慶大生「投資」問題 警視庁、詐欺容疑での刑事告訴受理
慶応大学の22歳の男子学生が、多額の投資金を集めたまま海外に出国し、連絡が取れなくなっている問題で、警視庁が10月、詐欺容疑での刑事告訴を受理していたことがわかった。
投資した人は、「慶応義塾大学のニューヨーク校で勉強をしてましたと、経済の。主席ですみたいな。『急いで入れない(投資しない)と間に合わなくなるよ』、『出資したいやつはいくらでもいる』みたいな」と語った。
男子学生は、会社経営者ら数人から、少なくともおよそ6,000万円を集めていたという。
いったい、どのようにして、多額の投資金を集めたのか。
実際に投資した人物は、信頼する友人から誘いを受けたという。
投資した人は「株でデイトレードをやっている、すごく頭のいい学生がいると(紹介された)」と話した。
その後、男子学生に呼び出されたのは、東京都内の超一流ホテルで、最上階のラウンジだった。
投資した人は「思ったよりも派手にしていなくて、すごく質素な、誠実そうな人でしたね。そのへんにいる22歳の男の子という感じではない。おとなしくて物静かで、頭がよさそうな感じ」と語った。
そこで伝えられたのが、「元本全額保証」、さらに「1年間の利率400%」という投資話。
男子学生は、「株の値上がりや値下がりを自動で監視し、損が出ないように売り抜けるシステムを開発した。このシステムを使えば、1,000万円の投資が、1年後に4,000万円の利益を生む」と勧誘したという。
勧誘された人の中には、うまい話に用心しようと、金融にくわしい人物に同席してもらい、男子学生に会った人もいたという。
投資した人は「どんな(金融にくわしい)人を連れていっても答えられる。例えば、銀行にくわしい人と会っても、(その答えを)答えられますし。本当に、『この子、天才なんじゃないか』と...。彼が人をだましているような感じには、とらえなかったですね」、「僕は2回目に会った時に、2,000万円入れました」と話した。
相手を信じ込ませて、次々と金を引き出した男子学生。
経営者などが集うパーティーで男子学生と親しくなったという女性は、「『ニューヨークの高校に行っていた』と言っていたと思うんですけど。その時の高校の先生に教えてもらって、株を始めたと聞きました。親から数百万円借りて、それを自分で運用して5,000万円くらいにして、大学の学費とかを払っていると聞きました」と話した。
そして、学生が高級クラブを貸し切った時について、男子学生を知る女性は「会計の時は現金で、ボンボンボンと払っていた。(貸し切ると)300万円くらいはするんじゃないですかね。(現金を)スーツの内ポケットから出していた」と語った。
大金をキャッシュで支払い、そのほかにもカーレースに興じるなど、その暮らしぶりは、かなり華やかだったという。
投資した人は「怪しい半分、信用できる半分...。当時は、全面的に信用していましたね」と話した。
しかし、男子学生は2012年2月、シンガポールへ渡った。
男子学生は、地下にカジノが入っている、シンガポールでも有数の高級ホテルに滞在していたという。
シンガポールに出国後、学生とは連絡が取れなくなり、投資者への配当や投資金の返還などが途絶えたという。
投資した人は「解約をお願いしたんですが、駄目でした。2月までの間に解約したいとの申し入れは、2〜3回しました」と語った。
知人の女性も、その時期から男子学生と連絡が取れなくなったと話している。
消えた男子学生。
ある関係者には、出国直後、「お金はあるけど動かせない。でも大丈夫だ」と連絡してきたという。
被害者らは、出資金6,000万円の返還を求めて民事訴訟を起こし、9月には全額の支払いを学生に命じる判決が下された。
そして、10月に詐欺容疑で刑事告訴された男子学生は、その所在は、依然わかっておらず、捜査の行方は不透明となっている。