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【若手記者が行く】科学取材…専門用語飛び交い理解不能の世界、頭が真っ白に
集中力が切れかけたころだった。吉岡助教が「超高齢社会を迎えた日本では、長く生きることに加え、お年寄りが元気に自分で動けることが大事。筋力余裕度計を普及させ、老後の生活の質を向上させたい」と力強く話した。
「この研究、お前はどう思ったの」
初めて話がすとんと頭に入った。研究は、寝たきりのお年寄りが後を絶たない状況を変えたいとの気持ちで進めていたという。
上司に電話連絡したところ、「この研究、お前はどう思ったの」と聞かれた。「説明がまだうまくできないんですけど、興味あります」と言うと笑われたが、「わかった。30~40行程度で出稿して」といわれ、急いで執筆にかかった。
だが、研究の意義はわかったものの、開発の経緯や詳細はまだ理解できていない。そこで会見後も吉岡助教にくっつき、何度も質問して簡単な言い換え表現を探した。繰り返すうちに、専門的な単語は原稿に必要ないことがわかってきた。時間はかかったが、何とか原稿をまとめ送稿した。
記事は、インターネットのニュースサイトと翌日朝刊の第2社会面に掲載された。うれしかったのは、数日後、立命館大の広報担当者に別の取材で会い、「早速市販化に向けてメーカーから問い合わせが来ていますよ。社会面とネットに出してもらってありがとうございます」と言われたことだ。
立派な研究をかみ砕くのはとても大変な作業だったが、記事にすることで専門知識がない読者や関係業者に興味を持ってもらえたかと思うと、吉岡助教らの熱意をくみとり応援できたようでうれしかった。
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