情報システム
DCの2013年問題、首都圏で
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
国内データセンター(DC)市場で現在、これまでにない異変が起きている。首都圏DCの「2013年問題」とも言うべき、供給過剰の問題だ。
「2013年にDCの供給過剰が表面化し、利用料金の大幅な下落が始まる恐れがある」――。大手システムインテグレータ(SIer)のDC事業責任者は、警戒心を露わにする。ここ1〜2年、首都圏では巨大施設の開業が相次いでいるからだ(図1)。
例えば2012年11月には、野村総合研究所(NRI)が延べ床面積3万8820平方メートルの「東京第1DC」を東京都多摩市に開業する。この施設がどれほどの規模なのか。実際に運用できるサーバーの台数に基づいて説明しよう。
NRIが200億円を投じて建設した東京第1DCは、サーバーを格納する「19インチラック」を3000本収容できる。1ラック当たりの電力容量は平均7.5キロワット。消費電力500ワットのサーバーであれば、1ラックに15台は収容できる。つまり同施設は、標準的なPCサーバーであれば4万5000台を稼働できる能力がある。
2012年7月には、アット東京が東京都江東区に「アット東京DC新棟」(延べ床面積4万平方メートル)を開業した。2012年10月にキヤノンITソリューションズが東京都西東京市に開業した「西東京DC」(同1万6883平方メートル)は、2300ラックを収容できる。
2012年には他にも、新日鉄住金ソリューションズの「第5DC」(同1万平方メートル、1300ラック)、NTT東日本の「駒込DC新棟」(同7000平方メートル、900ラック)、埼玉県のSIerであるAGSの「さいたまiDC」(同8000平方メートル、600ラック)、三菱地所の子会社である丸の内ダイレクトアクセスの「大手町DC」(同3700平方メートル、500ラック)が首都圏で開業した。
これら7施設だけでも、合計1万ラック以上が設置可能だ。運用できるサーバー台数は15万台を上回るとみられる。IDC Japanによれば、2011年の国内サーバー出荷台数は62万台なので、単純計算でその4分の1近くを収納できることになる。
首都圏における施設の開業は、2013年以降も目白押しだ。2011年4月に「東京第5DC」(同1万3227平方メートル)を開業したばかりのNTTコミュニケーションズが、より大規模な「東京第6DC」(同2万2000平方メートル)を2013年4月に開業する。横浜市ではアイネットの「横浜第2DC2期棟」(同5543平方メートル)と伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の「横浜コンピュータセンター北館」(同9300平方メートル)が開業する。また面積は非公開だが、アット東京を子会社化するセコム、日本ユニシスの筆頭株主となった大日本印刷、ソフトバンクテレコムなどが、2013年中に大型施設を開業する計画だ。近年類を見ないDCの開業ラッシュである。
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