するなどして事実関係を調査することにしています。女の子は、おととし秋に愛知県から転校してきましたが、去年、父親から「子どもが学校でいじめにあっているのではないか」と学校に相談があったということです。この小学校の校長は「女の子が嫌な思いをすることがあったというので、その時は学校として対応した。職員も女の子を気にかけてよく声をかけていたが、最近は本人からいじめの話は聞いていなかった」と話しています。
児童・生徒の自殺、背景調査へ:文部科学省 2010/10/25
 文部科学省は、児童・生徒の自殺について、自殺の背景に焦点を当てる調査をおこなうということです。
 東京新聞2010年10月24日朝刊『子どもの自殺 背景調査 来年度にも 報告集め予防教育』によると、自殺事案が発生した学校に対してチェックシート式の回答票で理由などを詳細に回答させることを検討しているということです。
 自殺の理由・背景を詳細に分析し、予防教育につなげたいとしています。
 一方で学校関連の事件・事故では、学校・教育委員会は学校側に不都合とみられる事実については認めたがらない傾向があります。
 いじめ問題を例にとると、常識的に考えれば「いじめの兆候」と思われるような事象が指摘されても、学校側はその事象そのものがなかったかのような扱いをしたり、事象そのものは認めても「いじめ」とは評価せずに「いじめはなかった」などと強引に結論づけるなどといった事例は、過去にもたくさんありました。
 事実関係を正確に把握できるような調査体制の構築が課題となります。

【参考資料】
■ 文部科学省の定義
文部科学省が児童・生徒の問題に関する調査で用いるいじめの定義は「子どもが一定の人間関係のある者から、心理的・物理的攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」で、「いじめか否かの判断は、いじめられた子どもの立場に立って行うよう徹底させる」としている。
これは2007年1月19日以降の定義で、従来のいじめの定義では「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」としていた。
同年、具体的ないじめの種類については「パソコン・携帯電話での中傷」「悪口」などが追加された。いじめの件数についても「発生件数」から「認知件数」に変更された。 また、教育再生会議の第一次報告に関連して、いじめを繰り返す児童・生徒に対する出席停止措置などの現在の法律で出来る事は教育委員会に通知するように、2007年1月22日、安倍晋三首相が伊吹文明文部科学相に指示した。

■ 学年別動向の統計
学年別に見た場合、次の傾向がある事が指摘されている。
幼稚園・保育園:小谷隆真によれば、小学校や中学校のようないじめはないという。積極的な子供が消極的な子供を従えているようにみえる「子ども同士の力関係」や、「子供のコミュニケーション能力の未発達」による玩具等の横取り、手を出すことをいじめととらえてしまうという(参考:2005年3月7日読売新聞)。
小学校:「冷やかし」の割合が多いが、「仲間はずれ」の割合が、他の区分に比べて多い。
中学校:統計上、いじめが最も多くなる年代である。重篤な場合は重傷を負わせられる、傷害の結果死に至ることもある。結果、自殺するという例もある。
高等学校:「冷やかし」が多いが、「暴力をふるう」割合が高い。割合は少ないが、いじめによって退学する場合もある(人間関係を理由とした中途退学は、2005年度で7.4%)。
大学:大学に於いても、特に体育会系のクラブで、先輩からの「しごき」という名のいじめは昔から存在する。これに関連して、継続的な悪質ないじめで、訴訟沙汰になった例もある。

■ 管理者
いじめが発生していることが明らかになった時点で、学校であれば担任や校長・教頭、職場であれば管理職の地位にある人間が管理責任を問われ、減俸等の処分を受けたりその後の昇進などで不利な扱いを受ける場合も少なくない。このため、本来であればいじめの解決に積極的に取り組むべきであるはずの管理者が、実際にはいじめの存在を認識しながらもその事実を報告せず覆い隠そうとするケースも珍しくなく、いじめの結果被害者の自殺など取り返しのつかない事態が発生した後も「いじめの事実はなかった」などと公式の報告書に記載される場合もある。この結果、被害者の家族が学校や職場に対する不信感を増幅させることも多い。
また、担任自体がいじめ加害者となるケースもあり、1986年の中野富士見中学いじめ自殺事件のようにいじめに加担したり、あるいは2006年の筑前町立三輪中学校の事件のようにいじめを誘発する発言を行ったケースもある。また、1984年の大阪産業大学付属高校同級生殺害事件のケースでは相談を受けた事実を担任は否定し、結局保身に走る形となった。
いじめは「起きないのが最良」であり、いじめが起こるような環境を作った時点で管理者に責任があるという見解にも一理あるのは確かだが、それにより管理者が自らの保身を優先させた結果、いじめが発生した場合に適切な対処が行われない、いじめに関する実態調査に対し管理者の立場にある人間が非協力的な態度を取るなど(実際滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件を契機としたいじめ実態調査に対し、北海道教職員組合が調査に協力しないよう指示したという例もある)、逆に一種のモラル・ハザードを生んでしまっているという意見も出てきている。
その他、教師自身が自身の教育性を見せ付けるため、もしくは教師としての自己満足をかなえる場合、自分の教育に否定的な生徒をわざといじめに追い込ませ結果論として自分を頼らせるというケースも存在する。この場合いじめはあくまで生徒間の間でおこっている為、担任がいじめ加害者となるケースとしては露見する場合は少なく、物事の大小含めて教師が加害者であったという認識は希薄となる。
このほか、特に学校において暴力を伴ういじめが行われている場合に、それを止めるため教師がやむを得ずいじめる側の人間を殴るなどの行為を行った場合、近年日本において体罰全般を否定的に見る風潮が強まっていることから「教師による体罰だ」として(いじめる側の人間の)保護者から苦情を受け、結果として教師が処分されるといったケースも見られ、これも管理者のいじめに対する対応を萎縮させている一因となっている。

■ 学級崩壊
近年、学校で児童生徒が、学級で授業が行われているにも関わらず、勝手に席を立って教室を入室もしくは退室したり、私語を慎まなかったり、周りの生徒にちょっかいを出すなど、授業の不成立ひいては学級の機能が停止した状態が起こることがある。この状態を「学級崩壊」と言う。学級崩壊という言葉は主に小学校において使用される。これは、「児童の集団による教師いじめ」という側面も有している。
小学校において学級崩壊までいかないが、学級が機能しにくい状況に対しては主に「荒れ」という言葉が使われる。また、実際の学校現場ではこの「学級崩壊」という言葉を使用されることに対して非常に激しい心理的抵抗があり、明らかに学級崩壊に至っている状況でも「荒れ」として曖昧に表現される事も多々ある。学級崩壊という言葉は1997年頃から頻繁に使われるようになってきたとも言われる。その背景に関しては多くの識者によって様々な考察が為され、教育学的、心理学的、社会学的に研究されている問題である。
そもそも、現在の学校教育システムは「保護者が学校に協力的で、子供も教師の言うことを素直に聞く」という伝統的な学校文化を前提として成立しており、現在の学校教育システムが、社会の変化・児童保護者の変容に対応しきれていなのではないかという説がある。例えば現在の小学校高学年は情報化や都市化・発達加速化などにより、10年前、20年前の中学生と似たような困難を多く有している。しかし、学校教育のシステムはあくまで小学生を対象に教えるシステムであるので、子供の変化に追いついていない。
また、学級崩壊の背景としては「教師の権威の崩壊」「家庭教育の崩壊(家庭で終えるべき躾ができていない)」「地域の教育力の崩壊」があると言われている。
従来の学校教育においては、学級崩壊の責任のほとんどが教師が責任を負うところであり、教師の教育技術の不足によるものと考えられてきたが、現代においては教育技術のみで学級崩壊を防ぐのは不可能であると思われている。「保護者が学校に協力的で、子供も教師の言うことを素直に聞く」という前提で成立している現在の学校教育システム自体に欠陥があるのではないかという説も存在する。
また、学級崩壊の原因としては、LDやADHDの児童生徒などが要因となった授業の遅れ(妨げ)が原因であるという説や、教育能力の低い教師の学級経営の失敗が原因だとするという説がある。

■ 学級崩壊
1990年代の後半に学校現場で静かに広がった子供たちの「新しい荒れ」の現象。子供たちの「新しい荒れ」とは、1980年代に中学校・高等学校の校内暴力にみられた対教師暴力や器物損壊行為などのつっぱり生徒を中心とした荒れではなく、普通の子供の突発的な攻撃行動や授業中の不規則行動、私語、逸脱行為などをさす。具体的には、子供たちが「教師の指導を受け入れない」「授業が始まっても教室内を立ち歩く」「私語が多い」「集団で教室を飛び出し、いつまでも戻らない」「突然奇声を発したり、物を投げたりする」などの行為を繰り返すことである。さらに教師に暴言を吐いたり、暴力を振るったりすることもある。こうした態様はさまざまだが、学級崩壊とは要するに授業が成立しない状態をさす。
「学級崩壊」という用語は、1997年ごろから使われ始めた。中学校でもその現象はみられたが、教師がひとりひとりの児童と深く接触できる学級担任制がとられている小学校での現象が顕著になった。きちんとした統計はないが、公立小学校約2万4000校、学級数約27万、生徒数約750万人(1999年現在)のうち、全学級の1割程度で学級崩壊が起こり、担任教師の教職経験の長短にかかわらず、どの学級でも生じる可能性があると考えられている。
学級崩壊は、教える側・学ぶ側双方に強烈なストレスがたまっていることが土台にあるといえる。子供たちが受けている現代社会のストレス源は多様であり、それが学校・学級で発現するのである。学級は、期限付きで人為的につくられた子供たちの集団であり、そのなかで生活と学習が行われる。生活のなか、学習のなかでも子供同士が集団を形成し、ともに成長することが前提となるが、そこでも価値観や文化および民主主義の欠落が問題となった。学級崩壊の直接の原因については、教師の指導力の欠落が指摘される一方で、子供の社会化の遅れや道徳性の未形成を指摘する声もある。また、40人学級や学級担任制など明治以降の学校システムの硬直性が根底にあるという指摘もある。