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夢喰いメリーを山内重保から読む

アニメ | 15:19 |

本稿では，夢喰いメリーの監督，山内重保が「何故カンカンにこだわるのか？何を意味しているのか？」を読み解く努力をする．

缶にこだわるアニメ　夢喰いメリー

これは第一話（山内重保コンテ演出）で主人公がジョン・ドゥに追いかけられてるシーン．

猫缶が出てくる．

主人公が逃げまわってる時は一緒に転がり，隠れてる時は一緒に止まる．

これは第二話（山内重保コンテ演出）．メリーさんが夢の世界から現へ来たシーン．

空き缶と共に登場．

主人公とメリーがお話するシーンでも缶ジュース片手に．

三話（山内重保コンテ演出）では缶蹴りをして遊んだり

アニメオリジナルのキャラが缶コーヒーを飲みながら登場したりする．

すげぇカンカンの登場率．

山内重保と缶

で，これだけカンカンにこだわってるのは誰か？って言うと．

たぶん，監督の山内重保．

彼はレールガンの第9話（山内重保コンテ演出回）でも

こんな風に，空き缶を登場させている．

黒豆サイダーと共に黒子が登場し，その空き缶を敵対する不良が踏み潰すという，あまりにも分かりやすい象徴として出てくる．

ほかにも，おジャ魔女どれみ# 第42話 「魔法をつかわない魔女」（山内重保コンテ演出回）でも使われてる．

魔女界のどこに自販機があったのか知らないが，突然おジャ魔女たちが缶ジュースを飲みだす．

しかも，魔女であるマジョランは飲んでない（下段右図）．

この回は，魔女界と人間界の隔たりについてのお話なので，おそらく，この缶ジュースは，魔女とおジャ魔女という対比だけじゃなく

魔女界と人間界という対比……つまり，缶＝人間らしさみたいなものを表しているんだろう．

いろんなものが象徴する世界

もちろんカンカン以外の物もキャラや状況を象徴している．

夢喰いメリーだけでも挙げるとキリが無いぐらいだが……

第二話（山内重保コンテ演出）では，「セリオ＝花や花びら」となっていてセリオが死んだら，花びらが散る（右図）．

ほかにも，缶コーヒーで登場したアニメオリジナルキャラである千鶴は，事あるごとにコーヒーを飲む．

由衣は変なキーホルダーが象徴している．

こんな感じの世界．

特筆すべき山内重保の象徴　流れ・漂う物

で，今まで，キャラ＝物，物の状態＝キャラの状態（花が散る＝死），みたいな象徴を多く取り上げてきたが

山内重保の象徴はそんな単純なものだけではない．

例えば，5話（山内重保コンテ演出回）の稲穂について……

『夢喰いメリー』の演出意図について、あなたはアニメを見る人？それとも読む人ですか？ ワゴンの神様

あの稲穂は何だったの？

（中略）

月がエンギ、すすき（麦）が姉＋悪い予感のイメージとして使われてるんだよ

うん．

たぶん，間違っては無いんだろうけど，足りない感じ．

そう，この稲穂は，メリーvsエンギの戦いの流れを象徴している．

というのが俺の見方．

まず，戦闘開始のご挨拶．

エンギが稲穂を投げて，メリーが受け取る．

そして，投げ返して，エンギが真っ二つにする．

まぁ，あれだ，バスケの1on1の初めみたいなものだ．

戦闘開始．

稲穂があっちいったりこっちいったり．（矢印は，稲穂の移動方向を示している）

で，第一ラウンドの決まり手，真剣白刃取りが決まる瞬間．

ジャッジのように縦に落ちてくる稲穂．

そして，インターバル．稲穂は静止する（下段右図）．

インターバルでは，ずっと稲穂は静止している．

背景が変わったり，色味が変わったりして，時間が違うこと＝場面転換した（回想シーンである）ことを表したりしている．

で，戦闘再会……いきなりエンギのクリティカルが入る．

で，メリーさん戦意喪失．すると，稲穂は吹っ飛び，ダウンする．

という感じで，キャラ＝物って象徴だけじゃなく，戦闘の流れを象徴していたりもする．

これは発展して，おジャ魔女どれみナ・イ・ショ 第04話「ノンスタンダード／おんぷのないしょ」（山内重保コンテ演出回）で炸裂している．

この回は，

おんぷちゃんが今まで魅力的だった「アイドルになる」という夢を乗り越え，さらなる大きな夢を求める

という話．

まず，順風満帆のアイドル生活が描写され，しかし，それが「楽しくない」「満たされない」と感じているおんぷちゃんが描写される．

で，そんな中，一輪の花が花開き，散る．

続いて，散った花びらと共におんぷちゃんは旅に出る（上段左図）．

漂うおんぷと花びら（上段右図）．

で，行き着く先が大海（下段左図）．

そこで，花畑の幻視を見る（下段中央図）．

この回は，他にも

滴る水，雨，溢れる水，そして海と水もおんぷちゃんの心情を象徴していたり

サッカーボールが水の上を漂ったりしている．

蛇口から徐々に漏れでる想い．

雨が降り，押さえ込めようとしても溢れ出す．

そして，海に流れつく思い．

自分の中途半端さ，地に足が付いていないような感覚……水の上を漂うボールのように．

花は自然と咲，そして散る．自分の成長を止めることは出来ないし，後戻りも出来ないように．

風が吹けば抗うことが出来ず，漂い，そして，花畑にたどり着く．

つまり，ボールや水や花はそれぞれおんぷちゃんの心情を表しており，成長・時間という大きな流れ（水であったり風であったり）に抗うことが出来ない様子を表している．

カンカンとは

で，結局カンカンって何よ？って話だが

缶は，

人間らしさを表していたり

（も〜と！おジャ魔女どれみ 第13話 「夢の船にのりたい！」山内重保コンテ演出回）

友情の証であったり

坂道では，抗うことが出来ない．

で，重要なのは，坂道で抗うことが出来ないまま転がってしまうところ…なのだと思う．

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