再生の原風景 渡良瀬
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【社会】大学設置で新会議 文科省検討 不認可救済 可能性も
田中真紀子文部科学相が秋田公立美術大(秋田市)など三大学の新設を不認可とした問題で、文科省は五日、近く大学設置認可に関する新たな検討会議を発足させる方向で検討に入った。三大学を不認可にしたことの適否について話し合うことも想定している。 事実上の救済策として来春の開学に道を開く可能性が出てきたが、最終的に田中文科相が方針転換に踏み切るかは不透明で、省内の調整には曲折も予想される。 ほかの二校は札幌保健医療大(札幌市)と岡崎女子大(愛知県岡崎市)。 ◆3校あす撤回要請 新設不認可 法的措置も協議田中真紀子文部科学相が三大学の新設を不認可とした問題で、札幌保健医療大(札幌市東区)を設立予定の学校法人吉田学園が五日、札幌市内で記者会見し、他の二校の関係者と七日に文科省を訪れ、撤回を求める予定だと明らかにした。六日に東京都内で集まり、今後の対応を協議する。 同法人の吉田松雄理事長は「どう考えても理不尽。理由の説明もない」と田中文科相を批判。不認可とされた秋田公立美術大(秋田市)、岡崎女子大(愛知県岡崎市)と訴訟など法的措置について検討するとした。 公私立大の設置認可を文科相に答申する大学設置・学校法人審議会は三校とも「新設を認める」としていたが、田中文科相が二日、不認可とした。大学の設置認可手続きを厳格化することを理由に挙げたが、答申通りに認可されないのは記録が残る過去三十年間で初めてだった。 会見に同席した代理人の弁護士は「撤回されなければ単独でも訴訟を起こす」と話した。札幌保健医療大は来春開学を目指し今後も準備が進められ、採用予定の教員約三十人はそのまま採用する予定。 また、秋田市の石井周悦副市長も五日、撤回に向けて法的手段も検討していることを明らかにした。既に顧問弁護士に相談しているという。石井副市長はまた、就任が内定していた教員について個別に意向を確認するとしながらも「一人でも欠けると大学の設置は困難になる」と基本的に採用する方向であることも明らかにした。 愛知県の大村秀章知事は同日の記者会見で、「速やかに謝罪し撤回してもらわなくてはいけない」と述べた。 ◆識者「裁量権の逸脱」 訴訟になれば文科省不利か大学側が「法的手段も検討している」とする新設三大学の不認可問題。専門家からは、行政訴訟に発展した場合「文部科学省は不利」との見方も出ている。文科省内にも「訴訟になると厳しいのでは」との声がある。 大学新設の際は、文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が審査する。教育内容や施設が大学設置基準などに適合しているかが審査の中心。途中で問題点があると分かれば「審査意見」を大学側に通知し、答申までに改善させて認可されるように図る。 最終的に審議会が不認可と判断した例もあるが、有識者が専門的な判断をしていることなどを理由に不服申し立ての制度はない。文科相が答申を覆すことも「想定していなかった」(文科省幹部)というのが実情だ。 今後は、不認可の取り消しを求める行政訴訟や、損害賠償請求の民事訴訟に発展する可能性がある。審査で大学側に法令上の問題はなかったとされ、文科省では「裁判になったら分が悪い」と悲観的な見通しもささやかれている。 行政法に詳しい斎藤浩立命館大法科大学院教授は「答申を覆すのなら、法律に基づく明確な理由が必要。それがなければ訴訟で反論が難しい。『文科相が判断すること』という理屈は通らず、田中真紀子文科相の決定は裁量権の逸脱だ」と指摘している。 PR情報
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