古巣ロッテと交渉に臨んだ西岡。ロッテ側は手応えなく、阪神入りへ一直線(撮影・北野浩之)【拡大】
心は決まっている。古巣への礼儀も通した。障壁はなくなった。ロッテとの初交渉を終えた西岡の猛虎入りが、一気に加速する。
阪神が興味を示していることについて「フラットです。フラットじゃないと他球団に会うのも失礼。結果がどうなるかわからないけど、暗い話じゃなくて、うれしい話なので、明るく前向きにやりたい」と話した。ロッテに配慮して言葉を選びながらも、虎との対面を楽しみにしているようだった。
10月19日に帰国していたスピードスターが東京都内のホテルで約1時間半、ロッテと交渉の席についた。最後の1時間は昼食を囲みながら談笑。力を貸してほしい-との訴えに「断る理由がない」と揺さぶられた。だが、水面下で大筋合意している虎入りの流れまでは変わらなかったようだ。
テーブルにはドラフト入団時の担当スカウトだった松本編成統括も同席。「手応えは分からない。本人が決断することなので、選んでくれれば」と慎重に言葉を発した。西岡がロッテ時代から信頼を寄せてきた人物のセリフが、すべてを物語っていた。
古巣球団の交渉不発を尻目に阪神サイドはドッシリと構え、きたる時を待つ。高知・安芸の秋季キャンプを視察中の中村勝広GM(63)は、西岡がロッテの交渉が終えると、“恋人”から連絡があったことを明かした。6日にも実現するとみられた初交渉を11日にも組み込み、自らが出馬して本格交渉を行う。さらに「ロッテ以上の条件を出す」と胸を張った。ロッテが年俸2億円の複数年を提示したが、上回る契約を用意。決めゼリフについては、「策を練ります」と7日に安芸入りする南球団社長と作戦会議を開くことを明かした。すでに大筋合意に達しているが、安芸会談で調整したトドメの一言を懐にしのばせ、テーブルにつく。
西岡は決断の決め手について「一番は野球選手としてチームとして必要としてくれるというところ。納得して野球ができる場所」とした。5位に低迷した阪神は来季の巻き返しへ若手育成と並行した大型補強も必要と判断。西岡に関しては、獲得を目指す福留、五十嵐に先行し、9月29日にツインズを自由契約となる以前から水面下でラブコールを送ってきた。愛着のある背番号「7」も用意する方針で、必要戦力との思いは十二分に伝わっている。
「全球団と話すならば早めに答え出すのが礼儀。他球団にも迷惑かけないようにしたい」と西岡。快足男がタテジマに袖を通す。その日は、カウントダウンに入った。(恵濃 大輔)
★虎、ロッテ以外も
西岡は阪神、ロッテ以外に獲得を申し入れている球団があることを明かした。「2球団以上はあります。球団が終わるまでフラットです。金額が多いからというので動くことはない」。獲得の申し入れがあった球団に礼を尽くすために、すべての球団と交渉後、阪神入りを正式表明する見通しだ。
(紙面から)