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万里の長城遭難3人死亡 トムラウシ事故のツアー会社だった
日本人の遭難現場近くとみられる中国河北省張家口市郊外の万里の長城(北京在住の登山愛好家提供)
Photo By 共同 |
中国河北省張家口市郊外の万里の長城近くで日本人のツアー客が死亡した事故で、遭難したのはいずれも東京の旅行会社「アミューズトラベル」のツアー参加者であることが5日、分かった。同社は09年、主催した北海道での登山ツアーで8人の凍死者を出している。また、行方不明だった日本人男性1人の死亡が確認され、日本人の死者は計3人となった。
東京都千代田区のアミューズトラベル本社には5日早朝から数十人の報道陣が集まった。社員は「09年の事故を深く反省し、安全対策に取り組んできたが…」と、再び重大事故を起こしたことに言葉を詰まらせた。
ツアーは10月28日から9日間の日程で、現地では7日間かけて万里の長城を約100キロトレッキングする内容。担当者は「救助訓練などガイドへの研修は行っていた」と説明。同行した20代の中国人添乗員は入社1年ほどだが登山経験はあったという。
同社では、今回遭難した場所へのツアーは初めて。一般の観光客がほとんど来ない中で長城が楽しめる穴場もコースに含むというが、社員による下見はせず、提携する中国の旅行会社に情報収集を任せていた。この中国の会社との取引も初めてだった。
参加者には、防寒具としてフリース素材の上着やセーターなどを指定していたが、雪山でも対応できる装備までは指示していなかった。同社は「大雪は想定外だった」としている。
09年に同社が主催した北海道・大雪山系のトムラウシ山ツアーで死亡したツアー客の遺族らは、「またか…」と悲痛な声を上げた。妻を亡くした浜松市の市川厚男さん(62)は「再発防止策がきちんと機能していたのか」と話し、ツアーに参加した愛知県清須市の戸田新介さん(68)は「無理をして出発してしまったのでは」と当時を思い返して指摘した。
伴野豊国土交通副大臣は「(安全管理)マニュアルの徹底などを担保した上で業務再開したが、その後もきちんと実行していたのか」と述べ、立ち入り検査などを通じ実態を解明する考えを示した。観光庁は近く旅行業法に基づき同社を事情聴取する方針を固めた。安全管理体制などに問題があれば業務停止などの処分を検討する。
同社の板井克己社長はこの日、北京入りしたが、天候不良で現地に着けなかった。
北京の日本大使館は、行方不明になっていた男性について、死亡が確認されたと中国の地元当局が連絡してきたと明かした。福岡県の柳井俊一郎さん(76)とみられる。これまで、東京都の小川陽子さん(62)、埼玉県の渡辺邦子さん(68)の死亡が判明している。
▽トムラウシ山遭難事故 09年7月16日、北海道の大雪山系を縦走する登山ツアー客50代、60代の15人とガイド3人がトムラウシ山(2141メートル)で暴風雨の中、離れ離れになり、ガイド1人を含む8人が低体温症で死亡。日本山岳ガイド協会が設置した事故調査委員会は、ガイドの判断ミスが直接の原因とし、ツアーを企画した旅行会社アミューズトラベル(東京)の安全管理体制にも問題があったと指摘。道警は業務上過失致死容疑で捜査している。観光庁は10年12月、同社の本社営業所の旅行申し込みの新規受け付けを51日間認めない営業停止処分にした。
[ 2012年11月6日 06:00 ]
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