堀越学園の本部がある創造学園大中山キャンパス=高崎市で
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「九月中に民事再生法の適用申請をして、十月中に決定を受け、来年三月末までに手続きを完了させる」
「民事再生のための資金として米国の教団から約八億円が提供され、当面の経営資金や債権者への支払いに充てる。教団からさらに、民事再生が完了した時点で再建資金約十六億円が提供される」
学校法人・堀越学園(高崎市)が九月、関係者に提示した「再建基本計画書」。
本紙が入手した計画書の写しには、重ねて「十月中に法人の本部を東京に移し、経費節減を図る」「被災地の学生の学費を減免して積極的に受け入れ、原発災害学コースを設ける」などの提案も並ぶ。
「教団が巨費を出すなんて、信じられない。キャンパスの光熱費もないのに、テナント料が高い東京に本部を移すというのも悪い冗談に思える。東日本大震災を絡めた提案も単なる思い付きだろう」
関係者は苦々しい表情で吐き捨てた。文部科学省も計画書を全く評価せず、今月二十五日、経営に必要な財産を持たないなど私立学校法に違反するとして、同法人に本年度末までに解散命令を発令する方針を決めた。
◆新理事長は迷走
計画書をまとめた責任者は法人理事長の大島孝夫氏。長く法人の実権を握ってきた元理事長の堀越哲二氏が一月に他の役職から解任され、二月に就任した。
大島氏は報道陣と交換した名刺から早くもつまずいた。「社団法人・日本フオアエッチクラブ 理事長」。しかし、この農業関連団体を監督する農林水産省は大島氏を理事長とは認めておらず、本人に厳重注意した。
大島氏はその後、学校法人の教職員や報道陣に米国の教団から再建資金を引き出すという主張を繰り返した。しかし、取材では教団から法人への振り込みを確認した人はいない。
追い込まれた大島氏は九月十八日付で報道各社に、十九日付で学生・保護者にそれぞれ「再建のために学校法人・村上学園と提携した」と通知。各社が報じたが、提携は村上学園の理事会決議なしで、同学園の理事長個人と結ばれていた。しかも、文科省が堀越学園に対して「解散命令が相当」と通知したのは十八日付だった。
「学内に教団や提携の話を信じる人はもういない。一時は期待を膨らませただけに、駄目だと分かった今の落胆は大きい」。教員が肩を落とした。
約四百七十五人の在学者を抱え、教職員約八十人の多くに一年以上も無給を続ける堀越学園。新旧理事たちの経営責任は極めて重い。どうしてここまで経営が悪化したのか。在学生の悲痛な心境も含めて報告する。(この企画は菅原洋が担当します)
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