2012-11-05
産経新聞の開き直り記事から邪推するマスメディアの意識の低さ(続)
前回の記事の続きです。
野球で例えると、ある球団はドラフトでもトレードでも投手を全く獲得しない。代わりに野手に投手をさせることでしのいでいる。それも、見所のある(投手としての可能性がある)野手を投手として鍛え直すのではなく、順繰りに野手に投手を担当させているだけなので、投手が一向に育たない。しかし、それでも投手を獲得する気はない。
あろうことか、「観客はみんな野球の素人だから、投手も素人でいい。観客の目線に合わせることが大事だ」などと開き直る。
今回の記事から読み取れる産経新聞と記者の姿勢はこんなところです。
素人の野球に金を払う物好きはいませんね。同様に、給料をもらって文章を書く記者が素人でいいはずがありません。例え謙遜、自戒、言葉の綾であっても「素人」などという言葉を使ってはなりません。仕事に対する認識が甘すぎます。
今回の記事は、「新米記者が努力により科学記事をどうにか無事に書き上げることができた」という美談仕立てになっています。なぜこれが美談になるのか、産経新聞の正気を疑います。
記事から読み取れることは、「適材適所」という営利企業ならば当然行うべきことが行われておらず、不適任な記者が科学記事を書いている、さらに会社としてその状況を改める気がないということです。美談ではなくただの恥晒しです。しかも全く自覚がありません。
産経新聞は、結果としてこの記事において、報道機関としては致命的な意識の低さを晒してしまったわけです。「わが社では素人同然の記者がやっつけ仕事で記事を書いています」と明言したのですから。
山中伸弥博士のノーベル賞受賞に関連して、このような科学称賛記事を掲載しています。
山中氏ノーベル賞 「科学立国」の牽引役に 世界のiPS細胞誇りたい(10/9)
参院議員・山谷えり子 世界に貢献する科学技術立国日本(10/27)
これではどう考えても言行不一致ですよね。
マスメディアの科学軽視は産経新聞に限ったことではないとは思うので、暗澹たる思いです。誰か何とかして下さい。
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